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タイトル:Daily Drama Express 2007/07/08 パパとムスメの7日間 (2)  2007/07/10


===================================================== 発行部数   25 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2007/07/08 (Sun) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.日曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 日曜日の連続ドラマ
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タイトル パパとムスメの7日間
局  名 TBS系
放映日時 日曜21時
キャスト 川原恭一郎(舘ひろし)
 川原小梅(新垣結衣)
 大杉健太(加藤成亮)
 中嶋耕介(八嶋智人)
 川原理恵子(麻生祐未)
 西野和香子(佐田真由美)
 中山律子(森田彩華)
 桜木真一(高田延彦)
 国枝ひそか(佐々木すみ江)
 渡辺武志(江守徹)
原  作 五十嵐貴久『パパとムスメの7日間』
脚  本 荒井修子
     渡辺千穂ほか
主題歌  

あらすじ 第2話「パパのせいで失恋?ムスメのせいでリストラ?」

 小梅(恭一郎)(新垣結衣)は健太先輩(加藤成亮)を待っていた。
少し離れたところで待ち合わせていた制服姿の高校生のカップルが
「待った?」「ううん、ぜんぜん」としゃべっているのが目に入る。

(まっ、高校生の男女交際なんてさわやかなもんだ)

 小梅(恭一郎)は微笑ましく思った。が……。2人は人目もはばか
らずにいきなりキスをした。

「!」。小梅(恭一郎)はあまりの大胆さにあんぐりと口を開けてし
まう。
「川原!」
 そんなところへ健太がやって来た。
(来た!)
「お待たせ」
「ど、どーも」
 小梅(恭一郎)はぎこちなく答える。キスシーンを見せられて小梅
(恭一郎)は無意識に身構えてしまう。

(俺と小梅が入れ替わったのはこのデートを失敗に導くためだったん
だ。これこそ天の配剤。神様ありがとう!)

 小梅(恭一郎)と健太が向かったのは、近くにある小さな映画館だ
った。「ルキーノ・ヴィスコンティ」という看板。それは30〜40年前
のイタリア映画だった。

 ヴィスコンティ?。後をつけてきた恭一郎(小梅)(舘ひろし)は
首をかしげた。ルードビッヒ?、バーガー?食べ物??見たことも聞
いたこともない単語が並んでいる。

「これでいいかな?」
 健太は小梅(恭一郎)の顔を覗き込んだ。が、小梅(恭一郎)は黙
ってうつむいている。
「い、嫌だったら別のとこ行く?」
 健太は黙っている小梅(恭一郎)を見て焦った。

「……こんな懐かしい映画見られるとは思っていなかった」
「懐かしい?」
 健太はきょとんとしてしまう。
「急ごう、スクリーンのセンターをキープするんだ!」
 小梅(恭一郎)は興奮気味に健太の手を引いて映画館へ入ろうとす
る。
「ちょっと待って、チケット買ってくる」
 健太はそう言うとチケットブースへ向かう。
「おっ、使い勝手してすまんね」
 小梅(恭一郎)はすっかり上機嫌で健太を見送るが、不意に恭一郎
(小梅)に腕を引っ張られ、映画館の脇に連れて行かれる。

「小梅?なんでここにいるんだ?」
 小梅(恭一郎)はびっくりする。
「懐かしいって、川原小梅はこんな古い映画見たことない!」
 恭一郎(小梅)は健太に変に思われてはたまらない。が、小梅(恭
一郎)そんなことにかまわず
「あれ、パパ言わなかったっけか?学生時代はラグビーをやりながら
映画愛好会にも顔を出していたんだ」
「そんなことどうでもいいから、余計なことは言わない。かわいく、
愛想よくをちゃんと守って!」
 恭一郎(小梅)は暴走気味の小梅(恭一郎)に冷や汗ものだ。
「わかった、わかった」
「あれ、川原?」
 健太の声がする。
小梅(恭一郎)は、ルンルン気分で健太のところへ駆けていく。
「やりすぎだよ……」
 ぶりっ子する小梅(恭一郎)に恭一郎(小梅)は不安でしかたない。


(ここにいる人たちってマジ圏外!)
 健太と小梅(恭一郎)の後ろに座った恭一郎(小梅)は、40代以上
の中年男性客でにぎわう館内を見てそう思った。

「ビスコンティと言えば、やっぱ『ヴェニスに死す』だよ。でも『山
猫』も傑作だな」
「えっ?」 
 得意げに薀蓄を語る小梅(恭一郎)に健太はびっくりして何て言っ
ていいのかわからない。
(そんな豆知識いらないよ!先輩ドン引きじゃん!)
 恭一郎(小梅)は焦った。すぐケータイでメールを打ちはじめ「し
ゃべりすぎ!」と注意する。
 けれど小梅(恭一郎)はお構い無し、1人拍手で開演を迎えている。
恭一郎(小梅)はフラストレーションが溜まる一方だ。

(結構ロマンチックなんだ。ということは……)
 映画はムーディな感じだ。恭一郎(小梅)はいい雰囲気になったと
ころで、健太が自分の手を握り、じっと見つめる姿を想像してにやけ
た。
(先輩に手を握られたい!あっでもダメ……)
 先輩が手を握るってことは、パパの手を握ることじゃん!
(キモ!っていうか、先輩には本物のあたしの手を握ってもらいたい)
 恭一郎(小梅)からため息が漏れる。

 どれくらい時間がたったのだろう?気がついたら映画は終わってい
た。恭一郎(小梅)はつまらなさすぎて途中で眠ってしまった。前の
席を見ると健太も爆睡している。
(先輩もつまらなかったんだ。だよねー)
 恭一郎(小梅)は納得顔。物音で目を覚ました健太はハッとして小
梅(恭一郎)を見る。小梅(恭一郎)は一言「終わりましたよ」と言
って席を立ってしまう。
(しまった!)
 小梅にカッコ悪いところを見られた健太は思わず天を仰ぐ。

 健太にとっては痛恨の失敗だった。サッカー一辺倒の健太は、どん
な映画に誘えばいいかわからず、くだらない映画に連れて行くと馬鹿
にされると思って見栄を張ってしまったのだ。健太はそのことを正直
に話して小梅(恭一郎)に謝った。
「そんなことない!面白かったよ。あの独特のデカダンス、何度見て
もいいよね」
 小梅(恭一郎)は慌ててフォローした。
「何度も見たの?」
 健太はまたもや驚いた。
(パパ、何言い出すつもり!?)
 そばで新聞を読む振りをしながら恭一郎(小梅)は冷や汗をかきっ
ぱなしだ。

「まあ、川原が楽しめたならいいけど」
 健太はホッとした気がした。
「モチのロンだよ。なかなかセンスいいよ先輩!」
 小梅(恭一郎)はご満悦の様子だが、恭一郎(小梅)はあまりの寒
さにがっくりきてしまった。

(実は俺もかつてこの青年と同じ過ちを犯してしまった。あの日の自
分を見ているようでつい弁護してしまった)
 デートを失敗させるつもりが、つい助けてしまったことに小梅(恭
一郎)は少し後悔した。

「てっきり外で遊ぶ方が好きだと思ったけど」
 健太は意外そうに聞いてきた。
「そんなことないよ。趣味は読書と映画鑑賞だし」
(いまどき出会い系のプロフィールにだってそんなこと書かないよ!)
 健太にまたドン引きされると思って恭一郎(小梅)は絶望的になる。

「読書?本当?何が好きなの?」
(あれ?食いついた)
 興味津々で聞いてくる健太に恭一郎(小梅)はびっくりした。
 健太と小梅(恭一郎)は司馬遼太郎で盛り上がり、2人で新撰組の
切り込みごっこをし始めた。
(なに?妙に気が合っちゃって。男同士って不気味……)
 恭一郎(小梅)にはまるでついていけない世界だった。

「そんなの絶対ダメに決まってる!さっさと帰って!」
 小梅(恭一郎)から食事に誘われたとケータイで聞かされた恭一郎
(小梅)はとっさに突っぱねた。これ以上健太の前で変なまねをされ
てはたまらない。

「でもぉ、断りにくいっていうかぁ」
「都合よく女子高生っぽくなるな!なんでご飯にいくの?」
 デートに乗り気じゃなかったはずなのに、一緒に食事にいくのは明
らかにおかしい。
「そうか、小梅がそこまで言うなら断ろう。小梅がガードが固いと思
ってくれた方がパパも安心だ」
 小梅(恭一郎)は意地悪く笑っている。
「……30分以内なら許す!でも余計なことは絶対言わないでよ!」
 恭一郎(小梅)は仕方なく折れた。

 健太と小梅(恭一郎)は近くのファストフード店に入った。
(よし、ここからが本当の作戦開始だ)
 小梅(恭一郎)は不敵に笑って、フライドチキンとポテトのLサイ
ズだ、サンドウィッチだ、と大量にねだった挙句、注文を押し付けて
1人さっさと席に行ってしまった。
「あのオヤジ!」
 恭一郎(小梅)はすぐケータイをかける。
「見破っているよ。先輩の前でバクバク食べて嫌われようって魂胆」
「だってぇ、ファストフードの注文てパパ知らないしぃ」
 小梅(恭一郎)は髪を指でくるくるいじって適当に答えてくる。
「とにかく先輩の話に黙ってにこにこ頷く。食べたらすぐ帰る、絶
対!」

 案の定小梅(恭一郎)はがつがつと食べまくった。健太は食欲旺盛
の小梅(恭一郎)に唖然となりながらも小学校のクラス会の話を始め
る。なのに、小梅(恭一郎)は食べまくって話を聞いてない。焦った
恭一郎(小梅)はケータイで会話するのを装って必死にやめさせよう
とする。

「もしもし、私だ。君の態度はよくないな。相槌も打てないのか?ま
るで無関心じゃないか」
 すると小梅(恭一郎)はメールを打ち出した。
「食べながら話すなって言うから頷いてんだ。無理言うな」
 恭一郎(小梅)はカッとなる。
「人が話しているのにメールなんて失礼だろ!」
 しかし小梅(恭一郎)は涼しい顔をしている。

「俺の話、つまんなかった?」
 小梅(恭一郎)が無関心そうに見えたので、健太はそう聞いた。
「別に」
 小梅(恭一郎)はそっけない。
「もう少し言い方ってもんがあんだろ!」
 恭一郎(小梅)はたまらなくなって怒鳴ってしまった。店内の視線
が恭一郎(小梅)に集まってくる。恭一郎(小梅)は泣き出しそうな
顔で店を飛び出していった。
「パパなんか大嫌い!」
 恭一郎(小梅)は涙が溢れて止まらなかった。
(許せ小梅、すべてはお前のためなんだ)
 傷つく娘を思うと気持ちは複雑だが、小梅(恭一郎)の決意は揺る
がなかった。

「これなら9時に間に合うね」
(なんだ、なかなか常識をわきまえているじゃないか)
 帰りの電車の中で帰りが遅くならないように気を遣ってくれる健太
に小梅(恭一郎)は少し感心した。だが、ドアを隔てて別の座席に座
っている恭一郎(小梅)は落ち込んでぐったりしている。
(そんなに落ち込まなくていいじゃないか)
 そうは思うものの恭一郎(小梅)が哀れに思えてきた。
「あの、今日はありがとうございました。あたしといてもつまらなか
ったですよね?」
 礼の一つくらいは言っておいてやるか、小梅(恭一郎)はそう思っ
た。
(そのとおり、こんな女が好きだって人、誰もいないよ)
 小梅(恭一郎)は完全に作戦的中を確信して笑っている。

「そんなことないよ。すげぇ楽しかったよ」
「えっ?」
(うそ?)
 健太は学校ではわからなかった小梅の一面を知ることができてよか
ったと思った。読書の趣味も同じだし、話が下手な自分の話を黙って
聞いていてくれて嬉しかったし、いっぱい食べるのもかわいかったし。
(もしかして作戦が裏目に出た??)
(よしっ!)
 小梅(恭一郎)はにがい表情に、恭一郎(小梅)は満面の笑みを浮
かべた。

 慌てた小梅(恭一郎)は家まで送るという健太に「結構です。気を
つけてお帰りください」と冷淡に言ってみせた。
(もう少し気の利いた言いかたしてよ!)
 最後まで悪あがきする小梅(恭一郎)に恭一郎(小梅)はカリカリ
する。

「川原!」
 健太が呼び止めた。
「また会ってくれるかな?ていうか会ってほしい。俺いっつも川原の
こと考えている、っていうかこんな言い方じゃわかんねえよな。川原、
俺……」
「あ、いや……」
 小梅(恭一郎)は顔を引きつらせる。
 一方恭一郎(小梅)は泣きそうになった。
(どうしよう、先輩はあたしに告白しようとしている。半年間、あた
しはこの瞬間を待ってた……)
 最初はミーハーな気持ちで騒いでただけだった。でもうまいのに誰
よりも努力する姿を見て目が離せなくなった。だからマネージャーや
ってる律子(森田彩華)に泣きついて紹介してもらって……ずっとず
っと先輩を思ってきた……。
(先輩が川原小梅に告白してくれるんだからこれでいいのかもしれな
い。でも、でもでも……やっぱりあたし自身に告白してほしい!)

「小梅!」
 恭一郎(小梅)は思わず2人の前に飛び出した。
「パパ?」
「お父さん?同じ高校の大杉です」
 健太は丁寧に挨拶した。
 恭一郎(小梅)は健太の手を握り締める。
「不束な娘ですが末永くよろしくお願いします。幸せにしてやってく
ださい(だから元通りになったらあたしに告白してね!してくれなか
ったらあたしからしちゃうかも!)」
 恭一郎(小梅)必死の眼差しだ。慌てた小梅(恭一郎)は握った手
を離させようと割り込む。しかし恭一郎(小梅)はそれを払いのける。
「パパは大杉くんのこととっても気に入ったんだよ。ありがとうござ
います」
 恭一郎(小梅)はここぞとばかりに自分の思いをぶつけた。
 それからは恭一郎(小梅)は健太に肩を回しルンルン気分で帰った。
自転車に乗って後をついていく小梅(恭一郎)はそれが面白くない。

「小梅、若い男ってのは優しい顔して頭の中ではとんでもないこと考
えてんだぞ!」
 健太と別れた後、小梅(恭一郎)は恭一郎(小梅)にすかさず釘を
さした。恭一郎(小梅)はあまりにものぼせ上がっている!
「じゃあパパはママを初めてデートしたとき、チューするタイミング
を考えていたんだ」とにやにや。完全に形成は逆転して小梅(恭一郎)
はたじたじになってしまう。
「でもよかった。パパも結構やるじゃん!」
「やるじゃんて?」
「だからぁ、うまくやってくれてありがとうってこと」
「……」
 そのとき、小梅(恭一郎)には恭一郎(小梅)の姿が小梅に見えた。
小梅にありがとうと言われるなんて何年ぶりだろう?小梅(恭一郎)
は思わず泣きそうになった。


「日曜出勤?なにそれ、めんどくさ」
 恭一郎(小梅)はだるそうにしている。

 美生化粧品は戦力のスーパービューティシリーズのマーケットが底
打ち状態で、新製品を売り出そうとしていた。それで若い世代を対象
とした新しいフレグランス、レインボードリームを開発、売り出すこ
とに決まった。

「でもさ、これ欲しい気ぜんぜんしない。売れないよこれ」
 恭一郎(小梅)はばっさり切り捨てた。
 それは社内の誰もが感じていた。15年前に新規開発した香水が大失
敗し数億もの損失を計上したこともあった。経営会議では皆この企画
を押し付けあう始末。最終的に桜木取締役(高田延彦)が引き受け、
プロジェクトチームが発足、そのリーダーを恭一郎が責任もろとも押
し付けられたのだった。
(とはいえこんな大人の事情、小梅に言うのは父の威厳にかかわ
る……やめとこう)

「小梅ーっお風呂空いたわよ」
 理恵子(麻生祐未)の声がする。
「急げ、ママがドライしている10分で済まさなきゃ」
 恭一郎(小梅)は小梅(恭一郎)を引っ張ってお風呂へといく。ま
た小梅(恭一郎)に目隠しさせて、恭一郎(小梅)がシャンプーをす
る。

「小梅、シャンプー足りてる?」
 突然理恵子がやって来た。恭一郎(小梅)は慌てて小梅(恭一郎)
を湯舟に沈めた。理恵子はシャンプーを渡そうとする。恭一郎(小梅)
はそれをひったくると一目散に追い出した。

「なんだかパパに避けられているみたいなの。何か知らない?」
 小梅(恭一郎)は理恵子に相談された。
「そ、そんなのパパに直接聞きなよ」
 困った小梅(恭一郎)はそう逃げた。

 翌朝、恭一郎(小梅)はそのことを小梅(恭一郎)に話した。恭一
郎(小梅)はばれないようにとして知らず知らず避けていたのだ。特
に夜寝るときなどは……。
「難しいと思うが、もうちょっとママに優しくしてくれ」
 そんなこと言われても……。理恵子が恭一郎(小梅)のネクタイの
曲がりを直そうと声をかけてきた。
 恭一郎(小梅)は直してもらうと「いつもありがとう、愛している
よ」と言って理恵子の頬にチュッとキスをした。
(や、やりすぎだ……)
 小梅(恭一郎)は頭を抱える。

 恭一郎(小梅)が出勤すると、すでに中嶋(八嶋智人)たちは出勤
していた。恭一郎(小梅)はデスクでその様子を眺めていた。
 加奈子(今井りか)はパパのクルーザーでデートのはずだったのに!
とわがままを言っている。なのに誰も咎めない。加奈子は大手デパー
ト社長令嬢でコネ入社のため、誰も文句を言えないらしい。
(わかるなあ。会社ってつまんない!でも忙しいんだから少しくらい
手伝ってもいいんじゃない。だいたいパパなんて仕事を頼んでももら
えないんだから)
 恭一郎(小梅)は手持ち無沙汰だった。しばらくすると中嶋たちは
そろって昼食に行ってしまい、恭一郎(小梅)は一人取り残されてし
まった。
(これってイジメ?パパって会社でハブられてる??)

 恭一郎(小梅)はオロオロし始めた。でもそこへ西野さん(佐田真
由美)が手提げ袋を持って出先から帰ってきた。
「それってNotting Hillのマフィン?」
「ええ、そうですけど。よくご存知ですね」
 西野さんは驚いた風な顔をした。Notting Hillは若い女性に人気で
恭一郎(小梅)が知っているとは思ってなかったらしい。西野さんは
多めに買ってきたからと言って分けてくれたので一緒に食べることに
した。

「リーダーはよく勉強されているんですね」
 西野さんはレインボードリーム開発のために若い女性の消費動向を
調べていると思っているらしい。
「最新のスイーツをチェックするのはあたりまえだよ」
 事も無げに恭一郎(小梅)は答えた。
「リーダー、女子高生みたい」
 西野さんは笑った。
「そうだ、リーダー。相談したいことがあるので今日か明日つきあっ
てもらえますか?」
 不意に西野さんは真剣な眼差しで言ってきた。
「いいよ、いつでも」
 よくわからないけど、恭一郎(小梅)はすぐOKした。

「えっ、データ消しちゃった!?」
 何があったのかと恭一郎(小梅)が中嶋に尋ねると、加奈子がレイ
ンボードリームのアンケート資料を消してしまったと言う。再送して
もらおうにも先方の担当者は捕まらず、アンケートしなおすにしても
今日の18:30までに1000人分集めなくてはいけない。

「桜木さんが知ったらリストラもんだぞ」
 中嶋は青ざめ、責任の押し付け合いが始まる。
「リーダーすいません」
 中嶋は頭を下げた。
(なに?これって、パパの責任になるわけ??)
 恭一郎(小梅)はピンとこないが大変なことになったとすぐ小梅
(恭一郎)に電話をする。小梅(恭一郎)はこんなことはよくあるん
だ、落ち着けと言ってみせたものの、いい案は浮かばない。

(リストラなんてなったら、家族2人をどう養えばいいんだ?家のロ
ーンだってある!)
 小梅(恭一郎)は頭をかきむしる。

(パパがリストラになったら学校やめんの?健太先輩や律子とも別れ
るの?あーっ、もっと友だち作っとくべきだったよ)
 恭一郎(小梅)も絶望に落ちる。
(ん、友だち?そうだ!)

 恭一郎(小梅)は小梅(恭一郎)に電話し、律子ら友だちにアンケ
ートをメールで送らせる。そこからHPにアクセスさせアンケートを集
めることにしたのだ。簡易HPは西野さんが用意してくれた。

「やれるだけのことはやってやろうじゃないか!」
 恭一郎(小梅)はみんなを励ました。

 が、アンケートはなかなか来なかった。
(テスト前だし……)
 恭一郎(小梅)に不安がよぎる。時間はどんどん過ぎて18:00にな
った。とそのときアンケートがどんどん送られてきた。
(なんだ、みんなちびまるこちゃん見てんだな)
 勉強をいったん止めて、みんながアンケートを送り出したんだと恭
一郎(小梅)は思った。

「そうか、ありがとう小梅」
 小梅(恭一郎)はホッとした。
「パパにこけられたら困る。だって家族は運命共同体なんだし」
 最初はみんな自分勝手ばかりでいやだったけど、最後には加奈子も
すすんで仕事を手伝ってくれて、恭一郎(小梅)も満足感でいっぱい
だった。自分が頑張れば周りも頑張ってくれる、そうわかって恭一郎
(小梅)は嬉しかった。

「リーダー」
 エレベーターを待っていたら西野さんが声をかけてきた。
「じゃあ後で」
 恭一郎(小梅)はそう言って電話を切った。
「どうした?」
「今日はありがとうございました。リーダー素敵でした」
「西野さんがいなかったら何もできなかったよ」
「あっ、そうだ。先ほどお願いした相談の件、これからよろしいでし
ょうか」
 西野さんは微笑んだ。

 小梅(恭一郎)が外で待っていたが、恭一郎(小梅)は西野さんと
一緒に出てきた。
(あれ?)
 西野さんはなんだか楽しそうにはしゃぎながら恭一郎(小梅)の手
を引いていく。
(あれ?えっ?)
 小梅(恭一郎)は驚いて後をつける。胸騒ぎがする。なんだかいつ
もの西野さんと違う気がする……


寸  評  面白かったです。平凡な話でもコメディの基本がきちんとできて
いるので退屈しないです。コメディの基本は「あべこべ」。娘のボー
イフレンドを褒めちぎる父親、若いコの流行を知り尽くしているうだ
つの上がらない中年オヤジなどなど随所におかしさが散りばめられて
いました。また女子高生視点の会社像が新鮮です。社会人になってし
まうと気がつかないものですが、こどもにとっては奇妙な世界なんだ
ろうなあとしみじみと思いました。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 毎年冷房で風をひくので、今年は除湿だけで乗り切ろうかと思います。よく
よく考えると湿度さえなければ暑さは気になりません。以前、ウィーンやマド
リードに旅行したとき気温は40度を計測していたのですが、不快感はないです
し、逆に長袖でなくてはならないほどでした。ホテルでも冷房無しで平気でし
たし、冷房自体がなかったような気がします。(けん)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv/
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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