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タイトル:Daily Drama Express 2003/10/31 ヤンキー母校に帰る (4)  2003/11/14


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2003/10/31 (Fri) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.金曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 金曜日の連続ドラマ
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タイトル ヤンキー母校に帰る
局  名 日本テレビ
放映日時 金曜22時
キャスト 吉森真也(竹野内豊)
 古賀なな恵(SAYAKA)
 奥村和人(永井大)
 菅野徹 (市原隼人)
 千葉健太郎(忍成修吾)
 遠田ユキ(市川由衣)
 金井志穂(篠原涼子)
 安藤由紀子(余貴美子)
 岩崎達 (原田芳雄)
脚  本 飯野陽子

あらすじ  学校からいなくなった古賀なな恵(SAYAKA)を探して、雨
の中を走る吉森真也(竹野内豊)。
 体育の授業中、バスケットボールに興じる澤田ミカ(高瀬友規奈)
が常本あかね(加藤夏希)に話しかける。
 「なな恵、大丈夫かな。やっぱ、やりすぎたんじゃ…。もし…死ん
じゃったら―」
 「それならそれでせいせいするだろ」
 あかねは水を飲みに行くと言って体育館を出て行く。土砂降りの中、
ぬれねずみで学校に戻って来た吉森が、たまたまそこに居合わせた金
井下宿の娘志穂(篠原涼子)の車に乗り込むのを、あかねは窓越しに
見つめている。

 なな恵の両親は2人とも教師である。父親は東京での進学説明会に
出席中で、母親は教育現場の視察研修旅行でカナダのトロントにいる
という。実の娘の緊急事態というのに余市にすぐ飛んで来られないこ
とを安藤(余貴美子)からの電話で聞いた吉森は、歯がゆそうにつぶ
やく。
 「2人とも、教員免許、剥奪してやる!」
 「たぶん仕事としての教育は立派なのよ。自分の子供はお手上げで
も」
 と志穂。車は、なな恵の実家のある札幌に向かっていた。

 更衣室では、職員室がいつもと違う雰囲気だと鳥居わかな(邑野未
亜)が言い、なな恵がいなくなったことが大ごとになっていると知っ
た一部の女生徒らは動揺し始めていた。なな恵が死んでしまうのでは
ないかと噂をしているのを聞いて、前からなな恵に同情していた貴船
千晴(小高早紀)はショックで泣き出す。千晴は前の学校を、いじめ
が原因で退学した過去があった。

 その頃職員室では、3年生の担任が話し合っていた。なな恵の事件
のメールがすでに学校中を駆け巡り、知らない者はいないようだ。
 「いじめをなくすことなんて無理だ」とこぼす屋敷(相葉雅紀)に
安藤が真剣なまなざしで答える。
 「だからこそ徹底的に戦わないといけないんです!」

 「今頃死んでるかも知れないから」
 と、あかねがなな恵の机に花を飾るのを見て、男子生徒らの中にや
りすぎだと声が上がる。遠田ユキ(市川由衣)が花をゴミ箱に捨てて
あかねに言う。
 「このぐらいにしとかないと、今度はあんたがいじめられるよ」
 「やれるもんならやってみな」
 あかねはみんなを鼻で笑って、罵声を浴びながら教室を出て行く。

 学校を出たあかねは、岩崎(原田芳雄)の入院する病院を訪ねる。
今も意識の戻らない岩崎の横顔をガラス越しに見つめながら、以前な
な恵が自殺未遂を犯した時のことを思い出していた。

 雨が上がった。
 その頃、札幌のなな恵の実家に到着した吉森と志穂は、たまたま開
いていたリビングの掃きだし窓から、留守の家に入る。
 慌しく家人が出かけた後とはっきり分かるほど、カーテンが引かれ
たまんま、薄暗い家の中は乱雑で、全く片付いていなかった。大体2
階にもなな恵の部屋らしきものが見当たらない。
 「これじゃなな恵に、帰ってくるなと言わんばかりの家だな」
 と吉森はため息をつく。
 玄関になな恵のスニーカーを見つけた吉森は、家の中で倒れている
と直感、物置状態になっているグランドピアノの下に、手首から血を
流して倒れているなな恵をついに発見する。その傍らには、カッター
ナイフと睡眠薬のビンが転がっていた――。

 なな恵が搬送された病院の処置室前、突然吉森のポケットの中で、
なな恵のケータイが鳴る。
 「なな恵が死んだかどうか、確認したくてさあ」
 あかねからだった。ケータイから救急車の音が間近で聞こえてくる。
病院からかけているのか…。
 「なな恵を追い詰めた張本人はお前か?」
 「だったら、どーする」
 吉森は切れてしまったケータイを見つめる。あかねとなな恵が写っ
たプリクラシールの、2人の笑顔が空しい。

 酸素マスクをつけてほんの少し目を覚ましたなな恵が、涙を流しな
がら吉森に懇願する。
 「…あかねには…言わない…で…」
 驚きながらもうなずく吉森。その直後、再びなな恵は危険な状態に
陥る。

 吉森が処置室の前で待っていると、安藤が現れる。ついさっき、あ
かねが「なな恵を自殺に追い込んだからどうせ退学処分になる」、と
退学届けを出してきたこと、そして他の生徒にも動揺が広がっている
ことを聞き、吉森は戸惑う。
 「ここにいても、あなたに出来る事は何もない」
 と安藤。
 「あなた、教師でしょう?今を逃せば手遅れになるかも知れない生
徒たちが、あなたの帰りを待っているのよ。教師には、絶対にはずし
てはならない瞬間があるんです!」
 はっとする吉森に、安藤が続ける。
 「あなたの気持ちで、私がここにいるから」
 吉森は安藤に頭を下げ、それから処置室のドアを見つめて「必ず帰
って来い」とささやいて病院を後にする。

 北友余市に戻った吉森は、会議室で伊賀上(平泉成)に引き止めら
れていたあかねを強引に教室に連れて行き、席に着かせる。
 「今日、俺はなあ、お前らと地獄に堕ちるつもりでここに来た。た
とえ朝までかかろうとここから出さねえ。食事にもトイレにも行かせ
ねえ。――なな恵をいじめたか、いじめなかったのか、どっちだ?腹
決めて答えろおっ!!」
 吉森は教壇をバンっとたたきつける。
 「俺様、やりましたっ!はいっ、すいませーん」
 とふざけて居直る哲希(石垣佑磨)のイスをマジで蹴り上げる吉森。
怖くなった哲希はそれまでの勢いは消え、おとなしくなる。
 「なな恵の気持ちが分からない」
 「ボイコットに出なかったのはいじめてくれと言ってるのと同じ」
 「なな恵があかねを裏切った」
 という声がクラスからあがり始めると吉森は、前の高校をいじめが
原因で退学してここに来た荻原敬輔(植田健)と千晴から意見を聞く。
 「理由があればいじめられても仕方がないと言っているけど、それ
は違う」
 「どんな理由があったって、いじめられる方は地獄です…」
 吉森はそう言う2人に、どうしてその経験を生かして、そう主張し
なかったかと問い詰める。
 「そんなことして、またいじめにあったらどうするんですか?」
 と涙声のちはる。
 「何におびえてるんだ?!いじめられるのが自分じゃなきゃいいの
か?黙って見ているのも立派ないじめだろっ?!違うか?」
 千晴と敬輔は泣き出す。
 千葉健太郎(忍成修吾)がクラスを見渡した吉森から目をそらす。
 「お前、今、関係ねえって顔したな。そういうやつらはな、悪気が
ない分、一番罪が重いんだ!!」
 吉森は、千葉と同じこの春の編入生らの机をバンバンたたいて回る。
 「俺はいじめを許さねえ、絶対にだ!!…首謀者と一緒になってい
じめたヤツ、手を挙げろっ!」
 手を挙げたミカが、突然話し出す。
 「私はあかねにやれって脅されたんです!なな恵にの方に付くって
ことは、岩崎を裏切って吉森の方に付くことだ、って言われました。
私だって、苦しかった…」
 「苦しいと言ってるが、心の底からの痛みじゃなかった。そんなに
苦しいなら、どうして誰にも相談しねえ?」
 「吉森先生についてるなな恵がいじめられてるのに、先生なんかに
相談出来ない!」
 「じゃあ何で今なら言えるんだ、こんなに堂々と?…風向きが変わ
ったからって、誰にヤラれたなんて、言うんじゃあねえぞ!!…本気
で戦おうと思ったら、いつだってやれるんだよ。だって今、こうやっ
て戦ってるじゃねえか…」
 ミカは何も言えずうつむいて黙り込む。
 「何かあったら、すぐ社会のせいにする。大人はみんなやってるっ
て…。じゃ、その先に何があるんだ?胸に手を当てて、聞いてみろよ、
今の自分は本気かってな!!」
 みんなうつむいて、吉森の話をただじっと聞いている。
 「だまされんじゃ、ねえぞ!!」
 とあかねの声が静寂を破る。
 「本気のセンコーってのはどんだけいいんだよ。岩崎に会うまでは、
どいつもこいつもなっちゃいなかった!」
 吉森は教壇に戻り、少し考えてから静かに話し始める。
 「――今日、なな恵が、自殺未遂を犯した…」
 クラスからすすり泣く声が聞こえてくる。だがあかねは笑って言う。
 「どーせ、死んだもん勝ちだもんな!」
 吉森はクラスの一番後ろのあかねの席まで大股で近づく。
 「死んで、勝ったやつなんて、どこにいるんだよ!!命の大切さを、
一番よく分かってるのは、お前だろ?」
 「退学届けはもう出してあんだよっ!てめえとはもう、かんけーね
えんだよっ!」
 「退学届けを出そうが何だろうが、お前は、俺の大事な生徒だ。北
友余市の、岩崎先生の、大事な生徒だ!」
 あかねの目がみるみる潤み始める。
 「今日だって、岩崎先生の病院に見舞いに行っただろ?岩崎先生の
ことを、それだけ大切にするお前が、何故自分の人生には投げやりな
んだ?自分の命をどう生かすのか考えろ。…今まで自分の気持ちが伝
わらなくて、どれだけ泣いた?俺が、全部受け止めてやるから、自分
の気持ちを自分の言葉で伝えてみろ!」
 吉森に諭されたあかねは、涙声で吐き出すように話し出す。
 「岩崎が倒れて、吉森がやってきて、岩崎の代わりなんて、ぜって
え認めねえと思ってた。でも、みんなが吉森に傾いてって、岩崎がい
ないことにどんどん慣れてって…。でも、なな恵だけは一緒だって信
じてた。…岩崎から心が離れれば、岩崎の命は帰ってこねえ!手の届
かねえ、遠いところに行ってしまう!…だから、吉森なんかに、誰が
付いてくもんかよっ!!」
 「分かった。気持ちは確かに受け止めた。お前はこれからも、ずっ
と俺にたてついたままでいけ。それがお前の祈り方なら、俺は、それ
を全力で受け止めるから。その代わりお前は、仲間を信じろ。なな恵
も、クラスのみんなのことも、もう疑うな!」
 あかねがコクリとうなずいた。倒れたイスを直し、吉森はあかねを
座らせる。あのお調子者の哲希が机に拳を打ち付けて、突っ伏して泣
き出している。どの生徒もみな、後悔の涙に暮れていた。吉森はなな
恵の机を静かに見つめる。

 ――なな恵がベッドで目を覚ますと、そばにあかねが座っていた。
 「ごめん」
 そう言って、不器用ながらも精一杯折ったのであろう、ヘンな千羽
鶴を手渡しながらあかねは涙ぐむ。
 「謝るのは私の方だよ。親友のくせにあかねの気持ちに鈍感で、傷
つけてしまったのは私。学校に行ける様になったのも、夜眠れるよう
になったのも、みんなあかねのおかげなのに…。ごめんね」
 あかねがブラインドを開けると、隣のビルの屋上に3年C組のみん
なが立っていた。手を振るなな恵に、笑顔で手を振り返すクラスメー
トたち。その中から4人の男子生徒が前に出てきていきなり服を脱ぐ
と、派手なビキニの水着をつけて、お腹には『ゴ』『メ』『ン』『ネ』
の文字が!あっけに取られるなな恵は、笑いながらその姿を見ている。
吉森は、なな恵とあかね、そして3ーCの生徒たちを、満足そうに見
つめている。

 吉森を含めて、3年C組全員が“自分から”謹慎を申し出てきたと、
安藤が志穂に呆れ顔で話している頃、『謹慎の館』の小野寺牧場では、
C組生徒らが牛小屋の仕事に精を出していた。はりきって働く吉森を、
遠くからまぶしそうに見つめるあかねの姿があった。


寸  評  吉森が教室で生徒らと言い合いになるシーンがとても面白くて、
メモを取るのも忘れて見入ってしまいました。吉森が、居直る生徒や
関係ない顔をする生徒らをこの問題に真剣にさせていくところ、現実
では本当に難しい山場なのですが、よくやったと誉めて差し上げたい。
様々な経験をしてきた者が集まったクラスだからこそ、上手く説得で
きたのかも知れないです。実際のいじめの問題は、こう簡単には収ま
らないと思います。
 今クールでは『ライオン先生』(視聴率問題のあの局ですが…)も
見ています。ライオン先生がマンツーマン的なのに対して、吉森先生
はいっぺんに全部解決してるような感じです。ライオン先生の鎌倉の
学校は北友余市ほどひどくないので、比べるわけにはいきませんが、
芝居に関してだけ言えば、ライオン先生のほうがちょっぴり面白いか
な。

執 筆 者 三森(anponhana@mail.goo.ne.jp)

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2. 編集後記
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 このドラマのオープニングがすっごく好きです。生徒らはそれぞれ好きなこ
として、好きな格好してるんだけど、先生がすっと立ち上がるとみんながさっ
と反応して、先生と同じ方向に歩いていく。これが本当の教育の姿、あり方な
のだということを暗示しているのでしょう。先生と生徒の関係ばかりではなく、
親子間だって同じことだと思います。(三森)

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発行元:ドラマ研究会
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