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タイトル:Daily Drama Express 2004/01/27 ファイアーボーイズ (4)  2004/02/03


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2004/01/27 (Tue) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.火曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 火曜日の連続ドラマ
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タイトル ファイアーボーイズ 〜め組の大吾〜
局  名 フジテレビ系
放映日時 火曜21時
キャスト 朝比奈大吾(山田孝之)
 園田まひる(内山理名)
 近藤純(ミムラ)
 甘粕士郎(塚本高史)
 赤星みつる(葛山信吾)
 落合静香(小西真奈美)
 平茂(石黒賢)
 五味一(鹿賀丈史)
脚本  吉田智子

あらすじ 厨房火災の鎮火を行なっている大吾(山田孝之)と甘粕(塚本高
史)。火の勢いが衰えず、鎮火できずに退避をするが、部屋を出たと
ころで大吾はハッとして自分の首元を探る。「ない、ない!」と言っ
て、戻ろうとする大吾を甘粕が止めるが、それを突き飛ばして大吾は
厨房に戻る。

訓練場で、隊長の平(石黒賢)が、大吾と甘粕の訓練結果は「殉職」
だと言う。平は2人の頭を叩き、「お前ら、鎮火できないどころか、
死んでどうすんだよ。もう良い、グラウンド30周!」と命じる。

お互いを小突き合いながら走る2人を見て、め組の隊員達は「スゴイ
よなァ、キッチン火災の訓練で死ねるなんて」「鎮火するより難しい
ですよねぇ」と話しながら、呆れている。

夜、隊員達が卓球をしているところへ、大吾が入って来、訓練場でド
ッグタグを見なかったかと尋ねる。ドッグタグとは認識票とも言い、
戦場で戦死した時に身元が判るように身につけるもので、昔は消防で
も使っていたことがあるという。
大吾は、かなり古くて『F531』と刻印されているものだと説明す
るが、皆は知らないと答える。大吾はその後も必死で所内を探しまわ
るが、見つけることができない。

更衣室でも大吾が探しまわっていると、甘粕が大吾の目の前にドッグ
タグを差し出す。訓練場で見つけていたが、大吾をからかおうと思っ
て黙っていたらしい。
甘粕は大吾に「コレはお前なんかに持つ資格ねえから、俺が元の持ち
主に返しといてやるわ」と言う。「元の持ち主知ってんのか!?」と
驚く大吾に、認識番号『F531』の持ち主は、13年前に起こった
史上最悪のホテル火災、丸菱ホテルの火災で決死の突入をし、大火傷
を負いながらもたった1人で、逃げ遅れた13名を救出した伝説の消
防士だ、と話す。

その後、甘粕がドッグタグを持っていたと聞いたまひる(内山理名)
は呆れ、純(ミムラ)は「伝説の消防士って誰なんですか?」と聞く
が、甘粕は名前までは知らないと言う。甘粕が消防学校の教官に聞い
た話では、その人物は、自分なんかよりもっとすごい消防士にドッグ
タグをあげた、と言っていたという。まひるは「大吾が?」と驚くが、
純は、大吾には人にそういう風に思わせる何かを持っている、と言う。

翌日、大吾は図書館で丸菱ホテル火災の新聞記事を調べる。そこで大
吾が見つけたのは、『決死の救出』と書かれた記事で、その記事の写
真にはめ組の所長、五味(鹿賀丈史)の姿が写っていた。

そして大吾は思い出す。幼い頃の自宅の火災で、自分を助けに来た消
防士は、犬のモンタを助けに来た、と言う大吾に「ガッツあるな、小
さな消防士」と言って、自分のドッグタグを引き千切り、大吾に「勲
章だ」と言って渡した。その顔は、五味の顔だった。

更衣室で着替えている五味に、大吾はドッグタグを差し出し、9年前、
自分は五味に助けられた、と話す。五味は「ああ、あの時の坊主か」
と言うが、そっけない。大吾は興奮して「所長だったって全然気付か
なくて、ボケだの何だの言っちゃったけど、俺、あの時に消防士にな
ろうって決めたんです!所長は俺のヒーローだったんです!」と続け
るが、五味は「仕事だからお前を助けただけだ。勲章なんて、子供を
安心させるための方便だ。そんなこともわかんねぇのか、坊主」と冷
たく言い放ち、ショックを受けて呆然とする大吾を後に、立ち去る。

大吾は出張所の駐車場に座り込み、怒りに任せ、ドッグタグを放り投
げる。

高校時代の担任教師、静香(小西真奈美)とラーメン屋に行き、大吾
は「俺、なんのために消防士になったのかなぁ…。あの人みたいにな
りたい、あの人を超えたい、それが俺の目標だったのに…」と気が抜
けたように言う。静香はそんな大吾を心配げに見つめる。

ある日、結婚式場からの出火通報にめ組の隊員達が駆けつけると、式
場では通報などしていない、と言う。「イタズラですかねぇ」と言い
ながら帰所すると、再び出場の指令が下る。次の現場は団地だったが、
やはり火も煙も見当たらない。
平の命令により、1軒1軒確認して回る大吾達。

その夜、ポンプ車のタイヤに穴を開けられる、という事件が起こる。
出動指令が下ると大変だ、と急いでタイヤの交換作業に入り、まひる
はふと、門の外からこちらを伺っている不審な人影が逃げて行ったの
に気付く。

作業を終え、博士(温水洋一)が、犯人はまひるのストーカーではな
いか、と言い出す。先日もまひるの制服が盗まれるという事件があり、
通報もパンクもまひる見たさで行なわれたことではないか、と。イタ
ズラ通報の発信場所は全て公衆電話からだが、本庁に行けば119番
通報の声は全て録音されている、それを聞けば何か思い当たることが
あるかもしれない、と赤星(葛山信吾)が提案し、大吾が翌日、本庁
に行くことになる。

まひるは大吾が入手してきたテープを聞くが、男の声に聞き覚えはな
いと言う。
大吾は、声の後ろから聞こえてくる音に気がつき、パチンコ店の宣伝
カーの音だということに思い当たる。

早速大吾と赤星はパチンコ店に向かい、宣伝カーの運転手の住所を従
業員から聞き出す。アパートを訪ねると、出てきたのは中年の男、米
田(きたろう)だった。

米田は、最初は容疑を否認するが、大吾に「あんたがまひるを想うの
は勝手だけどな…」と言われると、驚いて「何のことだ」と言い、続
いて「私はただ、五…」と口を滑らせ、慌てて黙り込む。赤星が「五
味…?うちの所長が狙いですか」と尋ねるが、黙って顔を逸らす。

赤星が机の上に飾ってある女性と子供の写真に気がつき、奥さんとお
子さんは?と尋ねると、米田は13年前のホテル火災で死んだ、と答
え、「あいつはずっと俺をだましてたんだ。何が決死の救出だ…」と
怒りを表す。

数日前、ホテル火災の13回忌で慰霊祭があり、そこで米田は、助か
った13人の内の1人から、米田の妻が怪我をして『助けて、助けて』
と言っていたのに、助けに来た五味は自分達に『振り向くな』と言い、
米田の妻を置き去りにした、という話を聞いたのだった。

自分の妻は生きていたのに、怪我をして足手まといだからといって見
殺しにされ、子供も妻と一緒にホテルの託児所で見つかった、という
米田の話に大吾は衝撃を受け、呆然とする。米田は五味のことを絶対
に許さない、と怒りに声を震わせる。

出張所で大吾と赤星の話を聞いた平は五味に「例のイタズラは所長の
ことを…」と報告すると、五味は「米田修か…」と言う。慰霊祭の後
から始まっていたことから、そうではないかと思ったという。

「証拠があれば警察に通報しろ」と言う五味に大吾が「ホントに怪我
してる要救助者を見殺しにしたんですか」と聞くと、五味は「その通
りだ」と言い、大吾は「何が伝説の消防士だよ!あんたなんか全然ヒ
ーローじゃねぇよ!」と怒鳴るが、五味は「ありがたいお言葉だな」
と答える。怒りに言葉を失った大吾は事務所を飛び出し、五味は黙っ
て競馬新聞に目を落とす。

翌日、落ち込んで川原で座り込んでいる大吾に、通りかかった静香が
声をかける。
大吾は「あいつは自分の命が一番大事なんだよ。人命救助も仕事でや
ってんだ」と言い、静香は「自分で確かめたわけじゃないのに、鵜呑
みにするの?真実はひとつじゃないよ」と言う。ただ仕事というだけ
で、炎の中に飛び込むことなんてできないと私は思う、と。

その頃、まひると純は買い物の帰り道で、大吾と五味の話をしながら
歩いていた。
純は「やっぱり所長がそんなことするなんて信じられません」と言い、
まひるは「そりゃあたしだって…」と言いかけ、川原にいる大吾と静
香に気がつく。静香が大吾にマフラーを巻いてやっているのを見、ま
ひるは「なんだ、そういうことか」とニヤニヤするが、純は黙って複
雑な表情をしている。「もしかして純…」とまひるが言うと、純は
「違いますよ、何言ってんですか」と言って慌てて歩き出す。

出張所で大吾は13年前、五味と共に出動した植木(モロ師岡)にホ
テル火災の話を聞くが、植木はあの炎の中で何があったか、自分は知
らない、と答える。
「あいつも何も語らないし、ヒーロー呼ばわりされることも毛嫌いし
ている。真実を知っているのは炎だけだ」と言う。

その後も大吾はホテル火災の資料で、現場写真、通報記録などを調べ
続けている。

一方、米田はパチンコ店をクビになっていた。消防士が米田のことを
調べていることを店長が知り、無断欠勤も多かったためだという。米
田が「あいつらに思い知らせてやる」と言っていた、と従業員に聞い
た大吾は、慌てて出張所に向かう。

出張所では米田が甘粕と高山に抑えつけられていた。出張所のゴミ箱
に火をつけようとしていたのだという。「あんた達のせいで仕事をク
ビになった!何もかもあいつのせいなんだ!」と叫び、「五味を出
せ!」と騒ぐ米田。

その頃、五味は墓地で1人、制服姿で墓に手を合わせている。

大吾が出張所に入って来、米田に聞かせたいテープがあると言う。
119番通報は、交信が途切れるまで自動的に録音され、消防庁に保
管されている。13年前のホテル火災で通報をしてきたのは、逃げ遅
れた女性従業員で、おそらく米田の妻である。大吾は「ここに、真実
があります」と言い、不安げな米田とめ組の隊員達は、テープの音に
耳を傾ける。


 ――赤ん坊の泣き声と、女性が咳き込む声、背後では轟々という音。

 『もしもし、もしもし?どうしました?』
 『助けて、助けて…』
 『今どちらですか』
 『ホテル、ホテルの託児所です、子供がいるんです。煙が凄くて…』
 『丸菱ですね。今、消防が向かっています』
 『お願いします…早く…』

 ――赤ん坊の泣き声が一層大きくなる。サイレンの音が聞こえる。

 『聞こえますか?到着しました』
 『早く、早く来てください…』

 ――その時、悲鳴と共に、何かが崩れ落ちる音。

 『もしもし、もしもし』

 ――女性の返答はない。

 『もしもし、もしもし?聞こえますか?』
 『あ、ああ…マキ、マキちゃん?』
 『もしもし、どうしました?』
 『マキちゃん、どこ…?』
 『もしもし?』
 『見えない…、ゴホッゴホッ、マキ!マキー!?』

 ――ドンドン、と扉を叩く音。

 『誰か!誰かいるかー!!』


「…所長?」とまひるがつぶやく。


 『助けて…!ここです…!!』

 ――入り乱れる人の声。

 『大丈夫ですか!?誰か手伝ってくれ!足が挟まってるんだ!』
 『子供、子供は…!?マキちゃんは、私の赤ちゃんはどこ!?』
 『…他の消防士が…救出しました…』
 『他?他のってどこ!?ねぇ、他のって、どこよ!!』
 『良いですか、引っ張りますよ!』

 ――女性の悲鳴

 『良いですか、もう一度引っ張りますよ!』

 ――女性の悲鳴

 『…行ってください』
 『何言ってるんですか!』
 『私は良いから…子供を…子供だけは…』

 ――背後から『早く…!』『早くしないと煙が…!』と言う声。

 『行ってください!』
 『…待っててください、応援を呼んで、必ず戻ってきます!』
 『お願い、子供だけは…助けてください…!』
 『…行くぞ、こっちだ!振り向くな!』
 『助けてください…!お願いします…!』

 ――人々の叫び声、女性の叫び声が聞こえ、通信は途絶えた。

 『ツー、ツー、ツー、ツー、ツー…』


テープから流れ続ける、『ツー、ツー、ツー』という音を、皆黙り込
んで聞いている。大吾はテープを止め、呆然とする米田に「…助けら
れなかったんです。助けたくても、助けられなかった…」と言う。米
田が「子供は…?」と言うと、植木が、五味が行った時にはおそらく
既に亡くなっていた、奥さんを励ますために嘘を吐いたんだろう、と
話した。「あいつの後方には13人の要救助者がいた。彼らの先導を
優先したのは、消防士として苦渋の選択だ…」と。

大吾は米田につらいテープを聞かせたことを謝罪し、奥さんは強い女
性だった、最後の最後まで子供を守ろうとした、そんな2人のために
も、もっとしっかり、強く生きてください、と言う。「お願いしま
す!」と泣きながら頭を下げる大吾の前で、米田は号泣する。

その夜、大吾は出張所の駐車場でドッグタグを探し回り、やっとの思
いで見つけ出す。

雪の降る中、五味が屋上で煙草を吸っているところへ大吾が近づき、
なんで何も話してくれなかったのか、と尋ねる。五味は「助けられな
かったのは事実だ。言い訳してもしょうがない」と答え、9年前、幼
い大吾を無茶して助けたのは、ヤケクソだった。目の前で人を見殺し
にした事実から逃げたかった、正義でもなんでもない、と話す。

大吾はドッグタグを取り出し、自分にとってこのドッグタグは今でも
勲章だ、これをくれた男は、炎から逃げなかった。たくさんの人を飲
み込んで、自分に大火傷を負わせたその炎に再び立ち向かった。自分
はその男がくれたこのドッグタグを誇りに思う、と言う。五味は「お
前、ほんとにめでたい奴だな」と言い、大吾は笑って「はい、め組の
一員ですから!」と答える。五味は微笑んで大吾の肩を叩き、去って
行った。


寸  評 ホテル火災の通報テープを聞くシーンで、日航ジャンボ機墜落事故
のことを思い出しました。昨年、山崎豊子さんの小説「沈まぬ太陽」
や、事故当時新聞社が出版したドキュメンタリー等を読んだのですが、
迷走する飛行機のコックピットでの会話を録音したボイスレコーダの
記録や、乗客が残した遺書の記録などは、読んでいて鳥肌が立ち、涙
が出てしょうがありませんでした。

墜落直前の、機長の「これはだめかもわからんね」という言葉、乗客
の「どうか神様助けてください」という遺書、客室乗務員の「恐い、
恐い、恐い、助けて」という走り書き。思わぬ災害に巻き込まれた人
達の恐怖や絶望を思うと、本当に胸が痛くなります。それが人災であ
るから、余計に怒りも覚えます。

今回の火災現場での言葉のやり取りも、ドラマとはわかっていながら、
聞いていてつらくなってしまいました。死んでいった家族の恐怖や苦
しみを思うと、残された遺族が誰かに怒りをぶつけたくなるのもわか
る気がします。でも立ち直って、生きていかなければならないのです。
最後の大吾の言葉が、米田に響けば良いのですが…。

それにしても五味はなぜ大吾に対してあんなにわざと失望させるよう
な言い方をするのでしょう。単純な大吾が額面通りに受け取って、怒
ることはわかりきっているでしょうに。

米田も、奥さんと子供を見殺しにされた、という恨みに対する復讐が
イタズラ通報にタイヤのパンクとは、大人のやることとは思えませ
ん…。もっと正当な段階を踏んで真実を確認するべきなのではないで
しょうか。(静香が大吾に言った言葉と通じるものがありますね。な
んでも鵜呑みにすんな、と)

ところで、まひるの制服が盗まれた、という話はどこにいったのでし
ょう?

執筆者  まめを(mico314@yahoo.co.jp)

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2. 編集後記
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寸評にも書きましたが、山崎豊子さんの小説は、本当に胸にドカンと来ます。
中国残留孤児の「大地の子」、日系二世の「二つの祖国」、どれも現実に存在
した人達の苦しみが伝わってきて、なんとも重たく、また、それが魅力的な物
語ばかりです。「白い巨塔」は未読ですが…。

ちなみに最近のフェイバリット作家は井坂幸太郎です。どの作品も大好きです
が、特に「重力ピエロ」が素晴らしいです。落ち着いたクールな文体なのに、
微妙なユーモアもあり、ストーリーは愛に溢れています。今後が楽しみな作家
が登場してとても嬉しいです。(まめを)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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