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タイトル:Daily Drama Express 2006/01/12 白夜行 (1)  2006/01/20


===================================================== 発行部数   25 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2006/mm/dd (Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル 白夜行
局  名 TBS系
放映日時 木曜21時
キャスト 桐原亮司(山田孝之)
 唐沢雪穂(綾瀬はるか)
 笹垣潤三(武田鉄矢)
 唐沢礼子(八千草薫)
 松浦勇 (渡部篤郎)
 谷口真文(余貴美子)
原  作 東野圭吾
脚  本 森下佳子
主題歌  柴咲コウ「影」

あらすじ  第一話

 2005年12月24日。

 唐沢雪穂(綾瀬はるか)の前に、腹にハサミを刺し、血まみれにな
ったサンタ服の男が倒れている。

 −−オレ達の前に太陽など無かった。いつも夜だけど、暗くはなか
った。太陽に代わるものがあったから。(男)

 −−夜を昼だと思って生きることができた。明るくはないけど、歩
いて行くには充分だった。(女)

 −−あなたは.....オレの.....太陽だった。まがいものの太陽だっ
た。だけど、明日へと昇ることをやめない、オレのたった一つの希望
だった。(男)

 −−あなたは.....わたしの太陽だった。ニセモノの太陽だった。
だけどその身を焦がし、道を照らす、わたしのたった一つの光だった。


 雪穂はきびすを返すと、男から離れていく。心の中で「明るい、明
るい」といいながら。

 −−それはあの日から。(女)

 男の手は、次第に力を失っていく。

 −−14年前.....太陽を失ったあの日から。(女)

 遂に男が力尽きる。



 1991年 秋 −−
 バブルがはじけ、作りかけになっているビルの廃墟で遊んでいる小
学生の男の子達。
 遠くでは、盛んに煙突から煙が上がっている。

 桐原亮司(幼少時代の亮司・泉澤祐希)はどぶ川の岸に座り、「風
と共に去りぬ」の本を手に、川をボーっと眺めている、小学生の少女
を見付け、足を止める。


 亮司が帰宅する。


 蔵の中では、密会する男女。桐原弥生子(麻生祐未)と店員の松浦
勇(渡部篤郎)だった。

 亮司の父・桐原洋介(平田満)が店から戻ってくる。
 親子三人、差し障りのない会話をしながら、夕食を食べる。


 雪穂は、給食費の袋の中から二千円出して払うと、まっすぐ歩けな
い状態の母親・西本文代(河合美智子)を担いで帰る。


 亮司は、図書館で百科事典を借りて読んでいる。そして閲覧席を見
ると、昨日の少女がいる。ランドセルに、『西本雪穂』という名札が
入っている。

 亮司はそっと西本雪穂(福田麻由子)を盗み見る。
 雪穂は英単語・熟語の参考書を読んでいる。

 遂に閉館時間。
 雪穂はサッサと立ち上がる。
 亮司は勇気を振り絞って、「西本さん」と声を掛ける。
 でも雪穂は答えず、さっさと歩いていく。

 追い掛け、質問する亮司。
 もう、英語の勉強していて、すごいねと言われ、貧乏人が出世する
には、勉強しかないと答える雪穂。

 昨日、何してたの?何か落としたの?と問われ、ドブに咲く花があ
るというから探していたと答える雪穂。


 雪穂が帰宅すると、玄関に男物の靴。逃げようとする雪穂を文代は
捕まえ、頼りになるのは雪穂だけ、と言う。


 亮司は、『ドブに咲く花』を事典で探していた。


 亮司は図書館で雪穂を探していた。


 翌日も亮司は図書館で雪穂を見る。そして、どぶ川のところで声を
掛ける。ドブにさく花がある、と。
 雪穂は驚いて駆け寄るが、それは紙で作った蓮の華。

 亮司は、ドブの花は、本当は泥に咲く華、蓮のことだろう。でも、
ドブに咲く華がないというのも、夢が無くていやだから、と亮司。

 川の流れに、その紙の花は流れ始める。
 雪穂は川の中に入って追い掛ける。
 止めようとする亮司も川に入り、二人は川の中で転び、ずぶ濡れに
なる。

 川岸に二人は並んで座り、亮司は紙切りで、雪の結晶を作る。『雪』
穂だから、と。

 雪穂は、なぜ自分に優しくしてくれるのか聞く。
 亮司は、「チャゲ的悲しみで」と答える。
 でも、雪穂が好きなのは飛鳥の方。
 タイムマシンがあったら、雪穂は未来に行きたくて、亮司は過去に
行きたい。雪穂は後悔したくないから、と言う。

 遂に、嫌なことがあったら暗記して忘れるというところで、やっと
意見の一致を見て、亮司は一安心。でも、こんなこと一致してもお互
いに暗いよね、と言う。

 今度は雪穂が花みたいと言う。水面に月が白い丸に映っていたのだ。
 亮司ははしゃいで、また川に入る。


 大江町文化センター・大江図書館。

 今日も雪穂は図書館に来て、『風と共に去りぬ』を読んでいた。
 そこに亮司が駆け込んでくる。

 亮司は、『風と共に去りぬ』の小説の表紙絵の切り絵を作ってみせ
る。
 すると他に数冊を見せ、それも切り絵にさせる雪穂。

 次に、トラックの前に飛び出させて、「ぼくは死にましぇーん」と
言わせる。

 雪穂と亮司の前を老夫婦が手を繋いで、歩きすぎる。
 亮司は雪穂と手を繋ぎたくて、ドキドキしている。

 雪穂はサッと手を繋いだ後、「汗、すごいよ」とからかう。
 また手を繋ぐ雪穂。

 そこに洋介と松浦がやってきて、亮司に声を掛ける。
 雪穂は洋介の靴を見ると、急に体を硬くして、そして駆け去ってし
まう。
 残され、わけのわからない亮司。


 洋介は夕食の席で、亮司に、雪穂とは二度と会うな。雪穂の母親は
質屋の常連で、飲んだくれだと言う。
 亮司は、そんなこと関係ないと反発するが、それなら家を出ていけ、
メシも食うなと洋介。


 雪穂は文代に、いつも来る男の人は、桐原という人なんだね、と言
い、文代は知らない方がいいんだと言う。


 亮司が図書館にいても、雪穂は来ない。
 亮司は、意を決して、雪穂の通う小学校の前で待ち伏せ。

 雪穂に父親のせいか?と問う亮司に、雪穂は亮司の手は気持ち悪い
と答えると逃げていく。


 雪穂が帰宅すると、机の上にケーキの箱が乗っている。
 「もういやだ」と言う雪穂に、文代は200万貰ったんだから、と
言う。そして、自分もそういうことをやっているのだから、雪穂も大
丈夫となだめようとする。
 雪穂は、どうせ自分のこと売って、前借りしただけじゃない、と反
発。


 亮司は司書の谷口真文(余貴美子)に、雪穂に手がべたべたするか
ら嫌われたと相談。
 真文は、そんなことはないと思う。雪穂は亮司に会うようになって
から、明るく笑うようになったし、亮司もそうだと言う。そして、雪
穂に手紙を書いてみたら?と言う。


 亮司がノートに必死に手紙を書いていると、雨が降ってくる。

 亮司が雨に濡れながら家路を急いでいると、大通りの向こうを、雪
穂が文代に無理矢理手を引かれて歩いている。
 でも、信号は赤で、車が走っていて渡れない。

 やがて雪穂と文代は、あの廃ビルへと入っていく。

 亮司もそのビルに入る。
 文代は雪穂を一室に入れると、立ち去る。

 亮司がその部屋のドアを引いてみるが、内側から錠が掛かっている。

 亮司は、思いついてダクトを伝ってその部屋を目指す。

 その部屋の中では、雪穂が自ら服を脱いでいた。

 遂に亮司がその部屋の上に到達すると、雪穂は全裸で台の上に寝て、
男が雪穂の裸体を写真に撮っていた。
 その男は、なんと洋介!!

 洋介が振り向くと亮司が立っている。
 洋介は、雪穂は慣れていて嫌がっていないと、言い訳をしようとす
る。

 でも、次の瞬間、亮司はいつも持ち歩いているハサミで、洋介のお
腹を刺していた。


 父を差してしまったことを、壁際に座り、血に染まった手に、血に
染まったハサミを持ち、頭を抱えて悩む亮司。
 雪穂はそのハサミを亮司の手から取って握ると、刺したのは自分。
今まで何度も頭の中で殺していたのだから、亮司が悩むことはない、
と明るく言う。

 二人はダクトを通って外に出る。
 雪穂は、自分たちはお互いを知らないし、会ったこともないことに
しよう。その方がいいんだからと言うと、指切りをして約束させる。
そして落ち着いたら、必ず連絡するという。

 −− この時のオレには、この奇妙な約束を問いただしている暇な
どなかった。ただひたすら、一秒でも早く、一メートルでも遠くへ離
れたかっただけだった。

 亮司は走り去る。
 雪穂は手を開いて、ハサミを見る。

 −− それが雪穂を置き去りにすることだとは、思いもしなかった
んだ。


 雪穂はどぶ川に、洋介のカメラを捨てる。


 帰宅した亮司は服を脱ぐと、洗濯機に埋め、手をごしごしと洗う。
 その様子を、松浦がそっと見ている。

 −− なあ、雪穂、タイムマシンの話だけど、オレ、やっぱり過去
に行くよ。そんであの日のオレに、逃げるなよって言うよ。そうすれ
ばきっと、あなたの道は明るかったはずだから。


 洋介の遺体が、廃ビルで遊んでいた小学生によって、偶然発見され、
笹垣潤三(武田鉄矢)たち刑事がやってくる。致命傷は腹を鋭利な刃
物で刺された一突きだけ。争った痕がないから、顔見知りの犯行か。
でも、なんでこんなところに.....?


 雪穂はフィルムを燃やしていた。


 弥生子は捜査に非協力的。
 松浦は愛想よく、顧客名簿も見せる。

 笹垣が亮司と話をする。笹垣は、何故洋介があのビルへ行ったのか
?あのビルでは、よく小学生がダクト遊びをしているから、亮司も洋
介を見たことがあるのではないか、と問う。
 「無いです」とだけ答える亮司。
 笹垣は、また来ると言って、帰っていく。

 亮司が家族写真を投げようとしたところに松浦が入ってくる。
 投げられない亮司。


 笹垣は、亮司は目をひんむいたおかしな子だと、同僚に言う。


 松浦が弥生子に、亮司と三人、あの日のことの口裏を合わせておこ
う、と言う。あの日、何をしていたか聞かれたら、本当のことは言え
ない。言ったら桐原の家から何ももらえなくなっちまうと持ちかける。

 −− こうしてオレのうすら寒い日々が始まった。オレが殺してお
きながら、親を殺された子として振る舞う毎日。隠せば隠すほど、葬
ろうとした真実は夢の中でふくらんだ。すべてを吐き出してしまいた
かった。だけどすべてをはき出せるただ一人からの連絡はなかった。
そんな中でオレは雪穂と出会ったことを後悔し始めていた。もし雪穂
と出会わなければ、オレは人殺しになんかならなかった。いやらしい
疑いも生まれた。もしかしたらオレはダマされて居るんじゃないの
か?雪穂はあのハサミを手に、警察に駆け込んでいるのではないか?
オレは雪穂に太陽を奪われた気持ちになっていた。


 どぶ川のほとりに立つ亮司を、そっと見る雪穂。


 ベンチに座って、『風と共に去りぬ』を読んでいる雪穂に真文が、
「もうすぐ読破だね」と声を掛ける。
 雪穂は、スカーレットは天国に行けたのかと問う。家に入ってきた
兵士を殺してしまう。ああいう場合なら、殺してもいいのか、と。
 真文は、もし我が子が殺されたとしたら、そうしてしまうかもしれ
ない。でもそういうことは亮司と話しなさいと言う。そう言ってしま
ってから、今の亮司には、話しにくいか。お父さん、殺されてしまっ
たから.....と付け加える。
 雪穂は、落ち着いたら手紙を書こうと思うという。


 雪穂は、あのカメラを父親の骨壺の中に隠し、隠しきってくれるよ
う、亡き父親に頼む。


 警察は、文代が洋介の愛人だったのではないかとの情報を掴む。
 でも、笹垣は、愛人なら殺さず、細く長く金を引き出すのではない
か?と言う。


 文代を訪ねると、雪穂が帰ってきて、文代はまだ仕事だと言って、
お茶を出す。
 そして本を読み始める。

 笹垣は、スカーレットをどう思うか聞く。自分は苦手だが、と。
 雪穂はスカーレットは強くて、しっかりしていて、憧れると答える。

 事件の日、洋介はプリンアラモードを3つ買ったことの調べがつい
てい、その時の箱が、ゴミ箱に捨てられている。

 そこに文代が帰ってくるが、雪穂は一言も口を利かない。


 警察署に戻った笹垣は、雪穂は母親を犯人にしようとしているので
はないかと感じる。


 捜査本部では、弥生子と松浦ができていることを掴む。そしてあの
日、桐原質店を訪ねた人が、店は開いているようなのに、呼び鈴を押
しても、誰も出てこなかったという証言もつかむ。

 松浦に尋ねると、あの時は蔵に入っていたから、ブザーが聞こえな
かったのだろう、と言う。弥生子は、一度呼びに来た。でも、店には
出ない主義なので、ブザーが鳴っても出なかったという。

 弥生子に問うと、多分亮司と夕食を食べていたという。

 亮司に問うと、その時はテレビを見ながら夕食を食べていたと言い、
番組名もその内容も、スラスラと答える。

 この間とは違うという笹垣に、あの日は忘れられない日となったの
で、よく覚えているという。


 捜査本部では、文代があれからサラ金を返しているので、ホンボシ
では?という。
 でも笹垣は慎重。昔、真っ黒に見える犯人を誤認逮捕し、犯人の娘
は、「犯人の娘」と言われるのがいやで自殺した。だから慎重になる
のだという。


 雪穂は、川原で、亮司から貰った切り絵を細かくちぎって川に流し
ていた。


 文代がウトウトしていた時、雪穂はハサミを持たせようとしたが文
代が起きてしまい、中止する。

 雪穂は酔っている文代に、二日酔いの薬と言って、風邪薬を飲ませ
る。
 文代は洋介を殺した犯人は雪穂以外ありえない。でも、誰にも言わ
ないから。あんな男、殺されて当然、と言う。


 笹垣は調書を手にあの現場で考え込んでいた。


 文代が雪穂を道連れにガスで心中したとの報告が入る。
 文代は亡くなったが、雪穂はガスは吸ったが一命を取り留める。
 台所の包丁差しから、ハサミが見つかる。

 笹垣が雪穂に問うと母親のハサミだと答える。


 亮司は、刑事に追い掛けられる夢を見て、飛び起きる。


 笹垣は今日も現場で考えている。なぜドアの前に、建築資材が置か
れ、ドアを開かなくしてあったのか。
 そうすると、ダクトを伝って逃げたと言うことは、子供。加害者の
子にしろ、被害者の子にしろ、やりきれない。犯人が子供だとして、
動機が分からない。洋介と会ったことで刺した?


 雪穂が登校すると、みんな人殺しの娘と噂している。ランドセルに
も、『人殺し』といたずら書きされる。

 一人帰宅し、『風と共に去りぬ』を読む雪穂。


 亮司は真文に、スカーレットが人を殺しても生きているのがわから
ない。人を殺したら苦しむ、と言う。
 真文は、人を殺したら自分の心に苦しめられるもの。スカーレット
も苦しみ、その先のものを目指したのだろう、と言う。
 そして、雪穂から手紙が来たかと聞く。

 帰宅した亮司は、ポストや状差しを探すが、雪穂からの手紙はない。

 −− オレはその時、雪穂がすべてを背負ってくれたのだと、あの
奇妙な約束の意味にやっと気づいたのだ。

 家を飛び出し、雪穂の部屋へ行く亮司。
 でも、ドアに、「捨てて下さい 西本」と貼り紙がしてある。


 雪穂は笹垣からあのはさみを返して貰う。
 笹垣は、そんなものを持っていては、いつまでも事件のことを思い
出して辛いだろうと言う。

 雪穂は、辛いだけでなく、楽しい思い出もある。母の形見だし、も
ともとは父のモノだったと、ニコッとする。

 笹垣は、一つ自分に言うことがあるだろう。一つ嘘を付いたら、次
々と嘘を付かなければならなくなる。そんなことをしていては、お天
道様の下を歩けない、と言う。
 何も言わない雪穂。


 笹垣は去っていく雪穂に、雪穂ならスカーレットになれる。強いか
ら、と言う。


 亮司は図書館に飛び込むと、返却用の棚を探すが、見つからない。
 次は書架を探し、『風と共に去りぬ』の第5巻を見付け、めくる。
 すると手紙が入っている。『亮司』という名前はすべて塗りつぶさ
れていた。
 亮司は手紙を手に走る。


 『亮君へ。
 いつかこの手紙見るかな。そう信じて書くよ。何があったとしても
多分、亮君が思っている通りです。後悔なんて全然してないけど、本
当はわたし自身もいなくなるつもりだった。
 わたしと亮君をつなぐものはとにかく全部消えてしまった方がいい
と思ったから。
 だけど肝心のわたしだけは残ってしまった。
 ごめん、どうもわたしは神様から嫌われているみたいで、死んだら
全部終わりだと思っていた心の中の狡さを見逃してはもらえなかった。

 だけどこうなったらどこまでも生きてやろうと思います。親を殺し
てまで手に入れた人生だから。
 遠くへ行きます。場所は言わないね。
 人から見れば、もう亮君は被害者の息子で、わたしは加害者の娘。
わたしたちが知り合いというのはどう考えてもおかしいし、それに今
までのすべてがきっと無駄になってしまう。今までもこれからも、名
前も知らない、会ったこともない他人でいよう。二人のためにそれが
一番いいと思った。
 だけど、あれは貰っていく。あれは亮君だから。

 ドブのような毎日の中で、白い花を咲かせてくれた亮君だから。い
いことなんてないと思っていたわたしに、笑うことを教えてくれた亮
君だから。
 何よりあの時、わたしを助けてくれた亮君だから。

 亮君、ありがと。わたし、あの時、本当に嬉しかった。生まれてき
てよかった。もう充分だよ。そう思った。亮君はわたしの太陽だった
よ』


 雪穂はいたずら書きの上にガムテープを貼ったランドセルを背負い、
わずかな荷物を入れた、いくつかの手提げ袋を手に提げ、昂然と頭を
上げて歩いていく。


 亮介は必死に走る。


 雪穂はブラット・フォームで手に持ったハサミを見つめている。

 列車が到着し、雪穂がゆっくりと乗り込もうとすると、雪穂の腕を
強く引く者がいる。
 雪穂の手からはさみが落ちる。
 列車は出ていく。

 ケガをし、汗だくになった亮介。「待って」とだけ、はずむ息で言
う。
 そしてやっと息を整え、「雪ちゃんだって、ドブの花、咲かせてく
れたじゃないか。月の。オレも雪ちゃんと会って、いいことあるんだ
って、思えるようになった。笑えるようになった。雪ちゃんがいてく
れたことをありがたいと思っているよ。雪ちゃんだって、雪ちゃんだ
って、オレの太陽なんだよ。行かないで。行かないでくれよ、雪ちゃ
ん。オレ、強くなるよ。雪ちゃんがこんなこと、しないでいいように、
もう絶対逃げたりしない」と亮司。

 雪穂は黙って人差し指で向こうを指す。
 そして涙声で、「行って.....行って。もう暗くなるから」と言う。

 −− いつのまにか、オレ達の上に太陽はなかった。他人でいるこ
と以外、お前にできることなんてないんだと、笑われている気がした。

 亮介は、ハサミを手にすると、雪穂から貰った、黄色い紙の手紙で
切り絵をはじめ、太陽を作る。
 それを手に、列車に乗っていく雪穂。

 −− オレ達は11歳だった。


 1998年 冬。
 高校生の桐原亮司(山田孝之)は、学ランを着て、ホームにいる。

 一方、セーラー服を着た唐沢雪穂(綾瀬はるか)は、列車に乗って
いた。

 −− たった7年のうちにほとんどのことが変わった。オレが中学
を卒業する時に、桐原は潰れた。松浦が店の金を使い込んだからだ。
    あのビルは建築が再会され、お袋はそこでスナックを始めた。
事件のせいで保証金がゼロだったからと言っていた。雪穂のことなど、
もう誰も覚えていないだろう。多分、この人と、オレとこいつ以外。
    オレ達はこのまま本当に他人として生きていくのだと思って
いた。もう交わることのない道を歩いていくのだ、と。


 亮司は、相変わらず図書館で本を読み、真文は司書を続けていた。

 松浦は亮介に、三人になるけど、よろしくという。


 唐沢家の門をくぐり、ただいま、お母さんと挨拶する雪穂。
 雪穂は平日は学校から帰ると『お母さん』唐沢礼子(八千草薫)の
分も夕飯を作り、休日は礼子のやっている、茶道・華道教室を手伝っ
ている。
 ボーイフレンドを作るとか、普通の女子高生の生活をしないかと礼
子は問い、雪穂はそれなら温泉に行こうと言う。

 学校でも、級友と優しい女子高生として友達づきあいしている。


 「うまくやってるよねわたし、亮君」とベッドに横になり、子供の
時からの爪を噛む癖が抜けないままつぶやく雪穂。
 部屋の壁には、あの時の太陽の切り絵がきれいに額に納められてい
る。

 −− 事件は時に埋もれ、忘却の空へ。もうすべてが終わったと思
っていた。もう誰もが忘れたと思っていた頃だった。

 町中で亮介は、バッタリ笹垣に会う。
 ニタリと笑う笹垣(亮介がそう思っただけかもしれないが)。


寸  評  いきなり、すごい展開でびっりです。亮司が父を刺すというのは
番宣で知っていましたが、雪穂が売春させられていたのが原因とは。

 今回はなんといっても、子役達の芸達者が圧巻ですね。昔、安達由
美や鈴木杏がすごいと思いましたが、福田麻由子もすごいですね。こ
れからが楽しみな子です。
 山田孝之と綾瀬はるかにも頑張って欲しいですが、山田孝之の高校
生役、ちょっときつくなってますね。
 綾瀬はるかの冒頭、大人の役は浮いちゃってますね。彼女はまだ高
校生のイメージです。一方、石原さとみは一足早く、社会人役をやっ
ていますが。

執 筆 者 鈴木(drama_sumire@yahoo.co.jp)

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2. 編集後記
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 あの亮司がトラックの前に飛び出して「ボクは死にましぇーん」と言うのは、
あの年が「101回目のプロポーズ」が放送された年だったのでしょうか。あ
るいは共演している武田鉄矢へのオマージュでしょうか。中国だかどこかだか
でリメイクされて、また人気が出た、というところでしょうか。「白夜行」の
笹垣、「けものみち」の久恒、どちらもはぐれ刑事の執念が真相を暴く、とい
うところでしょうか。(鈴木)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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