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タイトル:Daily Drama Express 2007/03/18 華麗なる一族(最終回)  2007/07/02


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2007/03/18 (Sun) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.日曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 日曜日の連続ドラマ
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タイトル 華麗なる一族
局  名 TBS系
放映日時 日曜21時
キャスト 万俵鉄平(木村拓哉)
 万俵大介(北大路欣也)
 高須相子(鈴木京香)
 万俵寧子(原田美枝子)
 万俵銀平(山本耕史)
 万俵二子(相武紗季)
 美馬一子(吹石一恵)
 安田万樹子(山田優)
 万俵早苗(長谷川京子)
 美馬 中(仲村トオル)
原  作 山崎豊子「華麗なる一族」
脚  本 橋本裕志
主題歌  『』

あらすじ  最終回 決意の死〜未来へ

 銭高常務(西村雅彦)の証言は、大きな波紋を呼ぶ。このままでは
阪神銀行側に勝ち目はない。

 銭高親子を中心に、阪神特殊製鋼の一同は、「上を向いて歩こう」
を熱唱する。

 大同銀行頭取・三雲祥一(柳葉敏郎)も万俵鉄平(木村拓哉)に、
これで高炉建設ののぞみもあるかもしれないと言う。
 鉄平も、ここにいるみんなの思いがあれば、夢も叶う、と応える。


 鉄平の父・阪神銀行頭取・万俵大介(北大路欣也)は大同銀行・綿
貫専務(笑福亭鶴瓶)から、このままでは大同銀行と阪神銀行の合併
なんて、夢物語だと責められる。綿貫は、この話からおろさせて貰う、
と言う。
 大介は綿貫に、まだ打つ手はある、と言う。


 鉄平は一ノ瀬工場長(平泉成)に、裁判が終わり次第、高炉建設を
再開する、と言う。

 そこに一ノ瀬四々彦(成宮寛貴)が駆けてきて、阪神特殊製鋼の破
産管財人が決まった。帝国製鉄の和島所長だと言う。


 阪神特殊製鋼に和島が乗り込んでくる。迎える鉄平。

 阪神特殊製鋼の体育館で、和島は、最初に解任する役員を呼び上げ
る。名前を呼び上げられたら、この場を即刻退席するようにと言う。
 石川社長、鉄平、銭高。

 −− 役員で解任を免れたのは、一ノ瀬工場長ただ一人だった。


 友人の倉石弁護士(萩原聖人)(鉄平の高校時代からの親友)が鉄
平を励まし、今はこの裁判に全力を尽くそうという。

 和島が鉄平のところにやってくる。
 「ボクにまだご用ですか?」と不機嫌に応対する鉄平。

 和島は今日、裁判の提訴取り下げをしたと言う。鉄平はもう阪神特
殊製鋼とはなんの関係も無い人間。阪神特殊製鋼のすべては和島が決
める、と言う。

 鉄平は、「これも父の差し金ですか」とうなる。


 和島は記者会見で提訴取り下げを発表すると、阪神特殊製鋼の内部
資料を精査した結果、銭高の言うような不正はなかったという。

 −− このように阪神特殊製鋼の全面的な非を認めるニュースは全
国に流れ、永田格(津川雅彦)大蔵大臣の阪神銀行擁護のコメントも
流され、大介の社会的名誉は守られた。


 一ノ瀬が鉄平に、「専務、作業員たちが騒ぎ始めました」と知らせ
る。

 体育館で従業員たちがシュプレヒコールをあげている。専務の解任
撤廃。今立ち上がらなければ、帝国製鉄に飲み込まれる、と。

 鉄平はみんなを止める。
 帝国製鉄に飲み込まれては意味がないという四々彦に、鉄平は「鉄
鋼マンが錆びてどうする。君たちはこれからも鉄を作れるではないか。
君たちがいる限り、ここは君たちの工場だ。最初の夢を思い出せ。鉄
で世の中を豊かにする。ボクの夢だった高炉建設を君たちの手で進め
てくれ。そしてもう一度、この工場の煙突の煙をボクに見せてくれ。
頼む」と言う。


 美馬は大介に、あんな奥の手があったなんて、お父さんに脱帽です、
と言う。

 執事の高須相子(鈴木京香)は、万俵家にとって、この裁判は何が
何でも勝たなければならない裁判だったのです、と言う。


 鉄平が三雲に挨拶に行くと、三雲は鉄平に、今はとりあえずゆっく
り休むよう言う。

 そこに綿貫がやってきて、明日永田が三雲に会いたいと言っている。
当行も世間でいろいろ言われているから、嫌みをと付け足す。


 鉄平は次男・万俵銀平(山本耕史)を喫茶店に呼び出し、大介の本
当のねらいを教えて欲しいと言う。


 永田は三雲に、この際、新銀行を立ち上げてはどうかという。
 「それは合併勧告ですか?」と三雲。
 「幸い、相手行も面倒を見ると言っている」と永田。
 「ということは、ウチが吸収されるということですか!?」と三雲。
 「日銀支配を脱却するには、それぐらいの荒療治も必要でしょう」
と永田。
 「相手はどこですか?」と三雲。
 永田は、その質問を手で封じ、呼び鈴を鳴らす。

 入ってきたのは大介。
 永田は、阪神特殊製鋼への融資が大同銀行内部の対立を招いた。こ
のことを大介がとても憂慮しているという。
 「謎が解けました」と三雲。


 鉄平は、阪神特殊製鋼を倒産させたのは、すべて大同銀行を飲み込
むためだったのか、と言う。


 三雲は永田に、こんな合併は認められません、と言う。
 永田は、この合併は日銀総裁も認めていると言う。

 三雲は、当行にはこの合併に賛成する行員は一人もおりません、と
言う。
 「それはどうでしょうか?わたしが綿貫専務に相談したところ、合
併には前向きに取り組みたいとのことでした」と口を挟む大介。
 「あなたという人は!」と三雲は怒りをあらわにする。

 永田は面倒そうに、一度役員会にかけてみるよう言う。
 一礼して、大臣室を出て行く三雲。


 喫茶店を出て行こうとする鉄平に、銀平は耐えられなくなった風に、
「もうすべては決まったことです。もう兄さんが何をしても、無駄な
のです」と言う。
 鉄平は、「お前は以前からすべてを知っていたと言うことだな。つ
らかっただろう」とねぎらう。


 大同銀行に戻った三雲は、阪神銀行との盟約書を見せられる。
 三雲は、こんなことをしても結局、大介に使い捨てられるだけじゃ
ないか。大同銀行としての理念を思い出せ、と言う。
 綿貫は、これが認められないというなら、役員会にかけてもいいん
ですよ、と言う。
 「これじゃ、クーデターじゃないのか!!」と怒鳴る三雲。
 綿貫は、今まで日銀から来た人たちが、自分たち生え抜きに何をし
てくれたんですか、と言う。


 万俵家の庭で、大介を待つ鉄平。
 鉄平はやってきた大介に、新聞記事を突きつけ、この合併のために、
阪神特殊製鋼を潰したのか。あまりにひどいじゃないか、と言う。
 大介は、そんなことを言うためにやってきたのか。鉄平は正論を述
べていると思っているかも知れないが、大介も経営者としての正しい
選択をしただけだ、と言う。

 鉄平は、もう大介にはなんの言葉も無駄というのか。どうしたら大
介に、自分の思いが伝わるのか。自分はもう、阪神特殊製鋼の工場に
も、万俵家の家族にも、なんの力も持っていない。それができるのは
大介だけだと言う。

 「お前はわたしに戦いを挑んだんだよな。わたしは食うか食われる
かの覚悟で、全力で戦った。なのにまだ、そんな甘い理想を言うの
か?」と落ち着いて言う大介。
 「ボクは、その理想のために戦ってきたんです!」と怒鳴る鉄平。

 にらみ合う二人。

 「死んだじいさんが、よくそんなことを言ってたよ。じいさんはわ
たしより、お前の才能を高く買っていてな」と大介。
 「ボクが本当にあなたの息子だったら、こんな戦いは無かったはず
ですよね。あなたはこれでボクやおじいさんに復讐したつもりですか?
ボクは普通の家族でいたかった。ただそれだけです」と鉄平。

 「わたしだってそう望んでいた。だがお前は生まれてしまった」と
大介。
 「ボクが.....生まれなければ」と鉄平。
 「正直、そう思うことがある。お前がじいさんの子でなければ、今
とは違った人生を送ったかと、そんなことを思う自分がとてつもなく、
イヤになる。わたしも理性では、お前を愛想とした。だが感情がそれ
を許さなかった。お前もつらかっただろう。そのことにはわたしも同
情する。だが、わたしだって苦しかった。この苦しみはどんなことが
あっても、一生消えることのない.....それがお前とわたしが背負っ
た宿命だ」と大介。

 大介も鉄平も、目に涙を浮かべている。

 去っていく大介。
 一人残された鉄平は、雲行きの怪しい空を見上げる。

 池之端に立つ鉄平。水面が波立つ。
 鉄平に向かって近づいてくる『将軍』。

 鉄平は池のそばの小石を両手でつかむと、いくつも『将軍』に向か
って投げる。

 夕陽が沈んでいく中、ずっと庭の隅から、鉄平は阪神特殊製鋼を眺
めていた。

 あたりはすっかり暗くなっている。


 12月24日 西濱駅。


 大川邸 東京 小石川。
 鉄平が早苗に電話する。鉄平は太郎に電話を代わって欲しいと言う。
 「ちゃんとママの言うこと、聞いているか?」と鉄平。
 「ウン」と太郎。
 「そうか.....太郎、お前は強い男なんだぞ」と鉄平。
 「ウン、ボク強くなる」と太郎。
 「約束だぞ」と鉄平。
 「はい」と太郎。
 「いい返事だ。ママに代わってくれ」と鉄平。
 「あなた、今、どこですか?」と早苗。
 「.....」無言の鉄平。
 「あなた」と呼びかける早苗。
 「早苗」と鉄平。
 「ハイ」と早苗。
 涙があふれてきた鉄平は早口で、「メリークリスマス」とだけ言う
と、公衆電話を切ってしまう。


 猟銃を背負った鉄平が、兵庫県 丹波篠山の山中を歩いている。


 母・万俵寧子(原田美枝子)が万俵家の一同に、クリスマスの夜か
ら、鉄平の行方が分からないらしい、と言う。
 警察に届けましょうか?と言う美馬一子(吹石一恵)。

 大介は、大晦日の調印まで、無用な騒ぎは起こさないように言う。


 鶴田芙佐子(稲森いずみ)が早苗に、鉄平は必ず戻ってくると言う。
鉄平とは兄妹だからよくわかる、と。


 夜になり、猟銃を手に、山小屋に戻ってくる鉄平。今日も獲物が無
い。
 鉄平は、小屋の主・大垣市太(猟師)に、まだ狙った獲物にでくわ
さない。でも、雨の中を歩いていると、心の中まで洗い流されて、真
っ白になるような気がする、と言う。

 大垣は、先代譲りの猟銃・ジェムズバーディーを抱えた姿は、敬介
に瓜二つと言う。


 夜、大垣が寝た後、鉄平は何かを書いている。
 12月31日 大晦日。

 鉄平は結局、眠れないままこたつの前で夜明かしをしたらしい。
 こたつの上に、阪神特殊製鋼の制服を広げると、頬ずりをした後、
羽織る。


 万俵家では、相子が大介に、そろそろ記者会見会場に向かう時間だ
と声を掛ける。


 大垣は、猟銃を手に小屋から出てきた鉄平に、今日は銃を置いてい
くよう言う。ここでは一年に一度、大晦日は殺生をしないことになっ
ているから、と。
 鉄平は分かっているよと答える。これは万が一の場合の威嚇用、と。
 大垣は、地元の漁師も山へ入らない日。早く小屋へ戻るよう言う。
 それでも鉄平は山へ入っていく。


 大介と銀平は、綿貫や小島常務(金田明夫)たちに迎えられ、『阪
神・大同合併協定調印式共同記者会見』会場へと入る。

 阪神銀行専務の大亀(武田鉄矢)の司会で、記者会見が始まる。
 新頭取の大介が戦後初の都市銀行同士の合併を発表する。


 早苗の元に、鉄平からの封書が届く。
 『早苗へ
  ボクは今、丹波の山の中にいる。
  ここには祖父と何度も来て、鉄作りの夢を語り合い、三雲さんと
も高炉建設を誓い合った思い出の山だ。
  ボクの思いが父に届かないと分かったから、今の自分に何ができ
るのか、そればかり考えてきた。
  早苗、済まない。結局ボクは自分勝手で卑怯な手を選ぶ。本当に
済まない。』


 鉄平が雪の中、山を登っていくと、いつぞやの大木の根元に、大イ
ノシシが姿を現す。
 だが、イノシシはすぐに木を離れ、鉄平はその大木のところへ行き、
木肌に手を当ててから、根元に座り込む。

 胸ポケットから最後の万俵家の家族写真を撮りだし、眺める。
 雪はやんだが、風が一段と強さを増す。

 鉄平は、右足の靴を脱ぎ、靴下も脱ぐ。
 心を静めると、銃の筒先を喉に当てる。

 その時、風が穏やかになり、陽が差した。
 だがそれも一瞬で、また強い風が襲ってきた。

 思い切って引き金を引く。

 山に一発の銃声が鳴り、白い雪の上を、倒れた鉄平の身体から流れ
た血が赤く染める。


 大介は、これで預金残高三位の新銀行誕生、と言う。

 記者から、新役員に三雲の名がないがと問われ、答える綿貫。

 その途中、メモを受け取った銀平は、それを壇上の大介に渡す。
 メモには、鉄平が篠山で猟銃自殺したことが書かれていた。


 篠山警察署。
 夜、大介と銀平が霊安室を訪れる。
 そこには、早苗、寧子、一子、次女・万俵二子(相武紗季)が集ま
っていた。

 二子が、鉄平は、阪神特殊製鋼の作業服を着て、先代から贈られた
銃で亡くなった、と言う。

 警察署長が、銃には弾は一発しかこめられておらず、男らしい死に
様だったと言い、鉄平の死亡診断書を渡す。

 診断書の『B型』の文字に、大介の目は釘付けになる。
 戦時中の集団検査で、鉄平は『A型』と判定されたはずだ、と大介。
 寧子もそばに来る。

 署長は、それなら戦時中によくあった、検査ミスだろう。鑑識の調
べだから、『B型』に間違いない、と言う。

 鉄平は大介の子だったと訴える寧子。そして鉄平の遺体に、狂った
ように取りすがる。
 「なんという残酷」とはき出す大好き。
 「兄さん殺したのは、ボクとお父さんです」と銀平は言うと、霊安
室を出て行く。

 霊安室に二人だけ残った、早苗と大介。
 早苗はハンドバッグから、鉄平からの手紙を取り出し、大介に、
「この手紙に、鉄平さんの思いがつづられています」と言って渡すと、
霊安室を出て行く。

 一人霊安室に残された大介は、鉄平の手紙を読む。

 『思えば、僕の人生の中心にはいつも父がいた。僕はずっと父に愛
されたいと願い、父にほめて貰いたくて、勉強を頑張りもし、仕事に
も打ち込んできた。もしかすると、鉄作りに熱中して、必死に夢を追
いかけたのも、その満たされない思いを埋めるためだったかもしれな
い。高炉建設をし、海外進出を果たせば、今度こそ父に認められるか
も知れない。淡い期待を胸に抱いていた。あるいは父も僕が生まれた
ためにできたここの傷を癒すため、合併という大きな野望を抱いたの
かもしれない。
  すべての不幸は、僕がこの世に存在したことが原因だ。僕の存在
が、万俵家の人々と、その周囲の人たちを傷つけてきたと思うと、本
当につらい。本当はボクは生まれてきてはいけない人間だったんだ。
なのに母は僕を生んでくれた。感謝の心でいっぱいだ。おかげで素晴
らしい夢を見ることができた。夢を追ったこの二年は、僕の誇りだ。
支えてくれたすべての人に心から感謝する。そして迷惑を掛けたすべ
ての人に詫びる。これを機に、父にも母にも楽になって欲しい。僕の
死によって、万俵家の忌まわしいすべてが無くなることを願う。そし
て僕の家族と万俵家を幸せに導いて下さるよう、思いを父に託して、
にくみ合っていても、血はつながっていなくても、僕の父親は万俵大
介だった。せめて一度でも、お父さんに微笑みかけて欲しかった。』

 大介は手紙を置くと、棺の中の鉄平の頬に手を当て、「鉄平」と呼
びかける。でもその先は言葉にならない。


 鉄平の葬儀。

 芙佐子は鉄平に、鉄平の夢はきっとみんなが叶えてくれるから、安
心して、と語りかける。

 万俵家の庭を進む、葬列の車。

 大介が車を止め、遺影を抱いた早苗に、鉄平に最後に見せたいもの
があると言う。
 そして太郎の手を引き、鉄平の遺体を乗せた霊柩車を工場に向けて、
止めさせる。
 鉄平の位牌を、雨に濡れないよう袂で覆った寧子と、寧子に傘を差
し掛ける銀平が続く。

 阪神特殊製鋼の従業員たちは、作業服に喪章を巻いて、炉の前に並
んでいる。
 四々彦の「操業再開!」のかけ声と共に、一ノ瀬が、炉のスイッチ
を入れる。

 太郎が、「あ、煙!」と叫ぶ。

 三雲は大介に、「あなたは新銀行と引き替えに、大きなものを失い
ましたね」と言う。
 「一度歩き始めた道は、突き進むしかないのです」と大介。
 「命を賭けた声も、あなたには届かないのでしょうか」と三雲。
 「いえ、鉄平は大きなものを残しもした。わたしたちはそれを重く
受け止めます」と大介。


 昭和44年3月。
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 そして季節は春を迎えた。
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 「わたしが金銭で解決のつく女だと思ってらして」と声を荒げる相
子。手に五千万円の小切手を持っている。
 それを机上に置き、「これであなたとわたしの関係を清算できると
思ったら大間違いよ!」と相子。

 「君らしくない取り乱しようだな」と大介。
 「新銀行が発足したからって、あなたは今までの生き方を変えるん
ですか?世間体を気にするだけの、つまらない男になるのですか」と
相子。
 「君への気持ちは、今も変わらない。でもこれがわたしの下した結
論だ」と大介。

 「安心してください。泣いてすがったりしませんから。本当は私の
方から別れていただこうと思っていましたの。対面を気にして、小さ
くまとまった万俵大介になんて、なんの未練も感じませんから。これ
は万俵家のために働いてきた退職金として、いただきます。お気の毒
ね。わたしがあなたを失ったのではなく、あなたがわたしを失ったの
よ」と相子。

 でも、虚勢を張っていた相子も、寝室を出てドアを閉めるなり、泣
き崩れる。

 寧子は相子に、「長い間、ありがとうございました。これからは、
わたし1人で万俵大作を支えて参ります」と挨拶する。
 「そう、ようやくわたしもこれで解放されるのね」と相子。
 「相子さん.....お元気で」と寧子。


 大川邸 東京 小石川
 四々彦と二子は今日、アメリカに旅立つとの報告を鉄平にする。
 早苗は、新銀行発足のお祝いのこと重なってしまって残念ね、と言
う。

 二子は、あんな手紙を残したのに、鉄平の思いも空しく、大介の思
い通り、阪神特殊製鋼は帝国製鉄の傘下にされてしまったと嘆く。

 ソファーの上で太郎を膝に抱いていた銀平は、本当に大介の思い通
りだろうか、と言う。


 昭和44年4月1日 東洋銀行設立のお祝い。

 美馬が永田を、新銀行の披露宴にそろそろご出席いただかないとと
呼びに来る。

 永田は次の銀行局長に美馬を考えていると言う。
 礼を言う美馬。
 永田はそのためには、富国銀行に問うよう銀行を飲み込ませて貰わ
なければ困る、と言う。
 「東洋銀行を!?」と驚く美馬。
 「君、あれは銀行再編の火蓋を切るためのものでしかない。行くぞ」
と永田。


 確かに大介は、銀行と万俵家は守ったかもしれない。でも、いくら
銀行が大きくなっても、志を失った銀行家の未来は、明るくないんで
すよ、と銀平。


 会場に現れた美馬を、笑顔で手招きをする大介。
 美馬の顔がこわばる。

 しかし、その一瞬の後に、美馬はニヤリとすると、大介へ向かって
歩いていく。
 遂に大介の顔が険しくなる。


 −− 人間はちっぽけな存在だ。自分を強く見せようとして、背伸
びしては傷つき、その傷口を自分自身で広げてしまう、愚かで弱い生
き物だ。
    だからこそ、人間は夢を見るのかも知れない。夢の実現には
困難を伴い、時として夢は人を苦しめる。
    それでも僕は未来を切り開くことができるのは、夢に情熱を
注ぐことができる人間だと思っている。でも、志を忘れたとき、栄光
はすぐに終わりに向かうだろう。
    でも、僕はなぜに明日の太陽を見ないのだろう。


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 半年後、鉄平の夢は実現した。
 その火は今も燃え続けている。
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寸  評  遂に大作が終わりました。
 結局、一番のテーマは、鉄平が大介の子か、敬介の子かということ
だったのですね。

 今ならDNA鑑定でかなり正しい結果が得られるでしょうが、当時
はそれほどの技術はまだない。それ故の悲劇。やはり時代設定がこの
時代である必要があったのですね。

 財前の時はまだ病死で納得できましたが、鉄平の自殺はいただけま
せん。やはり、死ぬというのは究極の方法であり、その前にまだまだ
尽くす手があったように思うのです。
 まあ、このドラマがだいぶ短くされていたためかもしれませんが、
そこまで努力したように見えないのです。
 また、倉石弁護士、だらしなさ過ぎ!!これだけの大裁判なのです
から、もっと用心深くしてもいいのではないでしょうか。

執 筆 者 鈴木(drama_sumire@yahoo.co.jp)

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2. 編集後記
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 毎週楽しみにしていたドラマやアニメが次々と終わり、ちょっとペースが崩
れ、ボーッとしているところです。
 もう一つには、四半期末の最終週の怒濤の仕事が終わって、一息ついている、
というのもあると思いますが。
 例年のことですが、春ドラマと夏ドラマの間は、無いこともあり、あっても
1週間ということも多く、もう、7月と共に夏ドラマです。(『ライフ』は、
6月末日からですけど)
 さあ、今週から夏ドラマ、頑張ってあらすじを書かなければ!

 ところでこの時代、本当に三大メガバンク(みずほ、三井住友、三菱東京
UFJ)までに統合されてしまうとは想像したでしょうか?
 この統合&リストラで支店がどんどん消えていきます。会社の付近は、銀行
空白地帯として、ニュースで取り上げられたほど。利用者不在の営利主義でい
いのでしょうか!?
 まあ、大介のような経営者に舵取りされた銀行の末路?それとも、消えてい
った同族支配の地銀と同じ?(鈴木)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv/
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