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タイトル:Daily Drama Express 2006/04/13 七人の女弁護士 (1)  2006/05/31


===================================================== 発行部数   25 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2006/04/13 (Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル 七人の女弁護士
局  名 テレビ朝日系
放映日時 木曜21時
キャスト 藤堂真紀(釈由美子)
 杉本美佐子(野際陽子)
 南條宏美(川島なお美)
 木下五月(柴田理恵)
 田代千春(南野陽子)
 飯島妙子(原紗知絵)
  麻生恵理(井上和香)
 北村一平(永井大)
脚  本 尾崎将也
主題歌  「」

あらすじ  裁判所前でレポートする東西テレビのアナウンサー・矢島律子
(東ちづる)。大手スーパー・ワンダーマーケットの女性従業員たち
による、不当解雇取り消し裁判の判決が出るのだ。まもなく、勝訴が
伝えられる。
 「ありがとうございます! 優秀な弁護士さんたちのおかげです!」
興奮ぎみの原告たち。

 法廷。反対尋問に立つ新米弁護士・藤堂真紀(釈由美子)。
 被告人は腕が悪く、ハンマーで家の窓を割って侵入し、空き巣を働
くのは不可能だと訴えるが、そのとき、被告人が腕を上げて大きく伸
びをする。仰天する真紀に、被告人は悪びれもせず「ちょっとからか
ったんだよ」「弁護人からかってどうするんですか!?」
 ぐったりと裁判所を出る真紀。そこには、喜びに沸く人々に囲まれ、
笑顔の先輩弁護士・田代千春(南野陽子)、南條宏美(川島なお美)、
飯島妙子(原沙知絵)。
 真紀の裁判を傍聴していたおじさんたちに「いつか、あんなふうに
なれるといいな」と言われ、憮然とした顔でうなずく真紀。

 『7人の女弁護士事務所』で、勝訴を祝ってワインで乾杯する弁護
士たち。
 「和解に持ち込んだほうがよかったんじゃないかってヒヤヒヤした
のにね」と宏美。
 「ほんまやわ。結果オーライやったからよかったけど、あの和解拒
否は無謀やったんちゃうの!?」と千春が妙子に振るが、妙子は「私は
勝てる自信がありました。和解したんじゃ、会社側の思うツボです」
 「まーいいじゃないですか、勝訴したんだから」ととりなす真紀に、
「そりゃそうだけど何で新人のアンタが言うのよ?」とツッコむ木下
五月(柴田理恵)。「勝訴したときは素直に喜びましょ」と所長の杉
本美佐子(野際陽子)がまとめる。
 その時、テレビで『ニュースメディア9』が始まり、その裁判のニ
ュースが流れる。キャスターは、律子と辰巳良介(光石研)。ニュー
スを見ながら和む7人。
 美佐子は、真紀にも裁判の首尾を聞く。「散々でした。被告人の嘘
を見抜けなくて」「弁護士は、依頼人の嘘を見抜くのも仕事のうちな
のよね。依頼人を疑うなんて、悲しいけど」うなずく真紀。
 テレビでは、律子が東西テレビの更衣室盗撮事件の続報を伝える。
その時、スタジオに緊張が走る。

 パトカーのサイレンが鳴り響く東西テレビ。会議室の一室に辰巳と
律子が呼ばれる。そこには、東西テレビ報道局のプロデューサー・田
辺篤(冨家規政)の刺殺体があった。動揺しながらも、刑事の質問に
答える辰巳。
 同じ頃、更衣室では、床に落ちた血痕に気づいた女性職員が、報道
局員・坂田由紀江(国分佐智子)のロッカーから、血のついたナイフ
を発見する。
 現場付近を通りがかった由紀江に、刑事が、田辺が殺されたことを
告げる。驚く由紀江に、刑事は凶器のナイフを示し、「これがあなた
のロッカーから見つかったんですよ」と迫る。

 真紀が事務所を退出しようとすると、つけっぱなしのテレビで、由
紀江が逮捕されたことが報じられる。驚いて見入る真紀。「由紀江先
輩!?」

 「逮捕された坂田由紀江は、私の大学の先輩だった。彼女は殺され
た上司の田辺篤と不倫関係にあった。最近、田辺の妻に二人の関係が
知られ、田辺が彼女に別れを切り出していたらしい。殺害に使われた
ナイフは報道部の給湯室にあったもので、由紀江の指紋が確認されて
いる。由紀江はずっと資料室にいたと主張したが、アリバイはなく、
警察は、彼女がクロであるという強い自信のもと、厳しい取調べを続
けた。やがて、由紀江は殺害を自供した」

 弁護士事務所で、美佐子に「大学の先輩なんです」と由紀江の弁護
を願い出る真紀に、美佐子は、殺人事件はまだ荷が重いのでは、と渋
る。「当然よ、私だってまだ殺人事件はやったことないのに」と、
3年目の麻生恵理(井上和香)。「刑事事件はもうからへんよ〜」と
千春。「被告は自供してるんでしょ。傷害致死の有利な証拠でも出な
い限り、難しい裁判になりそうね」と宏美。考え込む美佐子。

 和泉医科大学の法医学教室。監察医の北村一平(永井大)が顕微鏡
を覗いている。
 向かいに座る真紀が、死体の写真を手に「死後3日って感じ?」
「フツーに見るなよ」「ビビるぐらいなら、監察医と付き合わないわ
よ」
 「その様子じゃだめだったんだな、先輩を弁護するって話」うなず
く真紀。
 「俺だったら自分の知り合いが殺人で裁かれるなんて、見るだけで
もいやだな。逆によかったんだよ」「簡単に言わないでよ! 毎日死
体ばっかり見てるくせに」「死体は泣いたりわめいたりしないからさ。
嘘もつかないし」
 「仕事のことはおいといて、そろそろ結婚しない?」一平の言葉に、
固まる真紀。「死体の写真見てるときに、プロポーズしないでよ!!」

 事務所で携帯をかける宏美。「ごめん、もうちょっと遅くなりそう
なの」机上には男の子の写真。
 「一人で仕事と子育て、大変ですよね」「離婚なんかするから…」
と恵理と千春。結婚しないのかと問う恵理に、千春は「私はずっと、
働く独身女性の味方でいたいの」と微笑む。
 所長室で由紀江の新聞記事を読む美佐子は、五月に、由紀江の弁護
士がまだ選出されていないそうだと言う。「まさか藤堂さんに?」
「私はいいと思うのよね。誰かを助けたい一心で突っ走っていく感じ」
「所長も昔はああだったりして」笑う二人。
 部屋を出てきた美佐子は、真紀がデートで帰ったと聞き、デートを
中断して打ち合わせに戻ってきたら、やる気があると見込んでやらせ
てみよう、と言い出す。

 法医学教室で電話を受けた真紀は、「すぐ戻ります!」と即答し、
喜々として飛び出していく。「ちょっと、結婚の話は!?」「また今度
っ!!」

 東京拘置所で、由紀江に面会する真紀。由紀江は驚き、「弁護士に
なったと聞いてたけど、こんな形で再開するなんてね」本当に田辺を
殺したのかと問う真紀に、由紀江はうなずく。
 真紀は、裁判の説明を始める。「話したくないことは話さなくても
いいんです。でも、それによって裁判官の心証が変わることもありま
すから、本当に殺したんなら、素直に言っていただいたほうが…」
「やってない」驚いて顔を上げる真紀に、「私、殺してなんかいない」
と由紀江ははっきり言う。「刑事に、毎日毎日お前がやったんだろう
って責められて…、でもやってない!」
 「別れ話でもめてたっていうのは?」「あの人は、奥さんとちゃん
と別れるまで待っててくれって…私もそのつもりだった」由紀江は泣
き出し、「大好きだった人を殺したりなんかしない!」と訴える。真
紀は、動揺しながらも「私が無実を証明します」と力強く告げる。

 タイトルバック。
 殺人、暴力、性犯罪…。犯罪は、いつあなたの身に降りかかるかも
しれない。このドラマは、図らずも事件の当事者となってしまった女
性を司法の場で救うべく、日夜闘い続ける“7人の女弁護士”の活躍
を描くものである。

 初公判日。起訴状が読み上げられる。「罪状、殺人」
 起訴状の内容について問われ、不安げな表情の由紀江は、うなずく
真紀に勇気を得たように「私は田辺さんを殺していません」とはっき
り言う。ざわめく法廷。

 事務所。真紀は「先輩は人殺しなんかする人じゃありません」と言
うが、「日本の裁判の有罪率は99%。新米弁護士が無罪なんか取れる
わけないやん」と千春は手厳しい。「本人がやってないって言うんだ
から、その線ですすめるしかないわよね」と宏美はフォローするが、
一度自供したことを覆すのは難しい。無実を証明する証拠がなければ、
裁判で勝つことは不可能なのだ。しかも、由紀江は懲戒解雇になって
おり、テレビ局の協力は望めそうもない。
 そこへ、東西テレビから偶然、取材依頼が舞い込む。チャンスだと
ほくそえむ真紀。

 そして、律子が取材にやってきた。事務所でインタビューを受ける
美佐子。
 美佐子は、司法の世界は男性社会だと実感し、女性だけの事務所を
設立したと語る。レイプやドメスティックバイオレンスなどで、本来
は被害者の女性を救うはずの裁判が、逆に被害者を傷つけてしまって
いる。だから、悩みや苦しみを共有できる“現代の駆け込み寺”にし
たいと望んでいた。
 「7人という人数には何か意味があるんですか?」「もちろん、ラ
ッキーセブンです!」一瞬シーンとなり、呆れながらも笑ってごまか
す律子。

 取材後、ビルの外で律子と話す真紀。調査の依頼をするが、あっさ
り断られる。
 「坂田さんの無実を主張するということは、社内に真犯人がいると
お考えなんですよね。仲間を疑ってる人に協力するっていうのはねぇ
…」チクリと言う律子に、真紀は「由紀江さんだって仲間じゃないん
ですか?」と返す。「女性が女性を弁護するのを見ると、応援したく
なるっておっしゃってたのは、嘘だったんですか? お墓参りをさせ
てあげたいんです!」とたたみかけるが、律子は冷たく立ち去る。
 それを離れた場所で見つめる妙子と千春。美佐子は、二人を真紀の
サポートにつけることにしたのだ。

 その夜、真紀は一平に、由紀江のことを打ち明ける。一平は、悩み
ながらも「依頼人をとことん信じる弁護士でいたい」と闘志を燃やす
真紀を、抱き寄せて励ます。
 二人が真紀のアパートに着くと、部屋にはすでに明かりがともり、
奥から若い男が出てくる。固まり、「誰?」と問う一平に、男は「モ
トカレ?」とニヤリ。
 真紀が大慌てで、弟だと説明する。真紀の弟・雅人(武田航平)は、
仕事をクビになって寮を追い出され、真紀の部屋に転がり込んだのだ
った。
 雅人は、真紀の留守中に、律子から電話があったという。

 東西テレビのエントランス。「今日一日だけですよ」と、真紀に入
館証を渡す律子。協力する気になった理由を問われ、「あなたに興味
を持ったからかな。こういう弁護士もいるんだ、って」と微笑む。
 事件当時、現場の隣室には技術局員の佐野兼治(千原靖史)がいた。
律子は、佐野を紹介して立ち去る。真紀が「必ず真犯人を突き止めま
す」と言うと、律子は複雑な表情を浮かべ、「私、真犯人に恨まれる
わね…」と言い残す。
 佐野は、新型カメラのテスト撮影をしていた。ヘッドホンで音楽を
聴いていたため、事件の物音は何も聞いていないと言うが、撮影した
映像には音声も入っていた。
 ビデオをデッキに入れた佐野はふと、机上に置かれた週刊誌を取り
上げ、「こんな仕事をしてるから、盗撮の犯人オレちゃうかって」と
愚痴る。誌面には、『東西テレビ・女子アナ更衣室の盗撮ビデオ 内
部の犯行か?』の見出し。佐野は懸命に否定するが、テスト撮影の映
像がモニタに映し出されると、そこにはリカちゃん人形が。引きつる
真紀。「テスト撮影だからなんでもいいの!」と佐野は言うが、真紀
は「やっぱ怪しいかも…」。

 ビデオに録音されていた音声を加工すると、田辺らしき男の声にな
った。
 「何だこんなところに呼び出して? …どういうつもりだ!?」とい
う言葉のあと、苦しそうなうめき声、ドサッと倒れる音、逃げ去る犯
人の足音が続く。

 事務所に戻り、皆でビデオを囲む。田辺の声に、事件当時のイメー
ジが重なる。
 「このあと、注意して聞いてください」と真紀。
 足音のあと、すぐにドアが閉まる音がして、続いて男性と女性の打
ち合わせらしき会話が近づき、やがて遠ざかっていく。「札幌への出
張の件ですが」「その件は、山田さんに確認して」そして再びドアの
音がして、足音が続いていた。
 犯人は逃げようとしたが、誰かが通りがかったために、手近な部屋
に隠れたようだ。通りがかった人物は、名前や会話の内容からすぐに
特定できるだろう。
 また、毎日午後9時半に流れる社内放送の音も入っていたことから、
犯行時刻も午後9時43分と特定できた。
 得意げな真紀だが、その足音が由紀江のものである可能性もあるし、
通りがかった二人が犯人を目撃した可能性はかなり薄い。
 田辺の言葉から推測すると、犯人は田辺の知り合いで、同僚か部下。
警察は最初から由紀江が犯人だと決めてかかっているから、他の容疑
者についてはまだ調べていないと思う、と千春がアドバイス。その言
葉に、真紀は元気を取り戻し、拘置所に飛び出していく。

 田辺の人間関係について聞かれた由紀江は、田辺が律子と言い争っ
ていたことを思い出す。内容は聞かなかったが、ビデオがどうだとか
いう言葉が聞こえたという。田辺は温厚で、人と言い争うことはほと
んどない人物だった。

 帰り道。律子が犯人!?と信じられない思いの真紀に、律子は事件当
時、生放送中だったのだから犯行は無理、と諭す千春と妙子。だが、
ものごとにはどんなウラがあるかわからないから、一概に無関係と結
論を出すのは危険、とも言う。

 ベッドで男に抱かれる律子。相手は、キャスターの辰巳だった。
 情事のあと、律子は煙草をふかしながら、番組の今後について辰巳
に問う。「上が決めることだから」とはぐらかす辰巳だが、「あなた
がいちばん発言力あるじゃない」と律子は返す。「私たち、いろんな
意味で相性がいいと思わない?」
 「ところで」と辰巳は、事件のことを切り出す。真紀に協力したの
はなぜかと問われ、律子は、「おもしろい子だから、一度だけ局に入
れてあげただけよ」と笑う。「どうせ、真犯人にたどり着くなんて無
理なんだから」とフッと真顔になり、理由を聞かれても笑って答えな
い。

 真紀の部屋で、雅人が作った豆乳鍋を一緒につつく一平。雅人は、
得意げに豆乳のウンチクを語る。
 だが、真紀はテレビにかじりついて『ニュースメディア9』を見て
いる。9時43分には犯行なんて無理か、とあきらめかけたとき、天気
予報コーナーが始まり、画面はお天気キャスターの中継映像に切り替
わる。
 「そういえば、このテレビ局の女子アナの更衣室を盗撮したビデオ
がネットで出回ってますよね」と雅人。「見たいですか!?」と突っ込
まれ、「見たくないよ、そんなもん」とあわてて一平が言うと、真紀
がむくりと起き上がり、「見たい!」

 雅人がパソコンを立ち上げ、画像が公開されているサイトを開く。
一平は画像の粗さを残念がり、真紀に胸ぐらをつかまれる。
 真紀は、「ビデオがどうとか」という言葉を思い出す。「ビデオ」
はこの盗撮ビデオのことだろうか。だが、それが事件とどう結びつく
のかもわからない。

 スタジオの調整室で電話を受ける佐野。電話の主は真紀だった。真
紀は佐野に頼み込み、女性弁護士との合コンをエサに、再び局内に入
らせてもらう。
 犯行現場を通りがかった男女を探し出し、事件当時のことを尋ねる
が、二人はなにも覚えてないという。番組スタッフからも、田辺と盗
撮ビデオを結びつける証言は得られなかった。そんな真紀の姿を、通
りがかった律子が見かける。
 疲れた表情で局から出た真紀は、妙子と合流する。めぼしい成果は
得られなかったと落胆する真紀に、妙子は、天気予報の時間は日によ
って前後し、時には午後9時40分ごろから始まることもあると言う。
続いて入るCMとを合わせると、約7分。生放送中のキャスターでも、
その時間ならスタジオを離れることができる。
 事件当時、天気予報は何分に始まったのか。そして、スタジオから
殺害現場までは往復何分かかるのか。真紀は元気を取り戻す。

 電話を受ける佐野。「ええっ!? またぁ!?」

 スタジオに立った真紀は、妙子の合図で、全力で走り出す。現場で
殺人(のそぶり)をして、更衣室にナイフを隠し、駆け戻ると、ぎり
ぎり7分。「行って帰るだけで精一杯。人を殺す時間なんてないわね」
と妙子。だが、ゼイゼイしている真紀のハイヒールを見てハッとし、
「もう1回走って!」「えっ!?」
 今度は、裸足で走り出す真紀。同じように走り、スタジオに駆け戻
ると、往復5分だった。残り2分。これなら犯行も可能である。

 事件当日のビデオを見たいと、佐野に頼み込む真紀。資料室らしき
部屋には、ビデオがずらりと並んでいる。「アカンって! オレ、ク
ビになるから!」と困り果てる佐野を無視して、妙子は目的のビデオ
を探す。だが、事件のあった4月13日のビデオだけが、紛失していた。

 局のテラスにたたずむ律子に、真紀と妙子が近づく。ビデオが紛失
したことを告げ、田辺が殺されたのは、番組の天気予報の間だろうと
言う妙子。「でなければ、テープを盗む理由がないからです。テープ
が消えたことで、逆に確信が持てました」
 律子の足元は、歩きやすそうなローヒールのパンプス。自分が疑わ
れていると気づいた律子に、真紀は、律子と田辺が口論していたこと
を持ち出す。「別に、仕事上のことよ」と笑い、立ち去る律子。真紀
と妙子は厳しい表情で顔を見合わせる。

 事務所。携帯で夫を叱り飛ばす美佐子。「定年になったらあなたも
うちのことやるって、約束したでしょう!? オニババってだれのこと
よ!?」
 電話を終えた美佐子は、「矢島律子犯人説ってのはどうなったの?」
「確証はないままです」材料は、放送中に殺害が不可能ではなかった
ということと、田辺と律子が口論していたということだけ。もう少し
で何かがつかめそうなのに、と疲れた表情の真紀と妙子に、「事件の
真相は、必ず過去にあるの。だから行き詰まったときは、真実に突き
当たるまで何回でも、過去に戻る必要があるのよ」と美佐子は諭す。
 その言葉に何かを思いついた真紀は、大慌てで事務所を飛び出して
いく。
 残された弁護士たちは、由紀江にアリバイがないのは、犯人の作為
かもしれないと思い至る。由紀江を犯行時刻に資料室に行かせたのは
誰なのか…。

 その頃、真紀は再び事件現場にいた。時刻は午後9時43分。ビデオ
から拾った音声を再生し、犯人になったつもりで会議室を出る。話し
声を聞いて、隣室に身を潜めたところでプレーヤーを止め、犯人が隠
れたと思われる会議室の中を見渡す。
 と、 まぶしい光が差し込む。窓の外では、天気予報の中継が行わ
れていた。真紀はハッとする。

 法医学教室にいる一平の携帯が鳴る。「天気予報? 見てるけど
何?」テレビ画面の端には、明かりのついた部屋と、手を振る真紀の
姿が小さく映っていた。
 携帯を切り、「これだ」と確信に満ちた瞳でつぶやく真紀。

 裁判当日。真紀は、妙子、千春ととともに気合を入れ、不安げな由
紀江に微笑む。
 まず、証人として律子が立つ。千春は、事件当日の天気予報の放送
中にトイレに立たなかったか、田辺と何を口論していたのかを質問。
だが、律子は覚えていないとだけ答える。千春は、田辺は温厚で、口
論をするような人物ではなかった。理由を覚えていないのではなく、
言えないのではないかと突っ込む。無表情の律子。

 続いて、次の証人が呼ばれる。驚いた表情の律子。証人とは、辰巳
だった。
 妙子(原沙知絵)は、同じく天気予報の放送中に律子が席を立った
かどうかを尋ねるが、辰巳は覚えていないと答える。
 さらに妙子は、由紀江と田辺が不倫関係にあったことを知っていた
かと問う。「ええ、噂になっていましたから」と答える辰巳に、「も
し真犯人がほかにいるとすれば、田辺さんと不倫関係にある被告は、
罪をかぶせるのにちょうどいい相手ですね」「仮に真犯人が被告に罪
をかぶせようとしたとすれば、被告にアリバイがない状態を作らなけ
ればいけない。そうですね」とたたみかける。
 裁判長に質問の意味を問われた妙子は、資料室にいたという由紀江
のアリバイを証明する人がいないのは、夜遅くに資料室へ行く人が滅
多にいないからだと答える。

 妙子に続いて質問に立った真紀は、由紀江を資料室に行くように命
じたのは辰巳であるという事実を突きつける。「次の日のニュースに
急に必要になったから」と理由を説明する辰巳に、真紀は、律子が席
を立ったかどうか覚えていないのではなく、自分が席を立ったから答
えられないのではと言い放つ。
 「田辺さんと矢島さんが口論していたと聞き、私たちは、二人の間
に何かトラブルがあったのではないかと思いました。でも、口論の理
由は必ずしもその二人の間にあるとは限りません」
 真紀は、ビデオテープを取り出し、これは田辺の遺品から見つかっ
たもので、女子アナ更衣室の盗撮ビデオだと言う。ざわめく法廷。
 辰巳は動揺を隠し、「ほぉ、盗撮の犯人は田辺さんだったんですか」
と言うが、真紀は、見つかったのはテープだけで、肝心のカメラはな
かったのだと答え、テープの指紋鑑定を申請する。自分が盗撮犯だと
疑われていると知った辰巳は、「仮に私が盗撮犯だったとしても、そ
れと田辺殺しとは何の関係もない」と立ち上がる。
 そこでおもむろに、千春と妙子がテレビを出してくる。再生された
のは、事件当日の天気予報のVTR。ワンダーマーケット社の解雇問
題が取り上げられたため、原告団の一人が番組を録画していたのだ。
同時に、事件現場の隣室で撮影された映像の音声を重ねる。
 殺害現場の会議室が、中継映像のバックに小さく映っている。犯人
が、事件現場の隣室に入ったところでテープを止める。その部屋の窓
に人影が見える。その部分を拡大すると、それは紛れもない辰巳の姿
だった!
 「あなたが田辺さんを殺したんですね」と真紀が迫ると、辰巳は
「こんなのは茶番だ」と立ち上がる。
 「逃げる場所はありませんよ!」

 真紀の言葉に観念した辰巳は、事件の真相を語り始める。
 更衣室で盗撮テープを回収していたところを、見回りに来た田辺に
見つかってしまった。田辺は、見つかる前に辞表を出すようにと迫る。
仕事を追われることを恐れて、殺害を決意したのだという。
 呆然と聞いている由紀江。
 由紀江に罪を押しつけたことについても、「悪いとは思ったがね」
と悪びれずに話す辰巳に、真紀は怒り心頭。「報道っていうのは、い
ちばん公平で、正義感のある人がやるべきじゃないんですか!?」辰巳
は「甘いな」と鼻で笑い、律子との関係まで暴露する。「ほしいもの
を手に入れたいんなら、汚いことだって必要なんだよ」と開き直る辰
巳に、真紀は「すべてのテレビ局があなたの事件を報道します。でも
あなたはそのニュースを見ることはできません」と言い放つ。
 呆然と座り込む辰巳。

 報道陣が取り囲む中、裁判所から手錠をかけられた辰巳が連行され
る。それを、遠くから見つめる律子。真紀は、辰巳が犯人だと知って
いたのでは?と問う。
 「田辺さんが、私にだけ打ち明けてくれていたの。辰巳さんが盗撮
をしていたこと、辞表を書かせようとしていること。番組は高視聴率
を続けてたわ。だから、局の利益のためには、辰巳さんの犯罪行為は
闇に葬るべきだ、そう訴えた。でも…」
 事件の日のCM明け。戻ってきた辰巳のこめかみに、汗が流れる。
 「彼が本番中に汗をかくなんて、一度もなかった」
 田辺が殺されたと知り、辰巳の犯行を確信した律子だが、それでも
辰巳をかばった。ビデオを隠したのも律子だった。
 「私に、真実を報道する資格なんてないわね。駆け出しの頃は、今
のあなたみたいに、正義に燃えてたのにね」寂しげにつぶやき、律子
は立ち去る。

 辰巳には懲役15年の刑が確定した。律子は東西テレビを辞め、二度
とテレビの世界に戻らなかった。由紀江はテレビ局に復帰し、田辺の
遺志を受け継いで番組作りに没頭している。
 田辺の墓に手を合わせる由紀江。

 事務所。ウキウキと新聞記事を切り抜く真紀。お菓子でくつろぐ弁
護士たち。
 美佐子と五月は、「なかなかやるわね」と顔を見合わせ微笑む。
「所長の若いころもああだったんですかね」と五月に問われ、「さあ
ね」と笑った美佐子だが、次の瞬間、饅頭をのどに詰まらせ、咳き込
む。
 真紀は、妙子に次の事件の資料を渡され、張り切って読み始めるが、
つまんだ大福をのどに詰まらせ、大騒ぎ。やっぱり美佐子とそっく
り…!?


寸  評  1991年から制作された人気シリーズが、キャストを一新し、再登
場。熱い新米弁護士を釈由美子が、彼女をサポートする先輩弁護士を、
川島なお美や南野陽子、野際陽子らが演じている。サスペンスでは定
評のあるテレビ朝日らしく、安定感のあるストーリー運びで、事件に
巻き込まれた女性たちを守るべく事件に立ち向かう女性弁護士たちの
活躍を描いている。トリックとしてはそう難解ではなく、途中で犯人
を当ててしまった人も多いのでは? ちょっとありえないような証拠
や証人が次々現れるのも、お約束ってことで、真紀の熱血ぶりや、先
輩たちの個性的なサポートぶりをエンタテインメントとして楽しむの
が正解かな? 1話完結式なので、今後1クールをどう展開していく
のかも、楽しみではあります。

執 筆 者 Nami(nami_s1976@yahoo.co.jp)

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2. 編集後記
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 「ブスの瞳に恋してる」とともに執筆を担当させていただきます。すっかり
遅くなってしまってスミマセン。また、特に初回ということで、番組の雰囲気
や7人の個性を表現したくて、すごく長くなってしまいました。これでもだい
ぶ削るのに苦労したんですけどねぇ。早くもビデオがたまりつつあるので、な
んとか次回以降スムーズに執筆できるよう、努力したいと思います。どうぞよ
ろしくお願いします。
 なお、本職は編集者ですが、副業でライターもやってます。土日しか執筆に
はかけられませんが、お仕事がありましたら、ぜひご相談ください。Mixi会員
の方は、「那美」で検索かけていただけると、日記なんかも見ていただけます。
(Nami)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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