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タイトル:Daily Drama Express 2004/12/09 黒革の手帳 (最終回)  2004/12/26


===================================================== 発行部数   19 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2004/12/09 (Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル 黒革の手帳
局  名 テレビ朝日系
放映日時 木曜21時
キャスト 原口元子(米倉涼子)
 安島富夫(仲村トオル)
 山田波子(釈由美子)
 中岡市子(室井滋)
 岩村叡子(山本陽子)
 橋田常雄(柳葉敏郎)
 長谷川庄司(津川雅彦)
 楢林謙治(小林稔侍)
原作  松本清張
脚本  神山由美子

あらすじ  「気が済んだか?」と安島富夫(仲村トオル)。
 「長谷川会長の言いなりなの?そんなに代議士になりたいの?」と
原口元子(米倉涼子)。
 「上に上がりたいだけだ。キミと同じだ」と安島。

 「いいえ。わたしは1人で上がる。誰のものでもない。でも、あな
たは会長のおもちゃ。自分の意志なんてない。あなたは会長に捨てら
れるのが怖いだけなのよ」と元子。
 「キミに言われなくても、そんなこと、わかってるよ。だが、オレ
は、ただの人形では終わらない」と安島。
 「そう。だといいわね」と元子。

 「今日、ここに来るのは死ぬほどイヤだった。でも、これで吹っ切
れた。これで迷うことなく結婚し、会長から金を貰い、めでたく初当
選だ。光り輝く金バッジが、オレの劣等感やこのもやもやした気持ち
を吹き消してくれるだろう。フッ。キミに礼を言うよ」と安島。

 「わたしも、まだまだ甘いわね。あなたの言葉、あなたがわたしに
見せてくれた勘定。もしかしたらそれだけは本当なんじゃないかと思
っていたんだから。ウソばかりのこの街で、ウソつきなあなたとわた
しだけど、それだけは本当なんじゃないかと。わたしも迷っていたわ。
違う生き方があるんじゃないかと。でも、どん底に落とされた。これ
で会長の思うままね。わたしまで長谷川のおもちゃになってしまった」
と元子。


 RODANを出た安島は、悔しさに身もだえする。

 「負けるものか」とRODANに1人残された元子はつぶやく。


 元子は、宝石、貴金属、呉服を古物商に売る。カルネを売ったお金
は、RODANの改装費用に消えていた。
 長谷川庄司(津川雅彦)に払わなければならないRODANのキャ
ンセル料は8,400万円。

 元子の宝石などは、420万円で買われる。
 「いくらしたと思っているの!!」と元子。
 「愛着があるのはわかりますが」と古物商。
 「そんなことないわ。商売道具ですもの」と元子。

 −− あのお金はどこへ行ったのだろう。確かに手にしたはずなの
に。わたしはいったい、何のために.....
 元子の脳裏に、横領した1億2,000万円、楢林謙治(小林稔侍)
からの5,000万円が甦る。


 元子が出勤すると、高価なボトルが根こそぎ無くなっている。マネ
ージャが持ち逃げしたのだ。売り上げも全部持って行かれた。

 元子は、みんなに気付かれないうちに補充するよう、ボーイに指示。
 もうすぐ給料日、と心配するボーイに、
 「なんとかする。何とかするしかないじゃない」と元子。

 −− 全部無くなっていく.....


 元子は、“燭台”のママ岩村叡子(山本陽子)に会いに行く。
 「本当にかわいげのない子ね。『助けてください』と言えばいいの
に、お金かしてくれって。こんなに堂々とお金を借りに来た人は初め
てね。ウソでも弱った顔、見せればいいのに」と叡子。
 「弱った顔を見せたら、立ち直れないぐらい弱ってるんですもの」
と元子。
 「いくら必要なの?」と叡子。
 「5,000万.....いえ、1,000万でも500万でも.....」
と元子。
 「RODANを買おうなんて景気のいい人が。あちこちからだまし
取ったお金は、どうしたの?あの時、素直に忠告を聞いていれば」と
叡子。
 「あれは謝ります」と元子。
 「謝ってもダメよ。銀座のルールを破ったのだから」と叡子。
 「期限、過ぎているんです」と元子。
 「あなた女でしょ。借りた男は男でしょ。あなただけ泥をかぶらな
いって?お客の売掛金が回収できずに、人には言えない商売をする子
もいるわ。そうやって逃げないの。そういうことになるのは、元々ダ
メなホステスかも知れないけど、あなたよりましね。あなた、墜ち切
れていないわ。そんな人に、持っていても5,000万もかすもんで
すか!」と叡子。
 「いいです。もうママには頼みません。わたしはわたしのルールで
勝って見せます!!」と元子。
 「とくとお手並み拝見といきましょう」と叡子。


 楢林美容外科クリニック。
 中岡市子(室井滋)は今月の経常利益が700万円出たと楢林謙治
(小林稔侍)に報告。
 市子は、今はどうやってクリニックを大きくしようかと考えていた
昔と同じで、楽しい。病院が大きくなってからは、どうやってお金を
貯めよう、とばかり考えていてつまらなかった、と言う。

 「脱税一発で昔に逆戻りか。お金がないのは首がないのと同じだよ。
それにまだ、完全に許したわけじゃない」と楢林。
 「それでもいいんです」と市子。
 「楽しいからか?」と楢林。


 元子は料亭・梅島に、長谷川庄司(津川雅彦)に会いに行く。

 「返事はまだか?助けてやろうとしているのに、怒っているのは、
安島に言わせたのが気に入らないからか?」と長谷川。
 「マネージャに店の金を持ち逃げさせたのは、会長ですね。橋田に
知恵を付けて、この土地が手に入らないようにしたのも、忍び込んで
黒革の手帳を盗ませたのも!」と元子。

 「オイオイ、何でもオレのせいか?」と長谷川。
 「女1人を、こんなに手間を掛けて虐めるなんて」と元子。
 「なかなか面白かったよ」と長谷川。
 「キャンセル料8,400万円なんて滅茶苦茶です」と元子。
 「君が判をついたんだ。自分を過信しすぎたんだ」と長谷川。
 「せめて期間を伸ばして下さい。1週間、いえ3日間でも」と元子。
 「借りる当てはあるのか?」と長谷川。
 「.....たった一晩、わたしを自由にするのが、そんなに楽しいで
すか?.....わたしはイヤです。たった一晩でも」と元子。
 「それが答えか?」と長谷川。
 「はい」と元子。

 「借金の取り立ては厳しいぞ。自殺はさせても、自己破産はさせな
い.....オレが怖くないか?」と長谷川。
 「同じ穴の狢ですから」と元子。
 「今度は、泣いて許しを請う君の姿を見られると思ったんだが、そ
の度胸に敬意を表しよう。一晩自由にしようなんて、失礼だな。お前
の一生を、丸ごとこの長谷川が引き受けよう。長谷川の全ての力を与
えよう。RODANでもなんでも、銀座の好きな店を買ってやろう。
誰もお前には逆らえない。みんなかしづくようにしてやろう。女王の
ように」と長谷川。

 「わたしを囲うと言うことですか?」と元子。
 「囲い者に自由はない。だが、お前の自由は最大限尊重しよう。好
きな男ができれば、添わせよう。但し、安島以外のな。盃を交わし、
血縁以上の強い絆で結ばれるのだ。オレのように、お前を生かせる相
棒はいない。安島は、無理だ。2人で墜ちていくだけだ。しかし、オ
レにはそれができる、とお前にはわかっているはずだ。今夜は帰りな
さい。明日、迎えに行かせるまでに、決めるんだな」と長谷川。


 店のホステス達が、元子の服が以前と同じ、と噂し合う。
 ホステスのさくらが、辞めるという。元子が、カルネもRODAN
も、客を強請った金で買ったという噂。橋田常雄(柳葉敏郎)も、元
子には気を付けろと言っていたし、と付け加える。

 そこに元子が入ってきて、自分を信じられないなら、辞めて貰って
結構、とさくらに言う。


 風呂で元子は考える。
 明日の売り上げが、この店の半月の売り上げに満たなければ、従業
員の給料が払えない。サラ金に行ってでも工面するしかない。
 わたしは、すべてを手に入れるか、すべてを失うか。


 眠れない夜が明ける。
 「疲れた.....本当に疲れた」と元子。


 元子は、美容院で櫻井曜子(紫吹淳)に、タロット占いをしてもら
う。
 「ある男性、強い影響力を持つ1人の男性がいる。その人は、あな
たと同じ望みを持っている」と曜子。
 「それは若い男性?年配の男性?」と元子。
 「それはわからない。ただ、あなたの一番そばにいる」と曜子。
 「その人は信じていいの?」と元子。
 「ええ、いいと思う.....もう1人男性の影がある。悪魔の影。こ
ちらは信じてはダメ。あなたは裏切られる」と曜子。

 −− 2人の男。1人は信じるにたる男。もう1人は裏切り者の悪
魔。いったいどっちが悪魔だろう。


 元子の前に、長谷川からの迎えのハイヤー。

 元子を乗せたハイヤーは、長谷川邸に滑り込む。
 元子は一室に案内される。

 元子の所にとっくりを乗せた盆を持ってきた半白の髪の女性。
 「お美しいこと。でも、それはいっときのことよ。わたし、いくつ
に見えます?」とその女性。
 首を振る元子。
 「これでも40なの」とその女性。

 元子が隣の部屋との間の襖を開けると、床が延べてある。
 元子は襖を閉め、「取り戻すのよ、RODANを」とつぶやく。

 元子が待っている部屋に、ラフな格好の長谷川が入ってきて対面に
座り、盃を元子に渡す。
 「今日は、大安吉日だってさ。門出にふさわしい」と長谷川は言う
と、元子の盃に、酒を満たす。

 元子は目をつぶり、そして開くと、コツンと音を立てて盃をテーブ
ルに置く。
 「会長、わたしはやはり誰の力も借りたくありません」と元子は言
うと、席を立つ。

 だが、元子の行く手を遮る屈強な男達。
 元子は裸足のまま、庭に飛び降りる。
 尚も追い掛けようとする男達を、長谷川は。「もういい」と止める。
そして、「バカな女だ」とつぶやく。

 元子は道まで飛び出すと、タクシーを拾う。


 元子は結局、従業員達に給料の一部しか払えなかった。
 元子は、マネージャが店の金を持ち逃げしたことを打ち明ける。

 「ママのせいじゃないよ」と慰めてくれるホステス達に、
 「そんこと言って貰う資格はないの。これが一番ひどいことなんだ
けど、RODANは人手に渡ります」と元子。
 驚くホステス達。「どうして?ママ」と聞く。
 「わたしの力が及ばなかったの」と元子。

 そこに山田波子(釈由美子)が入ってきて元子に、「あなたはお家
へお帰り」と言う。

 なんと波子が次の大ママ。
 長谷川から急に話があったのよね、と村井亨(渡辺いっけい)に同
意を求める波子。

 ホステス達は、波子の下では働けないと言い、波子は、ならクビに
する、と言う。

 「やっとあんたを銀座から追い出すことができるわ。正義は最後に
勝つんよ」と誇らしげに言う波子。

 元子は胸を張ってRODANを出ていく。


 長谷川が、現職議員達に現金を見せる。
 安島が、現金の入った紙袋を議員達の車まで運ぶ。

 長谷川は、議員達に、「あんな奴、通しちゃいかん。国家のために
なりません」と言う。そして、彼らから現金を渡した領収書を貰う。

 安島は、長谷川から式の日取りを聞かれ、選挙の結果がわからない
のでと答えるが、長谷川は、自分がついているのだから、必ず通る、
と言う。

 安島は、元子をいい加減許して欲しいと言うが、長谷川は、「安島、
オレに意見するのか?お前も偉くなったもんだな。誰の金で選挙に出
ていると思っている」と長谷川。
 安島は、長谷川に謝る。
 「これでバッジを付けて、先生と呼ばれたら、どんなことを言い出
すか。お前は、死んだ江口の代わりだ。お前の代わりは、いくらでも
いる。勘違いするな」と長谷川。


 元子が帰宅すると、ドアに沢山の『金返せ』のビラが貼られている。
留守電にも入っている。
 元子は電話線を引き抜く。


 元子がマンションから出てくると、すぐについてくる人相の悪い男。
元子に、どこに行くのか聞く。
 「食事くらい、してもいいでしょ」と元子。
 「そんな金があるなら、返せ。少しは、誠意を見せろ」と男。
 両腕をきつく組む元子。


 波子ママのRODANがオープン。
 橋田も長谷川も来ている。
 波子は派手な衣装を身にまとって挨拶し、次々とお客に愛想を振り
まく。

 波子の様子を見て、橋田は、「まるでキャバクラだな」と言う。
 「まあ、いい。次までのつなぎだ」と長谷川。

 そして長谷川は、橋田にRODANを買わないか?と持ちかける。
 とても無理と断る橋田に、元子は2億6千万と言ったが、即金なら
2億でいいと言う。
 長谷川がいくらで買ったか聞くと、1億。売り主の弱みを握ってい
たから。


 元子の財布の中には、千円ちょっと。

 元子の済むマンションの裏手から、子供の手を引き、ベビーカーを
押した、帽子をかぶった女性が出てくる。
 元子を見張っている男は、それを見送る。

 でも、男がその女性をずっと見ていると、やがて子供にお金を渡し、
子供は駆けていく。

 ピンと来た男は、その女性を追い掛ける。

 その女性・元子は、ベビーカーからボストンバッグを取り出すと、
ベビーカーを男にぶつけて逃げる。

 でも、元子は踏切の先で男に追いつかれ、組み伏される。
 「見のがして!」と元子は叫ぶが、男は許さない。

 そこに安島が車で通りかかり、男に、「会長の所に、すぐ戻れ!状
況が変わった」と言う。
 そして安島は、元子を無理矢理自分の車に乗せて走り出す。
 「これはわな!?」と考える元子に、「安心しろ。長谷川の所には
連れて行かない。オレは、長谷川のおもちゃじゃない。腹をくくった」
と安島。


 長谷川は元子を静岡県内のとある別荘に連れて行く。長谷川の知ら
ない安島の友人の所有だという。

 安島は、別荘の中を勝手にあさり、ワインとフォアグラで乾杯しよ
うと言う。
 「あなた、怖いんでしょ。いつもと違う。とんでもないことをしで
かしたと、思っているんでしょ」と元子。
 「そりゃ、そうでしょ」と安島。
 「まずは、証拠を見せて。長谷川会長が公にされたら困るもの、盗
み出したんでね」と安島。

 安島が内ポケットから取り出した封筒を元子に渡す。
 中には、長谷川の民主自由党政調会長・重岡の署名のある1億円の
領収書。与党最大派閥に対するヤミ献金だ。これが公表されれば、長
谷川も今までのような力はふるえなくなる。
 元子は目を丸くする。

 さらに安島は、バッグからも、自分の自分の選挙事務所から持ち出
した1,800万円の札束を取り出す。これで国外逃亡できる。成田
からは無理だが、地方の小さな空港から。

 「これでもまだ、信じられないのか?」と安島。
 「半々だと思っている。会長の、一晩付き合えっていう伝言を、の
このこ伝えに来た男よ」と元子。

 「あの時の君の、他の生き方があるんじゃないか、という言葉が、
耳に残って。覚えているか?」と安島。
 「覚えてないわ」と元子。

 「気付いたら違うところに立っていた。生き方を変えたくなったん
だ。つくづく、自分がイヤになった」と安島。
 「野心溢れるあなたが!?議員秘書のあなたが?それだけの理由
で!?」と元子。
 「ああ」と安島。

 「でも信じない。こんなもの、いくらでも偽造できるじゃない」と
元子。


 夜、元子は自分の顔を照らすライトに気付き、目を覚ます。
 すると、あの追っ手の男が、元子の顔をのぞき込んでいる。
 元子は、悲鳴を上げる。

 自分の悲鳴に驚いて目覚めた元子は、窓が一枚開いていて、寒い夜
風が入ってきているのに気付く。

 元子は、安島のいるリビングへ行き、追っ手に掴まる夢を見たとい
う。
 安島は、そんなにすぐにはここはわからない、と言うが、安島が知
らせるかもしれない、と元子。

 「そんなにオレが信じられないか?君が好きだから、こんなことを
した。自分でも不思議だ」と安島。
 「ここは寒いわね。東京よりずっと」と元子。
 「あったかくなること、しようか?」と安島。

 「死んでもイヤ」と元子。
 「冗談だよ」と安島。
 「ねぇ、なんで政治家になりたいの?」と元子。
 「かっこいいと思ったから」と安島。
 「まじめに聞いてるの」と元子。
 「まじめだよ。ガキの頃、そう思ったんだ」と安島。
 「イヤな子ね」と元子。
 「ガキの頃、家の前に、黒い大きな車が止まっていた。帰って、お
袋に言ったんだよ。将来、政治家になってやる、と。お袋に泣かれた
よ。今思うと、息子が政治家になるって言ったことではなく、そうい
うオレがいじらしかったんだろうな。もう言ったっけ。オレに戸籍上
の父親はいないって」と安島。
 「ええ」と元子。

 「どうしてそんな生き方を選んだんだろうって思った時もあったけ
ど、今となっては、どうでもいい。すべてがお袋のタメってわけじゃ
ない」と安島。
 「あなたは産まれてきたことを祝福された子。わたしはひとりぼっ
ち。まわりのみんなが嫌いだった。嫌われる前に、嫌いになろうとし
た」と元子。

 元子が立ち上がり、安島に背を向ける。
 「泣いてるんだろ」と安島。
 「泣いてないわ」と元子。

 安島が元子の身体をこちらに向けると、元子の頬を涙が伝う。
 「どうしてだろう。勝手に出ちゃうのよ。あなたが、うらやましい
のかも」と元子。
 安島は、元子をきつく抱きしめる。

 「わたしを憐れんでるの?」と元子。
 「そんなことはない。どんな悪い女でも、オレは今のお前が好きだ。
オレは後悔していない」と安島。
 元子も安島の背中に手を回す。


 朝靄の中、安島と元子は木立の間を歩く。
 安島は、小松空港から韓国へ向かうと説明。
 「その先は?」と元子。
 「まだ、決めていない」と安島。

 安島は、車と切符の手配に行き、元子は別荘にいるように言う。
 一緒に行きたいという元子を、1人の方が目立たないから、と安島
は断る。


 切符を入手した安島を、長谷川の追っ手達が取り囲み、捕まえる。
 最後に到着した車から悠然と村井が降り立ち、長谷川は悲しんでい
る。だが、今回は許す。選挙にも、このまま出ていいと伝言を伝える。
 村井は自分の見解として、安島の選挙区・群馬二区は何としても落
とすわけにはいかないからだろう、と付け加える。

 「どっちにしろ、あなたは東京に戻るしかないんだ」と村井。
 「金なら返す」と安島。
 「わたし、元銀行員なんですよ。金なんて、見飽きています」と村
井。
 「やっと見付けたんだ」と安島。
 「好きな人をですか?生き方をですか?」と村井。

 「どうしてここがわかった?」と安島。
 「あなたの車、発信器がついてるんですよ。ずっと前から」と村井。

 「ちくしょー」と安島は、手に持っていた札束を地面にたたきつけ
る。


 元子が急いで荷物を詰めていると、表に車の止まる音が聞こえる。
 ハッとする元子。

 車から降りた男達は別荘のドアにカギが掛かっているのを知ると、
カギをピッキングで開ける。

 元子は、あの領収書だけポケットにねじ込むと、札束を床に散らし
て、ついたての陰に隠れる。

 踏み込んできた男達が、散らばった札束に気を取られている隙をつ
いて、元子は表に飛びだし、安島の車に乗って走り出す。

 追っての男達は、発信器で安島の車の位置を確認し、悠然と追い掛
け始める。


 追っ手達は安島の車が止まっているのをGPSで確認する。
 追っ手の車は安島の車が止まっているところに到着すると、中を改
めるが、もぬけの殻。

 その頃元子は、下吉田駅前で、バスを降り、駅舎へ入り、切符を買
おうと、駅員を呼んでいた。
 だが、急に元子は気分が悪くなり、そこに倒れてしまう。誰にも気
付かれずに.....


 がらんとした部屋の真ん中に置かれたベッドにくくりつけられてい
る元子。

 気付くと元子の枕元では、今まで元子に傷つけられた者達が、「墜
ちるところが見たかった」とあざ笑っている。
 曜子も、「墜ちるって言ったでしょ」と冷ややか。


 元子が目を覚ますと、看護婦がそばにいた。
 倒れているところをこの病院に運ばれたと説明する。

 元子は看護婦に、自分の荷物の所在を問う。
 看護婦は、壁に掛けてあると指さす。

 元子は急いで自分のジャンパーのポケットの中の領収書を確認し、
安堵する。

 看護婦は、元子が流産したことを告げる。
 きょとんとする元子。妊娠に気付いていなかったのだ。


 夜、元子は領収書を握りしめて、美容室の窓を開けると、「これで
本当のひとりぼっちね。考えてみれば、今までもか」とつぶやく。


 梅村の一室にいる長谷川に、仲居が来客を告げるが、長谷川は、
「疲れた」と横になり、来客は待たせておくように言う。

 長谷川が横になっている部屋の前の廊下に、着物を着た元子が座っ
ている。
 元子は一億の領収書を買って欲しいという。
 偽物をつかまされたのでは?と言う長谷川に、警察に送れば本物か
どうかわかると答える元子。
 「警察は、お前も嫌いだったんじゃないのか?」と長谷川。
 「塀の中は安全ですわ。少なくともここよりは」と元子。

 元子は膝を進めて、部屋の中へはいると、「1億と言いたいところ
ですが、欲を出して痛い目に遭いたくありませんので、わたしの借金、
チャラにしてください。それと手付けの5,000万、返して下さい」
と言う。
 「本物かどうか一晩考えよう」と長谷川。
 「振込先はここです」と元子は机の上に、メモを置く。

 「会長とは、これで貸し借りなしですわ」と元子。


 翌日、元子は口座残高が5,000万円のことを確認する。
 ということは、領収書は本物で、安島は、本気で元子と逃げようと
していたことを知る。


 安島の当選を祝う会。

 橋田と楢林も出席している。
 橋田は、長谷川から言われては断れないからと、RODANを2億
で買っていた。
 もっと高く転売するんだな、と楢林。
 そして楢林は、橋田のご祝儀の額を聞いてびっくりする。
 橋田は、安島も代議士先生なのだから、これから便宜を図って貰わ
なければ.....と言う。

 会場に、着物を着た元子が、悠然と入ってくる。

 挨拶に立った安島は、選挙の礼を言うと共に、来月教団の教祖の娘
と結婚することを発表。


 安島は1人、駐車場にいる元子のところへ駆けてきて、「もう手の
届かないところにいると思っていた」と言う。
 「手の届かないところへ行ってしまったのはあなた。でもあの時は
本気だったのね。そのお礼が言いたくて」と元子。
 「今頃、本当ならどこかの国で.....」と安島。
 「もう、よしましょ。壇上のあなたはかっこよかった」と元子。
 「どうせ、人形だろ」と安島。
 「でも、いつか人形でなくなる日が来るかもしれない。だってあの
時、できたんだから。短い時間だったけど、あの日のことは一生忘れ
ない。さよなら」と元子は言うと安島に背を向けて歩き始める。

 安島は、猛然と元子を追いかけ、「さよならなんて言うなよ。オレ
達が別れたら、それこそ会長の思うつぼじゃないか」と言う。
 「あなたはすべてを捨てられるの?」と元子。
 「捨てられるさ」と安島。
 「上の会場にいる人たちは、みんなあなたを待っているのよ。チャ
ンスはあの時、一度だけだった。わかるでしょ、そんなこと」と元子。
 「自分たちの意志じゃなかった。無理矢理引き裂かれたんじゃない
か」と安島。
 「わたしに愛人になれって言うの.....ねぇ」と元子。
 「君にだけ、オレ達の母親のように犠牲をしいはしない。心が結び
ついていれば」と安島。

 「長谷川と同じことを言ってるわ、あなた。安島さん、わたしたち、
確かに中途半端な別れ方だった。でも、お互いを完全に断ち切るため
に、いい方法があるわ.....2億、2億わたしにちょうだい」と元子。
 「2億?本気か!?」と安島。
 「宗教団体をバックにつけているあなたになら、できるはずだわ」
と元子。

 安島が人に呼ばれると、元子は歩き出す。


 橋田はRODANを売却する。現金で2億2千万円。
 商談成立の報告を司法書士がすると、新オーナーが挨拶したいと言
うらしい。

 忙しいと断ろうとする橋田の前に、元子が現れる。
 元子は会社を興し、その名義でRODANを買った。

 橋田は買い主が元子なら売るのをやめた、と言う。
 だが、橋田は契約書に捺印済みで、すでに契約成立。
 元子は、キャンセルするなら、キャンセル料として40%貰うとい
う。買い取るなら4億円。

 「是非、RODANにもお越し下さい」と元子。
 「借金はどうした?」と橋田。
 「そんなものとっくに」と元子。

 元子が出ていくと、橋田は悔しがる。


 元子がRODANに入り、従業員に大ママを呼ばせる。
 波子が現れ、店が終わった後、話せる?と元子は聞く。
 波子はここで話すよう言う。

 「恥かかせたくなかったのに」と元子は言うと、自分がこの店の所
有権を手に入れたことを告げ、早く出ていくように波子に言う。
 波子は、また誰かをダマしたのか?長谷川と寝たのだろうと言い、
元子にいつぞやのお返し、とコップの水を掛けようとする。

 元子は自分の店を汚すなと、波子の手を押さえる。
 波子は、自分はどうせ雇われママだから傷つかない、と捨てぜりふ。

 「あなた、いつまでもそんなことしていると、自分をすり減らすだ
けよ」と元子。
 「あなたに会った時から、嫌いやった。いつもつんと上を向いてい
て.....」と波子。

 そして波子は、全部自分のものと言いながら、RODANの中の花
瓶を落として割る。


 元子は、誰もいなくなったRODANに1人座り、「この店が、昔
のようにわたしを満たしてくれることはもうないかもしれない。でも、
わたしは、もうここで生きていくしかない」とつぶやく。


 安島は、長谷川の靴を揃える。
 長谷川は、安島の頭に手をついて支えとすると、靴を履く。


 波子は村井に、元子をどうにかして欲しいと泣きつくが、何もでき
ないと断られる。

 波子は警察へ行き、元子は恐喝の常習犯。元、東林銀行の行員らし
いが、最初に会って元子の部屋に泊めて貰った時、裏口座を書き留め
た黒革の手帳を盗み見た。それが恐喝のネタではないか、と言う。


 RODANに、橋田と楢林がやってくる。
 「どこに行ってた?」と橋田。
 「旅に出ておりました」と元子。
 「1人でか?」と橋田。
 「わたし、1人が好きなんです。一番いいお席にご案内しますわ」
と元子。


 銀座をさっそうと歩く元子。
 車の中から元子を見掛け、未練気に目で追う安島。

 だが、元子の脇にパトカーが止まる。
 元子が走り出す。
 パトカーから警官が降りてきて、元子を追い掛け.....


寸  評  途中から交代して執筆しました当ドラマでしたが、毎回が充実し
ていました。地震や特番があって、7回と短かったことがかえってよ
かったと思います。
 ただ、最初はもう1,2回長くしようとしていたのか、最終回の今
回の内容の濃いこと!いろいろありすぎて、全部について、感想をま
とめ切れません。そもそも、元子が安島の子供を宿していたことだけ
でもびっくりだったのに。また、曜子の占いの信じられる男ってどち
ら?というだけで、充分次回まで引っ張れたのに、と思います。
 お恥ずかしながら原作を読んだことが無いのですが、いいドラマで
あり、いい終わり方でした。こういう次の展開をいろいろ想像できる
終わり方、いいです。

 元子を見ていて、銀座もいいな.....と思われた方もいらっしゃる
のではないでしょうか?わたしも、今年は1,2ヶ月に1回銀座に行
く用があり、銀座の街を歩いていました.....

 最後の場面、元子の恐喝の証拠、証言は集められないのではないか
と想像します。お金を取られた方も、その理由を明かせないでしょう
し。問題の黒革の手帳も、元子の手元には無いですし、もちろん、そ
んなものを警察に握られては困る人が続出です。

 橋田と楢林も、元子に散々酷い目に遭っても、やっぱりRODAN
に来てしまうのですね。それほど、魅力的なのでしょうか。

 最後にこのドラマを見ていて気持ちよかったのは、登場人物の言葉
がいいことです。
 前にも書いたことがあるかも知れませんが、わたしは、男性が女性
を呼ぶ時、「きみ」と呼ぶのが好きなのです。安島と元子の会話の言
葉が、親しき仲にも礼儀あり、と言う感じで気に入っていました。
 波子の関西弁だけは、ぎこちなさ過ぎましたが。

執筆者  鈴木(sumire_@anet.ne.jp)

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2. 編集後記
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 代役を務めさせて頂きましたが、最後までお付き合い頂き、ありがとうござ
いました。
 身近な最近の出来事は、遂に2代目のHDDレコーダーを買ってしまったこ
とです。ほとんど衝動買いに近いのですが。HDDレコーダーのこの1年での
スペックの向上はすごいですね。特にオリンピックがあったことが貢献してい
るのでしょうか。
 逆に来年も向上しそうなので、まだ買うのまとうかな.....と思っていたの
ですが、インターネットで、結構最近のモデルが安く出ているのを見付けて
.....気付いたら買っていました。(鈴木)

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