メルマガ:日刊ドラマ速報
タイトル:Daily Drama Express 2005/06/23 恋に落ちたら (最終回)  2005/07/14


===================================================== 発行部数   26 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2005/06/23 (Thu) ☆☆
======================================================================

== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
======================================================================

----------------------------------------------------------------------
1. 木曜日の連続ドラマ
----------------------------------------------------------------------
タイトル 恋におちたら・僕の成功の秘密
局  名 フジテレビ系
放映日時 木曜22時
キャスト 鈴木島男(草なぎ剛)
 高柳徹 (堤真一)
 星野守子(佐藤江梨子)
 鈴木まり子(木村佳乃)
 安藤龍太(山本耕史)
 神谷陸 (谷原章介)
 桐野七海(和久井映見)
 白川香織(松下奈緒)
 藤井裕美(滝沢沙織)
脚  本 佐藤嗣麻子
主題歌  −

あらすじ  最終話『ヒルズに恋して』

  鈴木家の前の通りを、うろうろする怪しい人影――。 
 カツオを手にやってきた龍太(山本耕史)が その男に気付く。
 「!?……まり子の新しい男かあっ?!」
 龍太の“カツオビンタ”が、男の頬を直撃!

 鈴木家の居間。
 「すみませんでしたっ!」
 手をついて謝る龍太を、まり子(木村佳乃)は横目でにらみながら、
その男、宮沢(鈴木浩介)の怪我を手当てしている。
 宮沢もやはり『フロンティア』を辞めてきたのだった。
 今日も営業成果はなし。『鈴木ねじ』の事務所には 重い空気が漂
う。
 神谷(谷原章介)は高柳(堤真一)に、アメリカの大手プロバイダ
『ブライトオンライン』に「“ダメモト”で企画書を送った」と話す。
 「ほんっとに“ダメモト”だな」
 と 高柳は自嘲気味に笑う。
 「ま、何もやらないよりは やったほうがマシです」
 「確かにそうだ。落ち込んでても 時間の無駄だ」
 高柳は、宮沢を含めた全員に 明日からの営業の指示をとばす。
 「あいつは? “アイランド”」
 宮沢は、事務所に姿のない島男(草なぎ剛)を気にかける。
 島男はこのところずっと、一人 二階の部屋にこもって、プログラ
ミング作業を続けていたのだった。

 数日後。『フロンティア』社長室。
 「鈴木ねじが エージェント機能を搭載した検索サイトを 立ち上
げようとしています――」
 と 橘(村井克行)は 入手した企画書を 桜庭(鶴見辰吾)に手
渡す。
 エージェント機能というのは、コンピューターがユーザーの好みに
合った商品やサービスを、自動的に探してきてくれる機能をいう。
 そのポータルサイト公開まで あと1週間。
 「各メディアに手を回してください。このサイトを取り上げないよ
うに」
 桜庭に命令された橘は「こんなちっぽけな会社、心配要らない」と
答える。
 「心配のタネにならないよう、早めに刈り取っておくだけです」
 桜庭は 遠くをにらみつける。

 高柳や神谷はもちろん、香織(松下奈緒)も営業に走り回るが、な
かなかクライアントがつかず、空振りばかり。桜庭が先回りして、圧
力をかけているのだ。

 大手商社『宮上商事』。
 高柳は、担当者から「契約させていただきたい」と ようやくいい
返事をもらい、安堵の表情を見せる。
 「ただ、このままではダメです」
 セキュリティプログラムの影響で サーバーへの負担が重過ぎるの
だと言う。
 「クオリティを落としてくれれば、すぐにでも採用します」
 担当者の言葉に、高柳は戸惑う。

 今夜も営業は全滅。疲れきって戻ってくる従業員を、まり子と龍太
がカレーと刺身で元気付けようとするが、顔色は冴えないまま。
 そこに 高柳が戻り、島男に話しかける。
 「お前のエージェント型のプログラムに興味持ってる企業 見つけ
たぞ!」
 それが 大手商社『宮川商事』のIT部門と聞き、みんな大喜び。
 「ただし、条件がある。サーバーの負荷が高くなるので、現行のも
のよりセキュリティレベルを下げてくれと 言われた」
 高柳の条件に 島男は「出来ません」と即答する。
 「エージェント機能を付けると ユーザー情報が漏れやすくなるの
で、セキュリティが 今まで以上に必要なんです」
 「重過ぎるソフトは売れないぞ」
 「いいねじは、妥協したら作れませんから」
 居間で夕食のカレーを食べかけていた神谷たちは 黙って二人のや
りとりを見守っている。
 「契約がかかっていてもか? 鈴木ねじの存続がかかっているんだ
ぞ?」
 「分かっています。でも僕には 出来ません」

 『宮上商事』が『鈴木ねじ』に興味を示しているという情報を得た
桜庭は、「二社が組んだら やっかいなことになる」と 心配し始め
る。
 「大丈夫ですよ、そんなこと ありえませんから」
 気にもせず一笑にふす橘に、桜庭は「もう結構です」と冷たく言い
放つ。

 高柳と言えども、『鈴木ねじ』の営業には苦戦していた。そんな中、
高柳のケータイに あの桜庭から連絡が入る。

 高柳は ホテルのロビーで桜庭と会った。
 桜庭は高柳を、「あんな小さな会社で くすぶっている人ではない」
と言う。
 「あなたに フロンティアを仕切ってもらいたいと思っています。
もし 戻っていただけるなら 社長のイスを用意しますよ」
 高柳は驚くが、「冗談でしょう」と答える。
 「経営方針についても お任せします」
 「雇われ社長になる ということですか?」
 「ねじ工場の雇われ社員よりは 数倍マシかと思いますが…」
 「フロンティアに 未練はありません!」
 立ち去ろうとする高柳の背中に、桜庭は平然と語りかける。
 「ウソですね。未練がないなら フロンティアの株をなぜ未だにお
持ちなんですか? さっさと手放せばいいじゃありませんか。それが
出来ないのは、あなたがフロンティアに こだわっている証拠ではあ
りませんか?」
 ――桜庭の言葉は、的を得ていた。高柳は何も言うことが出来ず、
ただ 立ち尽くす。

 ついにサイトが完成。その夜 ささやかな祝賀会が 鈴木家で行わ
れた。
 打ち上げの後、島男と香織の二人は 川辺にやってきた。ベンチに
並んで腰掛ける二人。
 島男は、高柳に対して理解を示しながらも「自分の信念を曲げると、
鈴木ねじを 一からやっていく意味がない」と話す。
 「ようやく島男さんが 本当にやりたいことが出来るんでしょ? 
なら それでいいのよ」
 と香織。
 「私は、やっと今 自分の居場所がみつけられた気がする。あなた
のお陰」
 香織の大きな瞳に見つめられて 島男はどきっとする。二人の顔が
 自然に近づく――。
 「おーい!!」
 邪魔をするように、二人を呼ぶ声が聞こえる。それは神谷と宮沢だ
った。
 二人を 二次会に誘う神谷たち。香織は口をとがらせて、島男につ
いていく。

 鈴木家に残った 龍太とまり子。
 龍太は「島男が喜んでいると嬉しくなる」と 煮物を肴にビールを
飲む。
 「ね、龍太。私たち 結婚しない?」
 「……私たちって…? ! うっそぉ〜?!」
 自分の頬を思い切りひっぱたいて 痛がっている龍太。

 まり子たちの幸せな気分とは裏腹に、『鈴木ねじ』は暗礁に乗り上
げていた。
 サイトのアクセス数は 8万件に上ったが、目標まではあと22万
件…。このままだと『鈴木ねじ』はつぶれてしまう。『ブライトオン
ライン』の話さえうまく行けばいいのだが、まだ 返事はこない。
 「宮上商事をやろう!」
 と高柳。
 「セキュリティを下げるだけで 大口の契約が取れる!」
 だが 社長の島男は頑なに「セキュリティは下げない」と言いはる。
 「それじゃあ 不良品を出してるのと同じだからです」
 「セキュリティの低いものは 今だって存在してるし、出荷もされ
てる!」
 島男は「そんなことをするために この会社を作ったのではない」
と言う。
 「僕たちは 僕たちのやり方で 僕たちのビジネスをするために 
この会社を始めたんでしょう?」
 「お前の言う 僕たちの道の結果が このザマじゃないか?」
 高柳は 島男に詰め寄る。
 「勝ち負けは関係ないじゃないですか。今の僕には、勝ち負けより
も質のいいねじやプログラムそのものの方が ずっと大切です。僕は
いい物を作って、それを社会に提供したいだけです」
 「現実は、甘くないんだよ…すずきしまお」
 と高柳。
 「金がなければ会社はつぶれるんだ。夢でメシは 食えないんだよ」

 居酒屋。島男は 龍太たちと飲んでいた。
 そこに、神谷が裕美(滝沢沙織)を連れて現れる。裕美も『フロン
ティア』を辞めたと聞いて「結局みんなですか」と 宮沢。
 落ち込む島男に 神谷は「自分のやりたいことをやればいい」と励
ます。
 「俺たちは いいものを作らなきゃいけない。宮沢もそのために 
フロンティアを辞めたんだから」
 「みんな ほんとにありがとう」
 島男の元気が 少しだけ戻った。

 その頃、高柳は七海(和久井映見)と飲んでいた。
 高柳は 桜庭からフロンティアの社長になれと言われたことを打ち
明ける。
 「戻ってまた 社長になるの?」
 七海の問いに 高柳は黙ってウィスキーを飲む。

 翌日。
 ついに決心のついた島男は、「宮上商事の件は任せる」と高柳に告
げ、さっそく プログラムのセキュリティレベルを落とす作業にかか
った。

 その夜遅く、事務所で考え込む高柳に まり子が声をかけ、「(島
男が)またプログラムを書き直してる」とあきれたように言う。
 「レベルを落としても、落としたなりに最高のものを作りたいんだ
って」
 高柳はまり子に頼んで、二階の島男の部屋に上がる。
 「鈴木、入るぞ」
 ふすまを開け 部屋に入ると、暗闇の中で コンピューターの画面
だけが青白く光り、島男の横顔を照らしている。高柳は 島男の名を
何度も呼びかけるが、返事はないばかりか 島男は高柳の存在にさえ
気づかない。

 あきらめて 高柳が下に下りると、まり子は「自然に下りてくるの
を待つだけ」と笑う。
 「コンピューターいじりだすと、ご飯食べなくなっちゃうんですよ。
夢中になって、ご飯食べるの面倒くさいからって、ゆで卵いっぱい作
って そればっか食べてたら、栄養失調になっちゃって…。とうとう
入院しちゃったんですよ――」
 まり子は 小学生の頃からコンピューターを触っていた島男の思い
出を話す。
 「でも うらやましいですよね? 自分のこと忘れちゃうくらい 
打ち込めるものがあるなんて…」
 評判はいいが たくさん作れないというねじ。このねじのおかげで
「ずっと貧乏だった」とまり子。
 高柳は ねじを手にとり、間近で見つめる。

 翌朝。
 納得がいかず 物言いたげに高柳を見つめる七海たちを尻目に、高
柳は島男を伴って『宮上商事』に出かけていく。

 バス停で バスを待つ島男と高柳。
 「お前、コンピューターいじってる時、メシ食わないんだって?」
 「? ご飯食べてる時間がもったいないんですよね」
 「名前呼んでも、聞こえないんだって?」
 「? そうらしいです。気がついたら 人がすっごいそばにいて 
びっくりしたことがあります」
 「子供の頃、ゆで卵ばっか 食ってたんだって?」
 「? はい…、もう 食べ飽きました」
 不思議そうに 高柳の顔を見つめる島男。バスが二人の前に止まる。

 『宮上商事』
 担当の男は、二人をかなり待たせて 部屋に入ってくる。
 「(プログラムを)ちょちょっと いじってもらって…。大した直
しじゃないですよね? 丸一日あれば 出来ますかね? ちょっと削
るだけですかね?」
 苦笑する島男の隣で、高柳は突然怒り出す。
 「今 何つった?! ちょっと削るだけだって?! ふざけんじゃ
ないよ!」
 高柳は 立ち上がる。
 「あんた、こいつがどんな思いで このプログラム作ってるか、分
かってるのか?! 毎日毎日メシも食わずに、何十時間も 一人でパ
ソコンの前座って書いてんだよ! 何度も何度もやり直して、こだわ
ってこだわって こだわりぬいて書き上げたものなんだよ! 何も変
わらないだと?! ちょっと削るだけ?! じょーだんじゃね
えっ!! こっちからお断りだ!!」
 一気にまくしたてて、高柳は部屋を出て行ってしまった。
 「すいません。うちの高柳、気が荒くて…」
 島男は 笑いをかみ殺しながら、高柳を追いかける。

 バスの最後部席。ひたすら「どーしよー」と 頭を抱える高柳。
 「何で あんなこと言っちゃったんだろ…」
 「そんなに落ち込むなら、言わなきゃよかったのに」
 隣で島男は にやにや笑っている。
 「みんな、怒るだろうなあ…」

 「悪い! とーぶん貧乏なままだ! 許してくれ!」
 事務所に戻った高柳の第一声。神谷は「何をしたんだ」と高柳に詰
め寄る。
 「すっごい怒鳴ってましたよ。あんな怒鳴った高柳さんは 初めて
見ました」
 笑っている島男の言葉を聞いて、何が起こったか見当がついた従業
員たちは、にやつきながら「へえー」と繰り返す。
 「またみなさんには ご迷惑おかけします」
 と島男。バツが悪そうに背中を向ける高柳に「迷惑じゃないよ」と
声をかけ、みな めげずに外回りに出かけていく。
 島男に促されて、高柳も外に出て行く。

 高柳は『フロンティア』に向かった。
 まっすぐに社長室に向かう高柳に気づいた、旧『フロンティア』の
社員たちは、久しぶりのその姿に驚き 立ち上がる。
 社長室のイスには 既に橘の姿はなく、桜庭が一人 高柳を出迎え
た。
 「聞きましたよ、宮上商事の件。つぶしてきたんですね? 手際が
すばらしい。あなたと私が手を組めば、怖いものなしです」
 桜庭は 「あなたのイスです」と、かつて高柳の座っていた社長の
イスを差す。
 「桜庭さん、あなたの言うとおりです。私は この会社を愛してい
ました。この会社で いろいろなことを学びました」
 高柳は立ったまま、イスをじっと見つめる。
 「そして妙な男に会いました。その男は 何も持っていませんでし
たが、純粋な信念だけは持っていました。くっだらない男で、理想ば
かり振りかざす男です」
 高柳は ふっと笑う。
 「しかし 私は、その男とやっていくことに決めました」
 桜庭の顔色が変わる。愕然として言葉を失う桜庭に「この話はお断
りします」と言い、颯爽と社長室を出て行く高柳。

 相変わらず『鈴木ねじ』の赤字は 変わらない。その対策会議を 
茶の間で始めたところに、高柳が戻ってくる。まり子は 忙しいみん
なに代わって、かかってきた電話に応対している。
 「うちの会社、収入が全くないんです。このままじゃ つぶれます」
 と深刻な顔で話す神谷。だが、高柳は「大丈夫」と余裕の表情。
 「フロンティアの株を売ろうと思ってる」
 「それはいつか、フロンティアを奪い返す時に――?!」
 「もう未練はない。あの株を売れば、鈴木ねじが救われる」
 まり子が、電話に苦戦しているのに やっと気づいた従業員たち。
どうやら相手は英語で話しているらしい。
 「何言ってるのか、ぜんっぜん分かんないんですよぉ…。ぶらい
と?おんらいん…とかって…」
 「ぶらいとおんらいんねぇ……」
 ――しばしの沈黙。
 「!!! ブライトオンライン?!」
 全員電話に飛びつく。それは、『鈴木ねじ』との契約の電話だった
のだ!

 島男の部屋。下で何が起こっているかも知らず、島男はひたすらキ
ーボードをたたく。みんなが真後ろに勢ぞろいしているのにも、もち
ろん気づくことはない。
 「こいつは ブライトオンラインだろうが何だろうが、プログラム
の変更さえなければ 構わないのさ」
 と高柳。
 「こいつのお陰で、ほんと ひどい目に会ったな」
 「人生 狂わされましたね」
 「全くだ」
 と高柳と神谷は苦笑する。宮沢や香織らも、その背中を見つめなが
ら 島男との思い出を振り返る。

 『鈴木ねじ』の『ブライトオンライン』との契約調印式がニュース
に流れる。

 その後、島男の開発した『鈴木ねじ』のエージェント型検索システ
ムは、爆発的に普及し、検索エンジンのシェア第1位に。
 そのポータルサイトのアクセスも1億件を超え、『鈴木ねじ』はつ
いに、あの『フロンティア』を買収するまでに至った。

 「――ロイドブラザーズの桜庭氏は取締役を解任されました、尚、
新社長には創業者である高柳徹氏が返り咲き、経営陣が一新されるこ
とになります――」
 ニュースの画面には、報道陣に取り囲まれながら 苦々しい表情で
ヒルズを後にする桜庭の姿と、それとは対照的に 晴れ晴れとした高
柳の姿とがあった。

 ヒルズに戻ってきた高柳は、「ごくろうさま」と警備に立っていた
豊田(金田明夫)に 声をかける。
 「おかえりなさい」
 感無量の豊田は 敬礼して、高柳に答える。

 『フロンティア』の経営事業部。
 旧『フロンティア』の面々が 高柳を笑顔で迎えた。
 社長室に向かった高柳は、ゆっくり一歩一歩踏みしめながら イス
に向かう。イスの背に手をかけ、ゆったり腰を下ろす。
 ポケットに手を入れ、いつものポーズで立ち上がると、高柳はブラ
イド越しに外を見つめる。だが、そこには何か 前とは違う雰囲気が
あった。
 七海たちは そんな高柳の復活を、心から喜んでいた。

 高柳は、『フロンティア』の新たな経営方針を発表、経営の抜本的
な見直しを図った。株価は 10万円以上にまで上昇した。

 まり子と龍太の結婚式。
 教会に駆けつけた、高柳以下『フロンティア』のメンバーが見守る
中、龍太とまり子は 誓いのキスを交わす。
 「次は、お前らだな!」
 と龍太は、島男と香織を交互に見る。
 まり子が、ブーケを空高く放り投げる――。

 パーティー会場は、貸切の『リオハ』。
 島男と高柳は、並んで座り、シャンパンを飲んでいる。 
 「俺は、お前と 新しいフロンティアをやっていきたいと思ってい
る。一緒に来てくれないか?」
 「すいません。僕は鈴木ねじで 僕自身の仕事を続けます」
 「そう言うと思った」
 それは、高柳にとって 一応想定内の答えだった。

 一方、豊田はものすごーく困っていた。あのブーケをとってしまっ
たからだ。
 「私、ブーケとっちゃう男の人って、嫌い」
 と守子(佐藤江梨子)。

 結局 豊田のとったブーケは、香織のもとへ。
 パーティー後、島男と香織は 二人川沿いを歩く。
 「みんな、幸せそうだったなあ。島男さんも。そして 私も」
 島男は ふいに香織に近づき、キスをする。

 ――5年後。
 『フロンティア』は、大学生の就職人気ランキングのトップになる
までに躍進していた。
 朝、出社した高柳に、若い社員が慌てて話しかけてくる。
 「Linux系のモバイルを、新たに特許申請した会社がありま
す!」
 一瞬驚く高柳。
 「何か…町工場みたいですよ。“鈴木ねじ”……我々の敵ではない
ですよ」
 旧『フロンティア』のメンバーは、それを聞いてにやにやする。
 「“アイランド”か…」
 「“アイランド”ねぇ…」
 「少しの動きも見逃すな! 何かあったら 必ず報告しろ! 鈴木
ねじをあなどるなよ?」
 と高柳はいたずらっぽく笑う。若い社員は、さっぱり訳が分からず
 首をかしげる。

 いつもの業務が、いつものように始まる。
 高柳は 社長室の机に飾られたあの日の写真――『鈴木ねじ』を再
開した日に撮った――を見つめて 微笑む。
 「すずきしまお…」

 『鈴木ねじ』。
 切削機械が入れられ、もとの社員たちが戻り、再びねじ工場に戻っ
た。腕のいい職人たちが、“評判はいいが、たくさん作れない”ねじ
を、懸命に作り上げている。
 工場の奥は、事務所。そこで 電話を受けているのは、あの香織だ
った。
 「お兄ちゃんは?」
 とまり子。龍太とおそろいのシャツを着て、今日も残り物の刺身を
届けにやって来たのだ。
 「またなの…」
 と香織は 眉をひそめて、天井を指差す。

 こぎれいに片付けられた二階では、島男が部屋でパソコンに向かっ
ている。
 ふと考え込み、島男は手を休めて 画面に向かって微笑む。
 そこに映っていたのは、やはり あの日の写真だった。


寸  評  何もかも丸く収まって、いい気持ちで終わりました。予告では、
高柳が裏切って社長に戻りそうな気配もありましたが、そうではなく
てよかったです。
 ただ、『鈴木ねじ』が巻き返したところからは パパッと端折るよ
うな描かれ方だったので、テンポはよかったものの、時間が足りなか
ったのかとも取れる感じもありましたね。
 高柳は、高級マンションを手放したあと、どこで生活していたので
しょうか? 七海の部屋に転がり込んだとか? 高柳を刺した森村は
何処へ? …そういう小さいところに なぞが残ったままです。
 今でいうIT系で その昔働いていた私ですが、M&Aとかいうの
は全く疎く 分からないことだらけで、書くのが難しかったです。う
まく説明できていたのか、ちゃんとつじつまがあっていたのか…と、
ちょっと心配。
 「パート2」なんか作るとしたら、どっちかが危なくなって 共同
戦線で立ち向かっていく風になるかな。
 個人的には、高柳や神谷の壊れっぷりがよかったです。番組のホー
ムページで、神谷と宮沢が“コースケショースケ”と称して、『フロ
ンティア経営事業部』を案内していますが、こちらも かなり壊れて
ます。閉鎖前にぜひご覧ください。

執 筆 者 三森(anponhana@mail.goo.ne.jp)

----------------------------------------------------------------------
2. 編集後記
----------------------------------------------------------------------
 本当に遅くなりました。その上長くなりました。すいません。
 身の回りがあわただしくなってきたので、あらすじの執筆は しばらくお休
みすることにしました。
 あらすじは もちろん面白く書いてきたのですが、いちばん時間がかかった
のがこの『編集後記』です。正直言って、私のストレス発散の場になっていま
した。匿名ですから、好きなように言いたいことを書けます。別に読んでもら
えなくても 自分が書いた時点ですっきりしているのです。
 本当に読んでくださった方々には 感謝しています。ありがとうございまし
た。(三森)

======================================================================
発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
このメールマガジンは、メールマガジン[MailuX]を利用して発行しています。
(http://www.mailux.com/)
======================================================================

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。