イッセー岡田のあはは天国劇場　144号 2003/10/15

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タイトル：イッセー岡田のあはは天国劇場　144号 2003/10/15

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さて今号は圧倒的ボリュームで迫る『らいぜんVERSION』です。では可愛いイチゴショートケーキと熱いブラックコーヒーでも飲みながら、ごゆっくりご堪能ください。 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■■■ ■■■　☆＜らいぜんのパチ物語＞　 ■■■　　　　　　『チーム・タイラー』第10話 ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■■■ 翌朝、平良と健太は念のため１０分ほどずらして、それぞれホテルを出た。どちらの店もイベントではないために朝は先着入場だったが、平良が目的地の「パチスロエッグマン」に到着してみると、まだ誰も先客はいなかった。別のホールに向かった健太に携帯から電話を入れてみる。「こっちは、徹夜組が１０人ほどいますが、恐らく別のＡＴ機の新台目当てだ　と思います。」たいして設定の入り方が違わないホール同士でも、これだけ朝の並びに違いが出る。イベント内容や告知の仕方でこれだけ人気の差が出るのだ。つまり客の躍らせ方が上手いホールが儲かるのだ。打ち手としては、同じレベルの設定なら客の少ないホールをいかに選べるか、そこで収支が決まるといっていい。つまりよく言われるように、客付きだけで店を決めることはリスクを伴うのだ。平良はホールの入り口が見える場所の喫茶店で時間を潰した。暖かいウィンナーコーヒーをすすっていると、ひとりふたりと若者が並び始めている。３番目はなかなか来ない。彼らは何の台狙いなのか？サクラか？特に上野界隈は「サクラ」の名所だと聞いたことがある。これだけ競争が激烈だと、等価交換で人気を落とさずホール利益を得る為には、あの手この手で出玉感を維持しながら客を騙してゆかなければやっていけないだろう。その一方法として『サクラ』や『騙し札』は常套手段なのだ。例えば『高設定台』の札が刺さった台を押さえたとする。本来は、設定５・６が『高設定台』、設定１・２が『低設定台』、そして設定３・４は『中間設定』という区分が順当だろう。ところが、いまや設定４からが『高設定』ということが半ば常識になってきている。ホールの論理が捻じれれば設定３も高設定に入れてしまうかもしれない、さらに穿ってみれば設定２から『高設定』と考えるホールもあるかもしれない。だから平良は『高設定台』と書かれた札が刺さっている台に座る時は、ホールにもよるが「設定１じゃないと言うことだな」と思って座るようにしていた。ターゲットのホールに並ぶに若者の数が１０人になったところで、平良は喫茶店を出て列の後ろについた。地元ではスーパースターの平良も、ここではただの「３０過ぎてスロ屋に並ぶ正体不明の男」だった。あちこちでちやほやされるのも疲れるが、全然無視されるのも久しぶりのことなので、平良には、並びの時間がいつもより長く感じられた開店１５分前から入場が始まった。３０人ほどの列の先頭の若者は、スプリンターのごとく目的の台へ走っていった。２番目も負けじと走る。いちおう店員が順番どおりに入れようとするが徐々にその秩序も壊され、平良入場の時には入り口に殺到する若者で一杯だった。平良は、歩いて「ライジングサンＶ」のシマにたどり着いた。先着の若者が１名しかいなかったが、平良はいちおう台の選定をした。過去３日の履歴・・一昨日５回、昨日８回のデキ悪台を選んだ。稼動が低くてダメだったのか、設定が悪くてダメだったのか・・・遊戯開始の１０時までには、ライジングサンⅤのシマも一通り一杯になった。場内放送のおおげさなカウントダウンで若者達は一斉にリールを回し始めた。平良は一呼吸置くようにゆっくりとレバーを下げた。しばらくするとライジングサンＶのシマは平良を残し無人になってしまった。どうも彼らはこの機種について誤解をしてるようだった。キンパルのように設定打ち替えで放出ゲームのクリアがされると思っているようだった。まだ世間では解析の出ていない台だから仕方のないことなのかもしれない。３００Ｇ程で平良に最初のボーナスが入った。ＢＩＧだった。さてどうするか？周囲が無人であることを理由にいきなり完走させてしまうか？それとも残り７Ｇから順押ししてパンクを期待するか・・・ＢＩＧを取りながら少し考えた結果、ここは残り７Ｇから順押しにすることにした。残り７Ｇベル・・・・残り２Ｇチェリー、残り１Ｇベル・・そして最後・・あっさりベルを引いてパンクしてしまった。平良は、誰に向けるともなく悔しそうな表情をしてみせ軽く台を叩く。しかし心の中では絶頂だった。目にもとまらぬような速さでコインを３枚入れ、クレジットを切る。右手をそっと下皿に差し入れコインの落下音を消す。左手でクレジット表示を隠しつつそっと空レバーを叩く。コインが落ちきった時、胸のポケットのタバコをまさぐり、１本取り出し口にくわえる。さてこれからがショーの始まりだ・・・　このシマにチームのメンバーをずらっと並べ、梁山泊の映画のように全員で　出し続けたらさぞおかしいだろうな・・・平良は、こんなことを考えてる自分がおかしくなって、少し笑った。この機種はもちろん３枚がけ専用機だから、１Ｇ連といっても小役が立てばそっちが優先される。案の定、最初はリプレイだった。続けてＢＩＧが揃う。後は延々と単純作業だろう。さて何連まで行くのだろうか・・・５時間後、亜唯がやってきた時には、７０連チャンを超えていた。出玉にして２万枚超。しかし平良の出玉につられて座る者はいなかった。みんな平良が打ってる台がシマに１台の高設定台だろうと思って近づけないのだ。平良から３台ほど離れたところで、亜唯が打ち始める。平良は成功を祈った。時折、健太からくるメールをみると、彼も２万枚を超えたらしい。男性陣は、あとはストック０まで全力疾走だ。亜唯にボーナスが入ったが、ＲＥＧだった。しかし３０Ｇほどで次のボーナスが入り、そっちはＢＩＧだった。平良は席を立ち、亜唯から離れた位置に立った。亜唯は、順当にハズシを決めている。そして意を決したように残り７Ｇを超えても外し続けた。そして予定通りのパンク。そつなく手順をこなしてセット完了。平良の見たところ誰も彼女の行動を怪しんでるものはいないようだ。少しヒヤっとしたが、ホッとしながら自分の台に戻る。　やれやれ・・度胸がよすぎるのも考えものだな・・平良は、亜唯なら心配ないことはわかっていたが、それでも大事な最初の日だったからやはり心配した。亜唯の台も当然のように１Ｇ連チャンが始まった。結局、平良の連チャンは夕方の６時まで続いた。出玉約２８０００枚。亜唯の方はもちろんまだ続いている。ＢＩＧに偏ったために既に１万枚に届こうかという勢いだ。連チャンの終了を確認して、ストックがないのはわかっていたが、カモフラージュで１００Ｇ回そうとしたら、すぐにＢＩＧがきた。　そうか、この攻略はテーブル参照されない裏ストックを取るためのものであ　って、表にストックされた３分の２のボーナスは、そのまま放出のテーブル　を参照し続けるんだったな・・・新しい発見だった。というより裏ストックに目を奪われ、確実に見落としていた点だった。結局、キンパルのようなダラダラとした連チャンがあって、最後はテーブルを悟られないように、２００Ｇ回しカモフラージュしてやめた。午後７時だった。平良の打っていたすぺて空になった哀れな台を、サラリーマンが勝ち誇ったようにタバコで押さえていた。閉店までのあと４時間は、亜唯のボディガードとしての役目をしなければいけない。平良は、亜唯の姿が見える満席のキングパルサーのシマにはりついた。これなら一見ハイエナ待ちに見えるだろう。台にはそれぞれ『設定４・５・６』の札がついているからたぶん空き台は出ないだろうと思っていたら、８００Ｇ前後で１台空いた。その前のハマリも充分だ。もし札の告知が本当なら、設定５が濃厚なのだろう。キンパルの設定５は時々こういう意地悪な出方をする。この台を押さえないのも不自然だから、平良はそこにタバコを置いた。不思議なことに、平良が出しているときは誰もライジングサンⅤのシマには近寄らなかったが、女性の亜唯が出し始めると、とたんにシマは満杯になった。ガナリマイクで亜唯が実況されることも多くなってきた。あれだけの人間がそばにいたら、亜唯に危害が及ぶこともないだろう、と平良は苦笑いしながら思った。平良は、目の前のキンパルを打ち出した。もちろん亜唯の様子を見守ることは怠らない。平良のキンパルは９２０Ｇを超えた頃、演出頻度多くなり、９４０Ｇでストックが解除された。設定５の連チャンはツボにはまればすさまじい。朝から溜まりに溜まったボーナスは、５０Ｇ以内に次々と吐き出された。１０連、キンパルにしては上出来だ。ゆっくり打ったつもりだったがまだ夜の８時３０分だった。他に打つ台もなさそうだったので、とりあえず出玉が減ることは承知の上で、次のボーナスを追って見ることにする。ボーナス直後のリプレイの出具合からして、まだストックがあることは濃厚だった。１２８Ｇを超え、２５６Ｇも過ぎた。次までは長丁場のようだ。平良は、ここは出玉を飲ませることに決めた。多少の怪しさは残るものの、今までの出方は明らかに設定５だった。残り時間から見て、ここで捨てる手はない。次の関所である５１２Ｇを過ぎてもストックは出てこなかった。出た玉を飲ませてまとめて吐き出させる。キンパルやリノはこの繰り返しだ。これが嫌ならストック機は打てない。あとは残り時間との戦いだ。結局平良は、１０連した出玉をほとんど飲まれ天井近くまで連れてゆかれたが、そこから１３連チャンして、終了した。亜唯の方はまだ連チャンしている。午後１０時３０分だった。平良は、各台の設定をチェックするフリをして、閉店を待った。亜唯の１Ｇ連チャンは無事終わったようだが、表ストックのだらだら連チャンを取っていた。事前の打ち合わせでは、その辺のことは決めていなかったのに、亜唯は平良のやめる時を見ていたのだろう。彼女の勘の良さがわかる。亜唯も平良と同じように２００Ｇ近くでやめた。彼女も２万枚以上の出玉を持っていた。結局、その日の４人の収支は、合計で１２０万円を超えていた。予想以上だった。しかし、これでは目立ちすぎるかもしれない。作戦変更も視野に入れておかなければいけないだろう。４人で外食することはスロ屋に居た人間に目撃される恐れがあったので避け、ホテルでルームサービスをとり、出だしの成功を祝い４人で乾杯した。 =========================================================[issay PR]== 絶好調発行中!!! 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