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タイトル:Daily Drama Express 2006/03/15 神はサイコロを振らない (最終回)  2006/03/20


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2006/03/15 (Wed) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.水曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 水曜日の連続ドラマ
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タイトル 神はサイコロを振らない
局  名 日本テレビ系
放映日時 水曜22時
キャスト 黛ヤス子(小林聡美)
 竹林亜紀(ともさかりえ)
 木内哲也(山本太郎)
 黛菊介 (武田真治)
 大屋本部長(岸部一徳)
 加藤久彦(大杉漣)
 坂倉将 (升毅)
 後藤瑠璃子(鳴海璃子)
 浜砂柚子(市川実和子)
 甲斐陽介(尾美としのり)
 甲斐航星(中村友也)
 黒木亮 (小清水一輝)
 浜砂桃子(佐々木麻緒)
 中武昇子(明星真由美)
 浜砂藤吉(片桐仁)
 日向啓太(丸山智己)
 霧島藍 (矢沢心)
 神蔵竜蔵(ベンガル)
 神蔵英子(大川栄子)
 早川真澄[機長](石橋祐)
 後藤杏子(高橋惠子)
 神蔵弘美(通山景織子)

原  作 大石英司
脚  本 水橋文美江
主題歌  『』

あらすじ the last day「最後の一日運命は変えられる!」

 亮(小清水一輝)は両親が離婚していることを知って激しく動揺し、
父親は途方にくれていた。

 哲也(山本太郎)は亜紀(ともさかりえ)と菊介(武田真治)から
自分とヤス子の結婚式の話を聞かされたが、笑って相手にしない。そ
れよりも哲也は先進波という過去との通信手段の調査に打ち込んでい
た。

 ヤス子(小林聡美)は亮と父親に会う。亮は「本当のことを教えて
よ!」とヤス子に泣きながら訴える。ヤス子はどうしていいかわから
ない。すると父親は静かに、自分がこの10年の間にホームレスになっ
ていたことなどすべてをありのままに話す。父親の真摯な態度に亮は
ようやく落ち着きを取り戻し、「僕、お母さんのところへ行くよ」と
俯く。父親は「そうだな」と亮を見つめる。

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 −10年という月日を超え、再び現れた東洋航空402便は明日また
10年前の世界に引き戻されてしまう。どうしようもない現実の前に、
最後に人は何ができるのだろう。人は何かを変えることはできるだろ
うか。
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 −残された時間は、あと32時間。

 哲也は航星(中村友也)を尋ね、先進波通信によって10年前マイク
ロブラックホールに突入する前に「高度を落とせ」というメッセージ
を伝えられないかと相談する。だが航星も同じことを考えていたが、
不可能という結論に達したという。先進波は弱い波なので、遅延波に
かき消されてしまうだろうと。そして今は最後の1日を大切に過ごし
たいと言う。

 亮は、坂倉課長(升毅)に連れられて母親の元に向かうことになっ
た。亮の父親は「本当に402便は消えるのでしょうか」とヤス子に尋
ねると、ヤス子は「そうあってほしくないですが、もし消えても私は
諦めないでいようと思います」と答える。ヤス子は運命に抗うことは
できなくても、せめて自分自身だけは諦めないでいようと決めていた。

 ヤス子は「このままでいいんですか?これまでのことより、これか
らですよ」と亮の父親を励まし、もう一度亮に会わせる。父親は「こ
れからは亮に恥ずかしくない生き方をする。それがお前と会えた証だ
から」と笑顔で伝える。

 −残された時間は、あと31時間。

 亜紀は、哲也に会いヤス子との結婚式をもう一度勧める。哲也は相
変わらず乗り気でないが、亜紀は「ならヤッチと哲を囲む会って形で
もいいから」と頼み、さらに菊介も瑠璃子にピアノ演奏を頼みに行っ
たことを話す。長いこと半径500m以内を出歩いたことのない菊介が他
人のために行動しだしたことや、亜紀の懇願に打たれた哲也は気持ち
が変わり受け入れることにする。「お前みたいな他人のために一生懸
命な奴が402便に乗っててくれてよかったよ」と哲也は笑顔を見せる。

 瑠璃子(鳴海璃子)は航星に会い、ヤス子の家に行くことになった
ので一緒に過ごすことはできなくなったと話す。そして代わりに甲斐
と一緒にヤス子の家に来てはと提案する。しかし航星は「兄貴は家族
会のことで忙しいから」と断る。
 航星は甲斐が昔からまとめ役を一生懸命やる性格で、10年たった今
でも同じ、そんな兄を尊敬していると話す。その話をたまたま通りか
かった甲斐(尾美としのり)が耳にする。甲斐は航星の話に俯いて考
え込んでしまう。

 ヤス子と坂倉課長が打ち合わせをしているところへ、甲斐がやって
きて「長崎にいるご家族の元に行くので切符を手配してください」と
話しかける。ヤス子は「えっ甲斐さんが行かなければならないんです
か?」と驚く。甲斐にとっても今日は航星との最後の日だったからだ
が、甲斐は「私が行かなくて誰が行くんです!」と声を荒げる。

 甲斐がいらだっているのは、航星に尊敬されているというのが、受
け入れられないからだった。甲斐は「内心うんざりしているんです。
402便の人が消えたらまた10年前のような騒ぎになる。そうしたらま
た私は振り回されるんです。私はそれが嫌でご家族にできるだけ穏や
かな気持ちで別れて欲しいと思っているだけなんですよ」と今まで自
分を犠牲にして奔走してきた苦しさを打ち明ける。

 そんな甲斐の本心を知らずにいたヤス子たちは言葉も出ない。よう
やくヤス子が「私が代わりに行きますからご家族とゆっくりしてくだ
さい」と言うが、そこへ大屋本部長(岸部一徳)が現れ「私が行きま
しょう」と申し出る。

 大屋本部長は「ずっと気になっていました。家族会会長を任された
ためにあなたの時間は10年前のまま止まってしまった。そのことは東
洋航空としてではなく、1人の人間として申し訳なく思っています。
どうかご家族とゆっくりしてください」と頭を下げる。それに対し甲
斐は涙を浮かべながら頭を下げる。

 −残された時間は、あと29時間。

 哲也はヤス子に会うと、ヤッチと哲を囲む会の話をする。ヤス子は
「そうだね、亜紀が言うなら」とOKする。ヤス子はこの10日間亜紀
がずっと自分のためにいろいろしてくれたことに応えないといけない
と思っていた。そして、最後の瞬間は笑顔で別れようと。

 こうしてヤッチと哲を囲む会の準備はにぎやかに楽しく進められる
が、そこへ甲斐から哲也に電話がかかってくる。

 −残された時間は、あと6時間

 哲也が甲斐に会いに行くと、甲斐は先進波送信機を見せる。甲斐は
波が微弱だけれども、長崎航空に格納されている402便に乗り込み、
引き戻される瞬間に送信すれば危険を伝えるメッセージが届くのでは
ないかと説明する。そして哲也にこれから長崎航空に向かい、
9時32分に送信して欲しいと依頼する。

 菊介と亜紀は買い物をする。その帰り道、菊介は改まった顔つきで
「10年前に引き戻されたタイミングでこの僕のことを忘れてください」
と言う。亜紀が「なんでそんなこと言うのよ」とむっとすると、菊介
は「次に会うときに恋に落ちるためです。次会うときは今よりずっと、
もっと楽しい日々を送れる男になってますから。それまではありがと
うとも、亜紀さんと過ごした時間が大好きだったとも、さよならも言
いません」と真顔で伝える。亜紀は菊介を抱き寄せ「次会うときが楽
しみになった。消えるのが恐くなくなったよ」と涙する。

 ヤス子の家には瑠璃子、杏子(高橋惠子)、啓太(丸山智巳)、藍
(矢沢心)らがぞくぞくとやってきて、盛り上がっている。そこへ哲
也が帰ってきて会を始めようとするが、哲也は「申し訳ない。これか
ら長崎へ行きます」と告げる。

 加藤教授(大杉漣)は甲斐に「今の科学で扱えるのは送信後、時間
をおいて受信する遅延波のみだ」と話す。しかし甲斐は「そうだとし
ても木内さんは引き受けてくれました。無理かもしれないことを承知
の上で」と真剣な面持ちで答える。加藤教授は「まああいつならやる
だろうなあ。バカな男だから」と苦笑する。

 哲也は「可能性はないに等しいとしても賭けたいんです」とヤス子
たちに話す。それを聞いたヤス子は「すいません、みなさん集まって
くれたのに」と謝りながら、哲也に「ほら、早く行きなよ」と背中を
押す。

 哲也とヤス子は一緒に走り出し、外でタクシーを呼び止める。哲也
は「ごめんな、一緒に過ごす約束守れなくて」と謝ると、ヤス子は
「いいよそんなこと」とタクシーに押し込む。タクシーは発車するが、
すぐ止まり、哲也が戻ってくる。

 哲也は「肝心なこと言い忘れていた。俺はお前が好きだ。今の38の
お前が好きだから。じゃ、じゃあな」と言って戻ろうとする。すると
ヤス子も「ありがとう、402便のこと最後まで諦めないでくれて。会
えてよかった。一緒に過ごせてよかったよ。神はサイコロを振らなく
ても自分の運命は自分で選び取れる、この10日間でそう思えたから。
きっと変われると信じてる」と伝える。

 哲也は「俺もよかった、10年後のお前に会えて。また会おうな」と
言って、婚約指輪を出す。ヤス子は「それ10年前に買ったんでしょ、
消えちゃうよ」と笑うと、哲也は「そうかぁ、どうしよう」とおろお
ろするが、ヤス子は「ああ、もういいよ、時間ないから早く」と指を
出し、哲也はヤス子の左薬指にはめ、タクシーに戻る。乗り際に哲也
は笑顔で「さよなら!」と手を振る。ヤス子も「さよなら」と笑顔を
見せる。そしてタクシーは発車する。

 402便の乗客たちはそれぞれの時間を過ごしていた。啓太と藍は東
京タワー、杏子と瑠璃子はドライブ、亮と父親は空港で最後の別れを、
昇子(明星真由美)と柚子(市川実和子)はお笑いのライブ、神蔵夫
妻は家族で夕食、甲斐と航星はホテルでチェス。

 亜紀は「私たちは散歩でもしようか」とヤス子と出て行く。菊介は
「いってらっしゃい」と涙ぐみながら見送る。

 ヤス子がネイルサロンが最近流行していることを話すと、亜紀は
「ちょっとやってみたいな」と答える。ヤス子が「どっかまだやって
るかも。見てこよっか」と小走りで探そうとする。その瞬間背後から
風が吹く。

 ヤス子がハッとして時計を見ると9時32分を指している。ヤス子が
振り返ると亜紀の姿はなかった。他の家族もみな、消えていった。ヤ
ス子は恐る恐る自分の左薬指を見ると、指輪も消えていた。ヤス子は
思わず空を見上げる。

 ヤス子がぼんやりと家に戻ってくると、菊介が亜紀の手紙を差し出
す。その中には次のように書かれていた。「拝啓、黛様。どうか気を
落とさないでください。この世の中何が起こるかわかりません。
402便はもしかしたらどこか別の世界へ行ったのかもしれません。そ
の世界では自分は5人くらいの子どもを抱え、ひ弱な亭主の尻を叩い
て元気で生きているのです。いえ、きっとどこかで生きているのです。
だから黛様も平成の今の時代を元気に生きてください。それが私たち
の人生を輝かしくするのですから。追伸がんばれよ菊坊!」

 菊介は亜紀から贈られたスーツをヤス子に見せる。こうして奇跡の
10日間は終わり、極普通の日常が戻ってきた。

 甲斐は「回収された送信機に受信記録はありませんでした。やはり
失敗したようです」と無念の表情を浮かべる。加藤教授は「そうか」
とつぶやく。

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 −それでも私は信じる。どうしようもない出来事にあっても、やり
過ごさずきちんと向き合うことで何かが変わる。402便が10年後の世
界にやってきたあの10日間が私を変えたように。
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 加藤教授は「だが私の理論によれば402便の残骸が見つかるはずだ。
もしかしたら彼らは時空を超えたどこか別の世界で生きているのかも
しれない。パラレルワールドはあるのかもしれないね」と甲斐ととも
に空を見つめる。

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 −きっと何かが変わると信じている。
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 ヤス子は帰ってくる途中、スーツ姿の菊介に会う。菊介は就職活動
を始めていた。ヤス子は「今晩はすき焼きだよ」と笑いながら菊介と
一緒に歩いていく。(終わり)


寸  評  しみじみいていて、全体としては良かったです。ただ、ヤス子と
亜紀の9時32分のシーンが物足りなかった気がします。肝心なシーン
だから消える瞬間を見せるべきであるという考え方もあるでしょうし、
消えるところは想像に任せるという考え方もあると思います。これは
意見が分かれるとは思いますが、番組は後者を取り、私は前者である
べきと思いました。というのもその瞬間が9時32分とあらかじめ分か
っているのにその瞬間を忘れるというのは今までの思いはなんだった
のかと思うからです。
 そもそもの話になりますが、このドラマの主題は10年前の情熱を失
った主人公が402便の乗客と再会することでもう一度人生をやり直そ
うと思うということだと思います。しかしながら見るほうとしてはや
はり数奇な運命により10年後に現れ、10日後に消えていく人たちのほ
うがドラマチックなのでどうしてもそっち気になります。けれど主題
はそこにはないとするならば、先進波云々で消えるか消えないかを描
くより、別れるにあたっての主人公の気持ちに密着して描くべきだと
思います。ですので、話がどうも地に足がついていないような感じが
否めませんでした。
 もちろん別れる直前から別れるシーンは感動的なのですが、主題が
そこにないという一点で面白さが半減したような気がします。

執 筆 者 ケン()

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2. 編集後記
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 今クールは個人的に面白いドラマがあまりなくてちょっと物足りなかったの
ですが、ここに来て『女王の教室』のスペシャルが放映されていて見ています。
個人的にこの作品は面白いものの、やりすぎではと思ってしまいます。盗聴、
密告といった手段は近いところでは共産主義独裁政権でとられていた悪しき慣
習であり、子供が親を密告して親が処刑され子供は新聞等で表彰されるという
ことさえありました。民主化が進んで平和になって忘れかけたころにこういう
番組が出てきてしかも評判を得るというのは恐いです。(ケン)

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発行元:ドラマ研究会
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