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タイトル:Daily Drama Express 2007/01/01 パパとムスメの7日間 (1)  2007/07/03


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2007/07/01 (Sun) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.日曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 日曜日の連続ドラマ
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タイトル パパとムスメの7日間
局  名 TBS系
放映日時 日曜21時
キャスト 川原恭一郎(舘ひろし)
 川原小梅(新垣結衣)
 大杉健太(加藤成亮)
 中嶋耕介(八嶋智人)
 川原理恵子(麻生祐未)
 西野和香子(佐田真由美)
 中山律子(森田彩華)
 桜木真一(高田延彦)
 国枝ひそか(佐々木すみ江)
 渡辺武志(江守徹)
原  作 五十嵐貴久『パパとムスメの7日間』
脚  本 荒井修子
     渡辺千穂ほか
主題歌  

あらすじ 第1話「マジ!?パパがあたしで、あたしがパパで−」

 教室の窓から心地よい風が流れ込んできた。小梅(新垣結衣)は自
分の机の上のカバンをつかむとその風に乗せられるようにして廊下へ
飛び出していった。

 小梅は一直線にサッカーグラウンドへ駆けていった。練習している
サッカー部員たちが見える。小梅の視線は自然と健太先輩(加藤成亮)
を探し当ててしまう。健太のシュートが決まればパッと笑顔になり、
はずれれば思わずため息が出る。小梅はじっと健太を見続けていた。

 そんな小梅がじれったくて仕方ないのが親友の律子(森田彩華)だ
った。何度も告っちゃえばと言っているのに小梅は「無理、見ている
だけで精一杯」と積極的になれないでいた。

 律子と一緒にいた女友達にリップを貸してと言われた小梅は自分の
を差し出す。高級そうなそれは美生化粧品のブランドだった。「すご
いじゃん」と友達は目を丸くするが、小梅はフリーキックから直接ゴ
ールを狙う健太に夢中、手を組んで目をつむりゴールが決まるのを祈
っていた。

 「きっと小梅のパパってかっこいいんだろうね」と高級リップにイ
メージを重ねる友人の声に、小梅は思わずむっとした。小梅の父親は
大手化粧品メーカー美生化粧品に勤めているとはいうものの……。そ
の瞬間歓声が沸き起こる。健太がゴールを決めたのだ。小梅は慌てて
グラウンドに向き直るが遅かった。友人の勝手な妄想を否定しようと
して、健太のゴールシーンを見損ねてしまったのだ。

(−パパのせいだ!)

 小梅は瞬間的にそう思った。「うちのパパはね」と小梅はカリカリ
する気分をぶちまけはじめる。


(−父親の存在感てなんだろう……)

 恭一郎(舘ひろし)は最近いつもそう思う。25年の会社生活。35年
の住宅ローンは定年になっても返済が続く。しかも駅から徒歩25分だ。

 「ローン完済前に俺が死んだらどうする?」そう妻の理恵子(麻生
祐未)に尋ねてみた。理恵子は「パパの生命保険で返せるじゃない。
ノープロブレム!」と笑顔で答えた。

(−俺は自分が死んでも問題ない世の中に生きている。俺はいつのま
にかどこにでもいるオッサンになっている……)

 恭一郎は昔とったホームビデオを取り出してきて再生する。

(そんなオッサンの唯一の宝物は……)

 思わず自虐的な感傷に浸りながら、恭一郎は幼いころ娘の小梅と一
緒に海に行ったときの映像を見つめている。幼い小梅は「小梅、パパ
だーい好き!」と恭一郎に笑顔を振りまいている。恭一郎はリモコン
で半ば無意識に再生を繰り返していた。

「えー?みんなやっているよ」
 キッチンでは小梅が理恵子となにやら話をしている。
「パパの許可が出たらね」
 理恵子は小梅をさっさと追い払って夕食の支度にかかる。しかたな
く小梅は恭一郎の方を見る。

(−どうしよう、小梅が俺に話しかけようとしている。1年?いや2年
になる。マズイ!緊張する)

 恭一郎は小梅がやって来るのを背中でひしひしと感じて内心冷や汗
が出そうだった。小梅は年頃とあって恭一郎となかなか口をきこうと
しなかった。その小梅が話しかけてくるのだ。

 「あのさ」小梅は不機嫌そうに切り出した。恭一郎はびくびくしな
がら振り返る。だが小梅は「やっぱママ聞いといて」と言うと自分の
部屋に行ってしまった。理恵子は仕方なく小梅がアルバイトしたがっ
ていることを恭一郎に話す。

 「アルバイト?まだ高校生だろう」
 「文句は小梅に直接言ってちょうだい」
 理恵子はそっけない。
 「だいたい、順序というのがあるだろう。そういうのはまず一家の
長である俺に相談するのが筋だろう」
 自分が蚊帳の外に置かれて恭一郎は苦言の一言も言いたくなる。
 「そんなこと言っているから嫌われちゃうのよ」
 理恵子に皮肉られ、恭一郎は返す言葉がない。恭一郎の目下の悩み
は小梅とのコミュニケーションがうまくいかないことだった。

(−どこをどう間違えて俺と娘はこうなってしまったのだろう。この
まま父親の威厳も存在も薄れていく一方なのか……。そう思ったとき
あの事件は起こったんだ)

 翌朝小梅が自分の部屋から階段を下りてくると、ソファでパジャマ
姿の恭一郎が大あくびをしながら新聞を読んでいる。小梅は思わず顔
をしかめる。

(−変なパジャマ!白とグレーのシマシマってシマウマじゃないんだ
から)

 結局恭一郎はアルバイトを許可してくれた。理恵子にちゃんとお礼
を言うのよと言われてもパパはウザくてそんなこととてもじゃないが
言いたくもない。

 バイトはできることになったが小梅は素直によろこべない。そこへ
律子から小関先輩とカラオケデート中と写メが来た。笑顔でピースサ
インを送る律子に「あてつけかよ!」と小梅は画面をたたんで無視し
ようとする。が、またメールが来た。見る見る小梅の表情が明るくな
る。健太先輩からだ。健太は来なよと誘っている。

 「すぐ行きます!」
 小梅は速攻で着替えると、「出かけてくる!」と理恵子にだけ言っ
て飛び出していく。恭一郎は「イノシシか?」と非難がましい目を向
ける。

 小梅は、自転車を飛ばし「急げ、急げ!」と街を走っていく。

 恭一郎は新聞を読み続けていたが、理恵子は掃除をしながら「お父
さんがいると片付かない。ご飯までどっか出かけていたら?」と厄介
もの扱い。仕方なく恭一郎も出かけることにする。

 「そうだ、ついでにカバン買ってきたら?」
 ボロボロの恭一郎のカバンを見て出がけに理恵子はそう言った。
 「まだ使えるよ」
 恭一郎は率直にそう思った。
 「でもね、カバンは運気をためるものなのよ」
 理恵子は風水に凝っていて金運がアップするのよと言ってくる。恭
一郎にはいまひとつ理解できない類の発想だがそれを言ってもどうに
かなるわけでもない。適当に頷いて外に出た。

 小梅が来るとハイテンションの律子が迎えてくれた。律子はすぐさ
ま健太の隣に座らせてくれた。小梅は遠慮がちに健太の顔を覗き込ん
だ。健太はうつむいてしゃべろうとしないので、小梅は声をかけづら
くなってしまった。

 「あの、さっきはメールありがとうございました。すごく嬉しかっ
たです」
 小梅は思い切って話しかけた。
 「ああ、あれ実は……」

 小梅は1人重そうに自転車を引きずって帰り道を歩いていた。
(−バカみたい!)
 メールは健太の代理で他の人が打ったのだった。そんなことに気づ
けないなんて!小梅は相当落ち込んだ。

 「川原!」
 振り返ると健太が走ってくる。なんで?
 「送ってくよ」
(−送る?あたしを??なんで???)

 「さっきのメール、あれ、俺があまりにも優柔不断だったから……」
 小梅は胸が高鳴ってくるのを感じる。
 「今度はさ、ちゃんと自分で打つから。またメールしてもいい?」
 「いつでも待ってます!」
 震える声で小梅は答えた。

 笑顔で手を振って健太を見送った小梅は「先輩、あたし結構尽くす
タイプだよ」とつぶやいていた。いつのまにか隣に恭一郎が立ってい
ることに気づかず……。

 びっくりした小梅は、むっとして自転車に乗ってさっさと行ってし
まう。
 「おい待て、小梅!」
 恭一郎の心中は穏やかでない。

 自分の部屋に戻って、小梅は健太の言ったことをひとつひとつ思い
返してみた。
 「あたしって、ハットトリック決めかけてんじゃない?あ〜、も
う!」
 小梅は興奮して奇声を発し、ベッドの上で足をバタバタさせた。

(−あの男はいったい誰だ?聞きたいことは他にもある。それなのに
この距離が少しも縮まらない……)
 恭一郎の会社と小梅の高校は同じ方面で同じ電車だったが、座る席
はドアを隔てて左と右。小梅の顔は見えるのに何を考えているのか何
をしているのか、恭一郎はさっぱりわからないでいた。

 そんなある日、理恵子の母ひそか(佐々木すみ江)が脳溢血で倒れ
たという知らせが入ったが、幸い大事には至らなかった。理恵子はも
う数日残ることにし、恭一郎と小梅は一足先に帰ることになった。小
梅は嫌な顔をする。そんなときに健太から次の土曜にデートの誘いが
来て小梅は思わずガッツポーズが出る。

 電車は山間をゆっくりと進んでいた。

(−東京まで2時間48分。小梅と話をするチャンスじゃないか)

 とは言うものの、座席はやはりドアを隔てて左と右。しかも小梅は
“話しかけないでオーラ”を放っている。それでもひそかがくれた桃
を食べようと話しかけて隣に座った。桃の甘みに小梅の表情も和らぐ。
いい感じだ!

 そのときだった。

 急に電車が大きく揺れ、急ブレーキをかけた。車内の電気は落ち騒
然となる。
(−小梅だけは助けてくれ!この子の人生は始まったばかりだ!)
(−死にたくない、せめて土曜日までは待って!)

 電車は激しく揺れる、そして……。

 気がつくと、理恵子が泣いているのが見えた。小梅も恭一郎も自分
が助かったらしいということはわかった。恭一郎は身を挺して小梅を
庇ったおかげで小梅の顔には傷一つつかずに済んだと医者が説明して
いるのが聞こえる。

(−それはありがたいけど、なんか恩着せがましくてムカつく!)

 小梅の心境は複雑だった。それにしても頭痛がする。土曜日のデー
トには間に合うのだろうか……。小梅はそれが心配だった。ふと見る
と自分の手が浅黒く、ネイルもはげている。

(−これ、あたしの腕?)

 慌てて鏡で自分を見ると恭一郎が映っている。すると今度は小梅が
鏡を見にやって来た。
 「!!」
 小梅も恭一郎も愕然となった。事故の衝撃で人格が入れ替わってし
まったのだ。

 「なんでこんなことになるの!」恭一郎(小梅の人格)はパニック
になる。
「とりあえず秘密にしておこう。こんなことしゃべったら頭がおかし
いって精神鑑定にかけられたりしかねないからな」
(−何落ち着いてんのよ、ムカつく!)
(−こういうときこそ、父親の私が落ちつかなくては!)

 あれこれ知恵を絞って試してみたが、結局元に戻ることなく退院の
日を迎えた。

 そして受難の日々が始まった。

 小梅(恭一郎)がお風呂に入ろうとしたのを、恭一郎(小梅)は慌
てて目隠しをさせて入らせる。夕食時、理恵子にビールを注がれて恭
一郎(小梅)は「ビールって苦いんだよね?」と思わず顔をしかめる。

 「退院したばかりなんだからお酒は控えた方がいいんじゃない?」
と小梅(恭一郎)が口をはさんだ。

(−パパにしてはナイス言い訳!)

 「それじゃ、代わりに私がいただこう」
 小梅(恭一郎)はビールグラスに手を伸ばす。
 「こら、高校生が何を言う!」
 理恵子に手を叩かれ、小梅(恭一郎)は自分が小梅になっているこ
とに気づかされる。

 「あなた、小梅を守ってくれてありがとう。小梅が助かったのはパ
パのおかげよ」
 その夜、理恵子は恭一郎が気絶しながらも小梅を抱きかかえて守っ
たことを話す。恭一郎(小梅)もさすがに感じ入る。
 「なんだか今日は飲みすぎちゃった」
 不意に理恵子はベッドの中で身体を恭一郎(小梅)に寄せてくる。

(−ちょっと待って。ママ、女になってる?あたしの初体験がママっ
てことある?ダメだよあたし経験ないし。でも断ったら離婚とか?で
も絶対無理!)

 恭一郎(小梅)はパニくる。これ以上もとめられたら……。寝息が
聞こえてくる。理恵子はそのまま眠ってしまったらしい。

(−明日には元に戻ってますように)

 恭一郎(小梅)は心の底から祈った。

 「やめてよ、キモイ!」
 翌朝、恭一郎(小梅)は小梅(恭一郎)の自分のしぐさ、言葉遣い
を一通りチェックする。おじさんくさい言動を矯正しなくてはならな
い。

 「階段上るときはカバンで後ろを隠す。男が見るから。それから教
室でも足を広げちゃダメ。足を組むこともね」
 恭一郎(小梅)は次々と指示を出してくるので、小梅(恭一郎)は
困惑するばかりだ。

 「あら、珍しい!」
 理恵子は一緒に出かける恭一郎(小梅)と小梅(恭一郎)に驚く。
 「た、たまにはパパと一緒もいいかなって」
 小梅(恭一郎)はそう言い訳する。
 「あら、小梅がそんなこと言うなんて人が変わったみたいね」
 理恵子は嬉しそうだが、恭一郎(小梅)は思ってもないことを言わ
れて面白くない。

 電車に乗っても恭一郎(小梅)は足を広げて座る小梅(恭一郎)を
閉じさせチェックの目を緩めない。それでも小梅(恭一郎)は嬉しか
った。
(−こんな風に並んで座る日が来るとは!)

 小梅(恭一郎)は、会社で必要なことをメモ書きしたものを渡す。
 「部下が相談してきたら、いいんじゃないかとか任せるよと言えば
いい」
 「上司は?」
 「持ち帰らせていただきますと言えばいい」
 「なにそれ?」
 「会社には便利なことばがあるんだよ。余計なことは言うな」
 小梅(恭一郎)は携帯を取り出す。
 「これも交換しよう」
 「えー?」
 命の次に大事なケータイを交換するなんて小梅には受け入れられな
いことだった。しかし恭一郎の姿をしている自分が小梅のケータイを
持っているのは不自然なので泣く泣く交換する。
 「連絡は密に取り合おう。サラリーマンの基本はホウレンソウだ」
 「ホウレンソウ?」
 「サラリーマンの基本は報告、連絡、相談だ」
 「そういうオジサンくさいこと学校で絶対言わないでよ!」

 小梅(恭一郎)は学校につく。
(−ライオンの群れに放り込まれたシマウマだ……)
 小梅(恭一郎)は恐る恐る教室に入る。
 「小梅!」
 律子が駆け寄ってきた。小梅(恭一郎)はびっくりする。
 「いやぁ、律ちゃんしばらく見ないうちに大人っぽくなったね〜」
 「はっ?」
 「あっ、いやなんでもない」
 「無事でよかったよ」
 律子は嬉しがって小梅(恭一郎)に抱きつく。
(−ちょ、ちょっと律ちゃん、胸が当たってる!)
 小梅(恭一郎)は困惑を隠せない。

 恭一郎(小梅)も会社に到着した。渡されたメモを頼りに広報部へ
向かう。途中通る宣伝部は華やかで活気に満ち溢れていてドラマの世
界のようだ。すっかり感激した恭一郎(小梅)だが、広報部は真逆。
薄暗い一室であちこちにダンボールが散乱している。恭一郎によれば
広報部は仕事はできるが性格に問題ある人、逆に性格がよくて仕事が
できない人が集められているという話だった。

 「お茶をどうぞ」
 和香子(佐田真由美)がお茶を運んでくる。唯一の例外が彼女だっ
た。元秘書課でミス美生堂と言われ、仕事もでき、性格もいい。頼り
にするならこの人、恭一郎のメモ書きにそうあった。

 お昼になると律子が小梅(恭一郎)の分のご飯を持って来てくれた。
「すまん!」と手をピンと立ててお礼を言う小梅(恭一郎)を見て律
子は大笑い。
 「何それ、マジウケる!土曜日もやったら?」
 「土曜日?」

 来客の伊藤氏と打ち合わせ中の恭一郎(小梅)はメールで土曜日の
デートのことをつつかれる。
 「マジでウザイ!」
 機関銃のような早打ちで恭一郎(小梅)は「パパには関係ない!」
と返す。
 「リーダー、女子高生みたいですね」
 和香子らは早打ちにびっくりする。慌てた恭一郎(小梅)は話をそ
らす。
 「伊藤さんも絵文字とか打ったりするんじゃないですか」
 「おーっ、そうなんだよ、この前の店の女の子なんかね」
 と伊藤は調子に乗ってセクハラまがいのことを言い出した。和香子
はそれが嫌で席をはずそうとするが、伊藤が放さない。恭一郎(小梅)
はカチンと来る。
 「西野さん、嫌がっているのだからそれはセクハラです。気がつか
ないなんて鈍感すぎますよ」
 「……」
 伊藤は憮然となり、帰ってしまった。得意先なだけに周囲の雰囲気
は緊張してしまう。恭一郎(小梅)もそれをひしひしと感じる。だが、
和香子だけは信頼の眼差しを向けていた。

 一方小梅(恭一郎)は律子に連れられて、南高の男子生徒のところ
へやって来た。友人の佐緒里を妊娠させたのを知って逃げようとした
のを問い詰めようとしたのだ。律子の怒りにただただ言い逃れをする
男子生徒に小梅(恭一郎)は切々と命の大切さ、親の気持ちを説いて
改心させる。

 ようやく1日が終わった。小梅(恭一郎)と恭一郎(小梅)はお互
いの状況を報告しあう。小梅(恭一郎)は健太とのデートを詳しく聞
きだそうとする。
 「実はそのことなんだけど、土曜日に先輩と一緒に映画を見てよ」
 恭一郎(小梅)はそう頼む。
 「ダメだ。3年の癖に勉強もせず、デートなんてろくでもない奴に
決まってる」
 「先輩はそんな人じゃない」
 だが、小梅(恭一郎)は首をたてに振らない。しまいに恭一郎(小
梅)は激高する。
 「あたし、会社で恐かった。恐かったけど頑張った。パパも学校で
頑張ってくれていると信じたから。どうしてあたしのことを信じてく
れないの?」
 たまらなくなって恭一郎(小梅)は走り去ってしまう。小梅(恭一
郎)は慌てて追いかけようとするが、カバンの取っ手が切れて中身が
飛び出してしまう。

 その晩、小梅(恭一郎)が自分の部屋で考え込んでいると、理恵子
が入ってきた。理恵子はなにかあったんでしょう、顔を見ればわかる
と言う。野球部の男の子に振られたときや、バレンタインでチョコを
渡せなかったときと同じ顔をしている、そう理恵子は思った。

 小梅(恭一郎)は心底驚いた。小梅が振られていたなんてまったく
わからなかったから。

 「ママはあたしの顔を見てなんでもわかるんでしょ?」
 「あたりまえでしょ」
 「心配じゃないの?」
 「そうねえ、でも小梅のこと信じてるから。小梅が大人になるため
には信じなくちゃ。パパは心配性だから口うるさいけどね」
 理恵子は笑いながら部屋を出て行く。

(−俺は、理恵子のように信じてはいなかった。俺は何をしてたんだ)
 苛立ちが小梅(恭一郎)の中に沸き起こった。

 理恵子は恭一郎(小梅)に新しいカバンを渡す。戸惑う恭一郎(小
梅)を見て理恵子は笑う。
 「大丈夫、これを買ったからって小梅のもの買えないわけじゃない
わ。いつも小梅、小梅なんだから」
 「だからウザイ!」
 思わず恭一郎(小梅)はつぶやく。
 「わかってるじゃない。でも小梅も分かっているはずよ。ただ口う
るさいだけじゃないってね」
 「えっ?」
 「だって16年間一緒なのよ。ほら、このカバンきっと幸せは込んで
くれるわよ」

 恭一郎(小梅)はカバンを小梅(恭一郎)に見せる。
 「もっと自分のもの買えば?苦労してお金稼いでんだから。あたし
のせいでカバンを買えないなんて言われてムカつく」
 小梅(恭一郎)はニコリとし「明日何時だ?」と尋ねる。小梅(恭
一郎)は健太とデートすると決めたのだった。恭一郎(小梅)は「パ
パあのさ」と感激の面持ちになる。

(−やめろ、ありがとうなんて言われたらパパは泣いちゃうぞ。でも、
言われたい!)
 「引きうけたからにはちゃんとやってね。信じてるから」
(−……)

 翌日、小梅(恭一郎)は健太との待ち合わせ場所に向かった。

 「ごめん、パパ、やっぱり任せることできない」
 恭一郎(小梅)は心配になって小梅(恭一郎)の後をつけてきた。

 走ってくる健太を見て小梅(恭一郎)は思った。やっぱり頑張るわ
けにはいかない。小梅(恭一郎)は不敵な笑みを浮かべる。恭一郎
(小梅)はそれを見逃さず何かたくらんでると感じ不安を覚える。


寸  評  心配性の父親とそれがウザイ娘。よくある平凡な設定ですが、人
格が入れ替わるというヒネリを加えることで新鮮味が出て、コメディ
としても面白く楽しめました。ただ最後元に戻ってお互いの距離が縮
まるというのでは、類型的ですので、そこにも一ひねりあるといいと
思います。この先の展開に期待します。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 「ライアーゲーム」、最終回の持って行き方が難しかったんだろうなと思い
ました。人を信じることの重みを訴えて話は終わりましたが、ライアーゲーム
は秋山の戦術、戦略に面白みがあったので、そこが最後にひっくり返された感
じがして肩透かしな気がしました。同じことが「プロポーズ大作戦」にも感じ
まして、過去にもど ってやり直すという“ズル”をしている以上、現在を変
える未来への意志の大切さを訴えても納得がいかない気がしました。たぶんケ
ンゾーのスピーチがクライマックスで会場を後にしたところでエンディングに
できればよかったのでしょうが、それでは物足りなくてああいうまとめ方にな
ったのだと思います。(けん)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv/
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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