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タイトル:Daily Drama Express 2006/01/18 神はサイコロを振らない (1)  2006/01/23


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2006/mm/nn (Wed) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.水曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 水曜日の連続ドラマ
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タイトル 神はサイコロを振らない
局  名 日本テレビ系
放映日時 水曜22時
キャスト 黛ヤス子(小林聡美)
 竹林亜紀(ともさかりえ)
 木内哲也(山本太郎)
 黛菊介 (武田真治)
 大屋本部長(岸部一徳)
 加藤久彦(大杉漣)
 坂倉将 (升毅)
 後藤瑠璃子(鳴海璃子)
 浜砂柚子(市川実和子)
 甲斐陽介(尾美としのり)
 甲斐航星(中村友也)
 黒木亮 (小清水一輝)
 浜砂桃子(佐々木麻緒)
 中武昇子(明星真由美)
 浜砂藤吉(片桐仁)
 日向啓太(丸山智己)
 霧島藍 (矢沢心)
 神蔵竜蔵(ベンガル)
 神蔵英子(大川栄子)
 早川真澄[機長](石橋祐)
 後藤杏子(高橋惠子)
 神蔵弘美(通山景織子)

原  作 大石英司
脚  本 水橋文美江
主題歌  『』

あらすじ the 1st day「10年ぶりに突帰還した恋人や親友…38歳・女捨てて
んじゃねえよ」

 空港の化粧室で前髪をつまみピンと伸ばす黛ヤス子(38)(小林聡美)。
うまい具合に決まったので思わずニンマリ、軽い足取りで出て行く。

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 −今でもあの人がひょっこり「腹減ったなぁ」なんて言って帰って
くるような気がする。私は「ああめんどくさい」と言いながら、案外
悪い気はしないで飯を作ったりするのだろう。でも……
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 シャンパングラスを片手にビシッとスーツを決めた木内哲也(30)
(山本太郎)の姿を想像するヤス子。

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 −違う!
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 一升瓶を片手にちゃぶ台で「ヤッチ〜」とグダグダしている哲也の
姿を想像するヤス子。思わず「違うなあ」と声に出してしまい、空港
内にいる人々に怪訝な顔つきをされてしまう。

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 −もうあの人をイメージするのは難しい。でも私は恋をしていた。
あのころ、いつだってあの人のことばかり。あの人、あの人あの人あ
の人!(サングラスをかけパイロットスーツを身にまとった哲也を柱
の陰からうっとりと見つめながら)お恥ずかしいことに、それは確か
に恋だった。
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 空港カウンターで乗客の応対に追われるヤス子。

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 −でも今はもうそんなことはない。終わってしまった。あれから
10年がたったんだ。

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 同僚から坂倉課長に呼び出しを受けていると聞かされ、カウンター
を離れるヤス子。 


 10年前。1996年8月10日。壱岐島。東洋航空402便。
 フライトアテンダントの竹林亜紀(28)(ともさかりえ)が笑顔で搭乗
客を迎えている。哲也も副操縦士として402便に乗り込んでいる。

 東洋航空402便15時30分定刻通り離陸。

 最初のうち飛行機は順調に飛行を続けるが、やがて積乱雲に遭遇す
る。哲也は「迂回しますか?」と尋ねるが、機長の早川真澄(石橋祐)
はそのまま進んでも問題ないと判断する。

 しかし飛行機は尋常でない揺れ方をし、乗客室内はパニック状態に
なる。早川も哲也も今まで経験したことのない激しい揺れ方に動揺を
隠せない。すると突然まばゆい光が機体を覆い、そのまま飛行機は光
の中に吸い込まれていってしまう。その瞬間哲也の脳裏にはヤス子と
一緒に過ごした日々が駆け巡った。

 東洋航空402便 応答途絶える。

 1997年10月。「加藤久彦教授特別講義 相対性理論で解く402便失
踪事件」の看板が出ている。

 ガラガラの大講堂で402便失踪について熱弁を振るう加藤久彦
(52)(大杉漣)。

 402便失踪については大規模な捜査にも関わらず何一つ遺留品が見
つからなかったが、運輸省は402便の墜落と乗客全員の死亡を確定し
た。

 しかし加藤は地球を横切ったマイクロブラックホールに吸い込まれ
たのであって、飛行機は墜落してもないし、乗客も全員無事だと主張
する。そして相対性理論に基づいて計算した結果、402便は2006年2月
10日に時空を越えて戻ってくるのだという。

 2006年2月10日長崎空港。空港内のフライトアテンダント、航空整
備士、操縦士、そしてヤス子は口をあんぐりとあけてぽかんと空を見
上げていた。

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 −ご冗談でしょ?
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 上空からは1機の飛行機が降りてくる。

 東洋航空402便が再び姿を現す3日前。

 スーパーで買った食材を両手に提げ、スキップしながらやってくる
黛菊介(31)(武田真治)。
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 −僕の夢は子どもをベビーカーに乗せて六本木ヒルズにランチを食
べに行くこと。お受験させて、プチ親子留学しちゃって。女の子はバ
レエ、男はサッカー!アメフトなんかもかっこいいかも。もちろんピ
アノやバイオリンも習わせるぞ。
 おっと、その前に結婚相手見つけなきゃ!
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 菊介はヤス子の弟でヤス子と同居している。この日はヤス子の同僚
を呼んですき焼きをする予定だったので、菊介は張り切っているのだ
った。

 しかし家に帰ってくると、ヤス子は「その件だが、すまん」と中止
になったと話す。「松坂牛を買ってきたのに」と不服がる菊介に、ヤ
ス子は自分は会社に友達がいないからできないんだとあっけらかんと
答える。

 その夜、ヤス子は菊介と2人ですき焼きを食べながら、「姉ちゃん
さあ年金いくらもらえるか知ってる?年金暮らしになったらあんたに
も節約してもらわないと」と菊介に話す。菊介はいわゆるニートだっ
た。菊介が「60になってまで姉ちゃんと一緒に暮らす気はないよ」と
答えると、ヤス子は「まっ、あんたのことは心配してないけどさ」と
見放したように答える。

 すると菊介は「もっと気にかけてよ、30過ぎても家でゴロゴロして
いる弟をさあ。僕は姉ちゃんの人生の汚点なんでしょ」と情けない顔
をする。しかしヤス子は「そうだったの?」と気にも留めない様子。
菊介は「だから(家を出て行くから)姉ちゃんの友達紹介してよ、ス
ッチーとかスッチーとか」とねだる。しかし、ヤス子は自分は地上勤
務だから客室乗務の人とは関係ないと相手にしない。

 それでも菊介は「1人同期で妙に気が合う人いたんでしょ」と食い
さがる。するとヤス子は「ああ、アッチか。アッチがいたらあんたに
誰か紹介してくれたかもね」と思い出す。亜紀が402便とともに消息
を絶つ前、亜紀はアッチ、ヤス子はヤッチとお互いを呼んでいた。ち
なみに亜紀は以前「ミス角煮まんじゅう(長崎名物?)」に選ばれた
ことがあり、けっこう美人だった。菊介は「会いたかったなあ」とた
め息をつく。

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 −毎日がまったり過ぎていくのはむしろ喜ばしいことだ。あれから
10年、いろいろなことがあった。あんなことやこんなことやそんなこ
と。いろいろあって今は何もない。何もないってことはすばらしく楽
チンだ。あとは定年まで静かにやり過ごすだけである。
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 東洋航空402便が再び姿を現す2日前。

 坂倉課長に呼ばれたヤス子は402便事故対策室と書かれた部屋の中
に入る。室内は薄暗く事件に関する資料が雑然と置かれている。壁に
貼られた行方不明者の写真を見つめるヤス子。

 やがて坂倉将(45)(升毅)が入ってくる。坂倉はヤス子に長崎空港へ
行くように指示を出す。ここにきて402便が戻ってくるという加藤教
授の説に対して、ネットに書き込みがあり「2月10日長崎空港に集結
せよ。奇跡の瞬間に萌え〜っ」という呼びかけが起きていた。

 坂倉は「これを遺族が見て、長崎空港に駆けつけて大騒ぎになった
らどうする?」とそわそわしだす。しかしヤス子は「しないでしょ」
と間髪いれず否定する。しかし本部長が念のために様子を見るべきと
言っていて、その役割に当時事故対策室にいたヤス子が選ばれたとい
う。ヤス子は渋々受け入れる。

 ヤス子が長崎空港にやってくると、空港関係者が出迎えてきた。

 東洋航空402便が再び姿を現す1時間前。

 空港関係者は「いやぁ今のところ遺族からもマスコミからも問い合
わせはなくて、僕らも大丈夫と思ってんですけどね」と愛想笑いしな
がら状況を説明する。
 するとヤス子は「なら次の便で東京に帰っていいですか」とムッと
する。

 そのころ海の見える高台には402便遺族会会長甲斐陽介(40)(尾美と
しのり)が立っていた。そこへ加藤が現れる。甲斐は「この10年あな
たの学説を信じるか信じないか何度も自分に問いかけていました」と
話すと、加藤は「もうすぐ正しいことが証明されます」と静かに答え
る。加藤は402便からの無線を傍受する準備を始めるが、甲斐は半信
半疑でいる。

 ヤス子は空港ロビーで暇そうにしていたが、そこへ浜砂柚子(30)
(市川実和子が) が通りかかり「黛さん、久しぶり〜」と声をかける。
ヤス子と柚子は402便失踪事件を通して知り合った。柚子は当時お笑
い芸人を目指していた。そしてその相方が402便に乗っていたのだ。
柚子は今では八百屋の主婦をしている。

 加藤と甲斐がその瞬間を待ち構えていると、加藤の携帯のベルが鳴
る。加藤が出ると402便らしき飛行機が上空より空港に迫っていると
いう知らせだった。加藤は双眼鏡を構えて空を見上げ、そして「来た
ぁー!私の理論に間違いはなかった!」と絶叫する。

 同じころ空港も402便が着陸するとわかって大騒ぎになりはじめた。
ヤス子と柚子も慌ててロビーの席を立ち滑走路の見えるところへと走
る。

 緊急着陸したのは紛れもなく402便だった。ヤス子はすぐさま空港
関係者に事情を確認すべく関係者用の通路へと走る。しかし空港関係
者もよくわからない様子でいる。そこへ加藤と甲斐がやってきて通路
を通せと叫ぶ。甲斐も早く遺族へ電話を!とヤス子に申し入れる。

 ヤス子は動転し、本当に402便なのかどうか判断がつかず何も答え
られない。しかし加藤は402便が再出現していて、乗客も乗務員もみ
な無事、しかも彼らにとっては30分しか時間がたっておらず10年前と
同じ姿をしているのだと矢継ぎ早に説明する。

 東洋航空東京本社もパニック状態になっていた。坂倉は取り乱して
「とにかく国土交通省からの指示を待てと言ってるだろ!」と取り乱
している。そこへ大屋本部長(58)(岸部一徳)が現れ「落ち着いて対応
しなさい。我々本社の人間が着くまで乗客、乗務員を一歩も外に出さ
ないようにしなさい」と落ち着き払って指示をする。そして「我々も
臨時便で長崎に向かいます」と続ける。坂倉は「そうだ」とヤス子が
現地に先発していることを大屋に話す。しかし大屋は「彼女を行かせ
たのですか?」とジロリと坂倉をにらむ。

 空港では加藤が早く乗客を降ろせと怒鳴っていた。ヤス子は空港関
係者に相談するが、「本社からはそのまま待機させるようにとの指示
です」と言われ、途方にくれてしまう。

 やがて家族たちがやって来る。彼らは事故担当だったヤス子と面識
があるため、「早く会わせて、無事なのになぜ降ろさないんですか!」
とヤス子に口々に必死に訴える。

 そんな家族の姿に、ヤス子は「リムジンバスを2台用意してくださ
い。これから乗客を誘導します。乗員はそのままで構いません」と伝
える。慌てる空港関係者にヤス子は「責任は私が取りますから」とき
っぱりと答え、準備にかかる。

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 −私が会社を辞めない理由は、定年後年金をいただくためである。
わずかな年金に過ぎなくても老後の暮らしを考えて。決して上司に逆
らわずそつなく無理なく淡々と。決して自分の意見は持たないで、あ
っても決して口にはしないで、与えられた仕事だけを無難にこなす。
この10年、この10年で私はそう学んだんだ。がんばったところで世の
中どうしようもないと、私は学んだ……はずでしょ?
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 乗客を降ろすことに難色を示す空港関係者を「乗客を第一に考えて
ください。責任は私が取りますから」と説得して回るヤス子。

 夜になり準備が整った。402便の搭乗口が開かれる。家族や空港関
係者が固唾を飲んで見守る中、最初に現れたのは亜紀だった。

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 −生きてる……。あっ、動いてる、動いてる。生きてたんだぁ……
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 亜紀はヤス子を見て驚く。ヤス子が老けているので外界が10年後だ
ということを改めて思い知らされた様子の亜紀。

 次々と乗客が降りてくる。亜紀はひとりひとりに毛布を渡して、ヤ
ス子が待つリムジンバスへと誘導する。乗客の姿を見て、家族たちは
声をかけたり手を振ったりして涙に暮れる。

 操縦室では、哲也が「なぜこんなことになったんでしょう?」と早
川に問いかけていたが、答えは見つからない。

 やがて乗客が全員バスに乗り込んで出発すると、家族からは感謝の
拍手が鳴り響いた。


 空港に到着した大屋と坂倉は待機の指示を無視して乗客を降ろした
後と知って驚く。坂倉はヤス子を呼んで怒鳴りつけるが、大屋は「乗
員、乗客ともにただちにホテルへ移動させますから車を用意してくだ
さい」と静かに指示する。

 ヤス子が「家族は?」と坂倉に尋ねると、坂倉は「ホテルで改めて
状況説明をする。君はもういいから下がって」と追い払う。ヤス子は
「それではあとはお願いいたします」と一礼して立ち去ろうとする。

 すると大屋が「君はいくつになりました?対策本部にいたときは入
社4,5年でしたか。あれから10年いったいどういう年のとり方をして
きたんです?」と声をかける。ヤス子はとっさに答えることができな
い。

 大屋は立ち上がり「何があとはよろしくお願いしますだ。君は上か
らの命令にそむき、ヒーロー気取りで乗客を誘導し、さぞかし気持ち
よかったでしょう。しかしこの尋常でない状況において君の軽率な行
動が取り返しのつかないことになっていたらどうするつもりだったの
です。これ以上この件に関わることを禁じます。ただちに東京へ戻っ
てください」と厳しい口調で叱責する。

 哲也はホテルの外で402便について書かれた新聞の号外を見ていた。
「2006年か」と哲也はつぶやく。そこへ亜紀が缶コーヒーを持ってや
ってくる。哲也も亜紀もあの光に吸い込まれたのはいったいなんだっ
たのだろうかと物思いにふける。

 亜紀は「ヤッチに会った?探してきてあげるよ」と呼びにいこうと
する。しかし哲也はそれを止める。402便に乗り込む直前、哲也はヤ
ス子とケンカしていたことがひっかかっていた。しかしそれ以上に
10年の空白への戸惑いがあった。亜紀は「ヤッチはヤッチだったよ」
と哲也を元気付けるが、哲也の気持ちが整理されるのには時間が必要
そうだった。

 ホテルの窓から黒木亮(10)(小清水一輝)が1人で外を見ているのに
亜紀は気づく。
 亜紀はホテルに戻り亮に声をかけるが、空港関係者がやって来て部
屋へ連れ戻す。

 テレビでは402便のことが報道されていた。ホテルの部屋でそれを
見た日向啓太(25)(丸山智己)、霧島藍(23)(矢沢心)は「まずいよ、逃
げよう」と荷物を整理する。2人は駆け落ちカップルで、家族に連れ
戻されるのを恐れたのだった。

 啓太と藍が部屋を出ると、ちょうど隣の部屋を出てきた後藤瑠璃子
(15)(鳴海璃子)に見つかる。

 甲斐は加藤にもう一度学説を広めるべきだとすすめていたが、加藤
は「理解者や名誉が欲しいわけじゃない。自分の理論が正しければそ
れでいいんだ」とだけ言って帰っていく。

 啓太と藍、瑠璃子はホテルから逃げようとする。啓太と藍はタクシ
ーを捕まえて出て行ってしまうが、瑠璃子は甲斐に見つかり引き止め
られる。

 甲斐は坂倉を呼び出して10年経過している意味は重く、再会してそ
れで終わりというわけにはいかないから慎重に対処してほしいと不手
際を責める。坂倉は乗客の顔も名前もよくわからず平謝りに終始して
対応できない。甲斐は「黛さんを呼んでくださいよ」とイライラを募
らせる。坂倉は「彼女は、帰りまして」としどろもどろに答える。そ
れをたまたま通りかかって耳にした亜紀は「なんで?私、呼んできま
す」と空港へ急ぐ。坂倉も「こんなときにどうして事故担当だった方
を!」と怒る。

 柚子の相方、中武昇子(25)(明星真由美)は柚子に電話し、「今はお
笑いブームだからチャンスだね」と大はしゃぎする。しかしすでに結
婚し子どももいる柚子は困惑してしまう。他の家族の間にも意識のす
れ違いが軋轢を生み出していた。

 空港に到着した亜紀はベンチで寝転んでいるヤス子を見つける。ヤ
ス子は東京行きのアナウンスを聞くと、「どっこいしょ」と身体を起
こし、「よっこらしょ」と荷物を持ち上げる。そんな様子に亜紀は違
和感を覚える。

 亜紀は「早く戻ってよ。遺族会の会長が怒って大変で」と頼むが、
ヤス子は「いいのよ、別に」と素っ気無い。亜紀は「哲とケンカした
こと気にしてんの?もう恋も仕事もバリバリやるんでしょ」とまくし
たてる。するとヤス子は「うざったいなあ。そういうの終わったの。
私今年で38歳だよ。昨日のヤッチとは違うの、黛さんなの」と迷惑そ
うにして行ってしまう。

 亜紀は「老けたねえ30になっても40になってもずっとイケイケで行
こうって言ってたじゃない」としだいに涙声になる。「10年なんかに
負けてんじゃねえよ。心に汗かいてねえだろ。仕事ほっぽらかしてる
んじゃねえよ、哲のこと終わったって言って女終わらせてんじゃねえ
よ。勝手に人生捨てんじゃねえよ!」と泣きながら声を張り上げる。

 しかしヤス子は「あのねえ18歳から28歳までの10年と28歳から38歳
の10年は違うの。同じ10年でも違うの。少なくとも私にとってはね。
あんたもいろいろあるだろうけど、身体に気をつけて元気でね」と静
かに答えて立ち去る。

 が、数歩行ったところで振り返り「あっ、その前髪」と言って、イ
マイチという顔をする。亜紀は両手で顔を覆い泣く。

 哲也がホテルのフロントでルームキーを預けたとき、一通の手紙が
渡される。
 心当たりのない哲也は怪訝に思いながら、手紙を読むと「残された
時間はあと9日」と書かれている。

 パソコンからホームページへアップロードする何者かの手。
「402びんは再び10年前に引き戻される。徹底検証すべし。残された
時間はあと9日」という文言が画面に映る。

 −10年前あなたはどんなあなたでしたか?


寸  評  ヤス子は事故対策室にいた10年前はかなりやる気のある人だった
のでしょう。
 しかし何かがあってやる気をなくしてしまった。事情を知らない亜
紀はそんなヤス子を責める。まさに10年間の空白が2人の間のつなが
りを分断しているという感じです。ヤス子は不意に現れた亜紀、そし
て恋人の哲也との交流で見失ってしまった自分を取り戻せるのかどう
か、10年間の空白という残酷な仕打ちの中で人々がどう考え、生きて
いくのか興味深いです。それと「残された時間はあと9日」というの
も意味深で気になります。

執 筆 者 ケン()

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2. 編集後記
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 私は今クール他に『ガチバカ』『N’sあおい』を見ようと思っているんです
が、こういうひねりのない単純明快なドラマは前評判が高くないですね。深み
のあるもの、ひねりがあるものが好まれていると思いますが、日々仕事で疲れ
ている身としてはあっさり系の方がラクに見れていいと思っています。(ケン)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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