Daily Drama Express 2004/01/06 僕と彼女と彼女の生きる道 (1) 2004/01/12

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タイトル：Daily Drama Express 2004/01/06 僕と彼女と彼女の生きる道 (1) 2004/01/12

===================================================== 発行部数 10 == ★★ 日刊ドラマ速報 ★★ 　　　　　　　　　　　 ☆☆ 2004/01/06 (Tue) ☆☆ ====================================================================== == 目次 ============================================================== 　　1.火曜日の連続ドラマ　　2.編集後記 ====================================================================== ---------------------------------------------------------------------- 1.　火曜日の連続ドラマ ---------------------------------------------------------------------- タイトル　僕と彼女と彼女の生きる道局　　名　フジテレビ放映日時　火曜22時キャスト　小柳徹朗（草なぎ剛）　北島ゆら（小雪）　小柳可奈子（りょう）　宮林功二（東幹久）　坪井マミ（山口紗弥加）　岸本肇（要潤）　小柳義朗（大杉漣）　大山美奈子（長山藍子）脚　　本　橋部敦子あらすじ　　きちんと整理されたリビング。棚の上にはかわいらしい雑貨や日用品がセンスよく並べられている。　その朝、いつものように小柳徹朗（草彅剛）は妻可奈子（りょう）の入れたココアを飲みながら、黙って朝刊に目を通していた。今日は朝から専務出席のミーティングがある、急いでココアを飲み終える徹朗。　「別れたいの。お願いですから、離婚して下さい」　エプロンを脱ぎ、話があると切り出してきた可奈子の言葉を、最初は冗談と受けとったが、その真剣なまなざしに徹朗は慌てる。　「何で急に？！何で離婚になるの？！子どもの気持ち、考えてみろよ！！――ミーティングだ、とにかく今は行かなきゃ…」　「こんな時に、会社に行くの？」　徹朗は冷静さを失い、可奈子を怒鳴りつける。　「そりゃそうだろ？！うちがメインバンクの会社が倒産しそうでドタバタしてんだよっ！」　徹朗は身支度を終えると、「帰ったらちゃんとゆっくり話そう」とテーブルについたままの可奈子に言う。靴べらを使って靴を履き、ふと思いつく。　「ゴミ、出しとこうか？」　「――どういう風の吹き回し？今日はゴミを出す日じゃないわよ」　可奈子は冷たく徹朗をあしらい、娘を起こしにかかる。　信号待ちで「おはよう」と声をかけてきたのは、銀行の同僚宮林功二（東幹久）だった。力なく微笑む徹朗のカバンから頭をのぞかせている“靴べら”に、宮林は怪訝な顔をする。　徹朗が勤めるのは「みどり銀行東兜町支店」、法人営業部課長代理の徹朗に対する上司の信頼は厚く、仕事は順調だった。仕事中、かつて世話になった部長――旭川に転勤、どうやら左遷らしい――がわざわざ徹朗に挨拶に来る。挨拶を適当に交わし、徹朗は再び仕事を続ける。　上司の井上（小日向文世）が「今夜得意先との宴席がある」と言ってくる。今朝離婚を切り出した可奈子の顔が一瞬よぎるが、仕事上この宴席ははずすわけにはいかない。徹朗は井上に「大丈夫」と答える。　徹朗はタクシーで急いで帰宅したが、時計はもう１２時を過ぎていた。寝ているはずの可奈子は家中どこにもおらず、徹朗は焦る。クロゼット、引き出し、戸棚――どこをあけても可奈子の物がごっそりなくなっていた。可奈子は出て行ってしまったのだ。　「うそだろ？」　徹朗は呆然とベッドに腰掛ける。　――そのまま寝てしまったらしい。翌朝目を覚ました徹朗は、もう一度リビングを見渡し、本当に妻が出て行ったことを確かめ、頭を抱える――ふと、トイレから水の音が聞こえてくるのに気付く――！？　「可奈子か！？」　…一人娘の凛（美山加恋）だった。凛のことは、てっきり可奈子が連れて出たと思い込んでいた。　空のクロゼットを見て驚く凛に、「お母さんは旅行に出掛けた」と言い聞かせて、小学校の準備をさせる。　くつしたやハンカチのしまってある場所も、毎朝飲んでいるココアの場所も徹朗にはすぐには分からない。探し出したココアを自分で作り、カウンターに凛と並んで腰かける。凛はロールパンと牛乳を自分で出してきていた。徹朗は凛と話す話題が見つからず、そのまま黙って前を見つめる。ココアをかき混ぜるスプーンの音だけが響く静かな食卓…。　「あの…、母さん、いつ…帰って来るんですか？」　他人行儀な凛の問いかけに徹朗は、「すぐ帰ってくる」ととりあえず答えておく。　早くと急かせる徹朗に、凛は「ウンチがまだ出てない」と言い出す。　「お父さんは、…学校でウンチ、出来た…の、ですか？」　「お父さんのことは、どうでもいいんだよ」　このままでは急行に乗れない。玄関で時計を気にしながらも、徹朗は謝る凛に「早くして来なさい」と答える。　早足で歩く徹朗に必死でついていく凛。自分のケータイの番号のメモが電話の横にあること、知らない人を中に入れないことなど、歩きながら早口でひとしきり注意を言った後で、玄関のカギが凛の首にかかっているのを確認し、小学校へ向かう凛と別れた。徹朗は可奈子のケータイに伝言を入れ、小さな凛を置いて行ったことを咎める。　昼食時のカレー店、徹朗の耳元に「可奈ちゃん、出て行ったんだって？」と宮林が小声でささやく。驚いたことに可奈子から宮林に電話があったと言う。　「離婚意外考えられません。私はパリに行きます。子どもはあなたが育てて下さい、以上」　まるで業務連絡の様な伝言。離婚の理由がどうしても分からないとこぼす徹朗に、宮林は「部下との浮気かも」と、カウンターに座る坪井マミ（山口紗弥加）をあごでさすが、徹朗は「３年も昔の１回だけのこと」と否定する。　その夜、徹朗は、夕食の弁当や凛の朝食のロールパンなどを抱えて帰宅した。トイレに入ろうとした徹朗は、突然ドアが開き、見知らぬ若い女が出て来て驚く。女は、徹朗に丁寧に挨拶をし、凛に英語を教えている家庭教師の北島ゆら（小雪）だと自己紹介する。年収４０００万のＯＬだった彼女は、その忙しいだけの日々にピリオドを打ち約１年、こうしてのんびりとかわいい子どもに英語を教える仕事をしているのだった。　ゆらは凛と２人でピザをとって食べたと言う。徹朗はピザ代を払うと言うが、ゆらは「凛ちゃんは全然食べず、ほとんど自分が食べたから要らない」と言って聞かない。　「それより、今月分をいただけますでしょうか」　月謝６０００円がまだだと言うのだ。徹朗は「おつりはピザ代」と言って１万円を渡す。ゆらは徹朗から、母親の可奈子が旅行で不在と聞く。　「それで、さびしそうだったのかな」　「子どもなんて、気分屋ですから」　と徹朗はゆらに適当に答え、口先ばかりの礼を言う。　ゆらが帰って、可奈子のケータイに再び伝言を入れていると、妻の母大山美奈子（長山藍子）が現れる。可奈子から離婚のことは聞いたが、理由までは聞いていないと美奈子。　美奈子は夜帰宅の遅い徹朗を思い、凛を引き取って面倒をみようかと、徹朗にとっては願ってもないことを言い出す。　「でも、凛ちゃんの気持ちもあるし、何より実の父親のところで暮らすのがいちばんいいわけだし…」　「そうですね。子どものことは出来るだけ父親が見るべきです」　美奈子はそのまま帰ってしまった。徹朗は自分の実家にも連絡を入れてみるが、定年間近の父親義朗（大杉漣）が一人で暮らす実家は留守だった。　朝６：３０。もうすでに身支度を終えた凛が、笑顔で「おはようございます」と挨拶をするのに、驚く徹朗。　しかし凛は、好きなはずのロールパンを黙って見ている。徹朗が「いつも朝はそれだろ？」と促すと、凛はパンをほおばり「おいしいです」と微笑んでこちらを向く。　「おばあちゃんのところに、行くっていうの、どうだ？」　昨晩の美奈子からの提案を、ちょっと言ってみた。　「お父さんと、一緒がいいです」　「でも、おいしいご飯作れないし、帰りが遅いし、まだ１年生なんだし…。転校のこともあるから、学校に電話しなくちゃな。凛は１年何組？担任の先生の名前は？男？女？」　徹朗は凛にとって不都合なことを並べ立て、凛の言うことなど全く聞く耳を持たず勝手に転校のことまで話し出した。気がつくと凛は泣いていた。両目からポロポロと涙がこぼれ落ちている。徹朗は慌てる。　「泣いてるのか？！――分かった。この話はもう、いいから」　お得意先の企業の給与二重引き落としのミスがあり、朝からずっとその調査で、夜になっても仕事が終わらない。企業側の給与担当者がつかまらずいらだつ中、ケータイに凛から他愛のない電話が入る。布団のクリーニング屋から電話があったとか、弁当屋でハンバーグ弁当を買って食べておいしかったとか…。キレそうになる自分を、徹朗は何とか抑えている。　「思ったより、遅くなりそうだから」　「どこにいるんですか？」　「――だから、会社！」　「いつ帰って来るんですか？」　部下の岸本肇（要潤）から担当者と電話がつながったと聞かされ、徹朗は自分のケータイを途中で切る。電話の先に一人残された凛は、一方的に切られた電話を前に立ちすくむ。　ようやく仕事が終わり、立ち寄ったバーで徹朗は宮林にグチをこぼす。出来ちゃった結婚で、すぐに凛が生まれて最初は大変だったが、今では家族には何不自由ない暮らしをさせている。家も買い、海外旅行だって連れて行った、凛のおゆうぎ会や運動会だって、どんなに疲れていても行ってビデオをまわした、なのに…！？。　子どもが一人で待っていると気遣って、宮林は帰ろうとコートを羽織る。ケータイにまた自宅の凛から連絡が入り、徹朗は面倒くさそうに電話に出る。　「お父さん、まだ？いつ帰ってくるんですか？どこにいるんですか？」　「だから、会社！」　ウソの答えに宮林は驚く。徹朗は「早く寝なさい！」と言って乱暴にケータイを切り、酒のお代わりを注文する。　「離婚したきゃしてやってもいいんだよ。後悔するのはあっちのほうだからな…」　１１時に帰宅すると、パジャマ姿の凛が起きて待っていた。凛に早く寝るように言い、冷蔵庫からビールを取り出す。食卓の脇に、あの朝可奈子が付けていたエプロンが無造作に置いてあるのに気付く。話があると言ってエプロンを脱いだ、あの瞬間が甦ってくる。　翌日、職場から急いでタクシーに乗り込む徹朗が向かった先は、とある美術館。義母から「毎年来ているからもしかしたら」と連絡があったのだ。絵画を眺める人の中に、確かに可奈子の姿があった。　「私、約束あるから」　可奈子はほとんど会話らしいものをせず、タクシーに乗りドアを閉める。　「どうして離婚したいんだ？」　「…本当に分からないの？！」　可奈子はあきれたようにそれだけ言って、去ってしまった。　今日はゆらの家庭教師の日。ＣＤプレーヤーから流れる英語の歌にあわせて、手拍子しながら歌うゆらだったが、凛は楽しい歌にものらないようだ。　「ゆら先生、凛は、いい子だと思う？」　部屋の中は脱いだ衣類がそのまま置かれ、台所には食べた食器が出されたまま。凛の最近の生活がはっきりと分かる。　徹朗は凛の担任教師の石田（浅野和之）に呼び出され、小学校に向かった。南ヶ丘小学校１年１組、もう日が暮れ、うす暗い教室の後ろに張られた凛の絵を見ていると石田が入って来た。石田は、凛がこのところ毎日忘れ物をし、宿題も忘れていること、それを「連絡帳にも書いた」と話し始める。徹朗は初めて“連絡帳”の存在を知り、恥ずかしく思う。石田は「家庭の問題は知らせてくれないと適切な配慮が出来ない」と凛に何があったか分かっているようだった。　休日。可奈子がいないせいで、徹朗は洗濯、掃除、古新聞整理など、今までやったこともない家事をするはめになった。おまけに凛が花の枯れた花瓶を取り替えようとして、落としてしまう。思わず声を荒げて叱り付ける徹朗。　凛の本読みを聞き、時間割をあわせるのに付き合い、ようやく自分の仕事に取り掛かることが出来たのは夜だった。コンピュータにリストの入力を始めるが、リビングから聞こえてくる凛のへたくそなハーモニカが気に障ってならず、どんどんいらいらが募る徹朗。リストのファイルをうっかりキーボードに当ててしまい、入力したリストをダメにしてしまった瞬間、遂に徹朗の怒りが爆発する。　「うるさいんだよ！貸しなさい！」　大股でリビングに向かった徹朗は、凛からハーモニカを奪い取り、投げつけてしまう。　翌日、仕事中にまたケータイがなる。画面の「自宅」の表示に、またか、という顔をする徹朗。先日も取引先に謝罪に行った際、折悪しく凛から電話が入り、そこの社長に怒鳴られてさんざんだったのだ。徹朗はケータイの呼び出しを無視して仕事を続ける。凛がお腹が痛くて泣いているのも知らずに…。　その夜遅く、救急病院にやってきた徹朗を迎えたのはゆらだった。忙しくてゆらからの留守電を聞く暇がなかったと徹朗は言い訳をする。　凛はひどい便秘だったとのこと。徹朗は毎朝トイレに行っていたはずだと言うが、ゆらは「お父さんと一緒に家を出たくて毎朝我慢しているうちに、本当に出なくなってしまった」と話す。　「凛は俺と一緒に行くのが楽しみだった。会社に電話してきたり、起きて待っていたりして、よくなついているんです」　「そうでしょうか？凛ちゃん、お母さんはもう帰って来ないと思ってます。お父さんも帰って来なかったらどうしようって。だから、ちゃんとあなたが帰って来るのか心配でたまらなかったんです。あなたに好かれるように、ウンチを我慢して楽しそうに出掛けたり、本当はレーズン入りのパンが食べたいのにあなたの買ってきたパンを我慢して食べたりしてたんです！」　ゆらの話に愕然とする徹朗。　「なついてたんじゃありません。捨てられたくなかっただけ。お父さんは凛ちゃんのこと迷惑に思ってるって言ってました。凛ちゃんも、あなたのことを他人のように思ってます、でも、捨てられたくなかった。どんな父親でも、たった一人の父親だから…」　病室に入ったゆらが布団をかけなおすと、凛が目を覚ました。遅れて入って来た徹朗を見ると、凛は顔を背けて眠ったふりをする。　「凛、ごめんな。これからは凛の話聞くから。何でも話してくれていいんだから。レーズン入りのパンだって買うから。どこに行きたい？」　こっちを向いた凛。　「おばあちゃんのうちに行きたい。おばあちゃんと一緒に住みます。今まで、迷惑かけて、すみませんでした」　義母の美奈子がやってきた。凛を託したいと徹朗が美奈子に言うのを、ゆらは何か言いたげにそばで聞いている。美奈子は凛の顔を見に、病室に入っていった。　「自分の子どもに捨てられるなんて、ほんとみっともないし、父親失格だし、反省しなきゃいけないし…」　「ほっとしてるんじゃないですか？本当は」　徹朗にゆらはそう言って去っていった。　家に帰ると、電気をつけて寝室へ向かう。コンピュータの電源を入れ、仕事を始める。静かな空間、誰にも邪魔されず、仕事に集中する徹朗。　――図星だった。俺はほっとしている。俺は娘を捨てたかったのだ。誰だって何かを守るために、何かを捨てて生きている――。　…ふと手を止め、突然立ち上がった徹朗は無言のまま、リストや資料を机から引きずり落とし、両手で机をたたきつける。　――俺は一体、何を守ろうとしているのだろう―― 寸　　評　　非常に重いドラマです。離婚、虐待、家庭での父親の不在とそうならざるをえない社会の仕組み…現代のどの家庭もが密かに持っている問題に、どきっとした方もおられたかと思います。　冒頭から非常に冷たい雰囲気を感じました。人間臭さや息使いが感じられないのです。凛が朝の日課（？）にしている「ウンチ」や片付ける妻がいなくて「散らかった部屋」さえ無機的に感じられて、何だか気持ちが悪かったです。　さらに、凛の徹朗への接し方が非常に不気味です。今まで徹朗は実の娘にどういう風に接してきたのか。娘の不自然さを不思議に思ったことはなかったのでしょうか。　本人は家族のために一生懸命やってきたつもりですが、家の購入や海外旅行、おしゃれな生活（雑誌に出て来るように整った子ども部屋やリビング。貧乏人にはとてもマネ出来ません！）など、こうしてお金をかけることだけが真の意味での幸せだったのかどうか、考えさせられます。その辺りがきっと離婚の原因なのでしょう（贅沢といえば贅沢なんでしょうが…）。　この先、徹朗や凛がどう変わっていくのかが、とても楽しみです。執筆者　三森(anponhana@mail.goo.ne.jp) ---------------------------------------------------------------------- 2.　編集後記 ---------------------------------------------------------------------- 　とても実の親と話しているとは思えない不気味な凛ちゃん。こういう子どもって実在するのでしょうか？私の周りにはいないなあー。もし自分の子どもがこんな話し方したら、「なんちゅうしゃべり方しとるんじゃー！？」と張り倒すところですが。　昨年「僕の生きる道」では大泣きした私。今回のドラマではどうなることやら…。どうぞお付き合い下さい。（三森） ====================================================================== 発行元：ドラマ研究会 e-mail：info@j-drama.tv url ：http://www.j-drama.tv/ ＩＤ：MM3E195F16414CD 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