メルマガ:イッセー岡田のあはは天国劇場
タイトル:イッセー岡田のあはは天国劇場 131号  2003/07/01


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                ☆☆☆ 第131号 ☆☆☆         
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☆<目 次>
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■ ご挨拶 
  
■<らいぜんのパチ物語>
                                   『チーム・タイラー』第3話

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   ご挨拶 
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さて今号は前号に引き続き『らいぜんVERSION』です。

別に私のバージョンの手抜きをしているわけではないのですが、私自身が
このチームタイラーの続きが早く知りたくて、当然読者の皆さんもそうだ
と思いましてね。(実はまだ自分のやつは何も書いていない状態、えへっ)

銀行の話とスロット店の話が交互にオーバーラップしながら、ストーリー
は緊縛の度合いを深めていきます。

さぁ、もうあれこれ言わないで、続きをどうぞ堪能してください。

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■■■ ☆<らいぜんのパチ物語> 
■■■                      『チーム・タイラー』第3話
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気がつけば、若者二人は平良の話を熱心に聞いていた。
恐らくまだ社会に触れた事のない彼らにとって、平良の話は新鮮だったのだろ
う。スロ屋に過ごす時間が長ければ長いほど世間に疎くなるものだ。事実今の
平良もそうなりつつあった。

「俺の回収先のひとつに、下町の精肉会社があった。
 比較的規模もあって従業員もそこそこいたが、役員はすべて一族で占められ
 ていて、むしろ雰囲気は家内工業という感じだった。
 この会社はバブル期にも堅実な経営をしてきたお陰で、バブルの後遺症とは
 まったく無関係と思われていた。

 ところが、ここに別のカラクリガあったのさ。

 また別の融資先に倉庫用地などを主体に保有していた不動産会社があった。
 この会社は支店内ではトップクラスの大口融資先だった。ところが他の不動
 産会社同様ここも地価の暴落で完全に焦げ付きが始まった。支店長としては、
 ここの不良債権が表ざたになったら、まず『左遷もの』だった。
 だから何とかしてここの債権を覆い隠したかったんだ。

 そこで支店長はあることを思いついた。優良融資先である下町の精肉会社に
 事業拡大を炊きつけたんだ。バブルが弾け始めた頃にだぞ!そしてその事業
 拡大計画の手始めとして、潜在的な不良債権を抱えるその倉庫専門の不動産
 会社を合併吸収させたんだよ。酷いことをするもんだ・・。

 結果は最初からわかっていたのさ。いくら優良企業といえども、地下の下落
 のペースは甚だしく、結局は運転資金の焦げ付きまでおこし始めてしまった
 んだ。支店長もこれははなからわかっていたはずだ。しかし自分が別の支店
 に移る時期までの時間稼ぎをしたんだ。この精肉会社をスケープゴートにし
 てな・・・。
 そして予想通り、この精肉会社がにっちもさっちも行かなくなった頃には、
 その支店長は別の支店へちゃっかり栄転していやがったからな。

 俺がいた回収部にこの案件が回ってきた時に、俺はすべての書類を見せては
 貰えなかった。ただ機械的に回収して来い、という訳だ。銀行は修羅場を好
 まない。かといって、粘り強く交渉することもしない。本来、債権の回収に
 は修羅場はつきもんだ。でも銀行のやり方は、それを自分達の見えないとこ
 ろで処理しようとする。

 方法としては簡単さ、即刻裁判所から判決をとって、それを元に強制執行を
 かける。このケースでは精肉用の機械なんかがそこそこの財産価値があるか
 ら、それを差し押さえようというわけだ。強制執行の日程も決まり、俺は立
 会人として、執行官やいわゆる『執行屋』とともに精肉工場にいったのさ。
 そして、そこで俺が見たものは・・・・」



平良の後ろを、店長が通り過ぎたあと倒れこんできた女の目は、無表情に見開
いていた。どうやら気絶はしていないようだ。何か強い力に押されただけだっ
たようだ。

しかし、ほんの少しであるが、女の表情に変化が現れた。
無表情と思われた目から、一筋の涙が流れ落ちたのだった。
恐らくさっき店長は、左手に持ったドル箱を彼女の左肩に強い力で押し付けた
のだろう。彼女の小さな体はその力に抗しきれず、平良の元へ倒れこんできた
のだ。

「おい・・大丈夫か?」

彼女は、流れる涙を拭いもせず、こくりと小さく頷いた。

「そうか・・ところで・・本命は、俺の台か?」

彼女はまた小さく頷いた。

「そうか・・・・
 じゃあ、さっきのは、『今日は台取りに失敗したんだからもう帰れ』という
 意味だったんだな?」

今度は彼女は頷かなかった。さらにもう一筋に涙が流れ落ちた。
その涙を肯定の意味と受け取った平良は、朝のキングパルサーのモーニングを
一通り取りきって、退屈そうに美味しそうな台が空くのを待っている亜唯を呼
んだ。

「亜唯、悪いが、彼女をマンションへ連れてってやってくれ。
 どうも左肩に怪我をしたみたいなんでな・・」

亜唯は、わかったという風に無言のまま頷き、彼女の痛んでいない肩をつかみ
ゆっくりと立たせた。「女」は亜唯の促しに素直に席を立ち、ホールを去って
いった。

 許せない・・

平良は、弱いものを暴力や権力で屈服させるようなヤツは許せなかった。時折
平良自身が「安っぽい正義感」だと自己嫌悪に陥ることもあったが、心の深い
ところで本能的に発生する感情には、抗しようがなかった。

平良が「女」から取り上げた台は、彼女が認めたとおりやはり最高設定だった。
これほどの爆裂機の最高設定を、等価交換であるこの店がそうはやすやすと入
れられるものではない。あっても3日に1台くらいだろう。そんな希少なもの
を自己の利益のために搾取をしようとする新店長のやりかたはやはり許せなか
った。
そして弱き者をゴミのように扱うあの態度も・・・

静かな怒りが平良の身体中に充満した。台もそれに呼応して、ハイペースにコ
インを吐き出し続けた。

平良はフル稼働をしながら、あることを心に決めていた・・今夜・・・



焼肉屋で平良の銀行員時代の話を聞いていた健太と亜唯、彼らはいつのまにか
自分の過去を話し続ける平良に対する警戒心を解いていた。どうしてそんな話
を自分達に聞かせるのだろう、という疑問は残ったが、平良襲撃を企てた自分
達への平良からの報復に対する恐怖はもうなかった。

平良は話し続けた。

「店長の策略にはまった善良な精肉会社の社長。そしてその策略を知らずに、
 精肉会社を追い詰めた俺・・・その俺が、執行官を伴って債務者のところを
 訪れたとき、事務所には社長はいなかった。執行屋たちは、事務所の什器に
 差押さえの札を一通り貼り、次に冷凍庫に向かった。肉の在庫を差押えるた
 めさ。よく映画なんかで見るだろ、こう、でっかい肉が上からたくさん吊る
 してある光景を・・・そこも、映画と一緒でたくさんの肉が吊るしてあった
 よ。
 
 そして・・肉に混じってな・・社長の亡骸がぶら下ってたよ・・・」

話し続けていた平良は、ここで少し沈黙した。瞳は、徐々に暗く沈んでいった。

「すぐに警察を呼んだ。
 社長の死因は『頸部圧迫による窒息死』だった。状況から見て明らかに自殺
 だった。すぐに遺書も見つかった。内容は、銀行と既に栄転した元支店長と
 銀行に対する呪詛の言葉で埋め尽くされていた・・・。

 言い訳するようだが、俺は支店長が、どうしてこの精肉会社に倉庫専門の不
 動産会社を吸収合併させたか、亡き社長の遺書でその意味が初めてわかった
 んだよ。つまり俺は知らない間に『死神』の役割をやっちまったわけだ・・。

 俺は、その足で元支店長がいる支店に向かった。頭の中は沸騰していた。

 強硬に支店長室に入ろうとする俺を引きとめる行員を振り切って、支店長室
 に入った。

 そしてそこからのことは良く覚えていない・・・気が付けば、鼻血で顔面を
 血だらけにした支店長が俺の前に倒れてた・・・

 このとき初めて俺は自分の中の野獣の存在に気がついた。それまでは暴力沙
 汰はおこしたことはなかった。どちらかというと大人しいタイプだと思われ
 ていたぐらいだったからな。

 俺は駆けつけた警察官にその場で逮捕された。
 そして裁判の末、懲役1年の実刑を受けたんだ。」



アラジンの最高設定をスペック以上に爆発させた平良は、閉店10分前に台を
離れた。コインを流してる間、受け持ちの仲良しの店員の「角ちゃん」と雑談
をした。「角ちゃん」は定着率の悪いこの業界では比較的古株の店員で、いま
どきにしては珍しく誠実な若者だった。

「角ちゃん、遅番の店員は何時ごろまで店にいるの?」

「そうですね、だいたい深夜の1時くらいまでは残務があります。
 枚数ボード書き換えたり、台のコインの量を調整したり結構忙しいんですよ。
 店長は、午前3時ごろまで仕事してるんじゃないですかね。みんなが帰って
 から設定とかいじりますからね。」

「じゃあ、角ちゃんたち店員は、みんな設定は知らないんだ。」

「そうですよ。知ってるのは店長だけです。まぁお客さんが打ち始めると、だ
 いたいどこに入ってるのかはわかりますけどね。なんとなくですけど。」

どうやら店長は、夜中のうちに設定を打ち替えるようだ。朝の客の並びの状態
や、天候の具合によって、急遽朝に打ち替えることもあるだろうが・・・
いずれにせよ、店員達の帰る午前1時から午前3時ごろまでは、店内は店長一
人になる、それだけはわかった。

平良は、角ちゃんにレシートをもらい、フロントで特殊景品に替えて換金所で
札束に替えた。面倒だが儀式のようなもので、これをしなければスロッターは
生きてはいけないのだ。

マンションに戻った平良は、「女」の様子を亜唯にたずねた。

「よく眠ってるわ。ねぇ・・彼女を寝巻きに着替えさせる時に見たんだけど、
 彼女、身体中に青痣や傷があったわ。いったい誰がしたのかしら?あんな酷
 いこと・・・」

亜唯は、健太から「女」のことはすでに聞いていたかもしれない。店長とグル
だという女に多少の敵愾心もあっただろうが、亜唯は今日一日よく彼女の面倒
を見てくれたようだ。女同士のつまらぬ諍いに発展しなかったことに、平良は
少し安心した。亜唯はよくできた女だから、平良は信頼はしていたが、それで
も女心は難しいものだ。今回のことがグループの決裂の要因にもなりかねない。
しばらくの間、注意をして見守ることを平良は決心した。

平良は、亜唯の作ってくれた遅い夕食を食べ、自分の部屋に戻った。
そして、タンスの奥から黒のレザーの上下とレイバンのサングラスを出した。

午前2時。平良の同居人たちが寝静まるのを待って、平良は用意しておいたレ
ザーの上下に着替えた。帽子を目深にかぶりサングラスをすると、外見的には
誰とはわかる術もなかった。

平良のマンションから目的地までは2分とかからない。深夜とはいえ人通りが
ないわけはないから、裏手から迂回するように目的地に向かう。

4分後。誰にも会うことなくホールに着いた平良は、裏口の扉の前に立ち、ポ
ケットから取り出した2本の針金で巧妙にカギを外しはじめる。
・・・ガチャ!ものの数秒で錠が解かれた。
扉は開くことは開いたが、中にチェーンロックがかかっていた。
平良は胸元から長さ30センチほどの工具を取り出した。
そして侵入者を拒んでいたドアチェーンはかすかな音を立て切断された。

裏口を入ったところは真っ暗だった。深夜でもこの扉から出入りする者はいな
いようだ。店員の角ちゃんの話が本当なら、店内はあの新店長しか残っていな
いはずだ。バックルームは電灯が消されていて人影はない。店長は、ホールの
方で設定の打ち替え中なのだろう。

ホール内は深夜でも監視カメラが回っている。それを本社の方でリアルタイム
で見ているものがいるかどうかはわからないが、そこに写り込むことは避けた
かった。平良は、暗闇のバックルームのロッカーの影で、店長が現れるのを待
つことにした。

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らいぜんさんの新作第3話はいかがでしたでしょうか?

もう、またまた、ホント肝心な所で話が次号になってしまいました。
申し訳ございません。
だって章割がこうなっているんですから、はい、私のせいではございません。
苦情は作者らいぜん宛申し受けます。(笑)

いやぁ、しかし各シーンが臨場感あって実に引き込まれますなぁ。
マジで誰かこれを映画にしてくれませんかね?
「雪月花」も映画になったことだし、今度はこれだって。
もし映画化になってがっぽり原作料入りましたら、らいぜんさん、負け組筆頭
のイッセーに銀座の「写楽」で寿司でも奢ってねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ(笑)!

「笑う角には福来る」きっと皆さんに大きな福が授かりますように....
 ではでは、みなさん、次回までごっきげんよう、あ、さようなら。
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