メルマガ:凄い少年公判傍聴記
タイトル:凄い少年公判傍聴記14 [02/11/12]11:20Tue  2002/11/12


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凄い少年公判傍聴記14 [02/11/12]11:20Tue
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送信者: "山本英司" <ymmteizi@kinet-tv.ne.jp>
宛先: <ymmteizi@kinet-tv.ne.jp>
件名 : 凄い少年第3回控訴審報告
日時 : 2002年10月5日 2:15

凄い少年にゆかりの方等にBccでお送りしております。
転送・転載は自由です。

オウマーBBS
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が新URLにて再開するまでこのメルマガ方式を続けていこうかと思いますが、
もう関わり合いになりたくないという方はお知らせ下さい。

2002年8月22日、9月10日に続いて、
10月3日、大阪高等裁判所にて、
凄い少年の第3回目の控訴審が開かれました。

そもそもどういう事件だったか復習しますと、
2000年3月14日、大阪府守口市にて通り魔殺人の現行犯で逮捕、
余罪として前日、大阪市立大東小学校で児童を狙った殺人予備が判明、
起訴前に精神鑑定が関西医科大学の大矢大講師によって実施、
2001年1月17日に大阪地方裁判所で初公判、
以後計13回の公判(判決公判を含む)を経て、
2002年4月10日に一審判決、
判決内容は、懲役15年(求刑17年)、未決勾留算入330日、凶器の包丁没収、
それに対して弁護側控訴、
というものです。

それでは今回の概要から。

事件名:平成14年(う)第771 殺人,銃砲刀剣類所持取締法違反,殺人予備
日時:2002年10月3日(木曜日)11時4分〜11時19分
場所:大阪高等裁判所第5刑事部 1003号法廷
担当:那須・樋口・宮本・河原 裁判官
※廊下の開廷表より。実際に法廷にいた裁判官は3名。
内容:
◇1 証拠採用・取調べ
 被告人より提出された「精神鑑定請願書」が採用される。
 引き続き、「取調べ」として裁判官が被告人に質問
◇2 公判日程の協議
 次回は10月10日(木曜日)15時30分から。
 内容は遺族(被害者の長男)の意見陳述。

それでは以下、詳報。

11時開廷のところ、5分ほど前に法廷前廊下に到着。
廊下側の小窓から法廷の中を覗くと、
前の法廷は既に終わっている模様で、傍聴席には誰もいない。
ちなみに廊下には、傍聴希望者と思われる人が多数待機。
前回・前々回と、凄い少年が入廷する瞬間を見逃してしまっていたので、
用心のためもう傍聴席に入っておくことにする。

ちなみに、これは公判が終わってから書き写したものであるが、
廊下に張ってあった開廷表より開廷時刻だけ記すと、

 10:15
 10:20
 10:30 ※傍線が引かれており、取り消された模様
 11:00
 13:30
 14:00
 14:30

などと、前回よりはゆとりのある(!)日程。

さて、傍聴席には私1人であったが、弁護人や検察官は既に入廷しており、
何か打ち合わせがあるらしく2人で奥の方に消えていったりして、
一時は法廷内は私と廷吏の2人だけになったりする。

10時59分、凄い少年が警備員2名にはさまれて手錠・腰縄姿で入廷。
何しろ傍聴席には私1人しかいないこともあり、
はっきりと目を見合わせて会釈を交わす。
いつもの灰色の上着であったが、差し入れしてなくてスマン。
ともあれ、控訴審になってから初めて目を合わせた瞬間であった。

定刻の11時に私以外の傍聴人がぞろぞろと入廷してくる。
被害者の未亡人と会釈を交わす。
傍聴人の人数を数えてみると私以外に14人で、
よく分からないのだが内7人ほどの若者グループがまとまって座っている。
と思ったらさらに5、6人が入廷してきたが正確な人数は不明。

検察官、書記官、弁護人が順次入廷してくるが、
裁判官はしばらく姿を現さない。

11時4分、裁判官3名が入廷。
特に号令は無かったが、自然な流れで起立、礼。
前回と前々回は、裁判官が着席したまま、
回転寿司のように次の被告人の事件へと移っていったものだが、
何か久し振りに「普通」の法廷であった。

凄い少年の拘束が解かれる。

裁判長「開廷します。
弁護人の方から……」
弁護人「被告人作成の精神鑑定請願書を提出(証拠申請?)します」

裁判長「検察官どうですか」
検察官「同意いたします」

裁判長「採用いたします」

前々回に申請された精神鑑定申請は前回に却下(棄却?)されているところ、
今回、「精神鑑定請願書」があっさり採用されたわけであるが、
精神鑑定を行うことが採用されたということではなく、
「精神鑑定請願書」なる文書が、おそらくは被告人の心境を示すものとして、
証拠採用されたということなのだろう。

裁判長「何番になりますか」
弁護人「5号証として」

裁判長「これを取調べいたします。
本日は被害者の遺族の意見陳述の予定でしたが、
行き違いで本日は実施できない」

凄い少年が証言台の前に立つ。
弁護人や検察官による主尋問、反対尋問が無かったことから、
被告人質問ではなく、「精神鑑定請願書」の「取調べ」の一環であろう。

裁判長「『精神鑑定請願書』。
君が自分で書いたものですか」
被告人「はい」

裁判長「内容はともかくとして、どういう気持ちで請願?
控訴審で何か心境の変化があったとあるが。
『自己愛着心が強い……起訴前の精神鑑定……前審においても……』
(などとあるが)、反省したということ?」
被告人「そういうこと」

裁判長「ちゃんとした鑑定になっていないと、そういうこと?」
被告人「はあ」

裁判長「今は自己愛着心、虚勢(虚栄心?)に気付いて反省したと」
被告人「はい」

裁判長「そういうことを踏まえて精神鑑定してもらいたいと」
被告人「はい」

裁判長「『精神鑑定請願書』の趣旨はそういうこと?」
被告人「はい」

裁判長「反省するようになった一番大きな理由、きっかけは?」
被告人(沈黙)

裁判長「この請願書には、『誰に詫びて誰に感謝すべきか、
この自己のプライドの高さは笑止の極み』(とあるが)、
この心境の変化のきっかけは?」
被告人(沈黙)

裁判長「控訴審の審理を通じて?」
被告人「(即座に)それもありますけど……」

裁判長「一番大きなきっかけは?」
被告人(沈黙)

裁判長「正直に言ってごらん」
被告人「(沈黙の後)拘禁生活長いですし……」

裁判長「うん」
被告人「(沈黙の後)前回(聞き取れず)されたこと」

裁判長「精神鑑定申請が棄却されたこと?」
被告人「それとか」

裁判長「よく分からないんだけど……
事件のとき、そういう反省してるんですか?」
被告人「当時?」

裁判長「当時」
被告人「前?」

裁判長「当時でも前でも……
それとは別?」
被告人「それも含めて」

裁判長「事件を起こすまでと事件を起こしてから、
反省をし、内省をしたと、そういうことですか」
被告人「はい」

裁判長「……はい」

と裁判長、傍聴席から向かって左の裁判官(右陪席?)にうなづいてみせる。

裁判官「何か新しいこと言わないと精神鑑定してもらえないから?」
被告人「いえ」

裁判官「じゃあ前回棄却されたことと今回の書面は
どう関係しているんですか?」
被告人(沈黙)

裁判官「答えにくいですか?」
被告人「いえ、(答えます?)
それは……直接関係しているか分かりませんけど、
時期がたまたま……」

裁判長「はい、それでは」

「精神鑑定請願書」の「取調べ」が終了した模様で、
被告人着席。

続いて裁判長と検察官、被害者遺族の意見陳述についての打ち合わせ。
「30(?)日と勘違いして」といった言葉(メモにはあるが発言者失念)
や書記官の「お見えになっていない」といった言葉が交わされる。
弁護人も発言に加わった模様であるが聞き取れず。

裁判長「それでは協議(合議?)いたします」

11時15分、裁判官3名が一時退廷。

この時点では、あるいは「精神鑑定請願書」を受けて、
精神鑑定を行うか否かについて協議ないし合議をしているのか
とも思ったが、どうやら被害者遺族の意見陳述の扱いについてだった模様。

11時16分、すぐに裁判官3名が戻ってくる。

裁判長「ご長男の方ですか」
検察官「はい」

裁判長「こちらで期日を指定すれば都合を合わせてこられる?」
検察官「はい」

裁判長「それでは意見陳述の期日指定をさせていただきます。
10月10日の2時以降、空いておりますが」
弁護人「3時半なら」

検察官の都合もOKとのこと。
しかし、例えば電話をして当事者の都合を尋ねるとかはしないのであろうか。

裁判長「10月10日の3時半にいたします。
(おそらく被告人に)それでは10月10日の3時半、分かりましたね」

凄い少年、うなづく。

裁判長「それでは……終わります」

11時19分、終了。


以下感想ですが、
凄い少年、反省したとのことですが、
しかしそれがどうして「精神鑑定請願書」になるのか、
常識的には理解に苦しむところなのですが、
まあ要は自分の話を聞いてもらいたい、
自分を正確に理解してもらいたいということなのでしょう。
それにしても、『誰に詫びて誰に感謝すべきか、
この自己のプライドの高さは笑止の極み』とか、
凄い少年、文章は結構難しい言い回しを使ったりするものですね。

しかし、下手をすると、と言うかおそらく確実に、
真摯な反省に基づくものではないという印象を与えて
被害者遺族や裁判官の心証を悪くするであろうにも関わらず
(そのことに弁護人も当然気付いてしかるべきであるが)、
それでもなおかつ精神鑑定に拘ってみせるところが、
凄い少年らしいと言えば言えるような……
と、私も少々呆れてしまいましたが……。

あと、この日予定されていながら行き違いとのことで
次回に行われることとなった被害者遺族の意見陳述ですが、
被害者の長男であることが判明しました。
ちなみに一審段階で次男と未亡人が証言されています。
それにしても、裁判所が日時を決めたらそれに従うのが当然
とか思っていたりするんですかね。
弁護人の都合は毎回最優先で確認されますが、
証人(意見陳述は証言とはまた違うようですが)の都合も
もう少し考慮されるシステムにはならないものでしょうか。
まあ、裁判所に決めてもらった方が、
かえって仕事を休んだりするのに言い訳しやすい
ということがあるのかも知れませんが。

それにしてもいきなり1週間後に次回期日を入れるというのも
驚きでした。それともこういうものなんでしょうか?

以上です。

−−−
山本英司(龍谷大学非常勤講師)
E-mail: ymmteizi@kinet-tv.ne.jp

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☆於MailuX的編集後記☆

 はい、また発行間隔が開いてしまいました。ちなみに前号は発行数120
で、その前の121からついに減少に転じてしまいました。私のメアド宛の
反響も一向にございません……。
 などとちんたらメルマガの発行を続けていたら、今日は控訴審の判決だっ
たりします。ということで、以下、速報。
 控訴棄却、二審での未決勾留算入160日、です。
 ちなみに、一審は懲役15年、未決勾留330日でしたので、結局、懲役
15年マイナス未決勾留490日で、閏年を考慮に入れずに単純計算で懲役
13年240日ということになります。よって、まだ最高裁への上告もあり
えますが、仮に今から刑期が始まるとして、満期としても13年8カ月後の
2016年7月までには出所するということになります。
 以上、あらかじめ大半の原稿を作っておいて、大阪高等裁判所近くのイン
ターネットカフェからでした。詳しい報告は、メルマガの次の次の号(最終
号?)ということで。

編集・発行:山本 英司(やまもと えいじ)
E-mail: ymmteizi@kinet-tv.ne.jp
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