メルマガ:日刊ドラマ速報
タイトル:Daily Drama Express 2006/12/04 のだめカンタービレ (8)  2006/12/11


===================================================== 発行部数   25 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2006/12/04 (Mon) ☆☆
======================================================================

== 目次 ==============================================================
  1.月曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
======================================================================

----------------------------------------------------------------------
1. 月曜日の連続ドラマ
----------------------------------------------------------------------
タイトル のだめカンタービレ
局  名 フジ系
放映日時 月曜21時
キャスト 野田恵 (上野樹里)
 千秋真一(玉木宏)
 谷岡肇 (西村雅彦)
 峰龍太郎(瑛  太)
 三木清良(水川あさみ)
 奥山真澄(小出恵介)
 多賀谷彩子(上原美佐)
 大河内守(遠藤雄弥)
 佐久 桜(サ エ コ)
 峰 龍見(伊武雅刀)
 河野けえ子(畑野ひろ子)
 江藤耕造(豊原功補)
 フランツ・シュトレーゼマン(竹中直人)
 石川怜奈(岩佐真悠子)
 田中真紀子(高瀬友規奈)
 玉木圭司(近藤公園)
 橋本洋平(坂本 真)
 鈴木 萌(松岡璃奈子)
 鈴木 薫(松岡恵望子)
 岩井一志(山中崇)
 金城静香(小林きな子)
 井上由貴(深田あき)
 金 井 (小嶌天天)
原  作 二ノ宮知子
脚  本 後藤凜
主題歌  『』

あらすじ Lesson8「新星オケ初陣!トラウマ克服に揺れる恋」

 10年前の飛行機事故の記憶の中で初めて見る人間が浮かび上がって
きたことに千秋(玉木宏)は困惑し、激しく動揺する。のだめ(上野
樹里)は心配して声をかけるが、千秋は「なんでもない」と答えて立
ち去ってしまう。

 R☆Sオーケストラはコンクールが終わるまで活動を休止することに
なる。龍太郎(瑛太)は考え直そうとさせるが、清良(水沢あさみ)
らは聞く耳を持たない。

 その晩、のだめは千秋の部屋に晩御飯を食べに来るが、千秋はショ
ックで料理を作る気力もなく、のだめは缶詰の盛り合わせを食べる羽
目になる。

 そんなところへ、千秋は母親の征子(黒田知永子)から電話を受け
る。征子は会社の文化事業で音楽留学生の支援を始めることになり日
本へ一時帰国したのだと言う。征子はヨーロッパでシュトレーゼマン
(竹中直人)に会い、千秋への伝言を頼まれていた。「いつでも見て
るから。日本でだって、どこでだって僕たちはつながっている。ハン
パハユルシマセン……」。

 シュトレーゼマンの言葉に勇気付けられ、千秋はブラームス交響曲
第1番の勉強に没頭していく。

*------------------------------------------------------------*
 −たとえ明日終わるオケだとしても、この時間が無駄になることは
絶対にない!
*------------------------------------------------------------*

 身を削るようにしてスコアの分析をしている千秋を案じて、のだめ
はおにぎりを作ったりするが、千秋は何かとりつかれたような雰囲気
でのだめが話しかけても聞こえない状態だった。

 真澄(小出恵介)と桜(サエコ)はがらんとした練習場で手持ち無
沙汰にしていた。そこへ黒木(福士誠治)がすずらんの鉢植えを持っ
て現れた。のだめに渡したいのだという。黒木はのだめが、かわいい
し、性格が素直で、明るくて、やさしくて、服装も清楚、言葉遣いも
よくて、可憐……そんな風に見えていた。

 のだめのことを勘違いしている黒木に真澄は慌てて、のだめの本性
を教える。無神経で、図々しくて、何日も同じ服を着て、奇声を発す
る、いつもワンピースなのは着替えが楽だから、敬語は方言隠し、主
食は人の弁当、シャンプーは3日おき、部屋はごみだめ、突然マング
ースになって踊りだす……いろいろと聞かせるが、黒木は「恵ちゃん
がそんな変態なわけない!」と不愉快がる。

 のだめは江藤(豊原功補)とともについに「おなら体操」の振り付
けを完成させ、ご機嫌だった。しかし江藤は待ち構えていたとばかり
に10曲選んで次のレッスンまでに譜読みしておけと大量の楽譜を渡す。
江藤はマラドーナピアノコンクールにのだめを推薦する腹積もりでい
た。

 龍太郎はオケの練習に戻るように清良を説得するが、清良はコンク
ールが終わってからと取り合わない。将来がかかっているし、師匠で
元ベルリンフィルのコンマスを務めたカイ・ドゥーン(ジョン・ヘイ
ズ)が来ることになっていたからだ。清良は師匠の前で絶対に1位を
取らなくてはならないというプレッシャーがかかっていた。

 大学から戻ってくるとのだめはすぐ千秋の部屋に行く。千秋は栄養
ドリンクばかりでろくに食事もとっていなかった。のだめはびっくり
してとりあえず千秋にプリンを口に含ませる。そしてお風呂を沸かし
て千秋を入れ、一安心する。部屋を改めて見回すと、くしゃくしゃに
丸められた千秋の書き込みメモがあちこちに散らばっていて、千秋の
不眠不休の格闘振りがうかがえた。

 黒木はすずらんの鉢植えを持ってのだめのマンションにやって来る。
黒木はのだめへ告白するつもりだった。するとのだめが慌てて駆け出
してくるのが見える。慌てて追いかけると、のだめは近所のスーパー
でうなぎが3匹300円で売られているので買いに行くのだと言う。

 のだめはとにかく体力をつけさせないといけないという一心だった。
千秋は入浴中もスコアを手放さずにいたので、のぼせて溺れかけてし
まった。のだめの千秋を思いやる行動に黒木はのだめが千秋のことを
好きだということを知る。

 全日本音楽コンクール当日。黒木は傷心を引きずっていたせいで、
リードを水につけすぎてしまう。慌てて代わりを準備しようとするが
出番がきてしまう。

 一方清良は寝違いを起こし2位に終わった。インタビュー途中にカ
イ・ドゥーンが現れたので清良はばつが悪そうに挨拶をする。カイ・
ドゥーンは2位を祝福したものの、1位を取れると思っていたと失望し
た表情を見せる。コンクールの結果は、菊地(向井理)が優勝、黒木
は入賞すらできなかった。

 龍太郎は傷心の清良に付き添って一晩を共にする。清良や黒木の心
痛は大きかったが、2人ともR☆Sオーケストラの演奏で挽回してみせ
ると気持ちを切り替える。

 そして、R☆Sオーケストラの練習が再開。この日まで研究を重ねて
きた千秋の気合いは相当なもので、Sオケの指揮のときに見せた鬼ぶ
りが復活する。「ただ音符だけを追えばいいんじゃないぞ。ソロじゃ
ないんだから周りの音もよく聞いて。個々のフレーズの持つ意味を考
えて!」。

*------------------------------------------------------------*
 −俺は今、俺ができる最高のものを作れればそれでいい!
*------------------------------------------------------------*

 見学していたのだめは、千秋のオケにかける意気込みをひしひしと
感じる。そしてシュトレーゼマンに言われた「コノママデハ、チアキ
トイッショニイラレナイ」という言葉を思い出す。のだめは江藤から
渡されたシューベルトのピアノソナタの楽譜を手にする。

 オケの練習は5時間ぶっ通しで続けられ、みな疲労困憊だった。だ
が千秋の求める音楽には説得力があり誰一人文句を言うものはいなか
った。そこへ佐久間(及川光博)とけえ子(畑野ひろ子)が現れる。

 佐久間は12月3日のコンサートを知り合いに宣伝し、すでに100枚も
のチケットを売り裁いていた。けえ子も月刊クラシックライフの広告
を見せる。そこには菊池を「魅惑のチェリスト」、清良を「東洋の真
っ赤なルビー」、黒木を「孤高のオーボエ」、千秋を「音楽の貴公
子」、そして「日本の最新鋭の若手が結集、夢のような一夜をあなた
に」というキャッチコピーが載せられていた。この大々的な宣伝に、
恥はかけないとみな疲れもものともせず、練習を再開する。

 公演当日、千秋は控え室でスコアの見直しに余念がなかった。そこ
へ開始の案内が来る。千秋は気合いを入れ立ち上がろうとした瞬間、
金縛りにあいイスに縛り付けられてしまう。驚く千秋に突如10年前の
飛行機事故の映像が飛び込んでくる。千秋は動転するが、ふと気づく
とのだめの腕をつかんでいた。

 辺りを見回すと自分の部屋にいることに千秋は気づく。夢を見てい
たのだった。しかもここのところ頻繁に飛行機事故の夢が繰り返され
る。心配そうに見つめるのだめに、千秋は10年前プラハから東京に戻
る際、胴体着陸にあって以来、飛行機恐怖症になったことを話す。し
かし、夢はそれだけでなく、床を転がるビンや見たこともない人間の
顔が出てくるようになっていた。ひどくなる一方のように思えて千秋
は疲労の色が深まる。

 のだめは、飛行機恐怖症は治せないのかと千秋に尋ねる。千秋は心
療内科や催眠療法などいろいろ試したものの、心理的ガードが固すぎ
て効き目がなかったのだという。

 のだめはシュトレーゼマンからもらった懐中時計を取り出し、振り
子のように振ってみる。千秋はペンライトとかで経験済みと笑うが、
そう言ってる矢先に催眠状態におちてしまう。のだめは驚き、手をパ
チンとたたく。すると千秋は目を覚ます。ますます驚いたのだめはも
う一度懐中時計を振ってみる。すると千秋はまたしても催眠状態にお
ちてしまう。

 のだめは本屋に寄り、催眠関係の本を読んでみると、こども時代に
受けたショックを取り除く方法があるのを見つける。

 千秋は練習に集中するが、どこかもやもやした思いにとらわれる。

*------------------------------------------------------------*
 −俺は、俺はまだ迷っているのか?そんなに海外に行きたいのか?
自分の精神的な不安定さにいい加減腹が立つ……。大丈夫、迷いはこ
のオケで晴らしてみせる!
*------------------------------------------------------------*

 彩子(上原美佐)から教えられ、征子はR☆Sオーケストラのコンサ
ートに行くと千秋に電話する。征子は彩子からいろいろと近況を聞い
ていて、新しい彼女ができたなら会わせてほしいと笑いながらリクエ
ストしてくる。そして「がんばりなさい、真一」と千秋を気遣う。千
秋は「大丈夫だから。俺はここでもやれることがあるから」と答える。
それをそばで聞いていたのだめは、千秋の揺れる気持ちを痛感してい
るだけに切ない気持ちになる。

 のだめが自分の部屋に戻ろうとすると、千秋がR☆SオケのS席チケ
ットを持って追いかけてくる。のだめは自分で買っていると言うが、
一番安い席だった。

 のだめはふと「もし飛行機恐怖症が治ったらどうしますか?」と尋
ねる。千秋は即答できない。のだめは海外への未練があると感じ「や
っぱり……」と切り出す。しかし千秋はS席チケットを強引に受け取
らせ、話を切ってしまう。

 部屋に戻ったのだめは、迷いを振り切るかのように「素人は真似し
ちゃだめなんですよね……」と懐中時計を小箱にしまいこむ。

 迎えた公演当日、佐久間やけえ子の協力もあり会場は大入りになっ
た。カイ・ドゥーンの姿もあり、清良は「今度失敗したら……」と不
安に襲われる。龍太郎は「大丈夫、お前は俺がほれた女だから」と微
笑み、元気付ける。

 初っ端のオーボエ協奏曲でソロを務める黒木は舞台袖で緊張の面持
ちだったが、龍太郎たちに励まされ、気持ちを落ち着ける。そして千
秋に向かい「コンクールで惨めな敗北をしたのに、君やみんなの僕に
対する信頼は少しも変わらなかった。僕は今日それに応えてみせる」
と静かに、しかし力強く話す。

 のだめは千秋の招待してくれた席で演奏を心待ちにしている。千秋
と黒木がステージに現れ、いよいよ演奏が始まる。

*------------------------------------------------------------*
 −さあ、楽しい音楽の時間の始まりだ!
*------------------------------------------------------------*

 千秋はにこやかな表情でタクトを振り出す。それに乗せられた黒木
のオーボエはのびやかな音色を奏でる。まさにのだめのイメージする
“ピンクのモーツァルト”全開だった。

 そしてブラームス交響曲第1番。千秋は一転厳しい表情で指揮台に
立ち客席へ一礼する。顔を上げたときのだめが視界に入る。のだめは
アヒルのように口を尖らせて見つめている。千秋は「その口やめろ」
と、一瞬フッと笑う。

 千秋のタクトは厳しさに包まれていた。音楽は重々しさを醸し出し
ながら、力強く進行していく。佐久間はその迫力に圧倒される。「な
ぜだろう、君は才能に溢れ、そんなにも音楽への情熱を持っているの
に、なぜいつも絶望を背負っているのだろう」。千秋の背中を見つめ
ながら、のだめもうっすらと涙を浮かべる。

 千秋は鬼のような形相だった。全身全霊、渾身の思いをこの曲にぶ
つけているかのようだった。そしてフィナーレへ。

*------------------------------------------------------------*
 −さあ、歌おう!絶望から希望へ!歌え、歓喜の歌を!!
*------------------------------------------------------------*

 のだめは何度もうなづき、演奏途中から手をたたいていた。演奏が
終わると、カイ・ドゥーンが立ち上がり「ブラボー!」と叫ぶ。それ
につられるかのように観客は総立ちで拍手を送る。そんな中のだめは
立つことができずうずくまっていた。涙が溢れて止まらなかったのだ。

 演奏終了後、のだめは征子を探し出し意を決して声をかける。

 千秋は自室のベランダから空を見つめていた。相変わらずほこりっ
ぽくて、空気がまずくて、空も狭い、でも前ほど不快じゃないな。千
秋は充実感に満たされていた。

 そこへのだめが現れ演奏会のご褒美ですと懐中時計を取り出す。千
秋は「実はそれ、ちょっと狙ってたんだよな」と思わず相好を崩すが、
のだめは「その前にちょっと」と時計を振り子のように振り出す。と
たんに千秋は催眠状態に陥る。

 のだめは静かに話しかける。「あなたは今、プラハから日本へ向か
う飛行機の中にいます。あなたは11歳」。のだめは征子から飛行機事
故の時の様子を聞きだしていた。あの事故のとき乗客で1人だけ死亡
した人がいたのだという。ただ千秋はそのことを覚えていないのだと
いう。

 のだめは質問する。「あなたの右隣にいた人は?」。千秋は答える。
「音楽好きの……おじいさん。ヴィエラ先生のコンサートのパンフレ
ットを持っていた。隣の奥さんにまた来年も行こうと何度も……。な
のに……」。

 千秋の脳裏に事故の記憶が蘇る。千秋少年の右隣には老夫婦がいた。
夫は妻とヴィエラのパンフレットを眺めながら楽しそうに来年もまた
行こうと話し合っていた。千秋少年はそんな様子をうれしそうに見つ
めていた。

 そのとき、機体が激しく揺れ、機内はパニックとなる。突然夫が苦
しみ始める。発作が起きたと妻は薬を探し始める。薬のビンは千秋少
年の座席の通路に落ちていた。千秋少年はそれを取って渡そうと手を
伸ばす。だが、取れそうになった瞬間、ビンはコロコロと床を転がっ
ていく。千秋少年は「あぁ!」と絶望の声をあげる。

 千秋の目から涙が零れ落ちてくる。「なのに……取ることができな
かった……僕だけが知っていたのに」。
 のだめは千秋の手を取り話しかける。「先輩のせいじゃないですよ。
先輩はこどもで……じゃなくてもきっとどうにもできなかったんです。
もういいんですよ」。のだめは泣きじゃくる千秋に懐中時計をそっと
握らせる。そして10分後に目を覚ますようにタイマーをかける。

 のだめは千秋を見つめ、微笑みかける。「神様が呼んでるから行か
なきゃ」。薄明かりが部屋の中に差し込んでくる。

 のだめは静かに部屋を後にし、自室に戻る。そしてシューベルトの
ピアノソナタの楽譜をひろげ、譜読みを始める。

 10分後、タイマーが鳴り千秋は目をあける。

 のだめは最後に千秋にこう語りかけていた。「タイマーが鳴ったら
目をあけてください。目を開けると目を閉じていたとき体験していた
ことや話したことはすべて忘れてしまいます。大丈夫、先輩はもう飛
行機に乗れます」。


寸  評  千秋の音楽にかける熱意がものすごく詰まった回でした。のだめ
は自分の描く世界、幼稚園の先生をしながら千秋のお嫁さんになるイ
メージに引きとめようと若奥様気取りをしていましたが、千秋のブラ
ームス第1番を聴いてもう引き止められないと気づいたのでしょう。
海外へ行って世界を舞台に活躍するのが千秋の夢だということを誰よ
りも強く受け止めたから、溢れ出た涙なのではないでしょうか。
 千秋ものだめを変えるためには自分が変わらなくてはいけないと自
分なりに道を切り拓いていったことが、のだめにシューベルトのピア
ノソナタへ向かわせることになったのだと思います。
 R☆Sオケが始動してからの話の流れは大きく変わっているなぁと感
じます。まさにこども時代から大人へという移り変わりがしっかりと
描かれているように見えます。

執 筆 者 けん()

----------------------------------------------------------------------
2. 編集後記
----------------------------------------------------------------------
 のだめが千秋の飛行機恐怖症を取り除こうとしていたときにかかっていた
BGMはサミュエル・バーバー(アメリカ1910-1981)の「弦楽のためのアダージ
ョ」。バーバーのもっともよく知られた曲で、よく葬送や追悼時に使われます。
すすり泣くような感じや深い悲しみを湛えた曲想が印象的です。アダージョの
曲は荘厳なため感動的な曲が多いですが、この他、R・シュトラウスの「23人
の弦楽奏者のためのメタモルフォーゼン」やマーラーの交響曲第9番の第4楽章
が個人的にはおすすめです。(けん)

======================================================================
発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv/
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
このメールマガジンは、メールマガジン[MailuX]を利用して発行しています。
(http://www.mailux.com/)
======================================================================

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。