メルマガ:イッセー岡田のあはは天国劇場
タイトル:イッセー岡田のあはは天国劇場 223号  2005/09/22


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                ☆☆☆ 第223号 ☆☆☆         
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★★★あなたの心にほんのちょっぴり楽しい思い出を!★★★
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☆<目 次>
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 ■ <ごあいさつ> 

  ■ <イッセー岡田のパチ物語> 
            「パチンコエキスプレス」第52章
 ■ <天才らいぜんのパチ物語> 
          パチプロ探偵2『消えたカリスマ』第9話
 ■ 「あとがき」

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☆<ごあいさつ> 
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 天下の田舎三重県は伊勢市在住の万年負け組、イッセー岡田です。
 なんだかバタバタしていて、ちっとも発行出来なくて申し訳ありません。

実は8月初旬からご承知のように衆議院の解散総選挙があったために事務所
の応援やら個人演説会の段取りやらなんやらかんやらありまして、そこに会
社の会議やら出張やらが入ってきますともうダメですな。
とにかく時間がない、金はもっと無い状態で、おかげさまで8月9月はほと
んど打ちに行くこともなく、負け知らず、いや、よくよく考えてみればこの
2ヶ月で2回ほど行きましたな。
結果は言うまでもなく負けでしたが、出たり入ったりの負けでしたので、まぁ
遊ばせてもらったか、という程度。
やられた金額も大したことはありませんでした。
まあ、私は負けましたが、私の推していた候補者は見事当選を果たしてくれた
ので大変良かったと思っています。

さてまた11月下旬に伊勢市長と市会議員の選挙が御座いまして、またまた
この世界に引きずり出されております。
夜な夜な徘徊するゴキブリのごとく、知り合いの家に行っては市政談義に花
を咲かせ、まずは後援会に入って頂戴と動き回っている今日この頃です。

そんなこんなでパチ小説の連載ものを2本抱えている身にとってはかなり
タイトな生活ですが、まずは1つ書き上げましたので本日発行することに致
しました。
月一の発行でもかなりやばくなって参りました。
知り合いからこの「パチンコエキスプレス」あまりに冗長すぎて、もう最初
の頃の話がどうだったのか、また感覚も空いてきているために、意味がわか
らないというお叱りのメールを頂きました。
大変申し訳なく思っておりますが、作者自身もどうやって収束しようかわけが
わからない状態なので、なんとかご容赦いただきたいと申し上げました。

連載でしかも忘れた頃に発行されては読む気にもなりませんでしょうね。
うーん、反省、はんせい!
(そんなわけで数号前からあらすじらしきものを掲載しております)

出来るだけ早い時期に完結できるように鋭意努力いたしまして、この日本の国
家的財政危機を乗り切っていきたいと思っておりますので、どうかこの私をも
う一度議会の場に揚げていただきたいと切にお願い申し上げまして、私のご挨
拶とさせていただきます!
(あかん、まだ選挙癖が抜けてまへんわ!)
 
 今回はイッセーとらいぜんのダブルヘッダーでお届けします。
 たっぷりとお楽しみ下さい。

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■■■ ☆<パチバカ物語> 
■■■         「パチンコエキスプレス」第52章
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◇「前号までのあらすじ」
「38才独身、身長158cm体重76kg、この抜群に均整の取れた体型のためか、
彼女いない歴38年の大銀(おおがね)玉三郎は、うだつの上がらない田舎の鉄道
マンだ。JRにいる「恥しらず」「お荷物」「給料泥棒」と三悪の固まりのように
彼のことを言う人は多い。ふざけて書いた新幹線こだま救済策がひょんなこと
から採用と決まり、いきなりこのプロジェクトの室長に大抜擢された!
そしてこだま車内を大改造してパチンコ・スロット列車に仕立て上げたのだ。
評判は経営陣も驚くほどの大反響、赤字路線があっと言う間にドル箱路線へと
変身したのだった。おかげでついに玉三郎は取締役に大抜擢。
そんなおり大嫌いな田添常務からその夜食事のお誘いがあったのだが、…」

そんなことを考えていた矢先に、どういうわけか血相変えて当の田添常務が
室長室に走り込んできたのだ。広い額から汗が噴きだしている。
「おおっ、大銀君か、くはぁ、わっ、悪いな。
うん、実に悪い。
はぁはぁ、それで先ほどの約束のことなんだが….」
髪振り乱し、目が血走った常務の顔はさながら気の振れた鬼のように見えた。
おぞましい魑魅魍魎でも見るように、玉三郎は座りながら身をのけぞらせた。
「じっ、実はだな…………」
「えっ、はっ、はいっ。
なっ、何でありましょうか?」
あまりの迫力ある形相に玉三郎は立とうとした拍子に椅子から転げ落ちた。
それを見た常務が一言、
「きっ、君は一体何をしているんだ、ん?」
そっ、それはこっちの台詞だよ、ったく。

田添常務は机の前まで来て、一気にまくし立てた。
「いやね実は、うちの娘がどうしても今夜は都合が悪いっていうんだ。
 もう一週間も前から、この日は空けとけっていっておいたんだが。
 まったくどうしょうもない奴だ!
 内の社員なら即座に首にするところなのだが、あいにく娘では何ともなら
んのだ。ホントに腹だたしい奴だ!」
この時玉三郎は、この粘液質の上司だけにはこれからどんな無理難題を言
われようとも、表面上は決して逆らわないことを心から誓った。
「こちらから誘っておきながら断るなんて非常識なんだがどうか許してくれ。
お詫びの印にこれ、誰かと行ってくれないか?
誰のだか忘れたが、ディナーショウのチケットだ、2枚あるから。
部下の誰かとでも旨いもの食ってきてくれ。
いやぁ、実に悪かった、次回は絶対に娘と会わすから、ほいっ、じゃまたな!
この借りはきっと返すから、いやぁ済まん、済まん、済まんなぁ!」

田添常務は自分の言いたいことだけ言って、また足早に執務室から出て行った。
周囲にいた社員達も一体何事かと静かにしていて、それでいて耳をダンボにして
一部始終を聞いていたのだが、常務が部屋から出て行った途端、ふーっというた
め息があちこちから出た。
まるで嵐のような人だった。

しかしこのことは玉三郎にとっては願ってもないことだった。
あの大嫌いな田添常務から食事の約束をドタキャンされたのだ。
「やったぁ、助かったぁ!」
ドタキャンされて喜ぶのは、玉三郎の生涯を通じて、これが初めてだった。
「イヤッホー!!!」
久しぶりのガッツポーズ!
ここにもしあればの話だが、いっちょう豪快に祝砲を鳴らし、夜空が焦げんばか
りの大花火を派手に打ち上げ、そして社屋の屋上から賑々しく「祝:ドタキャン」
と書いた綺麗なくす玉を景気よく割りたい心境だった。

しかし、よくよく考えて見ればあの偏屈鬼瓦の常務が自分の娘がどうこう言って
いたぞ。ということはつまり、あの常務の娘と自分を見合いさせるつもりだった
のか?
「ぎえぇっっっ!」
そのあまりのおぞましさに、思わず大きな声を出してしまった!

「きゃっ、どっ、どうしたんですか?」
隣で黙々とエクセルを使っていた秘書の恵子が、怪訝そうな顔で玉三郎をじっと
見つめた。
 じろりと玉三郎の顔を見つめた恵子の右頬には
「こんなところで大声を出すのは、はた迷惑です!」
と書いてあり、左の頬には
「こんなところで大声を出すのはなはだ非常識です!」
と書いてあるような、態度だった。
それにしても………….。

あり得ない、あの常務の顔つきから想像したら、きっととても女性とは思えない
相手なんだろう。あのアウストラロピテクスか北京原人のような親から、松嶋菜々
子や矢田亜希子、えーとそれから女子バレー日本代表の菅山かおる姫みたいな女
性はどう考えたって生まれっこないだろう?
だいたい娘は父親に似るって言うしね。
 きっと容姿は父親にうり二つなのだ。
玉三郎はつい、ほんのちょっぴり想像しただけで、背筋に悪寒がぞぞっと走った。

人を容姿で判断してはいけないことはわかっていしるし、自分だってとても人様
の前でそんなこと言えた玉ではないことは十分承知しているにもかかわらず、や
はり相手が相手だけに、素直に拒絶反応が先に出てしまう。
仮に、万が一、たとえばの話、その娘が多少見られた容姿であっても、親があの
親で結婚したりすればどうしたって「お父さん」って呼ばなければならない。
やはりそれだけでもかなりの抵抗感がある。
つまりこういう生理的に合わない人とは、何がどうあれ絶対に合わないのだ。

嫌だ、嫌だ、絶対に嫌だ!
今度誘いがかかったときは絶対に神田ゴールドの予定を入れてやる。
次回誘われても金輪際、絶対に行くもんか!
今の玉三郎はまるでぼったくりのパチンコ店に対する気持ちのようだった。

ふと机の上に置かれたチケットを見て、玉三郎こう言った。
「ねぇ、恵子ちゃん、君って今晩予定ある?
良かったら、ねぇ、気分直しにこれ一緒に行かない?」
片手でチケットをヒラヒラさせて言ったのだが、秘書の恵子ちゃんはさも迷惑
げに、そして一切の誤解の無いように明確にこう宣言した。
「私、今夜予定がありますのでお断りします。ではお先に失礼します。」
といって、さっさと机の上を片付けて帰ってしまった。
けんもほろろ、とはまさにこのことである。

*************【イッセー岡田のコーヒーブレイク】************************
☆ 物語の途中ではありますが、ところで「けんもほろろ」って何?
 ちなみに作者の息子に聞いてみたらこの「けんもほろろ」の意味を全く知りま
せんでしたので、まぁ最近あまり使わないとはいえ、意味がわからないといわれ
ると困ってしまいますな。

そもそも「けんもほろろ」とは一体全体どういう意味なのか?
『(「けん」も「ほろろ」もキジの鳴き声。それと「けんどん(慳貪)」を掛け
たものか) 無愛想に人の相談などを拒絶するさま。取りつくすべもないさま。
浄、夏祭浪花鑑「仰々しい何ぞ事も有る様にと、―に顔色も人を殺せし体も
なし』。「―の応対」[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]」

へぇ、「けん」にしても「ほろろ」にしても、雉(キジ)の鳴き声だったんです
ね。知らなかったですわ。だいたいさぁ、『桃太郎』の時代ならいざしらず、現
代では鳥のキジなんてそこら辺に飛んでないもんね。そら聞いたこと無いよ(笑)
*************【イッセー岡田のコーヒーブレイク】************************

おっかしいなぁ?
最近結構モテモテなんだけど、恵子ちゃんとはどうも相性が悪いらしいや。
「まぁ、いいさ、さてせっかくだから誰か他にいないかな?」
当然社内にいる人をざっと見渡すのだが、対象となる人影がない。
だいたい男は初めから論外だし、おしゃれなスーツに着替えて、今まさに帰ろう
としている結構かわいい恵子ちゃんもだめとなると……..。
 玉三郎は立ち上がって、100坪ほどの広さを持つ企画室内をくまなく見渡した。
すると一番端の方に、なにやら女性らしき人影が………..。
あれはもしや?

☆☆☆ さぁて玉三郎と一緒にディナーショーに行くのは誰なんでしょう?
 
                    (すみません、まだ当分続く!)
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■■■ ☆<らいぜんのパチ物語> 
■■■       パチプロ探偵2『消えたカリスマ』第9話
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「ところで、蓮さん個人はどう思ってるんですか?平良のこと・・」
「難しい質問だな。俺は平良っていう男に会ったことがないからな。でもこれ
 だけは言えるんじゃないかな・・もし平良があの船を沈めた犯人だとしても、
 その動機は別に町の治安がどうのこうのっていう話じゃない、きっと何か怨
 恨があったという線が強い・・ということだ。」
「例えば?」
「まぁ考えられるのは、自分の大切な人が紅龍の奴らに命を奪われた・・そん
 なところかな?」
「大切な人・・恋人とか?」
「あるいはチームの仲間、それとも昔の仲間・・」
「そういう事件はあったんですか?」
「平良に関係があるのかどうか分からないが、助かった紅龍のメンバーに証言
 によると、2年ほど前、自分たちの縄張りで抜き行為をした流れのパチプロ
 2人を太賀湾に沈めたんだそうだ。事実、あの事件よりも1年前に若い男の
 腐乱死体が上がっている。そして、あの事件のあと頭目の陳と犯人を遺体を
 引き揚げようと近所をさらっていたところ、偶然に白骨死体がもう一体上が
 ったそうだ。白骨化していることから、かなり前に遺棄されたものだ。」
「つまりその二人が?・・」
「平良と何か関係があるのかもしれん。だが紅龍の奴らは、他にも非道なこと
 をあちこちでやっている。その太賀湾で見つかった2体がイコール平良と関
 係があるとは断言できんがな。」
「紅龍は、今は?」
「頭目の陳が行方不明で、女子供を残して後はみんな逮捕された。そのうち奴
 らの犯罪が立件できれば祖国に強制送還されるだろう。となれば、日本より
 処罰は厳しい国だ、極刑は免れんだろうな。」
「そうですか・・では安西さんがもし誰かに身柄を拘束されているとしたら、
 紅龍ではないんですね?」
あまりに殺伐とした話が続いたせいか、安西がもう殺されてるような気分にな
っていたが、よく考えれば紅龍がもういないのであれば、そんな手荒なことを
される可能性も低いだろう。

「あ、そうか・・安西さんを探してるんだよな。あはは、平良の話ばかりで忘
 れかけていたよ。」
蓮本刑事は、色艶の良い額を自分の手でぽんと軽く叩いて、ぐい飲みの酒を一
気に飲んだ。
「さて、俺はもう出なきゃならん。」
「ありがとうございます。もちろん勘定は僕が払いますよ。」
「いつも悪いな・・なぁお前・・確かに紅龍の奴らはもういないが、何がある
 かわからんぞ。気をつけるんだぞ、いいな?」
「わかりました。」
確かにまだ危険は山ほど転がっていた。ふと蜂谷美鈴のことが心配になった。

蓮本刑事が去った後、もう一度事務所に連絡してみた。だが誰も出なかった。
美鈴の携帯にも電話を入れる。数度のコールの後、留守電に切り替わってしま
った。
時計を見ると、もう夜の11時近かった。さすがに遅すぎる。美鈴の身に何か
あったのだろうか?

急いで事務所に戻ると、やはり美鈴はいなかった。特に書き置きもなかった。
だが、デスクの上には彼女の携帯電話が乗っていた。これでは連絡のとりよう
がない。
部屋の中は何かを争った形跡もないし、それよりもドアにはちゃんと鍵が掛か
っていた。もし彼女が何者かに拉致されたのなら、そんな几帳面なことはしな
いだろう。
少し安心したが、そのうち自分に何の連絡もなしに、勝手に外出してしかもこ
んな時間まで帰ってこない美鈴に対して腹が立ってきた。

テレビをつけると、今日の主立ったニュースをやっていた。
相変わらず殺人事件が多い。しかも被害者に対して何の動機も持たず、思いつ
きのように人を殺す人間が増えてるような気がする。平良はどうなのだろう。
彼が中国船爆破犯人だと決まったわけではないが、もはや彼以外の人間があの
事件の犯人だとは考えられなくなっていた。自分の腹にダイナマイトを巻き付
け、極力犠牲者が増えないように配慮し、最後は頭目の陳だけを海に沈めた・
・・俺の中の彼のような存在を否定したい気持ちの裏腹に、何か憧れのような
ものを感じているのに自分でも気がついていた。

子供の頃に憧れたヒーロー・・まさに平良のような男だった・・いや、そんな
ものはこの世にはいないんだ・・・

ふと気がつくとつけっぱなしテレビの前でうたた寝をしていた。
何ものかがドアを開ける音がした。俺は咄嗟に机の下に身を伏せた。足音が近
づいてくる。もう逃げ場はない・・ここは一か八かだ。机の下に護身用に隠し
てあったゴルフクラブを手に持ち、俺は侵入者に先制攻撃をすべく、机の下か
ら横に飛び出した!
目の前に女物のヒールが見えた。それは美鈴のヒールだった。
「何してるのよ・・そんな格好で!」
ゴルフクラブを両手で握りしめ、地面の高さから美鈴を見上げている惨めな自
分の姿がそこにあった。

「馬っ鹿じゃないの?・・」
ばつの悪さとは裏腹に、急に怒りが湧いてきた。
俺は立ち上がり、美鈴の頬を平手で叩いた。
「何するのよっ!」
「こんな時間までどこに行ってたんだ!」
「あなたの知ったこっちゃないでしょ?」
「なんだ!その態度は!」
「何よ!いったい何様だと思ってるの?父親にでもなったつもり?
 それとも・・とにかくアタシが何しようがあなたにどうのこうの言われる覚
 えはないわ!」
共同生活初日にこんな事を言われるとは思ってもいなかった。確かに、彼女の
存在をどう位置づけるか、それは難しい問題だった。これから助手と。して使
っていくのか、それとも若い恋人のように扱うのか、それとも・・・・
「出てくのか・・」
俺はふと不安に思った事を口にした。いやどうして不安に思うのだ。彼女は自
分からここに押し掛けてきた。だから美鈴がここを出ていこうと知ったことで
はないのではないか?

「私が出ていけない身の上だと知ってそんなこと言うのね。酷い人・・・」
美鈴は泣き出した。こうやって女の涙を目前にすると、自分でも酷いことを言
ったと思えるから不思議だ。
平良だったらどうするだろうな・・ふとそんなことを考えた。どうして会った
こともない男のことをこんな場面で考えるのだろう。だが、俺の想像は止まら
なかった。
もし平良だったら・・遅く帰ってきたことを責めないだろうな。そのうち女の
方から「どうして責めないの?」なんて言われるんだろうな。「君の生き方を
俺が責める権利はない・・」なんて言うのかな?ちょっと突き放されたように
感じた女は「お願い、私を愛して!もっと!強く!」なんて平良にせがむのか
な・・

「ねぇ、何ぼおっとしてるのよ!」
いけない・・自分が平良になりきったつもりで没頭しきっていた。目の前の美
鈴はさっき泣いていたはずなのに、もう目を三角にしている。
「私ね、明日香のところに行っていたのよ。彼女、今一人で家にいるでしょ?
 時々美代子さんも行ってるみたいだけど、美代子さんも急がしい身だから、
 いつもというわけにも行かないし。だから高校の同級生の私が行くのは当然
 でしょ?そりゃ、どこに行くって連絡してなかったのは悪かったわ。でもあ
 なただって、昼間はあなたの携帯緒全然通じなかったじゃない!」
「心配したんだよ。情報を集めているうちに、かなりきな臭い話になってきて
 ね。だからてっきり・・。今回ばかりは警察に世話にならないと安西さんを
 見つけられないかも知れないんだ。」
「そうなの・・私も怒って悪かったわ。あ、そうそう、明日香からちゃんと調
 査依頼書もらって来たからね。」
「へ?」
意表をつかれて、間抜けな返事になってしまった。
見ると、美鈴は朱印のつかれた紙切れを一枚ひらひらさせて持っている。

                              (つづく)
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※この物語はフィクションであり、登場する個人名・団体名はすべて架空のも
 のです。もし同じ名前や良く似たものが実在しても、やっぱり架空です(笑)。
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■■■ ☆<あとがき>
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 先だって東京出張時に戸塚と言うところで中学校時代の仲の良かった同級生
とプチ同窓会を行いました。いやぁ、しかしこの日は大変でした。
なぜなら当日朝から日本橋で一仕事して、昼一で新宿は初台で決まりもしない
商談を長々と行い、そしてまた戻って銀座でコンサルとの打合せとあれやこれ
ややってましたら、なんと午後6時半になろうとしているではありませんか?

んぎゃあ、間にあわねぇ!

午後7時に戸塚の駅で待ち合わせなのですが、ところが戸塚に行く前に私は
新横浜のホテルにもチェックインをしなければならない。
同窓会にPCの入った重い鞄をもって行きたくなかったからなのですが、これ
がそもそも大間違い。
たったこれだけのために1時間以上タイムロスをしました。
さらに方向音痴の田舎者とあって大変な思いを致しました。
なぜかというと、ようやく着いた新横浜でホテルに行く道を間違えました。
だいたいさ、なんで駅の改修工事を今時やってるんですか? 工事は期末と決ま
ってるでしょ(ん?)
いつものところに降りたつもりがとんでもない逆方向で、ここで10分以上のタ
イムロスを致しました。この焦りからホテルまで全力疾走し、赤信号で歩道に
つっこみ乗用車2台が急停車、さらに通行人にも何人かぶつかり、下手すれば
ボコボコにされそうになるのもかまわず、必死で走りホテルのフロントに着い
たときには、ゼエゼエ言いっぱなしで自分の名前を伝えるのも大変でした。
「お客様、何か逢ったのですか?」
なんて言う、驚いた顔のフロント女性の顔が忘れられません。
正直もう少しで死ぬかと思いましたわ。

なんと言っても慣れない場所なので、横浜駅で横浜線の電車ずっと待ってたり、
京浜東北線の東神奈川駅で逆方向の電車に乗ったり、もうさんざんな目に遭い
ました。
田舎者にわかりにくいというか、不便というか、あそこは全く理解不能ですね。
さて戸塚が横浜からあんなに近いとは思わなかったのですが、東海道線で必死
に走って、駅に到着したのがなんと8時を回っておりました。

さらに悪いことに同級生のマドンナに迎えに来てもらう予定でしたが、これが
携帯にいくら電話しても出ない。まぁ、最近になって携帯もっただけの方です
のであまり無理を言えるわけもなく、でもどこに行けばよいのかがわからない
のも困りもの。結局中華料理店に電話してくだんの女性に迎えに来ていただき
ました。
その女性からの一言「遅かったのね、もうみんな出来上がっちゃってるわよ」
ここから、それまでの不在の時間を取り戻すかのように怒濤の喋りをやりまし
て「しかし岡田君はよくしゃべるわね」という大変有り難いお褒めの言葉を皆
さんから頂戴いたしました。
中学校の元1年E組にいた同級生が5人、なんと39年の時空を隔てて一カ所
に集まってわいわいがやがややるというのは良いものですね。
こんなに楽しい時を過ごせたことは近年無かったことですよ。
すっかり童心に返り、和気藹々と昔話に花を咲かせましたが、ホテルに帰って
ベッドに横たわったらドッと疲れが出まして、朝まで爆睡いたしました。
 やっぱ年なんですなぁ。
おかげで楽しみにしていたスケベビデオを見ることが出来ませんでした。
これはまた次の機会にでもしましょう!(笑)

「笑う角には福来る」きっと皆さんに大きな福が授かりますように....
  ではでは、みなさん、次回までごっきげんよう、あ、さようなら。
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