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タイトル:Daily Drama Express 2006/12/25 のだめカンタービレ(最終回)  2007/01/04


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2006/12/25 (Mon) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.月曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 月曜日の連続ドラマ
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タイトル のだめカンタービレ
局  名 フジ系
放映日時 月曜21時
キャスト 野田恵 (上野樹里)
 千秋真一(玉木宏)
 谷岡肇 (西村雅彦)
 峰龍太郎(瑛  太)
 三木清良(水川あさみ)
 奥山真澄(小出恵介)
 多賀谷彩子(上原美佐)
 大河内守(遠藤雄弥)
 佐久 桜(サ エ コ)
 峰 龍見(伊武雅刀)
 河野けえ子(畑野ひろ子)
 江藤耕造(豊原功補)
 フランツ・シュトレーゼマン(竹中直人)
 石川怜奈(岩佐真悠子)
 田中真紀子(高瀬友規奈)
 玉木圭司(近藤公園)
 橋本洋平(坂本 真)
 鈴木 萌(松岡璃奈子)
 鈴木 薫(松岡恵望子)
 岩井一志(山中崇)
 金城静香(小林きな子)
 井上由貴(深田あき)
 金 井 (小嶌天天)
原  作 二ノ宮知子
脚  本 後藤凜
主題歌  『』

あらすじ Last Lesson「さよならのだめ!!涙のクリスマス公演」

 2年ぶりに福岡の実家に戻ったのだめを、祖父母、父の辰男(岩松
了)、母の洋子(宮崎美子)らは温かく出迎える。久しぶりの一家そ
ろって食事で会話も弾むが、のだめが将来どうするのかに話題が及ぶ
と弟の佳孝(別當優輝)がかみついてくる。

 佳孝の言い分はこうだった。高い金払って音大に行かせた以上、幼
稚園の先生にならなければ元手を回収できない、立派な不良債権だと。
佳孝は姉ばかりにお金を使ってきたことに不満を抱いていた。それに
対して辰男や洋子はのだめからピアノをとったら何も残らないし、音
大を出さえすれば、「音大出のお嬢さん」とい う箔がつくんだから
十分だと言い返す。一方将来ことで悩んでいたのだめは居づらくなっ
てしまい、ろくに食べずに自分の部屋に下がってしまう。

 辰男はため息をつき、のだめの様子がおかしいと心配する。のだめ
は帰ってきてから自室でゲームばかりして一度もピアノを弾くことが
なかった。

 千秋(玉木宏)は裏軒で佐久間(及川光博)に会い、R☆Sオケの後
任指揮者の話をする。佐久間は去年までパリの管弦楽団にいて、今は
日本のMフィルを指揮する松田幸久に依頼し、好感触を得ていること
を伝える。

 千秋は佐久間の尽力にお礼を言い、なぜそこまで協力してくれるの
かと尋ねる。佐久間はブラームスにコッセルやヨーゼフといった優秀
な指南役がいたように、歴史に名を残す音楽家は才能だけでなく人と
の出会いも重要だった。だから自分もそうなりたいと思っているのだ
と言う。佐久間は若いころ音楽家を目指したが結 局叶わなかった。
それだけに才能を持つ千秋を放っておくことができなかったのだ。

 クリスマス公演に向けてR☆Sオケは壮行会を開いた。元Sオケメン
バーもオーディションに合格し、オケは大いに盛り上がっていた。龍
太郎(瑛太)は千秋が去った後の後任指揮者を尋ねる。千秋は松田の
ことを話す。若手の注目株の松田と聞いてメンバーたちは大喜びする。
そして千秋は少し寂しい気分になるが、これでR ☆Sオケでの自分の
仕事は終わりだと気持ちを切り替えようとする。

 千秋はヨーロッパへ旅立つ準備のため自室の片づけを始めた。する
とのだめからもらった懐中時計や、預かった鉢植えが出てきた。のだ
めのことを思い出した千秋は携帯をかけるが、つながらずいらだつ。
千秋はコンクールで聴いたのだめのピアノをもう一度聴きたいそんな
気持ちでいっぱいだった。

 そこへ龍見(伊武雅刀)から電話があり、クリスマスケーキを千秋
に届けると伝えてくる。千秋は注文した覚えがないと断るが、龍見は
のだめが注文したが、福岡の実家に帰ることになったので千秋に贈っ
て欲しいと頼まれたのだという。すると今度は龍太郎が出て「今日の
練習は中止になった」と言ってくる。龍太郎は千 秋がのだめに会い
に行く時間を作ろうと気をきかせたのだった。

 千秋はすぐさまのだめ宛の小包の住所を頼りに福岡へ行くことにす
る。自宅前でタクシーを捕まえ「羽田空港……いや東京駅まで」と運
転手に告げる。

 のだめは近所を散歩したり、河川敷でぼんやりして過ごしていた。
目を閉じるとコンクールのときの記憶が浮かんでくる。するとのだめ
は無意識のうちに一次予選で弾いたシューベルトのピアノソナタ
第16番を口笛で吹き始めるのだった。

 千秋は博多駅に到着、すぐさまタクシーに乗ってのだめの実家へ向
かう。

 のだめは家に帰ると、自室のピアノの蓋を開け鍵盤に指を滑らせる。
「ちゃんと調律してある」。のだめは思わずにっこりし、シューベル
トのピアノソナタ第16番を弾きだす。

 千秋は勢いで福岡まで来たものの、どうのだめを説得すればいいの
かわからないままでいた。プロに興味がないこと、強制されることに
異常な拒否反応を示すことがあったとはいえ、千秋自身が誘えばのだ
めはついてくるだろうと思っていた。ところが、のだめは受け入れな
かった。それが千秋にはショックだった。

 千秋はのだめの住所が書かれた宛名の紙を握りつぶす。「ふざけん
なよ、俺がどんなに勇気を出していったと思ってんだ!あんな変態を
連れて行こうって言ったんだぞ……どうしたらいい?」。

 のだめの演奏が終わると聴いていた祖母の静代(大方斐紗子)は
「よか曲ねぇ」と拍手する。のだめの脳裏にコンクールで大きな拍手
を浴びたことが浮かんでくる。のだめは「シューベルトばい。この曲、
コンクールで弾いたとよ」と嬉しそうな顔をする。

 静代は「コンクールってピアノの大会ね?へぇ、恵が大会?」とた
まげたような顔をする。のだめは「でも失敗したばってんね」とうつ
むく。静代は「で、その大会は楽しかったとね?」とにこにこ聞いて
くる。

 のだめは一瞬返答に詰まるが、にこりとし「うん」と答える。「お
客さんのね、えらい拍手ばしてくれなしてからね。それは一次予選の
ときなんやけどびっくりしたもんね」とのだめは続ける。静代は感心
しきりという表情で聞いている。

 しだいにのだめの表情が輝いてくる。「シューベルトは苦手やった
とばってん、よう弾けたとよ。彼が支えてくれたけん、恵きれいなド
レスばっか着たとば」。

 タクシーのメーターは5000円を越え、周囲は田舎の風景になりはじ
めていた。福岡では結構都会と聞いていた千秋はおかしいと思い運転
手に尋ねるが、大川はこの先だと言う。

 のだめはふと携帯を取り出すと電源が切れていたので、慌ててつけ
る。すると23通もメールが届いていた。千秋からと思ってチェックす
るとすべて江藤(豊原功補)からだったので落ち込んでしまう。しか
し最新のメールのタイトルは「プリごろ太NEWS」と書かれていたで、
なんだろうと開いてみる。

 しかしそれはメールを開かせるために江藤が送った偽物だった。が
っかりするのだめだが、メールの内容はコンクールの審査に加わって
いたオクレール教授がのだめをパリのコンセルヴァトワール(音楽院)
に推薦してくれていて、その試験が2月にあるから受ける気があるな
ら至急連絡して欲しいというものだった。思わぬ知らせにのだめの心
は高鳴る。

 R☆Sオケの練習が休みで暇になったので、龍太郎たちは裏軒で裏方
作業をして時間をつぶしていた。すると元Sオケメンバー、黒木(福
士誠治)、菊地(向井理)らが次々とやってくる。練習に明け暮れて
いた彼らも休みで暇を持て余していたのだった。清良(水川あさみ)
は「よし、それじゃ練習しよっか」と提案、みな快諾する。クリスマ
ス公演は千秋の日本最後の指揮、それを最高の形で締めくくりたいと
みな思っていた。

 タクシーのメーターは16000円を越え、周囲は田畑が広がり始めて
いた。すでに夕陽がさしている。千秋はのだめが嘘をついていたと気
づき顔を引きつらせる。だが、よくよく考えるとのだめの嘘は本心を
隠すための行動で、いつも目をそらしていた。自分の誘いを断ったと
きも……。「もしかして、あいつも本心では……」と千秋はのだめの
気持ちを察する。そこへ携帯が鳴る。見るとのだめからだった。

 のだめは「よかった、まだ日本にいたんですね」と嬉しそうに話し
かけてくる。千秋は安堵するあまり「おまえ、俺が今どこにい……」
と強い口調でのだめを責めようとする。すると前方にのだめが通り過
ぎていく姿が見える。

 のだめは「それでね先輩、のだめも留学することにしました。むひ
ゃ」と笑う。千秋は携帯を耳に当てながら運転手に、「反対だ」と車
をUターンさせようとする。のだめは「先輩は反対なんですか?だっ
て、向こうのほうが合っているって」と戸惑う。

 千秋はタクシーから降りる。「お前、それ本気で言っているの
か?」。のだめははっきりと答える。「はい。江藤先生からオクレー
ル先生って方が推薦してくれたって連絡が」。千秋「どこの国だ」。
のだめ「えっと、フランスです。あっでもこれから試験も受けなくち
ゃいけないし、先輩とは違う国かもしれないけど……」。

 のだめは少し寂しそうになるが、笑顔で続ける。「のだめもピアノ
頑張ります。そしたらいつかミルヒィと先輩みたいに同じ舞台でコン
チェルトできるかもしれないし。千秋先輩が指揮で、のだめがピアノ
でフィラデルフィア管弦楽団!その公演が大成功して、先輩とのだめ
のゴールデンペアには世界中から出演依頼が来るんですよ。あっそう
だ、ニューヨークフィルとラプソディ・イン・ブルーもいいですね。
先輩とだったらヴァイオリンソナタも?他にもいっぱい楽しいこ
と……」。のだめは笑顔で次々と将来の夢をしゃべり続ける。

 千秋は駆け出し、後ろからのだめを抱きとめる。のだめは「ひゃ
っ!?」と驚く。千秋は「そういうことは、試験に合格してから言え!」
と怒った口調で言う。「千秋先輩?」とびっくりするのだめに千秋は
「ぜったい受かれ!一緒にヨーロッパへ行こう……俺様を二度も振っ
たら許さない!」と続ける。その表情は泣き出しそうだった 。

 のだめは驚きで身じろぎもできなかった。だが「えっと……メリー
クリスマス!」と微笑む。千秋も「メリー、クリスマス」と答え、2人
ともそのまま温かな気持ちに包まれる。が、そこへ漁船に乗った辰男
が通りかかり「なんばしよっと?」と声をかける。のだめは「あっ、
お父さん!」と返事をする。それを聞いた千秋はまずいところを目撃
されてしまったと愕然としてしまう。

 その夜のだめは家族に留学することを伝える。「というわけで老後
の蓄えをください」とあっけらかんと要求するのだめに、家族は大ブ
ーイングを浴びせる。だが千秋が「費用を援助してくれる財団もある
し、何とかなります。向こうから推薦が来ているくらいですし」とフ
ォローしたので、何とか収まる。

 「ところで、あんたどこん人ね?」と尋ねる家族たちに、辰男が間
髪入れず「恵の彼氏じゃ」と教える。千秋は慌てて「いや、自分は大
学の……」と訂正しようとするが、辰男は「河川敷でなんばしよっと
よ?」とにやにやする。千秋は「あれは例えばサッカー選手がゴール
したときに抱き合うような類いのもので、特に深い意味は……」と説
明するが、辰男たちの耳には入らず「恵、ゴール決めよったとか!」
と盛り上がってしまう。

 のだめも「一緒にヨーロッパ行こうって。2度も振ったら許さんて」
と得意げに聞かせるので、千秋は困り果て「それは、一緒にヨーロッ
パに行く誘いを断ったらという意味で」と弁解する。だが、洋子は
「誘った!?」、佳孝「姉ちゃん、2度もゴール決めたとか?」とか
えって大騒ぎになってしまう。

 辰男たちはまるでこの世の春だと言わんばかりに「おてもやん」を
踊り始める、洋子は「今日は泊まってって」、佳孝も「俺の料理食わ
せてやるよ、義兄さん」とすっかりのだめの彼氏と決め込んで浮かれ
る。のだめも「親公認の仲になっちゃいましたね」と千秋の肩に頭を
乗せる。千秋は「のだめはこうしてできたのか」と顔を引きつらせる。

 桃ヶ丘音大では、練習を終えた龍太郎が清良と一緒に帰るところだ
った。清良もウィーンへ旅立つ時が近づいていた。龍太郎は無理に笑
顔をつくり「お前が帰ってきたらコンマス争いしてやるからな」と告
げ、清良も「うん」と笑顔で答えるのだった。

 翌朝、のだめは千秋の留学先を尋ねる。千秋がプラハに行くと答え
たのでのだめは寂しそうな表情を見せる。千秋は行き先としてプラハ
かパリを考えていた。のだめがパリに行くと知っていたら……。千秋
も一抹の寂しさを覚えずにはいられなかった。

 が、のだめはすぐ「やっぱり2人で住める道を模索しましょう!あた
したち、これからがいいところなんですから」と嬉しそうな顔で千秋
を見つめる。

 千秋は照れ隠しで「いいところなんかなじゃい!」と拒絶するが、
のだめは「じゃあなんでここに来たんですか?」と突っ込む。千秋は
返答に詰まり「福岡ダイエーホークスの応援に」と言い訳する。のだ
めは「むきゃ!ソフトバンクですよ」と千秋を攻め立てる。千秋は
「それよりピアノはどうなってんだ!」と話を変える 。

 のだめは「じゃあ、ショパンのエチュードを」と弾きだすが、ゲー
ムばかりしていたせいで完全に鈍って指が回らない状態だった。千秋
は焦りすぐさま帰京しようとするが、辰男に呼び止められてしまう。

 辰男は大川を案内すると言って干潟に連れてくる。のだめは「ムツ
ゴロウおるかな?」とはしゃぎはじめる。千秋は「おい、時間ないん
だぞ!」と釘をさしながら見送る。

 辰男はふと「本当に大丈夫じゃろか、留学とか」と考え込む。千秋
が理由を尋ねると、辰男は幼いころののだめのことを話す。

 のだめは5歳のときにピアノを始めた。近所に音大出の女性がいて、
のだめはしょっちゅう遊びに行っていた。少しするとその女性はのだ
めの才能に気づき、ちゃんとした先生に習わせたほうがいいと勧めた。
そこで花桜の教室に通わせた。すると花桜ものだめの才能に驚きでき
る限り早く外国へ行かせるべきだと強く勧めてきた。

 しかし一方でのだめはレッスンが苦痛になり始めていた。自由気ま
まに弾きたがるのだめを無視して花桜は厳格な指導をした。だが、の
だめが言うことを聞こうとしないため、つい手をあげてしまった。の
だめの才能を思えばのことだったと花桜は死ぬほど謝罪したが、それ
からのだめはしばらくピアノを弾かなくなってしまった。辰男にして
みれば厳しいプロの世界でまた同じような苦痛を味わうのではないか
と心配だったのだ。

 千秋はのだめの心の傷を知って沈痛な面持ちになるが、「大丈夫で
すよ。それでも今だってピアノを弾いているじゃないですか。結局厳
しくされてもされなくてもだめになる奴はだめだし、プロのピアニス
トになろうと思ってなれるもんじゃない、そういう世界ですから。成
功するかどうかなんてわからない、俺もあいつも。でも俺はあいつの
ピアノが好きなんです」とのだめを見つめる。

 それを聞いて辰男は安堵するが、話を途中で誤解し「そげんほど
(のだめを)好きじゃったか、息子よ!」と千秋に抱きつき、家に連
れ帰ってくる。

 家では、佳孝がギョーザを焼いているところだった。のだめは洋子
の作った春の新作服を千秋に見せる。すると洋子は「千秋くんにも作
ってやろうかね?」とメジャーを取り出して千秋を押し倒し採寸を始
める。辰男たちもまた大騒ぎを始める。千秋は「まさしくこれがのだ
めを生み出した温床!」と呆然自失となる。そして「プラハで良かっ
た、俺は絶対フランスへは行かない!」と心に誓うのだった。

 ところが、そのプラハでは千秋の父親がピアニストとして活動して
いた。その話を彩子(上原美佐)が征子(黒田知永子)にすると、征
子は困惑する。プラハに行けば父親の七光りという評価がついてまわ
る、それは千秋がもっとも嫌うことだった。彩子は「それなら第2候
補のパリに」と征子に勧める。

 千秋とのだめは東京へ戻ってきた。R☆Sオケのリハ会場に姿を現し
たのだめに、真澄(小出恵介)は新都フィルに入団が決まったことを
告げるなど近況を報告しあう。その後龍太郎の発案で記念撮影をし、
練習に入る。のだめは見学しようと客席につくが、千秋は「お前も練
習だろ」と追い出してしまう。のだめは不服がるが、千秋は「頑張れ、
パリで待ってるぞ」と微笑む。千秋の意外な言葉にのだめはきょとん
とする。

 クリスマス公演の曲目のひとつはサラサーテ(スペイン1844-1908)
の『カルメン幻想曲』。ビゼー(フランス1838-1875)のオペラ『カ
ルメン』の曲を抜粋したヴァイオリンの超絶技巧を伴う難曲だが、千
秋は清良なら安心して任せられると絶大な信頼を置いていた。千秋は
清良がR☆Sオケ立ち上げの話を持ちかけ、自分の居場所を作ってくれ
たことに感謝していた。

 のだめは、キャンパスで怜奈(岩佐真悠子)と真紀子(高瀬友規奈)
に再会、フランス留学のエールを受ける。その近くを通りかかった江
藤と谷岡(西村雅彦)は温かい目で見つめる。江藤は「何もできなか
った……」とため息混じりにつぶやくが、谷岡は「それは数年後、い
や10年、もしかしたら20年しないとわかりませんよ」と笑う。

 迎えた公演当日、サントリーホールは大入りになった。清良のソロ
は素晴らしい出来で大きな拍手を浴びる。

 そしてトリはベートーヴェンの交響曲第7番。その前の休憩の時間、
控え室ではメンバーたちが千秋を囲んで思い出に浸っていた。元Sオ
ケメンバーは千秋のおかげでもう一度音楽に真摯に取り組もうと思う
ことができたと感謝する。桜(サエコ)は「私もコントラバス続けま
す。そしてウィーンフィルへ入りますから待っててください」と宣言
する。真澄は「たくさんの思い出を胸に、今日奥山真澄は千秋様
を……やっぱり卒業できません!」と泣き出す。清良は「もう一度千
秋くんにコンマスに選んでもらえるように頑張るから」と決意を新た
にする。龍太郎は涙がこみ上げただ「手紙書くから」とだけ言う。

 千秋は感無量といった心地で「メールにしてくれ!」と突っぱねる
ように答える。その目は涙で赤くなっていた。部屋の外から様子を窺
っていたのだめは微笑みそっと離れる。すると突然シュトレーゼマン
(竹中直人)が現れる。千秋に会っていってくださいと喜ぶのだめに、
シュトレーゼマンは「ソノヒツヨウハアリマセン。チアキナラ、ダイ
ジョウブ」と穏やかな口調に断る。のだめは「のだめも、音楽と正面
から取り組む覚悟ができました」と告げる。シュトレーゼマンは「ソ
レハスバラシイ!ノダメチャンラシクガンバッテクダサイ!」と微笑
む。

 千秋が「さあ、楽しい音楽の時間だ」と声をかけてメンバーたちと
ステージに出てくると観客からは大きな拍手が送られる。

 客席には美奈子(秋吉久美子)とシュトレーゼマンの姿がある。美
奈子は「毎年たくさんの音大生が卒業するけれどプロオケの数は限ら
れている。どんなに実力があってもプロオケに入れるとは限らない。
力を持て余している子がたくさんいるわ」と言えば、シュトレーゼマ
ンも「カレラハオンガクヲツヅケラレルコトガケッシテアタリマエデ
ナイコトヲオモイダサセテクレタ」と答える。千秋たちの演奏からは、
今この瞬間に音楽を奏でられる喜びが精神からほとばしっているのだ
と。

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 −ベートーヴェン交響曲第7番、これが俺の日本での学生生活最後
の曲……俺がオーケストラを初めて指揮した曲。そしてまたこの曲か
ら始まる気がする
*------------------------------------------------------------*

 千秋がタクトを振り下ろし、曲がスタートする。客席ののだめはに
こやかな表情でピアノを弾く手振りをする。まるでピアノでオケに加
わっているかのように。

 これまでのいろいろなことが浮かび上がってくる。酔いつぶれた千
秋をのだめが介抱した日のこと、千秋がシュトレーゼマンの代理で
Sオケを振ったこと、その指揮をシュトレーゼマンにダメだしされた
こと、桃音祭のラフマニノフのピアノ協奏曲で、シュトレーゼマンに
観客への見せ方について叱責を受けたこと……。 

 すべてが千秋の糧となり、この日の演奏につながっている。

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 もうすぐお別れだ、俺も伝えなければ、みんなへの感謝の気持ちを!
俺を変えてくれたすばらしいオーケストラ!さあ、歌おう、最後の一
音まで、今できる最高の音楽を!
*------------------------------------------------------------*

 千秋は涙が溢れそうになっていた。決別のタクト。渾身の指揮でフ
ィナーレへと導き曲は終わる。

 しばしの静寂。重苦しい雰囲気が会場を包む。だが龍見が立ち上が
り「ブラボー!」と叫ぶと同時に観客は堰を切ったように総立ちで大
きな拍手を送る。千秋は涙をこらえ、メンバーとともに観客に向かっ
て礼をする。するとさらに大きな拍手が沸き起こる。江藤が、谷岡が、
怜奈が、真紀子が、大河内(遠藤雄弥)が、佐 久間が、けえ子(畑
野ひろ子)が、美奈子が、シュトレーゼマンが、みな感動を味わって
いた。

 ステージではメンバーたちが万感の思いで起立している。桜、菊地、
真澄、黒木、高橋(木村了)、清良、龍太郎、Sオケのメンバーたち
……。千秋はオケの後ろを見やる。のだめはオケの後ろに位置する座
席にいて、ずっと千秋を正面から見守り続けていたのだった。のだめ
は泣いていたが、千秋と目が合うと「ブラボー !」と笑顔で叫ぶ。
千秋は頷いてのだめに応える。

 楽しい音楽の時間は終わりを告げた。だが観客の拍手はいつまでも
続いていた(終わり)。


寸  評  幼稚園の先生になると言っていたのだめが、千秋とともに世界中
から引っ張りだこのゴールデンコンビを夢見ていると告げたシーンが
感動的でした。第1話ではちゃらんぽらんだったあののだめがこのと
きばかりは、自分の本音を聞かせてくれたという感じです。幼稚園の
先生も悪くないけれど、やはり大きな夢を描いてこその人 生、現実
的にシビアな目で見れば世界的に有名な音楽家は10代のうちにデビュ
ーしていて、後れをとっていることは否めない、千秋がプロになれる
かどうかはわからないと辰男に言ったように厳しいけれど頑張ってほ
しいとエールを送りたい気持ちになりました。
 ストーリー自体はのだめが主役というより千秋が主役という感じで
した。心の中の言葉も千秋だけで千秋の心情はよく伝わりました。の
だめは心の中は読めないキャラなのでしかたないのかもしれませんが。
 結局本編では第1話の2台ピアノだけになってしまいましたが、のだ
めの描く千秋とのコンビの演奏を聴いてみたいです。そんな気にさせ
てくれる千秋とのだめの楽しいドラマでした。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 ドラマ不況と言われる昨今でも1年に1本は面白いと思うドラマが出てきます
が、今年は断然『のだめ』です。個人的には第1話と第2話がとても面白かった
です。クラシック音楽とコメディーがピタリとはまっていましたし、ストーリ
ーも丁寧でした。1月からはアニメが始まるとのこと。フランス編まで描かれ
るのでしょうか。ドラマ版が終わって残念な気持ちですが、アニメ版を待ちた
いと思います。(けん)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv/
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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