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タイトル:Daily Drama Express 2004/11/24 一番大切な人は誰ですか? (7)  2004/12/01


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2004/11/24 (Wed) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.水曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 水曜日の連続ドラマ
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タイトル 一番大切な人は誰ですか?
局  名 日本テレビ系
放映日時 水曜22時
キャスト 中町東子(宮沢りえ)
 松ヶ谷要(岸谷五朗)
 松ヶ谷路留(牧瀬里穂)
 坂下公也(内藤剛志)
 藤尾哲春(佐藤隆太)
 中町小南(小林涼子)
 北村逸子(吉田日出子)
脚  本 大森寿美男

あらすじ  「――いつまでこうしてる気? もう いいよ。もう、いい…」
 どれくらい抱き合っていたのか、先に体を離したのは 東子(宮沢
りえ)だった。
 「不思議だよね…。昔もサ、よくこんなことしてたと思うとサ…」
 そう言って、今度は 要(岸谷五朗)と背中合わせに座る。
 「こんなに鍛えちゃってサー…バカみーたーいー」
 と東子。
 その間ずっと 坂下(内藤剛志)は、店の前のアパートの階段に座
っていたのだが、突然店から出てきた要と 目が合ってしまう。

 その頃、学校帰りの小南(小林涼子)は 友達のナツミと歩いてい
た。ナツミは さんざん西口くんの話をした後、急に立ち止まり、
「実は 西口くんと付き合っているというのは嘘」と 小南に打ち明
ける。
 「私、ナツミのこと 好きだよ」
 「…小南にコクられても しょーがないよ」
 小南は ナツミに飛びつく。

 要と入れ替わりに 店にやってきた坂下は、居間で寝転がっている
東子のために 濃いコーヒーを淹れる。
 「坂下ちゃん、ほんっとに言葉遣い、ゲイみたいよ」
 「仕方ないでしょ? もうねぇ、まともな神経じゃ あんたたちと
は付き合っていけないわよ」
 東子は ケタケタとおなかを抱えて大笑いし、起き上がってコーヒ
ーを飲む。
 「やるんだったら 最後までやっちゃえばよかったのに…」
 「見てたの?! 変態!!」
 「今度は変態かよ。愛を告白したとたん、僕はゲイにされて 変態
扱いか?――これ以上突き進んだら…」
 「…終わるだけよ」

 要はふつうに家に戻り、布団にもぐって寝ていた。
 寝ている要の足元で、路留(牧瀬里穂)が 仕事をしている。路留
は少しでも収入を得られればと、昔の知り合いを頼って ホームペー
ジ作成の仕事をまわしてもらうようになっていたのだ。路留に気づい
たのか、要が 目を覚ましてしまう。
 「ごめん。起こしちゃったかー」
 「あんまり無理するなよ」
 と 要は路留を気遣う。

 ナツミと別れた小南は いつも路留と会う川辺の木陰に走って来た。
しかし路留はおらず、代わりに現れたのは いつかデジカメをただで
プレゼントしてくれた 小沼(村田充)だった。
 「あれ? 君、また会えたね。デジカメ使ってる?――僕ね、こう
見えて服飾の学校に行ってるんだ。デザイナーになりたいの」
 小沼はそう言いながら、小南にくれたのと同じデジカメで パチパ
チと写真を撮り続けている。
 「服とか作ってるんですか? 見せてください。私の知り合いに、
プロがいるんです」
 「え? 知り合いにデザイナーとかいるの?――ぜひ 見てもらい
たいけど、迷惑じゃない?」
 「大丈夫です。デジカメのお礼もしたいし…」

 店の時計は 5時を過ぎていた。東子はまだ帰ってこない小南を心
配しながら、黄八丈を作業台に広げている。

 その頃、小南は 小沼の部屋にいた。ノートパソコンに映っている
のは 『アトリエ東子』のホームページ。東子の画像が 大きく映し
出されている。
 「君が言ってた人ってえ、この人でしょ? どう思うだろ、君がデ
ジカメを手に入れるために 誰かの自由になったって知ったら。この
人は、その現実を受け止めきれるかな」
 小南は 縄できつく縛り上げられ、猿ぐつわをかまされていた。
 「俺さあ、ファッションなんて キョーミねえの」
 以前、小沼が働いているスナックに 客としてやってきた東子から
「若い子に触られるだけで 鳥肌が立つ」と言われたことがあった。
東子に対して密かに想いを寄せていただけに、ずっとその恨みを晴ら
そうと企んでいたのだ。その矛先が 娘の小南に向けられ、デジカメ
も目的のための小道具だったことを、小南が気づくはずはなかった。
 「送っちゃおっかな。『アトリエ東子』の掲示板に」
 小南の縛られている写真を撮りながら、小沼はニヤニヤ笑う。
 部屋の中は、植物の鉢と 爬虫類の飼育ケースが置かれ、異様な感
じだ。窓から、教会の建物なのか 十字架が見える。

 小沼はスナックでの仕事のため出掛けた。一人残された小南は 何
とか縄を解こうとするが なかなかうまくいかない。

 東子は、夜になっても帰らない小南が きっと要のところに行って
いると思い込み、ナツミの母秋恵(手塚理美)、加奈子(三浦理恵子)
とともに 小沼の勤めるスナックに 飲みに行く。
 「小沼君、ずうっと待ってたんだから、東子さんのこと」
 と何も知らない秋絵が言う。
 「若い子は却下! ね? 東子さん?」
 「え? どうして?」
 東子には何のことやら さっぱり分からない。
 「言ったわよ。触られただけで鳥肌が立つぅーって」
 やっと 思い出した東子。
 「違うの、違うの。泥棒。家に入った泥棒が若い子だったから、記
憶が生々しかったの!」
 東子の言い分を聞いた小沼の顔色が変わる。

 小沼が部屋に戻ってきた。
 「お腹すいた? お弁当 買ってきた」
 と、小南の猿ぐつわをはずす。
 「…トイレに行かせてください…」
 「イヤだよ――うそ。行かせてあげる。そこまでニンピニンじゃな
いから」
 小沼が縄をはずす。
 「ケータイは 持ってなかったんだよな?」
 小南はトイレに飛び込み 鍵をかけると、水をジャージャー流しな
がら ポケットから路留に借りたケータイを取り出し、夢中でメール
を打つ。

 「要さん!! ちょっと、早く! これ見て!」
 路留の慌てた声。要はパソコンの画面のメールの文面に 息を呑む。
 『助けて
  誰かに閉じこめられてる
  窓から十字架が見えるアパートの部屋
  お父さん』
 要は 大急ぎで交番に駆けつける。

 勤務中の同僚2人に、メールにあった 教会の場所を尋ねると、そ
れはキリスト教系の幼稚園のものと判明。要は緊急配備を頼むが、
2人はまだよく要領が飲み込めない様子だ。そんな2人を尻目に、交
番の自転車に飛び乗り、要は幼稚園に向かう。

 小沼の買ってきた弁当を開ける小南。ポケットのケータイが光って
いる――たぶん、路留からだろう――のが見つかったら 終わりだ。
ナイフでなしをむいている小沼の横顔を見ながら、小南は弁当に箸を
つける。

 しばらくして小沼は カーテンを閉めると、小南に近寄ってくる。
 「どうしようか。君もただでデジカメもらうの、気持ち悪いだろ?」
 小沼は 小南の背後に回り、制服のリボンをほどこうとする。

 幼稚園の前に自転車を止め、辺りを見回す。確かに屋根に十字架が
見える。しかしアパートの窓はいくつもある。この中のどれが、小南
の監禁されている部屋なのか。
 どう動いていいか迷っている要の元にやってきたのは 木幡(鶴見
辰吾)の乗ったパトカーだった。
 「どうしたんだよ。非番のお巡りが勝手に騒いでるって。何があっ
た?」
 パトカーを見た要は 慌てて サイレンを鳴らすよう頼む。

 サイレンが 大音響で夜の町に響く。たちまち 辺りに住んでいる
人々が窓から身を乗り出したり、ベランダに出てきたりし始めた。し
かし、ただ一つだけ、明かりがついているにも関わらず 誰も出てこ
ない窓を見つけた要は、そのアパートに走る。

 パトカーのサイレンに一瞬驚いた小沼は 小南から離れた。――と、
その時ドアチャイムの音が。
 「騒ぐな!騒がなければすぐに帰してあげる。もうゲームは終わっ
たから」
 小沼は平静を装い、玄関のドアを開ける。
 「すいません。この近くで事件がありまして…」
 要は小沼の肩越しに、中の様子を探る。
 「小南!!?」
 「!…父さん…」
 小南の声を聞いた要は 逃げようとする小沼に殴りかかっていく。
鍛えられ屈強な体の要に何度も殴られた小沼は、すぐにぐったりして
しまう。
 ふと、テーブルの上のデジカメに 要の目が留まる。そこには、縛
り上げられた小南の画像が映し出されていた。
 「だめだ、小南。…お父さん…こいつ、殺すわ…」
 要の目の色が違っている。小沼の背中に馬乗りになり、更に首を絞
めようとする要。
 「関係ないんだ、小南。お父さんのことは もう忘れろ!」
 小南は泣いて止めようとするが、要の怒りはこのままでは収まらな
いようだ。小沼は既に意識がない。――駆けつけた木幡たちが、やっ
とのことで要を取り押さえる。

 ――警察署。
 要は廊下のソファに、腰掛けている。そこに木幡がやってくる。
 「デジカメ買ってもらったそうだ、3万くらいの。今日まではそれ
で済んでたそうだ。母親には知らせるなと 言い張ってる」
 木幡は 要の隣に座る。
 「お前のうちにいると 思っているのか?」
 「…ゆうべも泊まったんだ…」
 「今のカミサンと 一緒にか?」
 要が「小南の身柄を引き取りたい」と言うと、木幡は「上と話せ」
と要の肩をポンと叩いて、去っていく。
 要は、以前小南からお金をせびられたことを 思い出していた。叱
った時、小南は泣いていた。あの時の金額も3万円だったと…。
 騒ぎを聞いて駆けつけた藤尾(佐藤隆太)が、ソファで頭を抱え込
んでいる要を 心配そうに見つめている。

 小南の取り調べが済み、要は上司に呼ばれた。
 「親権はどっちにある?」
 「そういうことは決めてません。本人の希望で母親の方に…」
 「今度は 本人の希望が違ってるというのか?」
 「私から母親に説明します」
 どうしても母親の東子には知られたくない、そんな小南の気持ちを
 要は分かっていた。
 「被疑者は加療中というじゃないか? 殺すとも口走ったとか? 
言っちゃいかん、そういうことは。あとで問題にされたら困るよ。
――けど、何もなくてよかった」
 要は謹慎処分となった。

 要と小南は、まだ薄暗い 人気のない明け方の道を帰っていく。少
し離れて歩く二人。
 「帰れないよ、こんな時間に!」
 「お母さん 心配してるよ」
 「だから 帰れない!」
 小南が急に立ち止まり、逆方向に駆け出す。要が走って 小南を捕
まえる。
 「帰らなくっていいんだ! その代わり、お父さんも帰らないか
ら!」
 「お父さんといたくない!」
 「それでも 小南のそばにいたいんだ!――逃げよう、2人きりで
逃げよう。何もかも 捨てて」
 小南は愕然として、要を見つめる。

 電車に飛び乗り、朝のラッシュが始まったばかりのどこかの駅のホ
ームに 二人はいた。ベンチに並んで座り、缶コーヒーを飲む。
 「どこ行くの?」
 「どこ行きたい? それより着替えないとナ。昨日からパンツとか
 履いたままだし――」
 「そんなこと 大きな声で言わないでよ!!」
 小南はつむじをまげて、反対側のベンチに座る。
 「――八丈島なら、行ってもいい」
 「八丈島。よし!……でも、どうやっていくんだ?」

 店でそのまま眠ってしまったらしい。東子は、要からの電話のベル
で 目が覚めた。
 「済まないが、しばらく小南を預かる」
 「は? 何言ってんの?」
 「俺と二人きりだ。しばらく旅に出る」
 「殺すよ。今、小南どこにいるの? トイレ? 羽田空港?!」
 電話が切れてしまったと同時に店のドアが開き、木幡が現れる。

 東子は、木幡から 昨晩の事件の一部始終を聞かされた。
 「しかしバカですね、あいつも」
 「バカなら 何してもいいの?」
 「いや、何するか分からないってことでしょ」
 「そうなのよ。でもね、そこまでバカにして欲しくないわ、あの人
のこと。大丈夫。きっと守ってくれる。小南を悲しませるようなこと
は きっとしないと思うの」

 八丈島。
 二人はタクシーに乗り、運転手に民宿を紹介してもらおうとするが、
着いたところは駐在所。厳しい顔の警官が顔を出す。
 「!? 倉内さん? 班長?」
 「松が谷?! 要ー!!」
 偶然にも、駐在所の倉内(不破万作)は 以前要が世話になった上
司だった。
 「指名手配者じゃ、ねえよな…」
 タクシーの運転手は、挙動不審の要のことを 何か事件の犯人かと
勘違いしていたようだ。

 「離婚したか…」
 「たくさんお祝いもらったのに すいません」
 駐在所は、海を見下ろす小高い丘に建っている。夕日に照らされた
海が、オレンジ色に輝き、駐在所の中を 温かく染めている。
 「昔のおまえは短気で無鉄砲で、問題児だったけどな。優しいとこ
ろも 変わらんなあ」
 「いつからこっちに?」
 「もう2年になる。定年までこっちで、と思ってたが…」
 倉内の妻は今、島の町立病院に入院していると言う。
 「定年まではいられんかもなあ。駐在所は 一人もんじゃあ だめ
だから」

 その頃、路留の父母が 要の家を訪れていた。
 「帰らないって どういうこと?」
 要の不在をしきりに気にする逸子(吉田日出子)を、「まあまあ…」
と隆夫(田村亮)が諌めている。
 「あっちの家族と一緒にいるんじゃないの?――あなた、離婚した
ら? 今ならまだ 引き返せるわよ」
 「そんなに大げさに考えること? 近くに住んでるってだけのこと
じゃない?」
 「あなたがいなかったら、あの家族はうまくいってたんじゃない
の?」
 「そう思ってるよ! 壊したっていいと思ったから つきあったん
でしょ?」
 「壊したかったの?」
 路留は 答えに迷い、黙り込む。

 翌朝。
 泊めてもらった駐在所を出て 二人が向かったのは『黄八丈めゆ工
房』。八丈島で黄八丈を作っているのはここだけと 聞いたからだ。
トントン、と女たちが一心に機を織る音が、外にまで聞こえてくる。
二人は 中に入る。
 小南は、機を織る中の一人の女性に目を留める。この人があの黄八
丈を送った、『長谷川直子』という女性本人だと 直感したかのよう
に…。

 突然小南は 工房から出ていく。
 「誰かに会いたかったんじゃ ないのか?」
 「もういい。もう、いいよ」

 二人は、島を一望できる丘の上にやってきた。
 「お父さん。私、やっと分かったよ。お父さんをどうして嫌いにな
ったのか…。私、自分が嫌いだったんだよ。お父さんとお母さんが離
婚するって聞いたとき、そんなの何でもないことだ、よくある話だっ
て 思おうとしてた。なのに、イライラして 腹が立ってどうしよう
もなくて。本当は そういう自分がいちばん嫌いだったんだよ。なの
に、お父さんのせいにして――。お父さんを嫌いになったのは 自分
のせい。絶対にお父さんのせいじゃないから」
 小南は、要を見上げる。
 「だから、今度のことも 自分のせいだよ」
 「小南…」
 「お父さんは、私を助けてくれたんだよ。救ってくれたんだよ。だ
から…ありがとう…」
 小南は泣き出した。要の両目も 涙できらきら光っている。小南は
 要の胸に飛びこみ、いつまでも泣いていた。

 その頃、東子の店を訪れた一人の客…。
 「いらっしゃいませ…」
 ミシンから顔を上げた先に 立っていたのは、路留だった。


寸  評  今回は本当におもしろかった。これまで、泥棒が入ったこと以外
 大きな事件がなく、正直 中途半端な感じだったのですが、今回は
いろいろありました。小沼の正体もはっきりしたし、小南と要の距離
も ずいぶん縮まったし。その上、元妻と現妻との対面もあり、次回
も期待できそうですね。
 「お父さんが警察官」って ちょっとうらやましく思いました。凶
悪な犯人に立ち向かわなくてはいけないこともあるのですから、ご家
族はいつも心配してらっしゃるのだろうとは 思いますが、素晴らし
い職業です。悪いことをして新聞に書かれる警察関係者もたまにいる
けれど、大半の警官は そうではないのだと 信じています。

執 筆 者 三森(anponhana@mail.goo.ne.jp)

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2. 編集後記
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 『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』お読みになりましたか? 私はつい先
日、やっと読み終えました。そして ハリー同様、心にぽっかりと穴が開いて
しまったような気になっています。
 ――私も『彼』が大好きでした。ひょっとして、これは恋だったのかもしれ
ないと思うほど。きっと最後には、ハリーと一緒に あのヴォルデモート卿を
打ち負かしてくれるのだろうと、思っていたのに…。残念で無念で、時があの
瞬間に戻ってくれるなら、と願いました。でも、何度読み返しても、『彼』は
戻ってきてはくれませんでした…。『彼』のご冥福を 心からお祈りいたしま
す。(三森)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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