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タイトル:Daily Drama Express 2006/12/18 のだめカンタービレ (10)  2006/12/25


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2006/12/18 (Mon) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.月曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 月曜日の連続ドラマ
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タイトル のだめカンタービレ
局  名 フジ系
放映日時 月曜21時
キャスト 野田恵 (上野樹里)
 千秋真一(玉木宏)
 谷岡肇 (西村雅彦)
 峰龍太郎(瑛  太)
 三木清良(水川あさみ)
 奥山真澄(小出恵介)
 多賀谷彩子(上原美佐)
 大河内守(遠藤雄弥)
 佐久 桜(サ エ コ)
 峰 龍見(伊武雅刀)
 河野けえ子(畑野ひろ子)
 江藤耕造(豊原功補)
 フランツ・シュトレーゼマン(竹中直人)
 石川怜奈(岩佐真悠子)
 田中真紀子(高瀬友規奈)
 玉木圭司(近藤公園)
 橋本洋平(坂本 真)
 鈴木 萌(松岡璃奈子)
 鈴木 薫(松岡恵望子)
 岩井一志(山中崇)
 金城静香(小林きな子)
 井上由貴(深田あき)
 金 井 (小嶌天天)
原  作 二ノ宮知子
脚  本 後藤凜
主題歌  『』

あらすじ Lesson10「波乱のコンクール!告白と涙の最終章!!」

 満を持して臨んだはずの二次予選だったが、思いがけない過去のト
ラウマからのだめ(上野樹里)は自分を見失ってしまった。演奏が終
わると、のだめは心ここにあらずといった感じで2曲目に入れない。
客席の江藤(豊原功補)は「なんちゅう顔しとんのや……」とため息
をつく。一方悠人(伊藤隆大)は見下すような笑みを浮かべていた。

 のだめはうつろな視線で客席を見やると、千秋(玉木宏)の姿が目
に入ってくる。千秋はじっとのだめを見つめている。「千秋先
輩……」。のだめはようやく我に返り「ドビュッシー……」とつぶや
く。とたんにのだめの表情がパッと明るくなる。

 のだめは2曲目の課題『喜びの島』を弾き始める。「ドビュッシー
はね、南の島で恋しちゃってルンルン!でこの曲を書いたのよ」とい
うかおり(白石美帆)のアドバイスを思い出したのだめは、嬉しそう
な表情で演奏する。

 千秋は「今まで綱渡りだったんじゃねえか」と笑みを浮かべ、かお
りも「素敵、音がきらきらしている!」と感嘆する。隣の江藤も安堵
の表情を浮かべる。

 審査員席でも「恋に我を忘れたドビュッシーを見事に表現してい
る!」と驚きの声があがる。審査委員長のオクレール(マヌエル・ド
ンセル)は「彼女はそれを表現しているわけではない。まだ……ベー
ベ(赤ちゃん)なのかね!」とつぶやく。一方悠人は表情を引きつら
せる。

 こうして無事2曲目を弾き終えたが、1曲目のこともありのだめも
江藤も本選は微妙だと思っていた。だが、結果は無事通過、本選に進
むことになった。のだめはびっくりし江藤やかおりと喜び合う。

 のだめは嬉しさいっぱいで帰り支度をしていると、千秋からメール
が届く。「本選も見に行くから頑張れ」。のだめはすぐ「待ってま
す!」と返事を送り、「絶対優勝してみせます!」とやる気を漲らせ
る。千秋も「俺も頑張らなくては。まだやらなきゃいけないことがあ
るんだ」と決意を新たにする。

 千秋がR☆Sオケの練習にやってくると、かつてのSオケメンバーが
集まってきていた。オーディションがあると聞いてやって来たのだと
いう。R☆Sオケに入るため必死に練習してきたからと頭を下げるSオ
ケメンバーたちに千秋は「わかった、編成が多いときはオーディショ
ンするから死ぬ気で練習しておけ」と伝える。

 そこへけえ子(畑野ひろ子)と佐久間(及川光博)が現れ、クリス
マス公演の宣伝用写真を撮ることになったので千秋に準備してほしい
と急き立てる。そんな千秋を部屋の外から見つめる1人の男子学生が
いた。

 プロオケ志望だった真澄(小出恵介)は清良(水川あさみ)に新都フ
ィルの書類選考を通り、実技選考と面接に進んだことを嬉しそうに話
す。しかし入団が決まればR☆Sオケとの掛け持ちでやっていけるかど
うかが気がかりだと悩んでいた。すると清良は「掛け持ちできるなら
いいけど」とため息をつく。

 清良は帰国するカイ・ドゥーン(ジョン・ヘイズ)を見送りに行っ
たとき、ウィーンに戻ってくるようにと言われていた。R☆Sオケの演
奏に感動したカイ・ドゥーンは清良の実力を再評価していた。ウィー
ンに行くことになればR☆Sオケを去らねばならないし、龍太郎(瑛太)
とも……。

 清良が悩んでいると、龍太郎が「クリスマス公演のチケット完売ら
しいぞ!」と教えに来る。清良は思い切って龍太郎にウィーン行きを
切り出そうとするが、龍太郎は「永遠に続くオケ!俺の夢への第2
歩!」と浮かれ騒いでしまって聞いてもらえない。

 千秋は写真撮影のために別室で着替えていた。そこへさっきの男子
学生が入ってくる。その学生は高橋(木村了)と名乗るとR☆Sオケに
入団したいと告げる。ブッフォン国際音楽コンクールヴァイオリン部
門第3位の実績があり、ちょうど留学先のパリから帰ってきたのだと
いう。

 だが、千秋はヨーロッパ行きのこととR☆Sオケのことで頭がいっぱ
いで、高橋の言うことが耳に入らず、着替え続けていた。すると高橋
は妙に興奮し始める。ふと我に返った千秋が「えっと、何だっけ?」
と聞き返すと、高橋は「いいから早く脱いでよ!」とじれったそうに
するので、千秋は顔を引きつらせる。

 江藤は、のだめにシューマン(ドイツ1810−1856)の『ピアノソナ
タ第2番ト短調』とストラヴィンスキー(ロシア1872−1971)の『ペト
ルーシュカ』を本選用の曲として決める。どちらも難易度の高い曲だ
ったが、本選まで完璧に仕上げる時間がない以上、のだめの卓越した
技巧を最大限にアピールできるこの2曲がいいと判断したのだった。
「まさか本選にまで進むとは」。江藤にとっては嬉しい誤算だったが、
準備不足のツケが回ってきたので頭が痛い。

 高橋は「僕はこのオケのコンミスよりうまいよ!」と自信たっぷり
に言う。カッとなる清良を尻目に高橋がヴァイオリンを弾いてみせる
と、清良の表情が一変する。高橋のテクニックは本物で、菊地(向井
理)や黒木(福士誠治)もその実力を認める。千秋も「繊細で細やか。
情熱的でダイナミックな清良とは違うタイプか」と評する。

 高橋は、清良とどっちがうまいか決めてほしい、上手いほうがコン
マスだと主張する。ヴィジュアル系の高橋は芸能界からスカウトを受
けていたが、先日のR☆Sオケの公演に感動したのでR☆Sオケでコンマ
スができるならその話を断るという。それに千秋がいるからと色目を
見せる。

 清良は悔しいが何も言えない。すると龍太郎が「今日からメンバー
だ、よろしく頼む」と言い出す。龍太郎はダイナミックさで劣るとは
いえ、技術的には清良より上だし、ブッフォン国際コンクール3位の
高橋がコンマスのほうがオケのイメージも上がるとメンバーを説得す
る。

 千秋や真澄は唖然とし清良は落ち込むが、龍太郎は「だから清良、
迷っていないでウィーンへ行け。そしてこいつより上の賞を2つ3つと
って帰って来い」と続ける。龍太郎は清良が不在の間高橋にコンマス
を務めてもらうことでR☆Sオケを存続させようと考えていた。何人抜
けようがこのオケを続けていく、龍太郎はそう覚悟を決めていた。清
良は龍太郎の思いやりを感じ、龍太郎の胸にすがりつく。千秋は2人
の関係をはじめて知って驚き、真澄に鈍感とからかわれる。

 千秋は龍太郎の言葉を聞いて「ずっとそこにあるだけでなく、進化
していくオケになれれば」と感じ、いよいよヨーロッパ行きの決心を
固める。

 その日、手をつないで仲良く帰っていく龍太郎と清良を見て、千秋
は微笑ましく思うものの、何か自分の中でしっくりしないものを感じ
る。そこへ高橋が現れ「今日は友好を深めるために朝まで語り合お
う!」と嬉しそうに話しかけてくる。高橋にその気があるのを感じ取
っていた千秋は真澄が高橋を取り押さえている間に逃げ去る。

 千秋は一息つくと「俺のほうも何とかしないと」と佐久間に電話を
かける。クリスマス公演後のR☆Sオケのことを相談する必要があった
からだ。

 のだめは、シューマンのピアノソナタと格闘していた。何度も何度
も弾いて感覚を確かめるが、どうもひっかかるものがある。「何で?
何でそうなる、シューマン……」。のだめはぶつぶつ言いながら楽譜
を食い入るように見たり、人差し指と人差し指を電極のようにして天
井を見上げていたりした。たまたま食事を運んできたかおりはその様
子に慌てふためく。のだめは昨日運ばれた食事にまったく手をつけて
おらず、文字通り不眠不休だった。

 キャンパスでは、マラドーナピアノコンクールの本選出場者として
のだめの名前が掲示されていた。怜奈(岩佐真悠子)と真紀子(高瀬
友規奈)は「のだめ、いつの間に……」と驚く。彩子(上原美佐)も
掲示を見て驚きを隠せない。怜奈は江藤にのだめの様子を尋ねる。江
藤は「あいつは本選に間に合うかどうかのレベル、今日も徹夜で練習
や。シューマン、あれは時間がかかるで」と頭を悩ませる。

 ところが夜家に帰ってくると、のだめはすでにシューマンを完成さ
せて弾きこなしていた。江藤は驚くが、かおりはのだめの様子がおか
しいので心配だと話す。江藤がのだめの練習を見に行くと、今度は気
の抜けたような演奏をしている。とらえどころのない移り変わりに江
藤は「俺はコイツをどう教えたらいいんや」と頭を抱える。

 だが、のだめはいきなり演奏をとめたかと思うとばたっとピアノの
突っ伏してしまう。いつもの奇行と江藤は思うが、近寄ってみると、
のだめは高熱を発して、意識朦朧としていた。コンクールの練習の
日々でのだめは限界を超えてしまったのだった。

 彩子は千秋の部屋を訪れ、のだめにR☆Sオケのクリスマス公演チケ
ットを渡しに来たが、いなかったので千秋に預けたいという。彩子は
「あたしは何とかして真一に振り向いてほしかった。けどあの子は真
一と肩を並べて歩くために一生懸命だったのね」と言うと立ち上がり、
帰っていく。その間際彩子は「真一も頑張ってね、日本最後の公演な
んでしょ」と付け加える。

 日本最後の……千秋は本棚からスコアを取り出す。それはベートー
ヴェン(ドイツ1770−1827)の交響曲第7番イ長調だった。

 江藤は、いつも変だから本当に変だということに気づかなかったこ
とを悔やむ。だがこうなった以上はゆっくり休ませるしかなかった。
たとえ弾きこなすための時間がないとしても。

 のだめは夢を見ていた。炎の輪が目の前に広がっている。マングー
スの着ぐるみを着たのだめは「ペトルーシュカの輪をくぐれば賞金
200万円!のだめ、くぐります!」と意気込んでいる。ところが突然悠
人が現れ、「言っとくけど、失敗したら針千本の刑だよ」と脅しかけ
る。のだめは震えだす。見ると離れたところに「花桜ピアノ教室」と
いう立て札のついたドアがあり、中から幼いころに虐待を受けた男性
講師がじっと見ていた。

 翌朝、熱は下がっていた。のだめはすぐ『ペトルーシュカ』のCDを
聴いて覚えようとする。「にぎやかなおもちゃの国のお祭りのようで
すね」とつぶやくのだめに、江藤は「無理や、いくらお前の耳がよく
ても間に合わん」と言って聞かせる。だがのだめは諦めようとしない。

 移動中のバスでものだめは譜読みを続け、曲をインプットする。と
ころが、同乗していた男性客が「今日の料理」の着メロを同僚に聞か
せたので、のだめは集中力を切られてしまう。カッとなったのだめは
男性客をにらみつけ止めさせる。

 会場についてものだめは譜読みを続けていた。江藤は「お前はよう
やった。だが身体が持たん。たとえ失格になっても1曲目を終えたら
舞台を降りろ」と指示するが、のだめは聞き入れない。

 本選会場には千秋の他に龍太郎、桜(サエコ)、真澄の姿もあった。
千秋は、さすがに本選ともなるとレベルが高いと感じる。

 のだめは順番を待ちながら譜読みを続けていた。すると悠人が現れ
「めぐみちゃん、今日花桜先生も見に来ているよ」と動揺させようと
する。のだめは譜読みをやめ固まってしまう。悠人は追い討ちをかけ
るように「僕はもう君には負けないよ、なんとかも20歳過ぎればただ
の人ってね」と嫌味を言ってステージに向かう。

 悠人の演奏は完璧だった。千秋は聴きながらミスがなく、曲の叙情
性もうまく引き出せていると評価する。だが、審査委員長のオクレー
ルは「彼は、何に怯えているのかね」と悠人の演奏に違和感があるの
に気づいていた。

 のだめは、またもや幼いころのトラウマに苦しめられていた。花桜
は「君は上を目指すんだ、世界へはばたくんだ!」と幼いのだめを叱
咤するが、のだめが譜面どおりに弾かないので手を執拗に叩く。のだ
めは花桜の腕に思い切り噛み付く。花桜は怒って、のだめを殴りつけ
る……。

 そうこうしているうちにのだめの順番がやってきた。のだめはスカ
ーレッド・オハラの衣装を着て現れ、会場内をどよめかせる。イスに
ついたのだめは天井を見上げる。かおりは「彼に追いつきたくてここ
まで頑張ってきたのだめちゃんに、神様どうか祝福を!」と祈るよう
な思いで見つめる。千秋もまた同じような思いでのだめを見つめてい
る。

 のだめは目を閉じて集中すると、シューマンのピアノソナタを弾き
だす。千秋は「あいついつの間に……」と驚きを禁じえない。リズム
の持つ切迫感にとりつかれたかのような渾身のシューマン。こんな演
奏をするのだめをはじめて見る思いがしたのだった。

 審査委員長のオクレールも「切れちゃだめだよ、ベーベ(赤ちゃん)
。君は何かを得たくてここへ来たんだろう?」と問いかける。演奏が
終わると、もう1曲あるのに会場から大きな拍手が沸き起こる。江藤
は惜しいと思いつつも「ようやった、はよ立って挨拶せい」とステー
ジののだめを見やる。一方オクレールは「こんなもんじゃないんだろ
う?」とけしかけるような笑みを見せている。

 のだめは立たず真剣な表情でピアノを見つめたかと思うと、『ペト
ルーシュカ』を弾き始める。江藤は「弾きおった……」とのだめの頑
張りに驚かされる。

 千秋は「音符が多く、活動的な曲。こいつの多彩な音が引き出され
ている。まるでオーケストラだ!」と興奮を覚える。

 だが順調に進むかに思えた矢先、のだめの手が止まってしまう。の
だめの中で曲が途切れてしまった。それは、バスの中で集中力が切ら
れたところだった。混乱したのだめは「今日の料理」のフレーズを弾
きだしてしまう。その後『ペトルーシュカ』に戻るが、また「今日の
料理」のフレーズが現れる。会場内はどよめき失笑が漏れる。江藤は
肩を落とし、千秋も「作曲してしまっている!」と呆然となる。のだ
めの演奏に色を失っていた悠人は勝ち誇った笑みを浮かべる。

 演奏が終わると、のだめは深く一礼し逃げるようにステージを去る。
会場内はシーンと静まり返っていたが、龍太郎が「ブラボー!」と叫
び、手を叩くと、盛大な拍手が送られるのだった。江藤もかおりもの
だめの頑張りにうっすらと涙を浮かべ、オクレールも興味深そうな眼
差しを送る。「いくらいい演奏でも曲を変えて弾くのは論外だ。結局
間に合わなかったのか、それでも……」。千秋は進化しはじめたのだ
めを目の当たりにする思いがしていた。

 控え室に戻ったのだめは悔し涙をこぼし、自分の番号の書かれた札
を引き裂く。そして表彰式が終わるのも待たずに会場を飛び出してい
く。その表彰式では悠人が2位、1位は該当者なしとなった。1位を
確信していた悠人は信じられないといった顔つきになる。

 千秋は走り去るのだめを追いかけて声をかける。「俺と一緒にヨー
ロッパへ行かないか?」。ピアノを続けるのならヨーロッパのほうが
のだめに合うと千秋は考えていた。留学支援の制度なら他にもあるし、
海外でいろんなことを一緒に経験しよう、そう千秋はのだめを誘う。

 だが、今ののだめにはどんな言葉も慰めにはならなかった。のだめ
は「なんで、なんでそうまでして勉強しなきゃならないんですか!」
と反発する。千秋は驚き「なんでって、お前ピアノに本気になったん
だろう?」と聞き返す。しかしのだめは「コンクールに出たのはお金
のためですよ。遊ぶ金が欲しかったんですよ。なんでみんな勝手なこ
とばかり、いつもいつも昔から」と心を閉ざしてしまう。

 のだめの脳裏に花桜に上を目指せ、世界に羽ばたけとスパルタ指導
を受けたことが蘇る。「自由に楽しくピアノを弾いて何が悪いんです
か!」。のだめは溜まっていたつらい思いを爆発させる。千秋は「コ
ンクールの舞台で演奏して楽しくなかったのか?」と尋ねる。のだめ
は泣きそうな顔をしながら「楽しくないですよ」と答える。

 千秋は何を言っても無駄だと感じる。しかし最後に「今日、あれだ
けちゃんと音楽に向き合うお前を始めて見た。すごくいい演奏だった」
と残念そうに付け加えて立ち去る。だがのだめは「それでも、だめだ
ったじゃないですか」と涙をこぼす。

 それから数日が過ぎた。のだめは自分の部屋に引きこもり、ピアノ
の音はまったく聞こえてこなかった。千秋は佐久間から自分の後任候
補が何人かリストアップされたことを聞かされる。いよいよ、ヨーロ
ッパ行きのことをメンバーに告げなくてはならない、そう思うと千秋
は心が重くなる。

 千秋は練習に入る前に、自分がヨーロッパへ行くこと、フィナーレ
を飾る曲としてベートーヴェンの交響曲第7番を取り上げることにし
たことを話そうとする。ところが、メンバーにはすでにパート譜が回
っていた。龍太郎がメンバーに話していたのだ。千秋が最初に振った
曲を完璧に演奏して、送り出そうと。みなそういう思いでいた。

 千秋はみんなに感謝し、さっそく練習に入ろうとする。だが、いつ
もなら見学しているのだめの姿がなく、気になる。それを振り払おう
と千秋は「もういい、俺には関係ない」とタクトを振り上げる。

 そのころのだめは荷物をまとめ、帰郷の途についていた。


寸  評  今回はのだめの人となりがよく描かれていたと思います。楽しく
弾く、幼稚園の先生になりたい、そういったことはおそらく過去のト
ラウマから音楽を楽しむことを伝えたいという思いがあるのではない
でしょうか。
 また千秋に追いつくためとはいえ、上を目指すことはつらいものだ
ったかもしれません。いつもはふざけている感じなのにいったん本気
になると誰も止められません。自分を追いつめるまでになってしまう。
千秋に一緒にヨーロッパへ行こうと言われて、突っぱねるなんてあり
えないはずですが、のだめの中で1位を取れなかったこと、つまり千
秋のレベルに追いつけなかったことがそれを許しませんでした。のだ
めが自分を責めるのも幼いころの虐待の影響なのかもしれません。
 のだめは音楽家に見立てるとモーツァルトだと思います。モーツァ
ルトはいつもはふざけているのに、作曲に没頭すると真面目で常に新
しい表現を模索していました。一方千秋はマーラーかなと思います。
苦悩する哲学者、理想を追い求める青年というイメージが重なります。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 ここ3回、ストーリーが飛ぶような感じでした。千秋の母、悠人、高橋とも
う少しくわしく描いてもいいのではないかなという気がします。特に悠人はの
だめのトラウマに大きくかかわっていますので、もっと背景を知りたいと思い
ました。原作ではそこらへんまで描かれているのかもしれませんが。(けん)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv/
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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