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タイトル:Daily Drama Express 2006/05/04 七人の女弁護士 (4)  2006/08/29


===================================================== 発行部数   25 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2006/05/04 (Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル 七人の女弁護士
局  名 テレビ朝日系
放映日時 木曜21時
キャスト 藤堂真紀(釈由美子)
 杉本美佐子(野際陽子)
 南條宏美(川島なお美)
 木下五月(柴田理恵)
 田代千春(南野陽子)
 飯島妙子(原紗知絵)
  麻生恵理(井上和香)
 北村一平(永井大)
脚  本 尾崎将也
主題歌  「」

あらすじ 第4話 マラソンの女王が殺人犯!? 監督とロッカー室の秘密

 夜の競技場で、練習に励むマラソン世界選手権代表選手・高梨明美
(遊井亮子)。後ろからは、代表候補の柿原佐織(宮地真緒)。二人
は、張り合うように並んで走っていく。
 競技場の隅では、大きなカメラを手にした何者かが、シャッターを
切っていた。
 やがて、夕立が降り始め、高梨は「そろそろ上がろう」と声をかけ
るが、柿原は「先にどうぞ」と走り去っていく。

『7人の女弁護士事務所』では、皆が残業モード。息子とすき焼きだ
と約束していた宏美(川島なお美)も、仕事が終わらなくてまだ残っ
ていた。所長の美佐子(野際陽子)は、「お腹空かして待ってるわよ」
と声をかける。
 テレビの音にイライラした妙子(原沙知絵)は、消してほしいと頼
むが、五月(柴田理恵)は「もうちょっとだけ!」 テレビでは、マ
ラソンの特集で高梨が紹介されていた。「このクールな感じがいいの
よね」と美佐子も覗き込む。「マラソンなんかする人の気が知れない
ですけどね」と顔をしかめる恵理(井上和香)に、「でも1回走った
らウン百万やねんて」と言う千春(南野陽子)も加わる。
 そこへ、買い出しに行った真紀(釈由美子)が帰ってくる。カルビ
弁当が売り切れだったと聞いた妙子は、残念そう。みんなテーブルに
つく。

 同じ頃、競技場のロッカー室では遠藤恭一(笹木彰人)という男が
刺殺され、直後に高梨が、自分が殺したと110番に通報していた。
「女子マラソンのエースが、殺人容疑で逮捕」翌朝の新聞やテレビは、
その話題で持ちきりだ。
 高梨の所属する『チーム姫野』の監督・姫野(中村繁之)は、会見
を開くが、何も答えられない。脇では、硬い表情のマネージャー・栗
田(菊池麻衣子)が控える。

 栗田は、『7人の女弁護士事務所』を訪れ、弁護を依頼する。殺さ
れた遠藤は、高梨につきまとっていたストーカーだという。警察に何
度も相談したが解決せず、結果的にこうなってしまったと唇をかみ、
「これは正当防衛ですよね!? 正当防衛じゃないと困るんです!」と
迫る栗田に、美佐子は、警察の捜査の結果次第だからと言葉を濁す。
無罪にならなければ、代表はおろか、選手生命も危ぶまれる。無罪に
してやってほしいと頭を下げる栗田。

 練習中の柿原に、レポーターが詰め掛ける。「何て言ってほしいん
ですか」と冷たく返し、立ち去る柿原。そんな様子が映し出されるテ
レビの前で、弁護士たちは、この依頼をどうするか検討していた。
 千春は、依頼を受けるのは反対だと言う。五月は目をむくが、千春
は、もし無罪を勝ち取れなかったら、ファンが黙っていないだろうと
主張。日本中が高梨の活躍を期待していたわけで、下手すれば暴動に
もなりかねないと、皆も同意する。「いずれにしたって評判を落とす
のは確実。そんなリスクの大きい裁判、受ける?」
「受けましょう」美佐子は鶴の一声を発する。五月は大喜び。「ここ
は女性のための駆け込み寺でしょう。困っている人がいたら放ってお
けないじゃないですか」皆は、一応は同意するが、担当決めの段にな
ると、あわててそっぽを向く。「日本中を敵に回す覚悟のある方、い
ますか?」という美佐子の呼びかけに応えたのは、真紀だけ。「やっ
てみなきゃわからないじゃないですか」「あなたのその自信は、どこ
からくるわけ?」と妙子は呆れ顔。結局、妙子と恵理も、フォローと
して担当に加わることになってしまう。

 拘置所で高梨に接見した真紀たち。凶器となったナイフは、護身用
にバッグに入れており、ロッカー室で遠藤に襲われた際、とっさに取
り出し、無我夢中で刺してしまったのだという。ナイフを携帯するよ
うになったのは、遠藤がつきまとうようになった頃からだと言う高梨
に、恵理は共感を示し、真紀は、必ず正当防衛を立証してみせると宣
言する。

 初公判。起訴状が読み上げられる。傍聴席には、姫野と栗田の姿も。
「午後7時30分ごろ、所持していたナイフで、殺意を持って胸部を
5回刺し…失血死に至らしめたものである。罪名、および罰状、殺人」
 これに対して、高梨は殺意を否定し、真紀たち弁護人も、正当防衛
による無罪を主張する。

 帰宅した真紀は、恋人の一平(永井大)とビールを傾ける。
 高梨が殺してしまった遠藤は、一平の先輩が司法解剖したのだとい
う。「胸を5か所も刺されてたんだって。それって正当防衛になるの
かな?」「してみせます! 余計な茶々入れないでくれる!?」とむく
れて空のグラスを差し出す真紀。「つまみ、まだ?」真紀が振り返る
と、キッチンに立っていた居候の弟・雅人(武田航平)が、おつまみ
を持って出てくる。「彼氏の前で、よくそういう態度取れるよな。考
え直したほうがいいっスよ」「いつも悪いねー」「居候クン、何か言
った?」「デキた弟に感謝しろよ〜ホラ」と航平は雑誌を差し出す。
「高梨選手のこと、載ってるよ」
【高梨選手に付きまとっていたストーカーは仕組まれていた!?】とい
う見出しが躍る週刊誌。ライバルの『K』選手が、高梨を追い落とす
ためにストーカーさせたのではないかという内容だった。『K』とは、
航平曰く「柿原沙織しかいないじゃん」
 同じチームに所属する柿原は、先日の試合で高梨に負けて、世界選
手権代表の座を逃したのだった。さらに週刊誌には、監督の姫野をめ
ぐる三角関係まで取りざたされていた。

 第二回公判。
「警察が彼女の訴えを真摯に聞き、ストーカー対策に最善の努力を払
っていたなら、事件は起こらなかったんじゃないですか?」証言台に
立った警部・大室に尋問する真紀。最善の努力を払っていたと言う大
室に、真紀は、ならばなぜ、何度も告訴したいと訴えたのに、受理し
なかったのかと責める。「受理しましたよ」だがそれは、まさに事件
の日。「対策に全力を尽くそうとした矢先にこのような事件が起こり、
痛恨の極みであります」通り一遍の答えに真紀は激怒し、「事件が起
こったから、あわてて受理したんでしょう!? 警察は市民の見方なん
じゃないんですか!?」と大声で迫る。恵理と妙子は呆れて止める気も
起こらず、案の定、裁判長から注意を受けてしまう。

 閉廷後、「あなたはやっぱり弁護士には向いてない。法廷であんな
に興奮して、裁判官の心象悪くする以外に何があるっていうの!?」妙
子に厳しく諌められ、平謝りの真紀。
 そこで、姫野と栗田に出くわす。「大丈夫なんですか」と不安げな
二人に、妙子は「大丈夫です。まだまだ、裁判はこれからですから」
と自らをも励ますように答える。
 恵理は、「ひとつお聞きしてもいいですか」と週刊誌を取り出す。
困惑していると言う姫野。栗田もありえないと言うが、高梨が代表を
降りれば、代わりに代表になるのは柿原だと確実視されており、また、
高梨にストーカーがつきまとい始めたのは、高梨が代表に決まった直
後だった。姫野は、それを認めながらも、「柿原とはまったく関係あ
りません。そんなことできる子じゃありませんから」ときっぱり否定
する。

 競技場で練習するチーム姫野の選手たちを、スタンドから眺める真
紀たち。ストーカーが仕組まれていたのなら、情状酌量の材料になる
と言う真紀に、妙子は、本当に柿原が仕組んでいたとしたら、チーム
姫野は崩壊すると言う。高梨も柿原も、どちらも代表の座を逃すこと
になるというのだ。「目をつぶれっていうんですか? 真実を追究す
るのが、弁護士の仕事じゃないんですか!?」と問う真紀に、妙子は微
笑んで「いいんじゃない。あなたはあなたのやり方でやれば」と答え、
立ち去る。顔を見合わせる真紀と恵理。
 その時、柿原が「裁判、どうなります?」と声をかける。真紀が、
気になるなら傍聴にくればいいと返すと、練習を休みたくないからと
答えて去っていく柿原。「探りを入れてきてるのかしら」恵理と真紀
は、首をかしげる。

 続いて、被害者の遠藤について調べることに。遠藤の部屋には、膨
大な量の高梨の写真が。また聞き込みでは、遠藤が“パチプロ”で、
とにかく金に汚い男だったという証言が多数得られる。ある知人は、
ストーカーを始めたのと同じ頃に「最近いい金づるができた」と言っ
ていたと話す。「コレ(女)か?って訊いたら、まぁそんなもんだっ
て言ってたな」

 同じ頃、妙子は事務所に戻って、代表選考レースのVTRを見ていた。

 再び競技場を訪れた真紀と恵理は、柿原に声をかける。遠藤のこと
を聞きたいというと、「弁護士さんも私を疑っているんですか?」
「そういうわけではありません。ただ…」「別に疑われてもかまいま
せん」真紀の言葉をさえぎった柿原は、仮にストーカーをやらせてい
たとしたら、自分も罪になるのかと尋ねる。真紀が、罪になると答え
ると、「だったら高梨さんも罰せられるべきよ。あの人のほうが、よ
っぽど汚いことしてるわ! 監督とだって…!!」その先は言わず、き
びすを返して去っていく。

 真紀たちは、姫野を高梨に面会させる。開口一番、「トレーニング
はちゃんとやってるんだろうな」と聞く姫野。「ここを出たらすぐに
走れるように、トレーニングは続けるんだ」と言うが、高梨は首を振
り「もう走れません。世界選手権なんて無理です」正当防衛なんだか
ら、無罪にしてくれるから、と言う姫野に対し、「もう無理です。監
督だってわかってるはずです」と搾り出すように繰り返す高梨。「き
っと、天罰が下ったんです…」とつぶやく。
 拘置所の前でタクシーに乗ろうとする姫野を、真紀が呼び止める。
「天罰って、どういう意味ですか?」姫野は表情を変えず、「さあ…」
とだけ答えて、タクシーは走り去る。

 夜、事務所を訪れた栗田にも、その話をしてみる。「姫野監督は、
その意味をわかってたみたいなんですよね」と言っても、栗田は、自
分にはわからないと答える。さらに、柿原の言った「あの人のほうが、
よっぽど汚いことしてるわ」という言葉についても訊くと、それには
心当たりがあると言う。

 高梨と柿原の一騎打ちとなった代表選考レース。その最後の給水ポ
イントで、高梨が自分のドリンクを取る際に、柿原のボトルを落とし
てしまったというのだ。柿原は拾うことができず、給水なしでそのま
ま走ることになる。高梨は自分のドリンクを差し出すが、柿原はそれ
を無視して高梨を追い越す。
 栗田は、高梨の後ろについて体力を温存していた柿原は、あそこで
給水を失敗しなければ、高梨に勝っていただろうと言う。わざとでは
ないと思うが、負けた柿原にしてみれば…と言葉を濁す栗田。恵理は、
「高梨さんの言ってた“天罰”って、このことだったのかしら」

 真紀たちは、このアクシデントが原因で、柿原が高梨を恨みに思い、
ストーカーを雇った、という仮説を立てる。遠藤がストーカーを始め
たのは、代表選考レースの直後。しかも、同時期に「金づるをつかん
だ」と話しているのだ。
 スポーツ好きの五月は信じたくない様子だが、宏美は、女同士のほ
うが案外陰湿だから、と言う。美佐子は、もしそれが事実なら、被告
の高梨はむしろ被害者なのだと裁判で印象づけられると言う。だが、
それを暴くことは『チーム姫野』にとってはデメリットのほうが大き
かった。
「ほんとに刺したのかしら」少し離れてやり取りを訊いていた妙子が、
ぽつりとつぶやく。「高梨明美は、本当に遠藤恭一を刺したんでしょ
うか」

 妙子は、何度か接見して違和感を感じたという。高梨はいつも冷静
で感情を表に出さず、冷静沈着なレース運びでも知られている。だが、
犯行の際は、遠藤の胸を思いきり5回も刺している。「あれは、自分
を見失って無我夢中で刺した、っていう刺し方です」
 いくら冷静な人でも、ストーカーに襲われたら取り乱すんじゃない、
と宏美は言うが、襲われた直後にバッグからナイフを取り出しており、
そこまでは冷静だったと思われると妙子は返す。「ストーカーをナイ
フで威嚇しておいて、そのまま必死で走れば、高梨さんだったら楽々
と逃げられたはずです」「確かに…」と真紀たちもうなずく。
 美佐子は、事件の洗い直しを命じる。

 その夜、真紀は法医学教室に一平を訪ね、5回も人を刺す心理につ
いて尋ねる。殺意や恨みがないなら、よほどの興奮状態だろうと答え
る一平。「ほんとに彼女がやったのかな。もしかしたら誰かをかばっ
て…ううん、『チーム姫野』を守ろうとして、罪をかぶってるのかも
しれない」高梨を助けるための弁護が、逆に彼女をつらい目に遭わせ
るかもしれない。自分のやり方に疑問と不安を抱く真紀に、一平は、
真相究明に向かってまっしぐらなのが真紀らしさなのだから、自分の
信じたとおりに行動すればいいと励ます。
 いい雰囲気になって、キス…しようとしたその時、真紀はハッとし
て「あ、凶器のナイフって、ほんとに高梨さんのものかな?」「もぅ
っ」

 翌日、真紀たちは、競技場に監督の姫野を訪ねる。姫野も、ナイフ
については引っかかっていたと言う。自分がストーカー対策としてス
タンガンを勧めた際は、高梨は「そういうものは持ちたくない」と断
ったというのだ。
 妙子は、事件当時の様子について、再度確認する。犯行時刻と思わ
れる午後7時半ごろ、高梨が競技場にいたことは間違いない。直前ま
で柿原と練習していて、突然の雨のために先に上がった頃だった。
 姫野は事務所にいて、事件に気づいたのは警察が到着してからだと
いう。「どうして高梨さんは、監督に知らせなかったんでしょうか」
真紀の疑問に、姫野は答えられない。
「警察には、高梨さん自身が電話したんですよね」と恵理が尋ねると、
栗田が「私が勧めました」と言いだす。高梨から電話で相談され、す
ぐに現場に行ったというのだ。電話を受けたのが8時ごろで、現場に
着いたのは8時半ごろだと言う。
 その時、窓の外では雨が降りはじめる。練習を中断してベンチに座
る柿原に、真紀たちが声をかける。「今なら、練習の邪魔にはなりま
せんよね」
「事件があった日、高梨さんは雨が降ってきたんで、すぐに上がった
そうですね。あなたは?」しばらく走って、それから一人でトレーニ
ングルームに行き、パトカーのサイレンが聞こえるまでトレーニング
していたと言う柿原。真紀が、栗田が8時半ごろ来たはずだと言うと、
会ってはいないが、傘を置き忘れていたから、来ていたのは確かだと
答える。傘は、その日は事件であわただしかったので、次の日に渡し
たという。
「もういいですよね」と立ち去ろうとする柿原に、真紀は、先日言い
かけた「監督とだって…」という言葉の意味を尋ねる。「あの人、監
督には、何やっても許されるから」「どうしてですか?」「本人に聞
いてください」柿原はそのまま去っていく。

 事務所に戻った真紀は、やはり高梨は誰かをかばっているのではな
いかと話す。真紀は、その「誰か」とは姫野ではないかと考えていた。
しかも、高梨と姫野は、選手と監督以上の関係があるのではないかと
言う。
「デキてるってこと!? スクープじゃなーい」と五月は大騒ぎ。実は、
マネージャーの栗田も以前はランナーで、現役時代には、高梨と姫野
を取り合う三角関係ではないかと取りざたされていたのだという。
 真紀は、姫野が高梨をかばおうとして遠藤を殺してしまい、チーム
存続の危機を救うために、高梨が罪をかぶったのではないかと推測す
る。だが宏美は、代表の座を失うリスクを冒してまで、監督をかばう
だろうかと疑問を投げかける。妙子は、だからこそ、正当防衛で無罪
を勝ち取ってくれと頼んできたのではないかと言う。美佐子も「姫野
監督が自首しても無罪はまず無理でしょうけど、高梨さんだったら無
罪になる可能性あるから」と納得。

 そこへ、外出していた千春が帰ってくる。「あ〜っ、裁判所に傘忘
れた!」皆は思わず笑ってしまう。「だって、出るとき降ってへんか
ってんもん。あの傘、めっちゃ高かってん!!」
 何かが引っかかった真紀は、「雨…雨…」とつぶやきながら考え、
「あっ!!」と叫んで立ち上がる。「気象庁行ってきます!!!!」

 第三回公判。
 証言台に立つ柿原。恵理に、高梨が監督に何をやっても許される、
と言った理由を問われ、「言えません。マネージャーの栗田さんから
口止めされていますから」

 続いて証言台に立つのは、姫野。妙子が柿原の証言について心当た
りを尋ねると、姫野は「私と高梨は、婚約しています」と告白する。
法廷はざわめき、大勢の記者がメモを手に飛び出していく。うつむく
栗田。
 妙子は、婚約者ならばプライベートもよく知っていますね、と確認
して、接見の際に高梨が言った「天罰」という言葉について尋ねる。
姫野は、「おそらくは、ある選手の選手生命を奪ってしまったと思い
込んで、それをずっと気にしてるんだと思います」と答える。
 4年前、大きな大会前の練習中に、高梨は、後方からその選手の足
を引っ掛け、転倒させてしまったのだという。その選手は、ひざの靭
帯を傷めてしまったにもかかわらず、姫野の制止を振り切って練習を
続け、故障をさらに悪化させて、結果的に引退に追い込まれた。「そ
の選手とは、誰ですか?」「現在はマネージャーをしております、栗
田翔子です」

 栗田が証人として呼ばれる。真紀は、栗田が競技場に着いた時間を
尋ね、栗田は夜8時半ごろだと答える。「その日はスタジアムに来た
のはそれが初めてですか?」栗田が肯定すると、真紀はさらに、「今
証言したことは、すべて真実ですか」と迫る。「…私のこと、疑って
るんですか?」裁判長からも同じ問いを受けるが、「ここは大事なと
ころなので、念のため確認しているだけです」栗田は、おずおずと
「間違いありません」と答える。
 真紀は質問を変える。栗田がマイカー通勤していることを確認し、
もし車を停めたとき、雨が降っていたらどうするかと尋ねる。「いつ
も車の中に傘を入れているので、その傘を差していきます」「ではも
し雨が降っていなかったら?」「傘なんか差しませんよね」「持って
も行かない?」「その時降っていなかったら、持って行きません」
 検察側から異議が出て、裁判長は真紀に、質問の意味を問うが、真
紀は「事件の真相を明らかにするための重要な質問なので、もう少し
続けさせてください」と言う。

 真紀は、事件当日、栗田がスタジアムに傘を置き忘れたことを確認。
続いて、事件当日の気象データを示す。「あの日は、午後7時ごろか
ら雨が降り始めました。かなり激しい雨でした。そして雨が上がった
のが、午後8時ごろ。あなたがスタジアムに到着した午後8時半ごろ
には、もう星空が広がっていました」栗田の表情が固まる。
 真紀は、栗田が到着時に車から傘を持ち出したこと、そして「雨が
降っていなければ傘は持っていかない」という証言を引き合いに出し、
その矛盾を指摘する。
「実はあなたがスタジアムに到着したのは、雨がちょうど激しく降り
始めた午後7時過ぎだったんです。あなたの目的は、被害者である遠
藤恭一に会うこと。しかし、そこで何らかのトラブルとなり、あなた
は遠藤をナイフで刺してしまった。だからあなたは、スタジアムに到
着した本当の時刻を言えなかった。違いますか?」
 うつむき、目をそらす栗田に、「逃げる場所は、ありませんよ!」
と真紀の決め台詞が追い討ちをかける。

「裏切り者! やっぱりしゃべったじゃない!?」栗田は涙声で、高梨
を責める。「私の身代わりになれたらうれしいって言ったよね!? 嘘
つき!」制止を振り切り、わめきたてる。「やっぱり自分だけ走れれ
ばいいんじゃない! 自分だけ脚光浴びて、日本中から期待されて、
あんた昔からそういう人よ!!」「違う!」高梨は悲壮な顔で叫ぶが、
栗田は耳を貸さず、「怪我さえしなかったら、あんたなんかに絶対負
けなかった! あなた二度も私の人生めちゃくちゃにしたのよ! 私
の人生返してよ!!」泣き叫ぶ栗田に、裁判長からも注意が飛ぶ。
「栗田さん、あなた勘違いしています」真紀は、今の話はすべて自分
の推測で、高梨は栗田のことなど何一つ話していないと告げる。「遠
藤恭一を殺害したこと、認めますね?」

 薄暗いロッカー室。「えっ? 金が出せない? だったらあんたの
やったこと、マスコミに売るしかないな。それより前に、監督に言っ
ちゃうか。あんた、監督にホレてるもんな」ニヤニヤと迫る遠藤に、
追い詰められた栗田はナイフを手にする。
 ナイフを手に呆然とたたずむ栗田。そこへ、高梨が着替えにやって
くる。驚愕する高梨に、栗田は「あなたを守ろうとして…。身代わり
になってよ! あなたのためにしたんだから!!」泣きながら訴える栗
田に、高梨は、震える手で栗田の手から凶器のナイフをとる。

「高梨さんは、あなたに申し訳ないという気持ちを抱いたまま、4年
間必死で走り続けてきたんです。それがどれだけつらいことか、あな
たがいちばんよくわかっていたはずです。そんな彼女の気持ちにつけ
込んで、自分の身代わりにするなんて、卑怯です」
「翔子は私のために…!」高梨は、栗田が自分のために殺したのだと
信じていたが、「うぬぼれないで」と、栗田は自らが遠藤を雇ったこ
とを暴露する。「あなたがみーんな、私から奪っていったから。私の
選手生命も、姫野監督も。あなたをめちゃくちゃにしたくて、私がス
トーカーやらせたの!」呆然と聞いている高梨。
「でもそれは、本当のあなたじゃない。『チーム姫野』にマネージャ
ーとして残ったとき、あなたは本気で、チームのためになりたいと思
っていたはずです。じゃなかったら、4年も続けられるわけがありま
せん」栗田は大きくかぶりを振るが、真紀は、栗田が始めて事務所に
来たとき、高梨を無罪にしてほしいと必死で訴えたことを挙げ、「あ
のときのあなたの心には、曇ったところはなかったはずです。少なく
とも私にはそう見えました。あのときのあなたが、本当のあなたです。
どうかきちんと、罪を償ってください」やさしく語りかける真紀に、
栗田は泣き崩れる。

 後日、練習に励む高梨と柿原、メガホンを握る姫野。
[高梨選手は自ら、世界選手権代表の座を辞退し、再スタートした。
そして、栗田翔子の弁護は、私たち『7人の女弁護士事務所』が担当
することになった]

「栗田翔子さんの弁護、南條さんがやることになったんですよね。藤
堂さん、よくやりたがりませんでしたねぇ〜」と恵理が妙子にささや
くと、後ろから千春が「そんなわけないやん〜、ホラ」
 見ると、栗田の弁護をやりたいと必死で美佐子に食い下がる真紀。
「だってあなたは忙しいでしょう。ホラ、夜はカレともデートもしな
きゃならないでしょ? この件は南條さんに任せたから」それを聞く
と、真紀は喜々として宏美に駆け寄る。宏美は半ば呆れながら「そう
来ると思った」美佐子とアイコンタクトを取り、「よし、じゃあ、い
っしょにやる?」大喜びの真紀に、美佐子は「こんなしつこい子だと
思わなかったわ」
 そこへ、五月がお茶請けを運んでくる。「今日は、信州小布施の栗
鹿の子」大喜びでテーブルに着く弁護士たち。「今の時期にどうして
栗なんですか?」「決まってるじゃない、栗田さんの弁護がうまくい
くようにでしょ?」


寸  評  いやぁ、今回もツッコミどころ満載。殺された人の部屋に容疑者
の写真なんかあったら、とっくに警察が持って行ってるでしょうが!?
 弁護士が見つけるなんて、ありえね〜〜〜。それから、今や天気は
ネットで調べられますよ。っていうか、なにもいきなり気象庁に駆け
出していかなくても、まずは電話でアポでしょう!? 弁護経験の前に、
社会人としての常識を磨いてくださいまし。
 ゲスト二人、まさかこのために筋トレした!?ってぐらい、筋肉ウー
マンになってましたね。遊井亮子(かなり懐かしい…)も宮地真緒も、
もっとふっくらしたタイプだと思ったけど。特に、宮地真緒ちゃんは、
某テレビ雑誌の仕事してたときに、朝ドラで何度も見てるから、その
ときの印象が強いせいかもしれないけど、なんかちょっと怖かったな
ぁ。でもグラビア出身なのに胸ないのね…。巨乳だったらマラソン選
手の役なんてできないよねぇ。

執 筆 者 Nami(nami_s1976@yahoo.co.jp)

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2. 編集後記
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 普段は、とくに女性は下の名前で書くことが多いのですが、今回は人気選手
役ということで、劇中でもほとんど下の名前が出てこないので、あえて名字で
書きました。書いててちょっと違和感ありましたが、このほうが会話文との齟
齬も少なくていいかなっと自画自賛してみる。どうでしょ?
 さて、お盆は実家に帰省してのんびりしています。花火大会に間に合うため
に、ものすごいバタバタで疲れ果てて帰り着いたのですが、海に上がる花火は
最高です!! もちろん、原稿も持って帰ってます。ちょっとでもたまったあら
すじを仕上げようと頑張ってますので、ほんと申し訳ないですがお待ちいただ
けたらと思います。(Nami)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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