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タイトル:Daily Drama Express 2004/07/30 世界の中心で、愛を叫ぶ (5)  2004/08/13


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2004/07/30 (Fri) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.金曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 金曜日の連続ドラマ
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タイトル 世界の中心で、愛を叫ぶ
局  名 TBS系
放映日時 金曜22時
キャスト 松本朔太郎(山田孝之)
 廣瀬亜紀(綾瀬はるか)
 松本朔太郎(緒方直人)
 小林明希(桜井幸子)
 中西光太(西洋亮)
 谷田部敏美(松下由樹)
 廣瀬綾子(手塚理美)
 廣瀬真 (三浦友和)
 松本謙太郎(仲代達夫)
 大木龍之介(田中幸太朗)
 中川顕良(柄本佑)
 上田智世(本仮屋ユイカ)
 松本芙美子(夏帆)
 松本潤一郎(高橋克実)
 松本富子(大島さと子)
脚  本 森下佳子

あらすじ ●2004年
 夜、実家に帰ってきた朔太郎(緒形直人)に、明希(桜井幸子)が「廣
瀬亜紀さんて、どんな人だったの?」と尋ねると、朔太郎はうつむい
てしまう。気まずい空気を感じた明希は「いつも相談にのってもらっ
ているし私も何かできないかって……。スーパーの帰りに坂道があっ
て誰かに持って欲しいっていうか、そしたら少しは軽くなるっていう
か……」と取り繕うが、朔太郎が黙っているので、その場に居づらく
なった明希は家に入ろうとドアに向かう。そのとき朔太郎が「小林、
ありがとう」と声をかけたので、明希は微笑み家に入っていく。

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 −小さな小林が少し大きく見えたその晩、僕は押入れの奥にしまい
込んだ箱(*)を取り出すことができた。亜紀がいなくなってから、ず
っとこの箱を開けるのが怖かった。あのころに戻ってしまう気がして
……。だけど17年ぶりの再会は想像していたより穏やかで、僕は生ま
れて初めて誰かに亜紀の事を話したいと思った。
 (* 回想しながら朔太郎は蓋を開ける。中には亜紀といっしょに映
った写真や交換日記に使っていたウォークマンが入っている)
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 朔太郎は写真を見返しながら亜紀の骨の入った小瓶を見つめる。

 翌日明希はフェリーで帰京することになり、波止場で出発を待って
いた。見送りに一緒に来た朔太郎に明希が「まだしばらくこっちにい
るの?」と聞くと、朔太郎は「骨がまけたら……」と答える。少し間
をおいて朔太郎は「昨日のこと(明希が亜紀のことを尋ねたこと)だけ
ど、どんなことを話せば……いや、今まで誰にも離したことなかった
から」と切り出す。「一番幸せだったときのこととか」と明希は答え
る。朔太郎は波止場の先のある小島を見て、「あの島、夢島って言っ
て……うまくしゃべれるかな」と口ごもる。「大丈夫だよ、サク」と
言う明希に朔太郎は驚き「サクって初めて言われた」と言うと、明希
は「松本君でなくてサクが話すんでしょ」と笑顔で答える。

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 −手を引かれるように僕は話し始めた。大好きだった人のことを、
17年も前のことを振り切れないかっこ悪い自分のことを、この人に知
って欲しいと思ったから。もう一度手をつなぎたいと思うから、生き
ることと。
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 体調不良気味の亜紀(綾瀬はるか)は綾子(手塚理美)に連れられて、
病院で診察を受ける。微熱、ひざの内側の痣、貧血、出血などの症状
から亜紀は血液検査を受けることになる。診察後亜紀は綾子に「ただ
の疲れ」と言うが、綾子は無理をさせないようにと終業式を欠席させ
る。

 龍之介が東京へ去り、亜紀が休みだったため、朔太郎(山田孝之)、
顕良(柄本佑)、智世(本仮屋ユイカ)の3人はしらけた気分で下校して
いると、背後から急に龍之介(田中幸太朗)が現れる。龍之介はたこ焼
き屋パパさんで東京の彼女はすでに別の男がいて自分はすでに振られ
ていたことを話す。智世が「(東京に行ってもう戻らないと言って出
て行った龍之介のことを)あたしたちがどんな気持ちでいたかわかっ
ているの」と本気で怒るので、龍之介は決まり悪そうに「お前たちの
ところに帰りたくなっちゃって……本当にごめんなさい」と頭を下げ
る。朔太郎と顕良は許すが、智世は気持ちの整理がつかず「亜紀にも
謝りなさいよ」と言って立ち去ってしまう。

 朔太郎はその足で亜紀の家に行き、龍之介が帰ってきたこと、迷惑
かけたお詫びとして夢島でのキャンプに招待することを伝える。それ
を聞いた亜紀は大喜びする。顕良の都合で明後日出発することになっ
ているので、朔太郎は「(熱)大丈夫?」と聞くと、亜紀は「頑張って
治すよ」と答える。朔太郎はまた「お父さん厳しいんでしょ?」と聞
くと、亜紀は「頑張ってだますよ」と笑いながら答える。亜紀が大は
しゃぎなのに朔太郎は驚くが、亜紀は「みんなでワイワイしたことな
いから」と言い、窓を開けて外を見ながら「楽しみだなあ」とつぶや
く。その姿に朔太郎はキャンプを盛り上げようと決意する。

 夕食時、亜紀は真(三浦友和)にキャンプに行くことを懇願するが、
案の定聞き入れない。綾子にも頼むが綾子も「今回はやめたほうがい
いんじゃない。熱があるのに、何かあったら迷惑がかかる」と言って
止める。一方顕良の家で朔太郎は張り切って準備を進める。龍之介が
智世に連絡を入れてないと聞いた朔太郎は智世の家に走って伝えにい
くが、智世は「龍之介は気を使うだろうし、自分もどういう顔してい
いかわからないから」とキャンプに行かないことを伝える。

 翌日亜紀の家に検査を受けた病院から電話が入る。亜紀は姉を装っ
て応対すると、医師は「明日再検査を受けてください」と伝える。亜
紀は「どこか悪いんですか?」と不安がるが、医師は「念のためです」
と答える。

 朔太郎は松本写真館に行き、カメラを見繕っていると、潤一郎(高
橋克実) が「さっき龍之介から電話があって、顕良は父親に御本山に
連れて行かれて行けなくなったらしい」と伝える。

 朔太郎は亜紀に電話し、ポストにキャンプのことを説明したテープ
を入れておいたと告げるが、亜紀は「(病院に行くから)明日行けない
かもしれない、ゴメンね」と言う。

 翌朝朔太郎がまだ起きないでいると、富子(大島さと子)に龍之介か
ら電話がきているとたたき起こされる。朔太郎が電話に出ると龍之介
とともに亜紀の声も聞こえてきたので朔太郎は驚く。亜紀は綾子に謝
りのメモを残してこっそり出てきたのだった。朔太郎はあわてて波止
場へと出かけていく。

 龍之介の操縦する漁船で夢島へ向かう3人。夢島に着くと龍之介は
朔太郎にこっそりと「夜になったら俺は適当に帰るから」と2人きり
にする手はずを整えると言う。

 龍之介は(お詫びとして)泊まる準備をし、朔太郎と亜紀は島を探索
に出かける。途中亜紀はタイムポストを見つける。そこには「未来の
あの人に手紙を書いてみませんか」と書かれていた。ここに入れると
何年か後に届けてくれるのかなと話し合っていると、亜紀は貧血を起
こしよろけてしまう。朔太郎は心配するが、亜紀は笑顔を作り「私海
で泳ぎたい」と言う。

 海の中で遊んだ後、朔太郎と亜紀が浜辺で昼寝をしていると龍之介
がやってきて写真(朔太郎が実家で箱から取り出した写真)を撮る。し
ばらくして亜紀は目を覚ますと側にメモがあるのを見つける。そこに
は「漁船を使ったことが父親にばれたので帰る、明日迎えに来る」と
書かれていた。

 夕方朔太郎が晩御飯を準備していると、亜紀も手伝い始める。身体
が冷えてくしゃみをする亜紀を見て、(熱のことを心配し)朔太郎は、
身体が温まるようにと生姜湯を作って亜紀に渡す。それを受け取った
亜紀は思わず嬉し涙をこぼしてしまう。

 そのころ真が仕事途中に家に立ち寄って亜紀のために買ってきた本
を手渡そうとするが、綾子は熱が出て寝ているから後で自分が渡すと
言って留めるので、また仕事に行ってしまう。

 晩御飯の後焚き火をしながら会話をする朔太郎と亜紀。焚き火をい
じりながら朔太郎は「結婚しても毎日こんなのかなあ」と言うと、亜
紀は「えっ、サクちゃんは私と結婚するの?」と驚く。朔太郎は予想
外の反応に「俺って通過点なの?」ときっとするが、亜紀は「違うけ
ど、その前にやりたいこととかいろいろあるじゃん、仕事とか」と答
え、亜紀は絵本の編集者になっていろいろな国に行って伝説とか民話
とか詩とか探したりしたいと言う。

 亜紀は朔太郎にも将来の夢を聞く。朔太郎は「最近親父が写真屋継
いだのわかるような気がして、思い出を残す手伝いができるって幸せ
な商売だよね」と答える。亜紀は「サクちゃんらしいね」と言う。朔
太郎は「(亜紀が世界中をまわるようになると)1ヶ月に1回くらいし
か会えないのかなあ……。そっか、俺がカメラもって一緒に行けばい
いのか」と亜紀と一緒にいることばかりを考えてひとりしゃべる。そ
れを聞いて亜紀は微笑んで「好きよ、サクちゃん」と朔太郎の肩に頭
をもたれかける。そして亜紀は「ねえ、やろっか。こんなことでやる
ことなんかひとつしかないじゃん、タイムポスト」と言い出す。一瞬
期待した朔太郎は少し残念がる。

 朔太郎が先にタイムポストの前で投函用のテープを作る。
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 未来の廣瀬亜紀さんへ。廣瀬って言ったけど、廣瀬なのかなあ。で
きれば松本になっていて欲しいです。あっ、でも亜紀は一人っ子だし、
俺は妹いるから俺が廣瀬になるのかな。とにかく俺は毎日をずっと今
日のように亜紀とのんびりとすごしていければ……。
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 朔太郎が龍之介の整えた泊まり場所(作りかけで放置された廃墟の
リゾートホテル)に戻ると、亜紀は怖い顔をして朔太郎に詰め寄る。
亜紀は龍之介が朔太郎ために配慮してたことに気づいたのだ。焦った
朔太郎は亜紀の番とカセットレコーダーを渡してカメラを掃除し、話
を逸らそうとする。亜紀がスイッチを入れると「未来の廣瀬亜紀さん
へ」と流れ出す。朔太郎が慌てて止めると、亜紀は「そんな恥ずかし
いこと入れたんだ」と笑い転げる。

 笑い終わった後、亜紀は「ねえ、あの世って信じる?」と尋ねる。
朔太郎は信じると答えるが、亜紀は「残された人が存在して欲しいと
思って作ったもの」と言う。朔太郎は「亜紀は神頼みとかしなさそう
だもんね」と言う。しかし亜紀は「でも神様はいないと困るよ。ラッ
キーとアンラッキーをコントロールしないと。すごく幸せだった人が
すごく不幸になったりするじゃない。どんな人間も結局プラスマイナ
スゼロになっている気がしない?」と話す。朔太郎は「それをコント
ロールするのが神様……」と亜紀に問いかけるように言う。亜紀はな
お何か話そうとするが、朔太郎が目を閉じて手を合わせているので、
「何してるの?」と聞く。朔太郎は「今俺のプラス分亜紀にまわしと
いたから。俺別にマイナスでもいいし。亜紀の方がかなえたい夢とか
いろいろありそうだし」と言う。それを聞いた亜紀は朔太郎の背中に
抱きつき「好きよサクちゃん」と言う。

 夜中、亜紀は電話の鳴る音がしたと言って朔太郎を起こし、電話を
探そうとする。2人が音を追って外に出てくると、あたり一面蛍が飛
び交っていた。「すごい……」と感嘆しその場に座って朔太郎と亜紀
は蛍を眺める。亜紀は「蛍ってさあ7日間しか地上いないんだよ。こ
んなの見れるなんてどのくらいの確率なんだろうね」と言い、泣き出
しそうになる。「幸せだなあ私、なんでこんな幸せなんだろう。もう、
なんかあるんじゃないかと思っちゃうよ。誰かが病気になったりとか、
誰かが死んだりとか、もう本当に何かあるんじゃないかな」と泣きな
がら話す。そんな亜紀の肩に手をやり朔太郎は「ないよ、そんなこと、
絶対にないよ」とやさしく言う。

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 −僕は亜紀がなぜ泣いているのかまったくわからなかった。だけど
このとき亜紀の肩に止まった蛍はいつの間にか消えていたんだ……
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 翌朝亜紀はテープレコーダーの前に座って何事か考えている。龍之
介が船に乗って2人を迎えに来る。

●2004年
 明希に話し終えた朔太郎は「まっ、あんまり幸せでもないか」と海
を見ながら締めくくる。明希は「テープ、タイムポストにあると思う
よ。私だったら聞いて欲しいな」と言い、船に乗り込む。朔太郎は
「小林、本当にありがとう」と言う。

 船内で明希は思い悩み、涙をこぼす。心配がって理由を聞く子供に、
明希は「アキはひとり(亜紀だけ)でいいんだなあって」と言いわが子
を抱きしめる。

 朔太郎は夢島に渡った。
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 99%の確率でテープはないだろう、そう思いながら僕は夢島に渡っ
た。人の手の入らない無人島は不気味なほど変わらず、そこはまるで
死の国の入り口のようで……
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 タイムポストは壊れて倒れ掛かっていた。朔太郎は周辺の地面を探
してみると、ポケットから亜紀の骨の入った小瓶がこぼれ落ちて転が
る。朔太郎がそれを追うと止まったそばに砂で埋もれかけたテープが
落ちていた。朔太郎はそのテープを急いで拾い上げ、レコーダーにか
けて再生する。

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 −未来の松本朔太郎へ。サクちゃん、私ね、わかったんだ。幸せっ
てすごく単純なこと。サクちゃんがいて私がいることなんだよね。き
っとそういう毎日のことで、だからこれからもずっと昨日のようにサ
クちゃんとずっと手をつないでいけたらと思うよ。私がサクちゃんの
手をひっぱって、サクちゃんが子供の手をひいて、そんな風に歩いて
いけたらと思う。
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●1987年
 迎えに来た龍之介のボートに先に乗り込んだ朔太郎は、亜紀に手を
貸そうとして手を出す。亜紀はその手を握ろうとするが、また貧血を
起こし、倒れてしまう。朔太郎は船から飛び出して、亜紀を抱え起こ
し、「亜紀、亜紀!」と声をかけるが、亜紀は反応しない。

●2004年
 テープを聴きながら泣き出す朔太郎。
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 −亜紀の声はボロボロだった(*時間が経過しテープは雑音だらけに
なっている)。時の流れからたったひとり置き去りにされた声だった。
誰も聴こうとしないどこにも届くことのない僕が捨てようとした声だ
った。時が、戻っていく。亜紀をボロボロにしたのは自分だと責め続
けたあの時に。
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寸  評  幸せを神様がコントロールしていると言う亜紀に、神様にお願い
して亜紀にプラス分を送ろうと下心なしにやってのける朔太郎、亜紀
が朔太郎を好きなのはそういうところなのでしょう。物語が折り返し
あたりを迎えました。これからは亜紀が病気と闘いながらという新し
い段階になりますので、今後にさらに期待したいです。

執 筆 者 ケン(kain_evel@yahoo.co.jp)

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2. 編集後記
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 朝日新聞の文芸評論みたいなところで、この作品が村上春樹の『ノルウェイ
の森』の路線上にあるといったようなことが書かれていました。いずれも愛す
る人を失った主人公が喪失感の中で人生を模索するというストーリーです。
『ノルウェイの森』は70年代の話ですが、そのせいかこの作品も87年と言いな
がら70年代ぽい雰囲気を感じがします(80年代としても80年代前半でしょうか)。
(ケン)

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発行元:ドラマ研究会
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