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タイトル:Daily Drama Express 2005/01/25 みんな昔は子供だった (3)  2005/01/30


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2005/01/25 (Tue) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.火曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 火曜日の連続ドラマ
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タイトル みんな昔は子供だった
局  名 フジテレビ
放映日時 火曜22時
キャスト 照崎アイ子(国仲涼子)
 矢吹昭平(陣内孝則)
 佐上柾 (瑛太)
 旗ゆかり(白石美帆)
 田所肇 (筧利夫)
 佐上欣也(大杉漣)
 高木ナツ(風吹ジュン)
 矢吹龍平(深澤嵐)
 中村美紀恵(滝沢沙織)
脚  本 水橋文美江

あらすじ   第三話 『愛するがゆえに』

 アイ子(国仲涼子)は早起きして、朝いちばんに まだ誰も来てい
ない教室へ走る。チョークをそろえ 黒板や机をふき、窓を開けて 
思い切り伸びをする。
 よく晴れた空を見ながら、アイ子は 何か思いついて、外へ飛び出
す。

 宿泊センター。
 顔を洗っている柾(瑛太)に、無言でタオルを手渡すゆかり(白石
美帆)。
 「だれ?」
 とゆかりとは初対面――というか久しぶり――の瑛太が 怪訝な顔
をする。
 ゆかりは、昨夜からこの宿泊センターで寝起きしていた。もともと
この家はゆかりの祖父『旗じい』の家なのだから、誰も文句は言えな
い。
 朝食を作りに来ていた昭平(陣内孝則)から 事情を聞かされ、瑛
太は 浮かない表情を見せる。

 朝食が始まった。今朝は しーんとしている。
 子供たちの視線の先には、ゆかりが無表情で バリバリとサラダを
口に運ぶ姿が。その態度にミョーな圧力を覚えてか、子供たちの食は
あまり進まない。
 ――ゆかりは 子供が嫌いなのだ。

 登校前の子供たちに、柾が布団の畳み方を教えるが、子供たちは 
口々に文句を言う。
 「あのねー、掃除とか洗濯とか 家ではお父さんとかお母さんがや
ってくれてたんだろうけど、ここではそうはいかないからね」
 と柾が諭す。それが終わると、今度は身支度して 学校まで引率し
ていく。

 今朝は冷えこんだらしい。霜柱を珍しそうに踏みながら、子供たち
は学校への道を急ぐ。
 「おはようございまーす!」
 途中の竹林で、アイ子が手を振っているのが見えた。

 その頃、宿泊センターでは 昭平とゆかりが 話していた。
 「仙台に帰るって言ったり、ここに残るって言ったり…。ほんとは
何をしたいの?」
 「だ・か・らー、星の研究。――そっちこそ、どうしたのよ。食堂
なんか継いじゃってサ。東京で一旗あげるんじゃ なかったの?」
 「…大人には、いろいろな事情ってものが あるんだよ…」
 昭平は 口ごもる。

 「丈夫なの、選んでくださいねー」
 とアイ子は、竹をたたいて音を確かめている。子供たちに選ばせた
竹で 箸を作ろうと言うのだ。風がざわざわと笹を揺らして音を立て
る。
 「みんな、目を閉じてみてください。そのまま空を見上げてみまし
ょう」
 笹の葉の間からこぼれる冬の日差しと 風の音。風太(高木優希)
とモモ(伊藤沙莉)の二人も 最初はしらけていたが、柾に促され、
他のみんなと同じようにやってみている。
 ―――― 朝日の中、アイ子先生は キラキラと輝いていた。そ
んな先生の姿を見るだけで、ぼくはほっこりと 胸が温かくなっ
た。 風は冷たかったのに、僕の心は 春のようにぽかぽかだった
んだ ――――

 森の水分校。
 子供たちは 小刀を使って、取ってきた竹をぎこちなく削っている。
見かねた柾が手本を見せようと、新(熊谷知博)の竹を手に取り、小
刀の使い方を子供たちに教えてみせる。
 「ガキの頃、よく作っててさ。人形とか ブローチとか…」
 「作ってどうするの?」
 「プレゼントするんだ、好きな子とかに…!!」
 ――うっかり、柾は指を切ってしまった。

 職員室。
 ナツ(風吹ジュン)が柾の傷を手当てしている。
 「この山村留学には この学校の行く末がかかってるんだ。遊び半
分でやってもらっては困る! おまえは教師じゃないんだぞ!」
 と父親の佐上(大杉漣)は厳しい。
 ナツは、ゆかりが宿泊センターに一緒に暮らすと聞いて、「(女の
子には)よかった」と言う。
 「子どもが嫌いだって、さんざんごねたくせに…。くれぐれも 間
違いがないように!」
 と田所(筧利夫)は、柾をちらりとにらむ。
 「どうかなー。だって、柾ぼうの初恋の相手だったからー」
 ナツが いたずらっぽく笑っているのを見て、佐上が一言。
 「心配要りませんよ。あっさりとフラれてしまいましたから」

 給食の時間。
 さっそく さっき作ったばかりの箸を使ってみると、詩音(野村涼
乃)の口から「おいしい」と自然に言葉が漏れる。
 新は、「クリームコーンコロッケが食べたい」と龍平(深澤嵐)に
りクエストし、「お父さんが料理できるなんて すごい」と誉める。
 「あたりまえよ。コックさんだもん」
 とワタル(糟谷健二)。
 「それは仮の姿です」
 龍平が 父の秘密を話し始めた。
 「うちの父ちゃんは昔、東京でロックやってたんだ。 知らない?
『スペクターズ』っていうの。ギター弾いてて すっごい人気で、女
の子がキャーキャー言って追いかけてきて…。変装しないと 街を歩
けなかったって」
 「ウソだあ。スペクターズなんて 知らない」
 「ウソじゃないよ、ポスターとか見たことない?」
 「見たことない」
 「…CD出したら 初登場1位ばっかりで、コンサートやったら 
入りきれない人が 何百万人も集まって…。武道館の前に 銅像まで
立ってるんだよ」
 「何言ってんの? そんなもんない。あんた、バカじゃないの?」
 とモモが きっぱり。
 「ケータイだって 本当は貧乏だから買えなかっただけだろ」
 ワタルも「だまされてるだけ」と 信じてくれない。
 最後に 風太がとどめを刺す。
 「なんで そんな大スターだった人が、こんな田舎で食堂やってる
の? ていうか、大スターに見えないし」 
 龍平には 返す言葉がない。

 たまたま会ったナツに促されて ゆかりは小学校の図書館にやって
きた。星の図鑑を 懐かしげに手にとると、読み始める。
 そこに アイ子たちが入ってきた。
 「生徒たちのこと、よろしくお願いしますね」
 とアイ子が切り出すと、ゆかりはそっけなく 図鑑を片付け始める。
 「どう聞いてるか知らないけど、私、子供 嫌いなの。関わる気な
いから」
 そう言って ゆかりは立ち去る。
 「やな感じ」
 とモモがつぶやく。

 気を取り直して、アイ子は本の借り方を教え始めた。
 すると、取り出した図書カードに、赤ペンででかでかと『矢吹しょ
ーへい』とあるのを発見した子供たち。
 「あれ? 『矢吹しょーへい』って…?」
 「龍平くんのお父さんです」
 とアイ子はにっこり。だが、モモが気づいてしまう。
 「『少女文学全集』?? これ、女の読むもんじゃん」
 「おまえの父ちゃんって ヘンタイだったんだな」
 とワタルがからかう。

 龍平は廊下をつっ走って、田所のところへ向かう。父親と同級生だ
った田所に、今まで父親から聞かされていたことが本当なのか、確か
めにきたのだ。
 「父ちゃんは、この村の神童とうたわれてた子だったんだよね?!
 いつかはスターになって、一世を風靡するって言われてたんだよ
ね?! この村の期待の星だったんだよね?!」
 田所は 表情を全く変えないまま 答える。
 「勘違いしてるぞ! それは 俺が子供の頃の話だ。神童と歌われ、
美少年とちやほやされ、村の期待の星と みんなに見上げられたのは、
この 田所肇だ!」
 「じゃ、父ちゃんは…」
 「ハナたらした きたねえガキだったな。俺は ヨダレ垂らしてた
けど」
 遠い目をする“村の期待の星”田所肇。 

 その頃、職員室では、佐上と柾が二人きりでいた。
 「親父はどう思ってんの?俺が教師 辞めたこと。この学校に来て
ほしかったんじゃないの? 俺に この学校の教師、やらせたかった
んじゃないの?」
 「私が望んだから、教員免許とったのか? おまえに 教師やらせ
たいなんて、一度も思ったこと ないぞ」
 柾は「そう」と言って職員室を後にする。佐上はその後ろ姿を じ
っと見つめる。

 その夜。矢吹家。敷いた布団の上で、龍平が背中を向けている。
 「クリームコーンコロッケ作って。新くんが食べたいって」
 「贅沢を言うなって 言っとけ!」
 龍平は、今度は 昭平に真剣な表情を見せる。
 「父ちゃんは東京に 何しに行ったの? 本当に大スターだった
の?」
 龍平は「証拠が見たい」と言って、店の暗がりに立てかけてあるギ
ターを指差す。
 「近所迷惑だろ!」
 「近所の人なんか、どこにもいないじゃん。本当は大スターじゃな
かったんでしょ! ウソつき!!」
 龍平はさっさと布団に入ってしまう。

 翌日。
 授業中も元気のない龍平を気遣って、アイ子は龍平を下宿に招いた。
 龍平は、「ごまかしやウソばかりでいいかげんだ」と、昭平のグチ
をこぼす。
 アイ子は、昭平が以前作って飲ませてくれた、ホットミルクコーヒ
ーを 真似して作ってみたが、「ちょっと苦かった」と顔をしかめる。
 「真似してみようと思ったけど、なかなか難しいですね」
 ちょうど、赤いジャケットの宅配さん、美紀恵(滝沢沙織)が荷物
を届けにやって来た。
 アイ子の母親からの荷物。中身は 年末の福引で当てた、洗剤がど
っさり。
 アイ子は、「どうぞ」と洗剤を美紀恵におすそ分け。

 宿泊センター。
 昭平が のんびりしているゆかりを横目に、慌しく夕食を作ってい
た。龍平と 龍平を送ってきたアイ子が帰ってきているのに気づかな
いまま 二人は話をしている。
 「龍平のお母さんって、どうしてんの?」
 「元気にしてるんじゃないのか?」
 「あっさりしてるねー。おさななじみだったんでしょ? ま、捨て
られたからしょうがないか…」

 夕食が始まった。だが、龍平は全く箸をつけない。
 「父ちゃんに聞きたいことがあります! どうして父ちゃんは い
つもいいかげんなんですか? どうしてウソばっかり言うんですか?
 母ちゃんにも、いっぱいウソついたんですか? だから、捨てられ
たんだ!」
 「捨てられたんじゃねえよ。旅立たせてやったんだよ」
 「意味分かんないよ! なんでいっつも ごまかすの? 子供だか
ら分からないと思って…ずるいよ…」
 シーンとなる食卓。龍平は 突然立ち上がる。
 「先生、ぼく 家出します。もうこの人のところには帰りません!」
 「ああ、出てけ、出てけ。二度と戻ってくんな!」
 「父ちゃんの、ばかー!」
 龍平は 飛び出していった。

 ――結局龍平は 宿泊センターに泊まることに。
 男子部屋の布団の中で、龍平がグチをこぼすと ワタルが尋ねる。
 「でもさあ、何で龍平も置いてったわけ? あ、そうか、父ちゃん
とセットで 捨てられたんだ」
 龍平は天井を 見つめる。

 ――みんな寝てしまっても、風太だけは机に向かっている。
 「まだ寝ないの?」
 と心配する龍平。
 「すごいね」
 「東京の小学校では普通だよ。学校の勉強より、受験の方が 大事
なんだ。将来のためって言われたら、やるしかないじゃん」

 柾がアイ子を送って、歩いている。真っ暗の田舎道、懐中電灯の明
かりだけが頼りだ。アイ子が「何とかなる」と 龍平親子のことを楽
観的に見ているのを不思議がる柾。
 「東京の学校でも そんな感じだったの? 能天気っていうか、前
向きっていうか…。俺は だめだったな。考えてたのと全然違ってた」
 柾は 東京での教師生活の挫折を、テレながら話す。
 笑って聞いているアイ子だったが、忘れてしまいたい東京での記憶
が、時折アイ子を 苦しめていた。

 翌日。
 図書室に本を返しにきた詩音。それは、あの『少女文学全集』だっ
た。アイ子はその図書カードの全てに 共通の秘密を見つけ、急いで
 教室に残っている龍平の元に駆けつける。
 「これを 見て下さい!」
 「『橋本美智子』??」
 「どのカードにも、昭平くんと橋本美智子ちゃんがいます!」
 「!!」
 龍平は、宿泊センターに向かって 雪の残る近道の山道を走り出す。

 宿泊センターの台所に駆け込んだ龍平は、息を切らして尋ねる。
 「父ちゃん! 橋本美智子って、母ちゃんの名前!」
 「だから どうした」
 「母ちゃんの名前の下に 父ちゃんの名前がある! 何で?」
 と 龍平は図書カードを昭平に見せる。
 「――読みたかったからだよ、みっちゃんが何読んでるのか、知り
たかったからだよ。好きな子のこと、何でも知りたかったからだ」
 追いかけてきたアイ子が 入ってくる。
 「矢吹昭平が、人生で初めて好きになった人は、橋本美智子ちゃん
です…」
 昭平は、小学校の入学式で美智子に一目ぼれしたこと、それからず
っと 美智子一筋だったこと、高校を卒業する時やっとのことで 告
白し、美智子がその思いに答えてくれたことを話した。
 「――みっちゃんには、夢がありました。父ちゃんにも、夢があ
りました。お互いの夢をかなえるために、二人は東京でがんばりま
した…」
 昭平の目に うっすらと涙がにじんでいる。
 「結婚して龍平くんが生まれました。とっても幸せでした。――だ
が、残念なことに 父ちゃんのロックスターになるという夢は 破れ
てしまいました。そして、ここに帰ってきました。
 でも、おまえの母ちゃんは、自分の夢に向かって 少しずつ歩き始
めていました。そんなみっちゃんに、精一杯がんばってもらいたい…
そう、思いました。だから父ちゃんは、この村から母ちゃんを 送り
出してあげたんです。母ちゃんは、夢に向かって 旅立っていったん
です」
 昭平は 龍平に向き直る。
 「決して 父ちゃんを捨てたんでも、龍平を捨てたんでもありませ
ん」
 ――昭平は 再び夕食の準備にかかる。

 ―――― 知らなかった。父ちゃん、母ちゃんの気持ち。ぼく
は… ――――

 不意に、アイ子が龍平の頬を指でつつき、「ひっかかったー!」と
笑う。

 ―――― ほっぺに触れた 先生の指は、寒さで 冷たくなってい
た。でも、その冷たさのせいで ぼくは、自分の心が ぽかぽかにな
ったことに 気づいたんだ ――――

 その夜。大きなたらいと洗濯板を 外に出す、アイ子と子供たち。
 「洗濯機使えばいい話でしょ? わざわざ お湯沸かす必要が な
いでしょ?」
 柾が火にかけたやかんを前に ぶつぶつ言っているのを 聞いてい
るのか、聞いていないのか、龍平がにこにこと 微笑んでいる。
 龍平が目にしているのは、昭平の作った『こんだて表』。リクエス
ト通り、『クリームコーンコロッケ』が 入っていた。

 「さあ、みなさん、洗濯物を入れましょう!」
 アイ子が率先して 洗い始めたのを見て、子供たちも 真似をして
洗い始めた。
 「母さんの匂いがする」
 とワタルが言うと、新は「お父さんも時々 こんな匂いがしてた」
と言う。
 「お母さんの匂い、お父さんの匂い、あったかーい匂い…お母さん
がいて、お父さんがいて、みーんながいる…」
 アイ子の息が白い。

 ―――― 寒い 寒い夜だったけど、みんなの手だけは ぽかぽか
だった。アイ子先生の ぽかぽかが あの夜、みんなにも少しだけ 
伝わったんだと思う ――――

 「自分のものは自分で、ちゃんと洗ってくださいねー!」
 「はーい」
 キリキリと寒い、だけどどこか暖かい、冬の夜だった。


寸  評  「コンサート会場に何百万人も入りきれなかった」とか「武道館
前に父ちゃんのバンドの銅像が建っている」とか、どう考えてもウソ
としか思えないことが 龍平には本当のことのように聞こえ、ずっと
信じていた…。龍平の純粋さがうかがえて かわいいなと思いました。
 どんな人生にもドラマがあります。胸を張って言える過去、今とな
っては笑い話になった過去、大きな声では言えない過去、棺おけまで
持っていくことに決めた過去…。どの過去も、人生のドラマの伏線で
あり、今の自分の糧になっていることには 間違いありません。

執 筆 者 三森(anponhana@mail.goo.ne.jp)

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2. 編集後記
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 あとひと月で 仕事の派遣期間が終わります。またハローワーク通いが始ま
るかと思うと、すごーくゆううつ。
 この仕事で、私はホームページの作成を担当させてもらって、暇なときには
勉強させてもらいました(自分のサイトにも挑戦中)。この経験が 次につな
がるといいんですが…。(三森)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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