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タイトル:Daily Drama Express 2006/05/25 七人の女弁護士 (7)  2007/02/01


===================================================== 発行部数   25 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2006/05/25 (Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル 七人の女弁護士
局  名 テレビ朝日系
放映日時 木曜21時
キャスト 藤堂真紀(釈由美子)
 杉本美佐子(野際陽子)
 南條宏美(川島なお美)
 木下五月(柴田理恵)
 田代千春(南野陽子)
 飯島妙子(原紗知絵)
  麻生恵理(井上和香)
 北村一平(永井大)
脚  本 尾崎将也
主題歌  「」

あらすじ 第7話 日本舞踊・名門殺人 家元夫人は二度殺される

 日本舞踊の名門、片山流の稽古場では、家元の片山寿美代(古手川
祐子)が、テレビカメラの前で踊りを披露していた。ともに舞台に立
つのは、長男の片山清隆(河相我聞)と、その婚約者・白鳥奈々子
(小田茜)。

 ある朝、藤堂真紀(釈由美子)が『7人の女弁護士事務所』に出勤
すると、麻生恵理(井上和香)と木下五月(柴田理恵)がテレビにか
じりついていた。皆も続々とテレビの前に集まってくる。
 テレビのワイドショーでは、片山流のお家騒動が取り上げられてい
た。後継者をめぐって分裂し、騒動になっているのだ。「私たちは伝
統を守っていくだけ」とにこやかにインタビューに答える寿美代。脇
に控える清隆と奈々子は、この秋にも結婚の予定だと言う。
「アタシも今度、日舞習おうかな〜」とつぶやく五月に、「この前は
フラメンコって言ってませんでした?」と飯島妙子(原沙知絵)。
「こんな感じでしょ?」と手振りでやってみるが、どう見ても盆踊り
である。「踊れる弁護士もいいけど、今日の裁判の資料できてるんで
すか?」と所長の杉本美佐子(野際陽子)が声をかけ、あわてて仕事
に戻る。
「まだこの時は、片山流のお家騒動に私が巻き込まれることになると
は、思ってもみなかった」

 やがて、寿美代と対立する「正統片山流」の舞踊家・藤倉あやめ
(西丸優子)が、刺殺体で発見される。現場周辺では、血痕のついた
赤いジャケットとナイフが発見され、寿美代の次男・片山隆二(安居
剣一郎)が逮捕された。
 注目を集めたのは、お家騒動の渦中にあった寿美代だった。全国に
数万人の弟子を抱える、日本舞踊の名門・片山流。その家元の次男が、
対立する流派の舞踊家を殺してしまったのだ。寿美代は、報道陣の前
で謝罪する。
 一方、「正統片山流」を名乗る片山啓吾(中丸新将)は、報道陣に
無念の胸中を語る。「せめて、残された私どもが、正統片山流を守っ
ていくことが、藤倉の無念を…」言葉を詰まらせる啓吾。

 寿美代は、清隆を伴って『7人の女弁護士事務所』を訪れ、真紀を
指名して弁護を依頼する。真紀も美佐子も戸惑うが、真紀の真摯な態
度に惹かれたのだと言って頭を下げる寿美代に、美佐子は、依頼を引
き受けることにする。
 事務所を出た後、清隆は「あんな新人の弁護士でいいのか?」と不
安を訴えるが、寿美代は「きっと隆二のこと、助けてくれると思うわ」
と微笑む。

 早速、南條宏美(川島なお美)や妙子とともに、隆二に接見する真
紀。
 隆二は、かつてあやめと交際しており、今回、あやめに借金を申し
込もうとしてトラブルになったという。だが、宏美がそのことを尋ね
ると、「書いてあるなら聞くなよ」と隆二はそっぽを向く。
 現場付近で見つかったジャケットやナイフは隆二のものだったが、
逮捕当初、隆二はどちらも盗まれたのだと主張し、容疑を否認してい
た。だが、妙子がそのことを尋ねても、「どうせ俺が何を言っても、
信じてくれないんだろ」とふてくされたような態度をとる。
 真紀は「私たちは真実を知りたいんです」と訴えるが、「真実? 
そんなものが何になる!? おれがあやめを殺したんだよ。それが真実
だ」

 第一回公判。傍聴席では、寿美代や清隆、奈々子が見守る。
 検察官が訴状を読み上げる間も、隆二はだらだらとした態度で落ち
着きがなく、裁判官に注意を受ける。
 起訴事実を全面的に認める隆二。真紀は、弁護人の意見として、起
訴事実は大筋で認めるものの、殺意については否認する。

 公判終了後、これからの施策について検討する3人。隆二の態度で
は、情状酌量は難しそう。「あんな息子持ったら、大変だわ」と宏美。
「主任弁護人、これからどうします?」と妙子に問われ、戸惑う真紀。
「こっ、困りましたねぇ…」
 そのとき、奈々子が3人に声をかける。「隆二さん、本当に自分が
やったと言ってるんですか?」「どうしてあなたがそんなことを聞く
んです?」
 そこへ、清隆が現れ、話はそこで途絶える。丁寧に挨拶する清隆に
促され、立ち去る奈々子。

 その夜、恋人で監察医の北村一平(永井大)を研究室に訪ねた真紀
は、昼間の顛末を打ち明ける。「あんな名門の家に生まれたのに、ど
うしてあんなふうになっちゃうのかしら」と首をかしげる真紀に、一
平は、なんとなく隆二の気持ちがわかると言う。「息が詰まっちゃっ
たんじゃないのかな。子どもの頃から、家だの流派だのって言われて、
デキのいい兄貴と比べられて。そんなことしたら、誰だって反発した
くなるだろ? 居場所だってなくなるよ」
 隆一は、20歳のときに暴力事件を起こして以来、勘当同然だった。
だが、真紀には、わざとワルぶっているように見えて仕方がなかった。
 そのとき、真紀の携帯に着信がある。寿美代からだった。折り入っ
て相談したいことがあると言うので、稽古場を訪れることになる。

 清隆と奈々子に稽古をつけていた寿美代。「素敵ですね」と言う真
紀に、「二人とも心が乱れています。特に奈々子は、踊り以前です」
と手厳しい。
 真紀を別室に通した寿美代は、隆二は陰謀に巻き込まれたのではな
いかと言う。隆二は、逮捕当初は犯行を否認し、物証のジャケットや
ナイフも、盗まれたのだと主張していた。「あんなどうしようもない
子ですけど、私は、隆二の言葉を信じてやりたいんです」真紀は、
「どうせ何を言っても信じてくれない」という隆二の言葉を思い出す。
「でも、陰謀ってどういうことですか?」
 昨年、家元だった寿美代の夫が亡くなり、寿美代が跡を継いだのだ
が、それが、先代家元の弟・啓吾には不服だった。啓吾は「正統片山
流」を名乗り、対立する。寿美代は、今回の事件は、啓吾が仕組んだ
もののような気がしてならないと言うのだ。

 その時、稽古場から言い争う声が聞こえる。二人が駆けつけると、
啓吾が、清隆や奈々子ともみ合っていた。
「奈々子を連れて帰る。奈々子は私の大事な弟子だ。あんたは私から、
奈々子を奪っていったんだ」「奈々子はうちの大事な嫁です。あなた
が勝手に出て行ったんじゃありませんか」「ふざけるな! わしが片
山流の正統な家元だ。あんたこそ今度の総会で家元を返上しろ! 奈
々子を奪っていっただけじゃ飽き足らず、隆二を使ってあやめを殺さ
せたんじゃないのか?」
 思わず清隆が「お言葉がすぎます」と止めに入るが、「ろくに踊れ
もしないくせに。おまえなんかに、奈々子はもったいない!」奈々子
が「ただいまお客様と打ち合わせ中ですので…」と制すると、「こん
なところにいる限り、おまえに舞踊家としての将来はない!」と言い
捨てて、啓吾は去っていく。

 事務所に戻った真紀は、顛末を報告する。「えー、真紀ちゃん、お
家騒動に巻き込まれちゃったってこと?」「…みたいです」
 そこへ美佐子が、騒動のことを詳しく知りたいとやってきて、ワイ
ドショー大好きの五月は、大喜びでレクチャーを始める。
 騒動の発端は、先代家元・片山雄一の急死にあった。ひとまず妻の
寿美代が家元を継いだものの、雄一の弟・啓吾が「自分こそ正統な継
承者だ」と言い出し、分裂騒動になってしまったのだ。奈々子は啓吾
の一番弟子で、二番弟子が殺されたあやめだった。奈々子の才能は抜
きん出ており、それを見込んだ寿美代が、奈々子を拝み倒して清隆と
婚約させたという噂がたっていた。
「それじゃ政略結婚じゃないですか!」と恵理は憤慨するが、片山流
を守るために、どうしても奈々子の才能がほしかったのだろう。清隆
の踊りは、家元としては少々心もとないものだった。
「それじゃ、片山啓吾が怒るのも無理ないかな」と田代千春(南野陽
子)。そのうえ今度は、次男の隆二が二番弟子のあやめを殺してしま
ったとなれば、啓吾としては踏んだり蹴ったりだろう。だが寿美代は、
隆二は無実で、啓吾によって犯人に仕立てられたのだと主張していた。
「母親としては、そう思いたい気持ちもわからなくはないけどね」と
宏美。

 寿美代は、真紀とともに隆二に接見するが、「わざわざこんなとこ
ろまで、文句を言いに来たのか。また片山流の名を汚しやがってって、
言いたいんだろう」と取り付くしまもない。信じていると寿美代が言
っても、「初めてあんたの口から『信じてる』なんて言葉聞いたよ」
と皮肉り、自分が殺したのだと言い張る。「本当はあんただってそう
思ってるんじゃないのか? もう二度と来るな!」
 こわばった表情の寿美代に、真紀は、気になることは調査するので、
気を落とさないようにと声をかける。

 隆二の自宅アパートで聞き込みをする真紀は、同じアパートに住む
主婦・加川初代(山田スミ子)から、事件前夜、不審な男性を見かけ
たという証言を得る。和服を着た上品な中年男性で、赤いジャケット
を持っていたというのだ。
 これまでは誰にも聞かれなかったため、警察には話していないとい
う。「何か、事件と関係あるの?」「大アリです。これで冤罪を救え
ます!」喜んだ真紀。
 そのとき、隆二の部屋に、奈々子がやってくる。奈々子は真紀には
気づかず、鍵を開けて部屋に入っていった。

 真紀の報告を受けて、事務所では皆が話し合う。初代の証言が正し
ければ、目撃証言の風貌は啓吾にぴったり。啓吾が隆二のジャケット
を盗み出し、あやめを殺害した可能性も出てきた。
 宏美によると、啓吾とあやめは、姉弟の関係を超えた仲にあったと
いう噂もあるという。男女関係のもつれからあやめを殺害し、その罪
を隆二になすりつけることで、片山流のバッシングまでねらったのか?
 実際、最近は片山流から正統片山流に移る弟子が増えているのだと
いう。
 初代に出廷して証言してもらえれば、裁判をひっくり返せる、とホ
クホク顔の真紀に、妙子は、「ちょっと都合よすぎない?」と疑問を
投げかける。情報が上手くそろいすぎているというのだ。
 意見を求められた美佐子は、一瞬不自然に口ごもるが、「主任弁護
人なんだから、あなたが決めなさい」と力強く言う。

 その夜、美佐子は単身、隆二の部屋を訪れる。玄関ドアの前は、蛍
光灯が切れていて薄暗かった。
 翌日、真紀と美佐子は、寿美代や清隆同席のもと、初代を呼んで、
目撃証言について確認する。「片山さんの部屋から、男の人が出てく
るのを見ました。赤い派手なジャケットを持っていました」何度も念
を押され、初代はうんざりした様子。だが美佐子は、蛍光灯が切れて
いた外廊下で、そんなにはっきり見えたのかと疑問を投げかける。
 初代は、あの日は蛍光灯が切れていなかったもの…と弁明するが、
美佐子は、その日も切れていたことを確認していた。口ごもる初代に、
寿美代は、「そのころって、ちょうど満月だったんじゃないかしら」
と口を挟む。「満月の夜って、思いのほか、はっきり見えるものなん
ですよねぇ」「そっ、そうなんですよね〜」初代は、救われたように
笑顔になる。
 真紀は、ホッとした笑顔になるが、美佐子は、鋭い視線で寿美代を
見やる。
 初代と寿美代たちが帰ったあと、美佐子は、初代を証人として出廷
させないように命じる。「あの証人は、信用できないからです」なぜ
なのかと食い下がる真紀に、自分で考えるように諭し、「それから、
この裁判、私もつくことにしましたから」

 その夜、美佐子の真意がつかめず憤る真紀は、一平の研究室を訪れ
て相談する。一平は部屋の明かりを消し、真紀の前に布を置く。「こ
れ、何色に見える?」「え? 青…」一平が明かりをつけると、その
布は鮮やかな赤だった。「そのおばさんが本当に月明かりの下でジャ
ケットを見ていたとしたら、今の真紀と同じように、赤じゃなくて青
に見えていたはずなんだ。所長さんは、それを見抜いてたんだよ」

 同じ頃、美佐子は、稽古場に寿美代を訪ねていた。「片山さんが、
家元としての誇りを大切にしていらっしゃるように、我々も、弁護士
としての誇りを大切にしております。それは、たとえ新人でも変わり
はありません。我々弁護士は、どんな場合でも、何があろうとも、真
実をねじ曲げることはできません」美佐子は、それだけを伝えて立ち
去ろうとする美佐子に、寿美代は「先生にとって、真実とは何でしょ
うか?」と尋ねかける。美佐子は、「たとえ神でも動かすことのでき
ない、絶対の事実。それが真実です」「法廷で下される判決、それが
真実じゃないんですか?」「我々もそう願っています」「私は、隆二
に無罪判決が出ることを信じています。今後とも、隆二のこと、よろ
しくお願いします」
 美佐子が去った後、別室に入った寿美代。そこには、初代がいた。
「ご苦労様」と寿美代が差し出した封筒を、初代は、うれしそうに受
け取る。
 そこには、寿美代を真ん中に、清隆と隆二が写った写真が飾られて
いた。

 翌朝、真紀は、美佐子に昨日のことを謝る。「年とるとね、疑り深
くなるのよ」「私、あの人に上手く乗せられて、結局利用されていた
んですね」「依頼人がいつも味方とは限らないのよ。逃げ出したくな
った?」微笑む美佐子に、真紀は、「いいえ! ますます燃えてきま
した!!」と笑う。

 事務所の皆は、啓吾ではなく寿美代の陰謀だったということに、驚
き呆れる。「よっぽど息子の隆二を無罪にしたかったんですかね」と
恵理。だが宏美は、寿美代がそこまで息子のことを思っているように
は見えなかったと反論する。妙子は、寿美代が真犯人かもしれないと
言う。自分の罪を息子に着せてしまったから、必死になって無罪にし
ようとしているというなら、筋は通る。あるいは、清隆か奈々子をか
ばっているということも考えられる。
「事件の夜の3人のアリバイ、知りたいですね!」と恵理。依頼人だ
けに聞きづらいことだが、真紀は、自らが聞いてくるといって立ち上
がる。

 奈々子は、事件の夜は清隆と自室にいたという。寿美代の居場所に
ついては、知らないと首をかしげる。
 奈々子は真紀に、隆二に接見してもよいか聞いてほしいと頼む。起
訴される前に一度接見した際、「二度と来るな」と言われたのだとい
う。「何かあったんですか?」「私が怒らせちゃったみたいで…。着
替えを届けたいんです」奈々子が隆二の部屋に合鍵で入っていたこと
を思い出した真紀は、そのことを尋ねる。「着替えを取りに行ったん
です」「事件の前にも、よく会っていたんですか?」「よくではない
ですけど、隆二さんになんとか片山流に戻ってほしくて」
隆二は、10代の頃は、50年に一人の逸材だと言われた踊り手だった。
奈々子は、隆二が暴力事件を起こして勘当されたのは、後継者である
清隆を思いやって身を引いたのだろうと考えていた。「本当はすごく
お母さん思いで、いつも周りのことばっかり考えているんです。でも
それを素直に言葉や態度に出せなくて、いろいろ誤解されて。このま
まじゃあんまりだと思って…だから私、何度も隆二さんのアパートに
行って」奈々子の熱のこもった話しぶりに、真紀は、隆二への秘めた
思いを感じ取る。

 真紀と別れた直後、奈々子をめがけて猛スピードで車が突っ込む。
間一髪で倒れこんだ奈々子を置いて、車は走り去る。
 軽傷で済んだ奈々子の手当てをしながら、寿美代は、啓吾の仕業だ
と言うが、真紀は、「奈々子さんのことを大事な弟子だと言っていた
人が、殺そうとするでしょうか。今回の事件、おかしなことが多すぎ
ます」と言い放ち、寿美代に事件当夜のアリバイを尋ねる。
「私のこと、疑ってるんですか?」「私はただ、この事件の裏に隠さ
れた真実を知りたいだけなんです」寿美代は、稽古場で一人で稽古を
していたと言う。証人はいなかった。
 そこへ、清隆が入ってくる。同じく事件当夜のアリバイを尋ねる真
紀に、「奈々子の部屋にいましたけど…」テレビで映画を観ていたと
いう清隆に、「『愛の結末』ですね! 私も観たくて、ビデオに撮っ
たんです」「すばらしい結末でしたよね」「撮ったきり、まだ観てな
いんです」
 その時、真紀の携帯が鳴る。妙子からだった。「これから、ちょっ
と付き合ってくれない?」

 妙子が呼び出したのは、犯行現場だった。時刻は、ちょうど犯行時
刻の午後10時40分。犯人の気持ちになって、検証する。
 犯人はあやめを刺し、血で汚れたジャケットを隠す。「ストップ!
 何か感じなかった?」真紀はしばらく考え、「どうしてこんなに近
くに隠したんだろう。どうせだったら、もっと離れたところに隠した
くなりますよね!」「あなたも、そう思った?」妙子は、犯人は、ジ
ャケットとナイフをすぐに見つけてほしかったのだと推察する。

 翌日、二人は事務所の皆に報告する。「犯人は、すぐにジャケット
とナイフを発見させたかったとしか思えないんです」「やっぱり、被
告のジャケットは本当に盗まれていたんじゃないでしょうか」
 だが宏美は、そうならば、隆二だったら無実を訴え続けたはずだと
主張する。接見した印象として、そう簡単にやってもいない罪を認め
るようには思えないというのだ。それについては、妙子も同意する。
美佐子は、隆二の自供を覆すようなきっかけがあったのかもしれない
と言う。
 そこへ五月が、お菓子を持ってくる。『やまんば饅頭』なる饅頭に、
皆が注目したその時、真紀は「あっ!」と叫んで立ち上がる。「『や
まんば饅頭』とっといてくださいね!」と言い残して飛び出していく
が、饅頭は6個しかなかった。
 真紀を見送った美佐子は、不安げに考え込む。

 真紀は、片山家に奈々子を訪ねていた。「最初全面否認していた隆
二さんが、罪を認めたのは、あなたと接見した後なんです」その関連
を疑う真紀は、どんな話をしたのか尋ねる。「おそらく被告は無実で
す。なんとかしてあの人を救いたいんです」硬い表情の奈々子は、
「見たんです」と口を開く。
 事件前に、隆二のジャケットを持って部屋から出てきた人物を見た
というのだ。それを隆二に告げたのだった。だが、その人物について
は、硬く口を閉ざすばかり。「このままでいいんですか? おそらく、
この前車であなたをはねようとしたのも、その人なんですよ。そんな
人をかばうんですか!?」と真紀は迫るが、奈々子は、「勘弁してくだ
さい!」と声を荒げる。
 その時、母屋では、庭先で向かい合う二人を、寿美代が眺めていた。

 その夜、真紀は、自宅で先日録画した映画「愛の結末」を観ていた。
ヘッドホンをつけ、入り込んでいる真紀。一平が食材を持ってやって
くるが、気づく様子もない。居候の弟・雅人(武田航平)「もうすぐ
終わりますよ。今日は何ですか?」「ヤキソバと野菜炒め」「へぇ〜、
ヤキソバ俺作りますよ」
 男二人がキッチンで食材を広げ始めた頃、真紀は、「えっ、嘘?」
と声を上げる。「信じられない、せっかくいいトコだったのに!!」半
泣きになる真紀だが、ふと考え込む。「何で知ってたの…!?」しばら
く考え、「あっ!!! わかった…」

 第三回公判。証人として出廷した寿美代に、美佐子が質問する。
 被告人に対する今の心境を聞かれた寿美代は、「隆二は、無実です」
ときっぱり答える。「それは、あなたがそう信じるということですね」
「それが真実だからです」「なぜそのように言い切れるのですか?」
 寿美代は、ひと呼吸置いてから「藤倉あやめさんを殺したのは…こ
の私だからです」法廷は騒然となる。
 その理由を問う美佐子に、寿美代は、事件の日、あやめが訪ねて来
たのだと言う。清隆とひそかに交際していたあやめは、清隆の子を妊
娠していると告げ、奈々子との結婚を取りやめて自分と結婚させてほ
しいと訴えた。寿美代が「あなたはその器ではございません」と突っ
ぱねると、子の養育費として1億円を要求。「本当に清隆の子でした
ら、1億でも2億でも差し上げますわ」「マスコミにすべてぶちまけ
てもよろしいんですか?」
 あやめの存在が片山家に災いを招くと思った寿美代は、あやめを殺
害し、過去にあやめと交際していた隆二に罪をなすりつけたというの
だ。
「しかし、そう簡単に、母親が自分の犯した殺人の罪を、実の息子に
着せたりするものでしょうか。少なくとも私は、長い弁護士生活の間、
そのような母親に会ったことはありません」「ここにおります」「で
したらなぜ、被告人を無実にしようとして、偽の証人まででっち上げ
たんですか?」「多少なりとも良心の呵責があったのかもしれません」
 美佐子はため息とともに「片山さん、もういい加減に茶番はやめに
しませんか」と語りかける。「あなたが誰をかばっているのか知りま
せんが、かばうことが本当の愛情でしょうか。本当にその人のために
なると思っていらっしゃるんですか?」だが寿美代は、かたくなに誰
もかばっていないと言い張る。無言で対峙する二人。「質問を終わり
ます」

 席に戻った美佐子は、真紀に向かって無言でうなずく。
 証人には清隆が呼ばれ、真紀が質問に立つ。
 事件当夜のアリバイを尋ねる真紀に、奈々子の部屋で一緒にテレビ
を観ていたと答える。番組は、映画『愛の結末』。「あなたが『愛の
結末』を観たのは、その時が初めてですか?」「そうです」真紀はそ
の答えに念を押し、映画の結末を話すよう促す。「それは、何か裁判
に関係あるんですか?」「関係あります」「最後、10年後に話が飛ぶ
んです。二人は偶然再会して、もう一度やり直すことになります」
 真紀は、事件当夜に放送された『愛の結末』の終盤部分を再生する。
ヒロインが別れを告げ、走り去った直後、番組は、化学工場の爆発事
故を伝える臨時ニュースに切り替わる。「この日は結局このままニュ
ースとなり、『愛の結末』が最後まで放送されることはありませんで
した。ご覧のように、10年後のエピソードは、まったく放送されなか
ったんです。なのに、どうしてあなたは、映画の結末を知っていたん
ですか? つまりあなたは、白鳥奈々子さんの部屋でテレビなど観て
いなかった。なぜならあなたは、その時刻、藤倉あやめさんを殺害し
ていたからです!」
 傍聴席の寿美代は、うつむく。
「違う!」と清隆は叫ぶ。「何が違うんですか!! 逃げる場所はあり
ませんよ!」真紀の決め台詞がとどめを刺す。

「白鳥さんは、あなたがジャケットを盗み出すところを、偶然見てし
まったんです。しかもあなたは、事件の時刻、自分と一緒にいたこと
にしてくれと白鳥さんに頼みましたね。でも、そのことが怖くなった
あなたは、口封じのために、白鳥さんまで殺そうとした。白鳥さんは
悩んだ末に、被告人と接見し、あなたを目撃したことを話しました。
それまで無罪を主張していた被告人が、なぜ供述を翻したか、あなた
にわかりますか? 被告人は、大切な人を傷つけたくない一心で、身
に覚えのない罪をかぶろうと心に決めたんです。被告人の大切な人と
は、もちろんお母さんです。あなたが犯した罪をお母さんが知ったら、
どれほど傷つくかと恐れたんです。ずっといい子を演じ続けてきたあ
なたのことも、守ろうとしたんですよ。…実際は、お母さんも気づい
ていましたけどね」

「あやめが、バカな夢さえ見なければ…」苦渋に顔をゆがめ、清隆は
語り始める。
 事件の日、清隆はあやめを呼び出し、寿美代に清隆との結婚を迫っ
たことを責める。「妊娠したなんて嘘までつきやがって! 俺は、
奈々子と結婚する」「そんなこと言っていいの? 奈々子が本当に好
きなのは、隆二なのよ。踊りだって、隆二の足元にも及ばないくせに」
「わかってるよ、そんなことは!!」泣きそうな顔で叫ぶ清隆に、あや
めは「それでも奈々子と結婚したいわけ!? 自分がみじめなだけじゃ
ない」と追い討ちをかける。「黙れ!! それ以上言うな」絶叫した清
隆は、あやめにナイフを向け、一突きにする。
「隆二、みんなおまえのせいだ。おまえさえいなかったら、こんなこ
とにはならなかったんだ! チクショー!!」清隆は暴れだし、警備員
に取り押さえられる。
 駆け寄った寿美代は、清隆を平手打ちにし、「いっしょに償いまし
ょう」とやさしく言葉をかける。泣き崩れる清隆。隆二も奈々子も、
いたたまれない思いでうつむく。

 片山隆二には無罪判決が出た。一方、片山清隆は懲役13年の実刑判
決を受け、刑が確定した。同じ日、片山寿美代は、日舞の世界から去
ることを発表した。
 誰もいない稽古場を、一人静かに後にする寿美代。

「今回は、いろいろとご迷惑をおかけしました」所長室で頭を下げる
真紀。「…って、いつもですよね…」「そうやって、人間は成長して
いくんじゃないかな」と、美佐子は微笑みかける。
 宏美は、机上に飾られた愛息の写真の前でふてくされている。「そ
りゃ亮くんが悪いわ。お母さんの作った大根のお味噌汁、飲まへんな
んてなぁ」と千春。「嫌いなものも食べてほしいっていう、親心です
もんね」と妙子。空気を読めない恵理は「でも最近は、学校の給食で
も、嫌いなものは食べなくてもいいという指導をしているんですよ」
と言ってしまい、五月があわてて制止する。美佐子は、「いいのよ、
母親ですもの、大丈夫。きっと今日帰ったら、いつもと同じように
『ママ、お腹すいた! ご飯なあに!?』って飛びついてくるわよ」と
励まし、宏美はようやく笑顔になる。
「だいたいねぇ、親が子どもに遠慮なんかしてちゃ、だめなんですよ」
と美佐子は力説する。「私も皆さんの母親のつもりですから、これか
らも遠慮しないでビシビシいきますから、そのつもりで」


寸  評  今回は、検察の存在感がありませんでしたね〜。公判でも、「異
議あり!」の台詞すらなかったし…。
 でも我聞ちゃんがかわいいのでよしとしよう。大好きなのに、最近
めったにテレビ出ませんね。そんなことでいいんだろうか、オトーサ
ン。舞台とか出てるんでしょうか?
 このドラマで殺される人は、だいたいケバくて高飛車な人ですね。
真犯人の独白シーンでは、殺される直前の被害者のつけ上がりっぷり
に、「おいおい、誰か止めてやれよ…。あ〜あ、殺されちゃった。だ
から言わんこっちゃない…」と毎回妙な感情移入をしてしまいます。
 対立派の中丸さんは、当て馬でしたね。暴れるだけ暴れて、結局後
半出番なし。こういう人、多すぎませんか? あぁ、かわいそう。

執 筆 者 Nami(nami_s1976@yahoo.co.jp)

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2. 編集後記
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 さてさて、次回はお待ちかねの荒川静香編です。リアルタイムで放送見てて、
あまりの棒読みぶりに、凍りつきそうになりました。さすが、氷の女王です。
ああああ、書くのが怖い。でも、乞うご期待。ある意味すごいよ。(Nami)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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