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タイトル:Daily Drama Express 2007/01/18 拝啓、父上様 (2)  2007/01/23


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2007/01/18 (Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル 拝啓、父上様
局  名 フジテレビ系
放映日時 木曜22時
キャスト 田原一平(二宮和也)
 田原雪乃(高島礼子)
 中川時夫(横山 裕)
 坂下エリ(福田沙紀)
 小宮竜次(梅宮辰夫)
 坂下 保(高橋克実)
 坂下律子(岸本加世子)
 坂下夢子(八千草薫)
脚  本 倉本聰
主題歌  「」

あらすじ 第2話「」

 熊沢危篤のニュースは四六時中テレビで報道される。日曜で休みの
一平(二宮和也)は部屋でそれをじっと見ていた。夢子(八千草薫)
と熊沢の関係を知るだけに複雑な思いがする。そんなことを知らない
時夫(横山裕)は「(エリの真似をして)おにいちゃん、政治なんか
に興味あんだ」とのんきな様子でパンを頬張りながら聞いてくる。だ
が一平はフランス語を話す謎の少女を帰してしまった機転の利かなさ
を根に持って無視している。

 一平が喫茶店で顔馴染みのマスターと談笑していると、雪乃(高島
礼子)の芸者仲間、浮葉(木村多江)とことえ(池津祥子)がやって
来る。と、夢子から「すぐ来て」とメールが届き、2人に「彼女な
の?」とからかわれ、一平は「違うよ」と防戦一方状態で店を飛び出
していく。

 夢子は熊沢の入院している病院の婦長にある届け物をしてほしいと
頼む。一平は「今、病院は厳戒態勢で、何かわからないものを届ける
なんて、もし取調べを受けたらなんて答えていいか」とあたふたする。
夢子はしかたなくそれは毘沙門天のお守りで、あの世に1人で旅立つ
熊沢の胸に抱かせてやりたいのだと打ち明ける。一平は納得するが、
夢子は「無粋ね」とがっかりした表情を見せる。夢子は自分自身で渡
したいが、愛人である以上、お見舞いには出向けない気持ちを察する
ことのできない一平に失望を隠せない。

 一平は病院へ赴くが、警備の人が張り付き、びくびくしてしまう。
なんとか婦長に会って渡すが、婦長はご家族が付き添うなかでできる
かどうかはわからないと迷惑がる。

 一平が病院から出てくると、同じくして真田(小野武彦)も出てき
て報道陣が群がってくる。一平はそれを苦々しく見つめる。考えるの
も嫌だが、10年前まで雪乃のパトロンだった真田こそが父親の確率が
もっとも高いからだ。

 律子(岸本加世子)はホテルの喫茶室で真田に会い、エリ(福田沙
紀)に熊沢のお見舞いをさせるための労をとってほしいと懇願する。
熊沢はエリの祖父にあたる。真田は脂ぎった顔をおしぼりで拭きつつ、
タバコをふかしてまともに取り合わない。熊沢は公人の立場があり、
愛人の家族を会わせれば大混乱に陥る。そんな面倒なことに骨を折る
気は真田には毛頭なく、律子はがっかりする。

 「坂下」に戻った一平は、夢子に報告する。婦長には迷惑がられた
ものの、そのまま言うのは忍びなく「頑張ると言ってました」と濁す。
夢子はお礼にとお駄賃を出すが、一平はまごついて「いいです、いい
です」と断り、タクシー代のお釣りを渡して退出する、内心はいくら
あったのかと気にしつつ。

 一平が階段を降りてくるとエリがいて、ちょっと付き合って欲しい
と言ってくる。女の子に誘われるのは実は初めての一平は驚き戸惑い
ながら付いていく。

 エリはひどく深刻な顔つきで熊沢に会えない自分の境遇を嘆く。エ
リは誕生日に熊沢からマフラーをプレゼントされていたりしたので、
熊沢にどうしても会いたい気持ちがあった。エリは一平も自分の父親
について知りたいでしょと同情を買おうとするが、一平は「自分の場
合は母親が教えてくれないのでよくわからないんです」とデリカシー
のない答えをしてしまう。

 エリは次第に感情的になり「私はただおじいちゃんに会いたいだけ
なのにどうしてダメなの?」と語気を強める。一平はおろおろし「そ
れはきっとおじいさんは偉い方だから……」と自分の置かれた立場を
わからなければならないと思うと答える。が、エリは「それはおばあ
ちゃんの問題でしょ、あたしには関係ないわ!」と泣き出しそうにな
る。一平はどうしていいかわからない、というか一平はさっきからエ
リの胸が大きいことばかりに気をとられていて、「最近の若い子は肉
体の成長と精神の成長にズレがあると思われ……」などと考えている
有様だった。エリは話にならないと言わんばかりに「おにいちゃんて
大人だね、つまんない大人!」と言い捨て駆けていってしまう。

 エリの気持ちはわかるが、自分も父親のことを知らされもしない境
遇をじっと我慢してきた、家庭の事情はいかんともしがたいと一平は
思い悩む。

 夕方、一平は銭湯で時夫に会う。時夫は根性鍋を磨かされてばかり
でぶつくさ文句を言っていた。一平はそれが徒弟制度ってもんだとた
しなめると、「おにいちゃんて意外と大人だな、つまんねえ」とエリ
と同じことを言われ、言葉につまってしまう。

 湯上り後、時夫にせがまれ、一平は雪乃の店に連れて行く羽目にな
る。時夫は芸者をしていたという雪乃に興味津々、「うちはオフクロ、
男こさえて逃げちゃったんで母親の愛情に飢えてんです」と雪乃に甘
える。雪乃は時夫を面白く思いつつ「うちの子なんてお母さんと呼ば
ず雪乃ちゃんなんて呼ぶのよ」と言い出す。一平は慌てて「そう呼べ
って自分で言ったんだろが」と反論するが、雪乃は笑って相手にしな
い。
 そんなところに時夫の携帯が鳴り、急用なので帰ると言って慌しく
出て行ってしまう。

 一平は夢子に頼まれた一件を雪乃に話す。すると雪乃は切なげな表
情になる。何の見返りもないのに尽くそうとする夢子の気持ちが痛々
しくなったのだ。雪乃は不意に一平の手を取り「長くてきれいな手ね。
あんたの父親もそうだった」とつぶやく。一平は「誰なんだよ、死ん
でんの?生きてんの?」と尋ねる。しかし雪乃は途端に笑いだし「教
えない、死ぬまで教えな〜い」とごまかすだけだった。

 次の日からまた忙しい板前の日々が始まる。一平は保(高橋克実)
とともに竜次(梅宮辰夫)の魚の選び方をじっと見つめ研究する。

 「坂下」に戻ってくると、一平は仲居の1人に昨日の夜7時にエリと
時夫が毘沙門天の境内で会っているのを見たと教えられる。時夫が少
年院出なので、エリのことが心配だという。一平は昨日雪乃と会って
たときの電話がエリからで、時夫はすでにエリの携帯の番号を知って
いたのかと考えたりする。

 保は竜次にエリのことを相談する。エリは熊沢にどうしても会いた
いと言い張り、律子と大喧嘩になってしまったので、保はどうしたも
のかと頭を悩ませていた。竜次はそういうときこそビシッと言って聞
かせるのが男親の仕事だと発破をかける。

 その夜、熊沢が亡くなったとの知らせが板場に飛び込んでくる。一
平は竜次に言われ車の用意をする。竜次は熊沢邸の住所を渡す。そし
て「いいか、近くまで。検問の前までだ」と念押しする。

 やがて、喪服姿で夢子、保、律子、エリが現れ車に乗り込む。竜次
は一平に運転を任せ、深々と頭を下げて見送る。

 車中には重苦しい雰囲気が流れ、みな険しい表情をしている。暗い
夜の街の中を静かに進んでいく、一平は夢子たちの置かれた立場を思
うとだんだん切なくなり涙がこぼれそうになる。

 熊沢邸近くまでくると検問にぶつかり、迂回するように指示される。
一平はなんとも言えない気持ちになるが、保が「そこを右折しよう」
と諭す。


 やがて柵越しに多数の弔問客が見えてくる。窓からずっと外を見て
いた夢子は「ここでいいわ」と静かに言い、一平は車を止める。夢子
は数珠を取り出し、目を閉じて祈りを捧げる。エリも律子に促されて
最後のお別れをする。

 「坂下」に帰ってきた一平は悲しくて落ち着かず外に出る。同じ家
族なのにあっちは最後まで付き添って別れを惜しむことができ、こっ
ちは会うことも叶わない。それは理不尽としか言いようがなかった。

 そんなとき、木陰にリンゴがひとつ落ちているのが目に入る。一昨
日謎の少女と一緒に拾ったリンゴの拾い残しだった。一平はそれを拾
いあげる。それはなんだか切れたと思っていたあの少女との糸がかす
かにつながっていることを感じさせるのだった。


寸  評  いきなり余談ですが、エリの「おにいちゃん」はやはり違和感が
あります。いくら古風な街といっても東京ですし、エリは料亭世界と
はあまり関わりなく普通の生活を送っているように見えますので。
 さて、ドラマは「起死回生」というイメージがあります。野球の
9回裏2死満塁でサヨナラHRはドラマ的と形容されます。これを当ては
めると、熊沢にお別れすることが決してできないという状況で、これ
をどうひっくり返すのかとか、つまんない大人と軽蔑された主人公一
平が、それにどういう答えを出すのかというのが一般的に ドラマの
核となるのだと思います。
 が、ストーリーは結局、お別れできずに終わり、一平も答えを出せ
ずという結末でした。世の中には複雑な事情があるから我慢しなけれ
ばならないという命題に対して、そのとおりであると答えているよう
なものです。なんだそれは?という感じにもなるのですが、独特の温
かみのある雰囲気でしみじみとしたいい話に仕上がって いるように
思います。こういうのもドラマとして成り立つという気がしました。
 さて、最後のリンゴのシーン、先の展開に救いを持たせるようなメ
タファーですが、「坂下」の行く末と謎の少女はどう関わってくるの
だろうかと興味津々です。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 ラグビー大学選手権決勝を見ました。戦前の予想では早稲田大有利でしたが、
関東学院大が圧倒していました。まさにドラマティックという感じですが、関
東学院の選手の気迫がすばらしかったです。ボールを持ったFWの選手が前に出
る、タックルを受けて倒れる、それでも後ろからサポートの選手が来て球を拾
い、また前に出る の繰り返しでひところの明治大学の「前へ」のラグビーを
体現していました。圧巻はロスタイムで相手ボールのラックをオーバーしてタ
ーンオーバー、ウィングがタッチライン際を駆け抜けてダメ押しのトライをあ
げたシーン、感動的でさえありました。(けん)

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