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タイトル:Daily Drama Express 2006/05/04 七人の女弁護士 (4)  2006/12/30


===================================================== 発行部数   25 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2006/05/11 (Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル 七人の女弁護士
局  名 テレビ朝日系
放映日時 木曜21時
キャスト 藤堂真紀(釈由美子)
 杉本美佐子(野際陽子)
 南條宏美(川島なお美)
 木下五月(柴田理恵)
 田代千春(南野陽子)
 飯島妙子(原紗知絵)
  麻生恵理(井上和香)
 北村一平(永井大)
脚  本 尾崎将也
主題歌  「」

あらすじ 第5話 女弁護士が愛した殺人犯!

 事務所で携帯を受ける藤堂真紀(釈由美子)。恋人で監察医の北村
一平(永井大)に急な司法解剖の仕事が入り、食事の約束がドタキャ
ンになって真紀は憤慨する。「文句なら殺人の犯人に言えよ」
 一平が担当することになったのは、大手エステサロン社長の山崎佳
恵(野田よし子)が殺された事件だった。真紀は新聞を手に、「自分
トコのエステできれいになって、自分が広告塔になってるんだから、
お肌ツルッツルだよ〜」「解剖は中を見るの。お肌は関係ないの!」
 いつもの軽口で電話を切った真紀が振り返ると、事務所の全員が注
目している。「残念やね〜せっかくのデート!」と田代千春(南野陽
子)が冷やかす。「人の電話聞かないでくださいよ」と真紀は動揺す
るが、南條宏美(川島なお美)も「あなたの電話聞いてるだけで、彼
氏情報いっぱい入ってくるんだから」所長の杉本美佐子(野際陽子)
も「ちょっと軽いけど、基本的にはいい人みたいね」とニッコリ。と
どめを刺すように飯島妙子(原沙知絵)が、「要するにガードが甘い
のよ。外で依頼人の情報まで漏らさないでね」と釘を刺して帰ってい
く。
「飯島さんはちょっと、ガードが固すぎるかもしれませんね」と言う
美佐子に、皆が笑う。「でも依頼人には、そういう弁護士のほうが頼
もしく見えるんじゃないでしょうかねぇ」という麻生恵理(井上和香)
の言葉に、真紀は「見習おう…」

 事務所を出た妙子は、駅前のスタンドに並ぶスポーツ新聞に、【テ
ィアラ女性社長殺し 犯人は夫だった!?】というデカデカとした見出
しを見かけ、思わず手に取る。【別居中の夫 資産目当ての】などと
書かれた見出しの横に、佳恵の夫・哲夫(西村和彦)の写真が掲載さ
れている。目を疑い、「哲夫さん!?」とつぶやく妙子。

 事件は5月11日に発生した。エステサロン『ティアラ』を経営する
山崎佳恵が、自分の店で殺害されているのが発見された。首には電話
コードが巻かれ、絞殺された模様。発見したのは、夜8時ごろ訪ねて
きた佳恵の妹・吉川和美(遠野凪子)。和美は、現場で佳恵の夫・哲
夫を目撃したと証言。哲夫は犯行を否認するが、一人でドライブして
いたという哲夫にアリバイはなく、自宅からは目撃証言とよく似た黒
いジャンパーや帽子が押収される。そのうえ、哲夫は佳恵と別居中で、
警察は、資産目当てで佳恵を殺したと断定して、そのまま起訴。
『7人の女弁護士事務所』が弁護を担当することになった。

 真紀や千春とともに接見に訪れ妙子は、緊張した面持ちで哲夫と顔
を合わせる。自己紹介の場面で口ごもる妙子に、哲夫は「久しぶりだ
な」と声をかけ、驚く真紀たち。哲夫は「大学時代の友人」と説明す
るが、妙子は、事件のことを話すよう促す。
 哲夫は、2年ほど前から佳恵と別居していた。原因は浮気などでは
なく、ただいつの間にか、気持ちがすれ違うようになったのだという。
事件当時ドライブしていたというアリバイを証明するためには、目撃
証言を探す必要があった。哲夫は、和美の目撃証言も何かの間違いだ
し、現場に指紋があるのは、佳恵と話すために何度も店に言っている
から当然だと主張。「俺は潔白だ」とまっすぐな目で誓う哲夫に、妙
子もまっすぐに見返し、「必ず、無罪を勝ち取って見せるわ」

 事務所に戻った妙子は、哲夫と昔交際していたことを明かす。私情
が混じって目が曇るのではと恐れて、黙っていたという妙子に、目が
曇らない自信があるのかと確かめる美佐子。だが、千春は「接見のと
きの様子だと、今にも焼けぼっくいに火がつきそうな感じやったけど」
恵理も「けっこうハンサムな人なんですよ。無罪を証明して、もう一
度付き合ってみたらどうですか」と茶化す。
 美佐子は、和美の目撃証言の検証と、ドライブをしていたという哲
夫の証言の裏づけを探すことがポイントだと整理。哲夫は、その時に
ドアミラーをバス停にこすったと言っており、それが手がかりになる
可能性があった。だが、道に迷っていたせいで場所がはっきりしない。
可能性のある場所を、しらみつぶしに当たるしかなかった。

 早速、皆は手分けしてバス停を回るが、道が入り組んでいる上にバ
ス路線も複雑で、恵理は迷子になるし、前途多難の様相。

 一方、妙子と真紀は、和美に会いに行く。和美は「義兄の知り合い
で、弁護士になった人がいたと聞いたけど」と揶揄するが、妙子はそ
れには答えず、目撃証言の詳細を尋ねる。
 和美が店に近づこうとした時、遠目に、黒ずくめの男が辺りをうか
がいながら、佳恵の店を出て非常階段に消えていった。不審に思いな
がらも和美が店に入ると、佳恵は死んでいた。あれは確かに哲夫だっ
たと断言する和美。
 夜分に訪ねたのは、佳恵に会おうと連絡したところ、店で一人で仕
事しているから来てと言われたからだという。
 佳恵は、エステサロンの経営が順調で、資産は5億円ほどもあった
という。哲夫が遺産を目当てに佳恵を殺したのだと断言する和美に、
妙子は、哲夫が有罪になれば、和美に遺産の全額が転がり込むと返す。
「あんたこそ、山崎に遺産を受け取らせて、二人でよろしくやろうっ
ていうんじゃないの!?」「私はそんな、公私混同するような人間では
ありません!!」
 怪しい雲行きに焦った真紀は、あわてて口を挟み、哲夫が遺産を狙
っていたという根拠を尋ねる。和美は、哲夫が最初から財産目当てだ
ったと信じており、だから結婚自体も反対していた。浮気をしなかっ
たのも、それをネタに離婚を迫られないための自衛策なのだと話す和
美に、妙子は思わず「哲夫さんはそんな人じゃありません!!」と叫ん
でしまう。

 帰宅し、一平や居候の弟・航平(藤堂雅人)と食卓を囲む真紀は、
昼間の一件を話し、いつも冷静な妙子が取り乱すなんて、と首をかし
げる。
 一平は、もしも自分が被告で真紀が弁護人だったら…と尋ねる。航
平は、「この人が冷静でいられるわけないじゃないですか。検察官に
殴りかかりますよ」と茶化すが、「感情を素直に出したほうが、真紀
らしくていいと思うな」と一平は言う。

 同じ頃、妙子は一人事務所でたたずんでいた。それに気づいた美佐
子は、感情を抑えられないと戸惑う妙子に、「困ったことがあったら、
いつでも相談して」と優しく声をかける。

 翌日、バス停めぐりを続けていた恵理たちは、ついに、こすった跡
のあるバス停を発見する。
 真紀と妙子は、哲夫に接見していた。哲夫は、財産目当てだなんて
誤解だと主張し、以前、和美に言い寄られたことがあると打ち明ける。
それを断って以来、冷たく当たられるようになったという。
 だからといって、和美が自分を陥れるために嘘をついているとは思
えないと言う哲夫に、「ありえない話じゃないわよ」と言う妙子。
「相変わらずだな。君は、人の悪いところを見すぎる」「そのぐらい
が、弁護士にはちょうどいいのよ」「天職を見つけたってワケか」
 そこへ、恵理が入ってくる。バス停の傷を発見したという報告に、
これでアリバイ成立!と喜ぶ真紀だが、アリバイを成立させるために
は、まだ、それが犯行時刻と同じ頃につけられたものだと証明する必
要があった。

 事務所で、そのことに思いをめぐらす宏美と千春。現場の写真を眺
めていた宏美は、時刻表を訂正する紙が上貼りされているのに気づき、
さっそくバス会社を訪ねる。それによると、この紙が貼られたのは、
時刻表が改正された5月10日の早朝だという。

 つまり、バス停に傷がついたのは、5月10日の早朝以降ということ
になる。哲夫は、犯行当日の11日までソウルに出張していた。成田に
着いたのは午前中で、そのあと会社に直行して夜7時まで社内にいた
ことが確認できている。犯行推定時刻は8時で、その日のうちに哲夫
は取調べを受け、そのまま逮捕されている。つまり、事件の前にも後
にも、あのバス停に傷をつける機会はなかったのだ。
 それでもまだ、問題は残る。和美の目撃証言だった。
 どこかに、証言を覆す材料があるはずだと真紀は言う。真紀たちは、
ヒントを求めて、殺害現場を再び当たることにする。

 殺害現場にあふれた郵便物を整理していた真紀は、その中に伝言メ
モを見つける。【5月11日午後8時にうかがいましたが、お留守のよ
うですのでまたご連絡いたします。グリーンオアシス 北野】事件当
日、しかも殺害時刻と同じ頃だ。和美が見たのは、哲夫ではなく、こ
の“北野”なる人物かもしれない。
 早速、観葉植物の業者『グリーンオアシス』を訪ねるが、従業員の
女性(若槻千夏)に取り次いでもらい、現れたのは、北野明子(山田
麻衣子)という女性だった。“北野”が男性だと思い込んでいた真紀
たちは、顔を見合わせる。

 そして第二回公判。
 和美が証言者として、事件を発見した際に哲夫を目撃したことを証
言。続いて反対尋問に立った妙子は、目撃したという哲夫らしき人物
の服装を確認する。黒いジャンパーと黒い帽子で間違いないと、憎々
しげに答える和美に、さらに午後8時ごろだったことを確認して、反
対尋問を終える。
 続いて、弁護側の証人として、明子が呼ばれる。事件当夜は得意先
回りをしていたという明子は、「『ティアラ』を訪ねませんでした
か?」との問いに、「はい。前日に納品したグリーンの元気がないと
言われたので、様子を見に」だが、入り口から声をかけても応答がな
いので、誰もいないと思い、メモを置いて帰ったと証言する。
 そのときの服装について尋ねた真紀は、営業用の制服を着ていたと
言う明子に、その制服に着替えるよう頼む。着替えて証言台に戻って
きた明子は、黒いジャンパーに黒いキャップ。まさに、和美の証言と
同じ服装だった。
 明子は、8時ごろ店を訪れ、帰るときは階段で降りたという。「つ
まり、吉川和美さんが目撃したのは、北野さん、あなただった可能性
が高いですね?」弁護人の異議にも余裕の表情で、真紀は尋問を終え
る。
「こんなのインチキよ!!」和美は思わず立ち上がり叫ぶが、裁判長に
制止され唇をかむ。戸惑いの表情を浮かべる哲夫。会心の笑顔の真紀
に、妙子も、やや表情をゆるめる。
 バス停の傷と哲夫の車の傷が一致することも証拠となり、哲夫には
無罪判決が下る。
 逆に、和美は警察で尋問を受ける。「私が疑われるのも無理ないわ。
でも、私がやったという証拠はどこにもありませんからね」不敵に微
笑む和美。

『7人の女弁護士事務所』に拍手で迎えられる哲夫。「皆さんのおか
げです」と頭を下げる哲夫に、千春は「飯島さんのおかげやって言い
たいんちゃうん〜」とからかう。真犯人は謎のままだが、美佐子は、
「ここから先は警察の仕事」哲夫の無罪を証明した時点で、事件との
かかわりは終わったのだと釘を刺す。
 差し入れのワインを渡し、「たまった仕事を片付けないと」と退出
する哲夫を、妙子は、ちょっとそこまで、と送っていく。
 残された弁護士たちは、焼けぼっくいに火がついたのではないかと
興味津々。「結婚したら、一生頭が上がらないんじゃないですかね」
と言う真紀に、「頭が上がらないぐらいがちょうどいいのよ」と宏美。
美佐子は、「女性弁護士の相手として最適なのは、健康で、出張の多
い勤め人ですね」と自らの見解を述べ、皆は含蓄ある意見に拍手喝采
を送る。

 バラが咲き誇る公園でを歩く哲夫と妙子。「こうやってバラの花を
見ることができるのも、君のおかげだな」「昔のあなたのアパートの
庭にも、バラが咲いてたわね」「もう一度あの頃に戻らないか」笑っ
て「どういう意味?」と聞き返した妙子に、「そういう意味だよ」哲
夫は、真剣なまなざしで答える。うつむく妙子。

 シャワーの音が聞こえる中、ソファで雑誌を読む妙子。やがて音が
止まり、洗面所では哲夫が髪を拭く。「冷蔵庫のもの、適当に飲んで
ていいから」リビングの妙子に声をかける。
 その声に立ち上がり、キッチンでビールを出した妙子は、はずみで
ゴミ箱を蹴倒してしまう。あわててごみを拾い集めると、そこには
「東和バス」と書かれた告知文のような紙の切れ端が。ハッとした妙
子は、思わず哲夫のいる洗面所のほうを見る。
 やがて、バスローブを着た哲夫がリビングに戻ってくるが、誰もい
ない。妙子はあわてて哲夫のマンションを後にしていた。

 一方、真紀は一平とデート。「今回の件で、ちょっと怖くなっちゃ
った。真実ってたった一つでしょ。それに気づかずに通り過ぎたら、
永遠に見つからないままかも」「それを怖がってちゃ、俺たちの仕事
なんてできないよ」
 「そういえば…」一平は、佳恵の解剖をして妙なことがあったと言
いだす。なぜか、髪に、赤い土がついていたというのだ。だが、事件
との関連性は見出せず、警察も問題にしなかった。
 そのことを詳しく聞こうとしたとき、真紀の携帯が鳴る。妙子から
だった。「今から会える?」「わかりました、すぐ行きます」真紀は、
話しながら一平に片手で謝る。

 喫茶店で真紀とおちあった妙子は、哲夫のゴミ箱に捨ててあった紙
片を広げ、つなぎあわせる。それは、哲夫がバス停に傷をつけた、東
和バスの時刻変更のお知らせだった。
 つまり、哲夫は、バス停に傷をつけることが完全なアリバイになる
ということを知っていたのだ。そんな妙子の分析に、真紀は「あの人
が被害者を殺して、なおかつバス停に傷をつけるのは、時間的に無理
だってわかったじゃないですか」「共犯者がいれば、簡単なことよ」
 一度無罪になった哲夫は、「一事不再理」といって、二度と同じ罪
で裁かれることはない。「でも私、真実が知りたいの」妙子は、真摯
なまなざしで真紀に訴える。うなずく真紀。

 翌日、事務所では五月が、岐阜の銘菓・ばらまんじゅうを出す。皆
は大喜びで群がるが、真紀と妙子の姿がない。ボードには【打ち合わ
せ】の文字が。「勝訴して浮かれて遊んでるんじゃないの〜」「でも、
藤堂さんはともかく、飯島さんはそんなキャラじゃないでしょう!?」

 その頃、真紀と妙子は、公園で哲夫と会っていた。昨夜黙って帰っ
たことを尋ねる哲夫に、妙子は、無言で貼り合わせた紙片を見せる。
哲夫は、たまたま仕事でバスに乗ったときにもらったと言うが、「普
段乗らないのに?」と妙子は納得しない。真紀も「東和バスのバス停
に傷をつけたのがアリバイの決め手になるなんて、偶然ですね」
 しかも、バス停に接触した際にトラックとすれ違ったというが、そ
の道はバス以外の大型車は通行禁止だった。「あのトラックが違反を
してたんだ」「そのトラックのナンバーを覚えてる?」「覚えてるわ
けないだろう! 疑ってるのか? 俺の潔白は、君たちが立証してく
れたんじゃないのか」「裁判で立証したことが、真実だとは限らない
わ」
 そんなに疑わしいなら、警察にでも訴えればいい。そう言い捨てて
立ち去る哲夫を、硬い表情で見送る妙子。かつて二人で愛でたバラが
咲き誇るなか、すれちがっていく。

 事務所に戻った真紀たちは、皆に経緯を報告する。妙子「私の責任
です」と言うが、千春は「飯島さんが責任を感じることないわ」それ
に、一事不再理というのは刑事裁判の話で、民事で損害賠償請求を起
こすことはできる。殺された佳恵の妹である和美が裁判を起こし、訴
えが認められたら、刑務所に入ることはなくても、遺産を剥奪されて
制裁を加えることはできるのだ。
 美佐子は、和美から依頼されていない以上、もうこの事件とのかか
わりは終わったのだと諭すが、真紀をはじめ皆の真剣なまなざしに押
され、「しょうがないわね」と事件の洗い直しを命じる。
 真紀は、一平が言っていた、被害者の髪に付着した土のことを思い
出す。事件現場の写真を見直すと、観葉植物があった。「観葉植物の
土が、髪につくかなぁ?」宏美は、犯人が被害者と格闘中に鉢を倒し
てしまい、あとから拾い集めて元に戻したが、髪に土が残ったのでは
ないかと推測する。この観葉植物は、事件前日に、証人となった明子
の会社が納入したものだった。
 事件当日まで出張していた哲夫は、この鉢には触れていないはずだ。
逆に犯人は、鉢に触っているはず。つまり、この鉢に哲夫の指紋があ
れば…。

 早速、再度『グリーンオアシス』を訪ねた真紀は、妙子が明子に台
帳を見せてもらっている間に、横で美佐子に電話する。
「あの鉢は間違いなく、事件前日にこの会社から納入したものです。
しかも、納入したときにかならず、鉢をきれいに拭いて帰ってくるの
がこの会社の習慣だそうです。ですから、あの鉢についている指紋は
確実に、事件の日より後です」[じゃあ、なんとかして鉢植えを手に
入れましょう]「指紋の鑑定を依頼するんですね」
 真紀のストレートな言葉に、妙子と明子はギョッと顔を上げる。
 哲夫の指紋なら哲夫がくれたワインについているが、問題は、鉢植
えの入手方法だった。現場となったエステサロンはすでに、哲夫がオ
ーナーになっている。「オーナーの殺人を立証するために、鉢植えを
貸してくれなんて言えないものね」美佐子は少し考え、「私が何とか
しましょう」と笑顔になる。

 美佐子の“何とか”とは、自ら店内に客として潜入することだった。
フェイシャルの施術を受けながら、「30代前半のお肌ですね」とお世
辞を言われ、大喜びで「いやだ、それじゃあ実際の歳より……10歳も
サバを読むことになっちゃうじゃない〜〜」と調子に乗る美佐子。
 そして帰り際に、脇に置かれた鉢植えの話を振り、探していたので
譲ってくれないかと頼み込む。エステティシャンは、困った様子であ
いまいにうなずく。
 首尾よく鉢植えを抱えて店を出た美佐子は、事務所に電話で報告す
る。鉢の土は真っ赤で、おそらく被害者の髪についていた土と同じも
のだろう。上機嫌で話しながら歩いていく美佐子の後方に、何者かの
影が見える。
 哲夫の指紋のサンプルを持って合流すると言う真紀に、待ち合わせ
の指示をしようとして、美佐子とはふと振り返る。「誰かにつけられ
ているような気がしたんだけど…気のせいね。15分後に約束の場所で
落ちあい、一緒に警察署に行きましょう」電話を切った美佐子の後ろ
に、ナイフを持った人物が迫る。

 一方、事務所で電話を置いた真紀と妙子も、あわただしく書類をそ
ろえて出ようとする。妙子はふと「あの人が犯人だってこと、立証し
ようとしてるのね…」とつぶやくが、キリリと表情を引き締め、「行
きましょう」と動きだす。
 真紀は、手元にあった証拠の伝言メモを手に取り、ハッとする。
「…どうして気づかなかったんだろう。…所長が危ない!!」あわてて
駆け出す。

 美佐子は、やはり人の気配を感じるが、振り返ると誰もいない。後
ろを気にしながらトンネルに入ったところで、向かいからナイフを手
にした黒ずくめの人物が現れ、美佐子に襲いかかる。
 そこへ、真紀と妙子が駆けつける。「やめてください、北野さん!
 北野さんでしょう?」サングラスを外したその人物は、北野明子だ
った。「どうして、私だって?」
 真紀は、明子が現場に残したメモを取り出す。その隅には、かすか
に赤茶色の汚れがあった。「ここに土がついていますね。犯人は犯行
の後、床にこぼれた土を拾っています。手には当然、その土がついた
はずです。それに、この土…」真紀はかがんで、美佐子が取り落とし
た鉢から真っ赤な土を指に取り、メモの汚れのところに指を寄せて
「同じ土のようですね」
「あなたは、被害者を訪ねたが留守だったと証言しました。でもそれ
は嘘です。この紙に、この鉢植えと同じ土がついていることが、あな
たが店に入ったことを示しています。被害者が留守だったので店には
入らず、メモを残して帰ったというのは、あなたの偽装です」
「あなたが、佳恵さんを殺したのね」思わず逃げ出そうとする明子に、
「逃げる場所はありませんよ!」と真紀の決め台詞が飛ぶ。

「あんなところに金を置いとくのが悪いのよ!」明子は泣きだしそう
になりながら、告白を始める。
 事件の夜、『ティアラ』を訪ねたものの、声をかけても誰も出てこ
なかった。入り口そばのレジには、その日の売上金がそのまま無造作
に置かれていた。思わず札束のひとつを手に取った明子を佳恵が見つ
け、警察に通報すると言いいだす。必死で謝る明子を無視して受話器
を取る佳恵に、明子は思わずつかみかかり、勢いで電話のコードで首
を絞めてしまう…。
 明子はナイフを構え、金が必要だったのだと訴える。「カードを使
いすぎて、ヤミ金に手を出してしまって」「でも、後悔しているんで
しょう?」妙子が声をかける。「あなた、山崎さんを救うために、ち
ゃんと証言してくれたじゃない」美佐子も「もうこんなことやめなさ
い。これ以上罪を重くしてどうするの」と声をかけると、明子は、泣
き崩れ座り込む。

 北野明子は逮捕され、山崎佳恵を殺害した罪で起訴された。

 バラの咲き乱れる公園で、妙子は哲夫に疑ったことを詫びる。「疑
わしければそれを疑うのが、弁護士の仕事だ。それに、そのおかげで
事件は解決したんだ」「ありがとう」
 立ち去ろうとする妙子に、哲夫は「こないだのあの夜に戻れないか
な。俺の気持ちは変わらない」「無理よ。あなたを疑ったことは、一
生消えない」「その前に、信じてくれた」「私、杓子定規な女なの」
 妙子の微笑みに、「昔と変わらないな」と哲夫も微笑む。二人は、
笑顔で別れて歩き出す。

 事務所では、真紀が神妙な顔。「やっぱり真紀ちゃん、ちょっとワ
キ甘かったなぁ」「そうよ。あなたが犯人に電話を聞かれたせいで、
所長が危ない目に遭ったじゃない」平謝りの真紀に、美佐子は「まあ、
今回はよしとしましょうよ。怪我の功名で、犯人がわかったし」「あ
りがとうございます。でも所長、ナイフを突きつけられても毅然とし
た態度、ご立派でした」
 ほめられて一気に場が和み、美佐子が襲われたときの武勇伝を話し
始めたところに、五月が伝票を手にやってくる。「このエステの料金、
経費で落とせませんよ。なんで、一年会員になる必要あるんですか!?」
突き戻した領収書は32万円もの金額。「だ、だって、そのほうが割安
だって言われたし…」
 急にしどろもどろになった美佐子に、皆はやいやい言いだす。いつ
もの事務所の風景。


寸  評  今回は、釈ちゃんの出番少なかったですね。原沙知絵好きなんで
よかったんだけど、相手が西村雅彦ってのが…「大学時代の友人」に
しては歳離れてやしませんか!? ま、落ち着いてるからそんなに違和
感なかったけど。
 展開は、かなり意外でした。
 何が意外だったかというと、怪しげな複線が全部、事件と無関係だ
ったから…トホホ。だってぇぇぇ、西村雅彦の泳ぐ視線も、遠野凪子
の必要をはるかに超えたツンケンさかげんも、全部ただの「本人の性
格」だったなんて!! しかも、時刻改正のお知らせを持っていたのだ
って、結局「偶然」なんでしょ…さんざん怪しませておいて、全部気
のせいでした、なんてヒドイ!! もぉぉぉぉぉ。
 そういえば、ちなっちゃん出てましたね。確か、深夜の『草野キッ
ド』かなんかで、若槻千夏を女優にする!とかいうプロジェクトがあ
ったらしく、子役(たしかちびまる子ちゃんやった森迫永依ちゃんだ
ったような)に教えてもらったりして、『女弁護士』の演出家かなん
か招いて釈ちゃんの役を演じたりしてましたが(散々でしたが)、そ
のときにごねて、ちょい役で出してもらう話になったのを見た気がし
ます。だから、放送見て出てるから、おぉ!!と思いました。やっぱり
散々だった気がしますが…。
 まぁ、山田麻衣子がかわいかったのでよしとしましょう。それにし
ても遠野凪子はこわかったですね。アップになるだけでホラーでした
ね。あんな顔で迫られたら、そりゃぁ愛妻家じゃなくたって断ります
ね。ゼイゼイ

執 筆 者 Nami(nami_s1976@yahoo.co.jp)

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2. 編集後記
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 またしばらくアップが止まってしまっていました。すみません。平日勤めて
いるため、土曜日に執筆しているのですが、祭日で保育園が休みだったり、行
事があったりしてなかなか時間が取れず…。やっぱり集中が肝心なので、ちび
っこがちょろちょろしているとちっとも進まないですね。
 先日、そんな娘の運動会がありました。まだ2歳児クラスなので、出番はか
けっこと親子競技だけ。その、親と一緒に「動物体操」なるものをするという
競技に出たのですが、みんな元気に踊っている中、娘はひとり完全無視。私だ
け踊るも、なんかすごく恥ずかしいぞぉぉぉ。音楽大好きで、家でテレビを見
ているときには踊ったりするのですが、そういえばフリツケものは、人にやら
せて、自分は楽しそうに眺めていることが多い気がします…。
 1つ上のクラス(幼稚園年少にあたる)の一糸乱れぬリズム体操を見て、来
年ほんとにこんなことができるのか、一抹の不安に襲われました。
 それにしても、年長さんというのはすごい。最年長として、先生のお手伝い
や小さい子のお世話にと大活躍。自分たちの競技では、逆上がりに跳び箱に縄
跳び、竹馬と、日ごろの鍛錬の成果を余すところなく見せつけてくれます。す
ごい、すごすぎるよ。私は小学校3年まで逆上がりができなかったよ。
 年長さんというのは、顔も引き締まり、物わかりもよく、大人みたいだと常
日頃から思っていました。夏に保育園見学にやってきた小学校の先生も「一年
生を子ども扱いしすぎていたかも」という感想を持たれたそうです。なんだか
心強くなってきました。あれめざしてがんばろうっと。(Nami)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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