メルマガ:凄い少年公判傍聴記
タイトル:凄い少年公判傍聴記12 [02/11/02]02:38Sat  2002/11/02


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凄い少年公判傍聴記12 [02/11/02]02:38Sat
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送信者: "山本英司" <ymmteizi@kinet-tv.ne.jp>
宛先: <ymmteizi@kinet-tv.ne.jp>
件名 : 凄い少年第1回控訴審報告
日時 : 2002年9月4日 0:51

凄い少年にゆかりの方等にBccでお送りしております。
転送・転載は自由です。

オウマーBBS
http://www.asuka.net/~d5656/aumerbbs/
が新URLにて再開するまでこのメルマガ方式を続けていこうかと思いますが、
もう関わり合いになりたくないという方はお知らせ下さい。

まず概要から。

事件名:平成14年(う)第771 殺人,銃砲刀剣類所持取締法違反,殺人予備
日時:2002年8月22日(木曜日)11時〜11時36分
場所:大阪高等裁判所第5刑事部 1003号法廷
担当:那須・樋口・宮本・河原 裁判官
※廊下の開廷表より、実際に法廷にいた裁判官は3人。
内容:
◇1 人定質問
◇2 弁護側控訴趣意書・検察側答弁書
 朗読は無く、書面の提出をもって替える。
◇3 弁護側精神鑑定申請
 裁判所の判断は留保。
◇4 被告人質問
 精神鑑定の必要性を判断するためという趣旨。
 検察側の反対尋問に移ったところで時間切れ、次回に続行。
◇5 公判日程の協議
 次回は9月10日(火曜日)15時から。
 内容は被告人質問の続行と、もしかしたら遺族の意見陳述も。

それでは以下、詳報。

11時開廷のところ、5分か10分ほど前に法廷前廊下に到着。
前の法廷がまだ続いており、被害者の遺族の方などの姿が廊下に見える。
一審の判決公判でお会いした(実は判決公判以前から継続して傍聴
されていたのかも知れない)ジャーナリストの藤井誠二氏の姿も見かけ、
私の顔を覚えてくださっているようで、会釈だけ交わす。
少なくとも私が気が付いたかぎりでは被告人側の傍聴人は私1人。

廊下に張ってあった開廷表を書き写す。
開廷時刻だけ記すと、

 10:15
 10:20
 10:30
 11:00
 11:30
 ……

などと超過密日程。

開廷予定時刻の11時を回ろうとしても傍聴人の入れ替えなど無く、
「もう始まってますよ」とのある男性(藤井氏?)の声で、
凄い少年関係の傍聴人がぞろぞろと入廷していく。

既に凄い少年は証言台の前に傍聴席に背中を向けて立っており、
人定質問の真っ最中。
ということで、被告人入廷の際に目と目を合わせることは出来ず。

法廷の造りであるが、一審が行われた1004号法廷と同じく、
5人掛けの長椅子(仕切り付き)が縦横3つずつかと思ったら、
向かって右後方の一角だけ、おそらく車椅子席ということで欠けており、
それを除くと全部で5×8=40席。
凄い少年公判の際の傍聴人は20人ほど。
弁護人は一審とは別の方で40前後と思しき男性が1人。
検察官は50前後と思しき女性が1人。
裁判官は、開廷表にはなぜか4人の名前があったが、
通常と同じく3人が正面に座っている。

被告人である凄い少年は、例によって無精ひげを生やしており、
茶色の半袖の上着とエンジ色のズボンで、
何だかいつも同じ服装のような気がする。
必ず法廷に着て行くからと、色は青でサイズは5Lの
スウェットの長ズボンとメン・カッターシャツの長袖の
差し入れを是非にと頼まれながら応えられなくてスマン。

人定質問に戻ると、
裁判長が本籍と住所を尋ね、
被告人の答えが聞き取れないところ、

裁判長「一審の判決では決まっていなかったと(あるが)、
それで間違いないですか?」
被告人「はい」

といったやりとりが行われる。

もっとも、在宅起訴の場合や保釈中ならともかく、
勾留中の被告人にそもそも住所というものはあるのであろうか。
元々家族と一緒に住んでいて家族もそこに住み続けているならともかく、
凄い少年の場合、1人で下宿していて、家賃も滞納していたところ、
逮捕・勾留後、当然に賃貸借契約は解除されている。
そもそも住民票はどこに置かれているのであろうか?

続いて職業が尋ねられ、
これも被告人の答えが聞き取れないところ、
おそらくは無職ということで処理されたものと思われる。

裁判長「それでは弁護人」

と、控訴趣意書をめぐるやりとりに移る。

おそらく実務上の慣行であるのか、
控訴趣意書の通りであるとして陳述は行われず。
検察官も、答弁書の通りであるとするのみ。
いかなる理由で控訴を申し立てたのか、
傍聴人にも分かるようにちゃんと朗読していただきたいものである。

なお、控訴趣意書は弁護人と被告人自身のそれぞれが執筆した模様。

実は、字の練習をするからと、
事件名とか「平成 年 月 日」に1から31までの漢数字と算用数字とか、
字の大きさを指定した上で正楷書体で印字して送るようにと、
獄中指示が飛んできてたりして私が手伝っていたりするのだが。

続いて弁護人が、被告人の精神鑑定請求書を提出。

裁判長「それでは検察官、精神鑑定請求書について(どうですか)」
検察官「必要ない」

裁判長「弁護人(どうですか)」
弁護人「被告人質問を(申し立てたい)」

裁判長「検察官(どうですか)」
検察官「必要ない」

裁判長「(弁護人に)質問事項と時間は」
弁護人「精神鑑定の必要性(を立証したい)、15分程度」

裁判長「そうしますと、被告人質問の後、精神鑑定ということですね」
弁護人「はい」

裁判長「検察官どうですか」
検察官「しかるべく」

裁判長「それでは合議いたします」

ということで、11時5分、3人の裁判官が奥の別室に移る。

11時6分、改めて3人の裁判官が入廷。

裁判長「それでは被告人質問を採用いたします」

ということで、早速被告人質問が行われることになる。

裁判長「その前に検察官、ご遺族の方が……」
検察官「被害者遺族(の意向によると?)……
(聞き取れず。8? 9?)月の最後(最初? 聞き取れず)に……」

どうやら被害者の遺族の方が意見陳述を行いたいとのことで、
日程に関する打ち合わせの模様。

11時7分、被告人質問開始。

裁判長「それでは被告人前へ」

被告人、証言台の前に立つ。以後、被告人質問中は立ったまま。
座らせてあげればいいのにと思う。

弁護人「今回の件、あなたは反省してますか?」
被告人「はい」

弁護人「あなたが自分でやったことの罪悪感?」
被告人「はい」

弁護人「何に対して罪悪感があるんですか? 具体的には?」
被告人「(沈黙の後、聞き取れず)……が無い」

弁護人「被害者に落ち度が無いと?」
被告人(うなづく?)

弁護人「動機についてお聞きしますが、原審の判決で言われているような、
世間の注目を集めたい、そういう動機はあったんですか?」
被告人「(沈黙の後)少し」

弁護人「他にも動機があるというんですね。
他にはどういう動機があるか、今言えますか?」
被告人「(沈黙の後)衝動的(聞き取れず)」

弁護人「衝動的だったということですか。
衝動的とおっしゃったんだけど、
非常に興奮していたか、冷静だった?」
被告人「(急にハッキリと)当日ですか?」

弁護人「当日」
被告人「(沈黙の後、聞き取れず)……ましたけど不安でいました」

弁護人「どういうことについて不安?」
被告人「(沈黙の後)控訴趣意書に書いた(通り?)」

弁護人「被告人作成の控訴趣意書を示します」

ということで弁護人、控訴趣意書を開いて被告人に示すと、
被告人、右手の人差し指で、ある箇所を指し示す。

弁護人「殺されそうだということですか。
誰か具体的に殺されそうだというのが?」
被告人(沈黙)

弁護人「何か特定の対象はあったの、無かったの?」
被告人「いえ」

弁護人「無かったの。
その殺されそうな不安からね、人を殺すというのが分からないんだけど、
今回人を殺したことによってあなたの不安は無くなりましたか?」
被告人「(沈黙の後、首を傾げて)6割くらい」

弁護人「6割というと、あと4割くらいは残ってるわけですね。
一審の中でかなりの回数にわたって被告人質問(をしたが)、
あなたの言いたいことは全て言い尽くしましたか?」
被告人「いや」

弁護人「言い足りないと。
具体的に今言えますか?」
被告人「(沈黙の後)返事をしなかった」

弁護人「返事をしなかった?」
被告人「場所とか」

弁護人「返事をしなかったこと、それがあなたが言い足りなかったこと?」
被告人「それだけじゃない」

弁護人「他にもいくつかあるんですか?」
被告人(沈黙)

弁護人「原審で認定されていることについて。
今回、殺人に絞って。
ばれないように、用意周到に計画したというのは?」
被告人「(沈黙の後、少しハッキリと)正確には覚えていません」

弁護人「大矢先生にあなたの精神鑑定してもらいました。
あなたは読んでますね。
面談記録、正確に書かれてますか?」
被告人「いえ」

弁護人「どういうところが不正確?」
被告人(沈黙)

弁護人「あなたがこういう話をしたのに記載されてない、
そういう箇所は?」
被告人「はい」

弁護人「言ってないのに書いてあることは?」
被告人「あります」

弁護人「具体的に覚えてますか?」
被告人(沈黙)

弁護人「まず、覚えてますか、覚えてませんか?」
被告人「少し覚えている」

弁護人「それはどういう箇所かいえますか?」
被告人「ちょっと……少し、全部じゃない」

弁護人「書証を示します」

と弁護人、精神鑑定書(甲85号証)を被告人に示すと、
被告人が指で指し示す。74頁とのこと。
弁護人、該当箇所を読み上げる。

弁護人「相手の立場でものが分かる、そこでフーンと言って、
人間は1人では生きられない……分かる?」
被告人「これは別の場所で言いました」

弁護人「別の場所というのは別の日?」
被告人(沈黙)

弁護人「同じ日? それは覚えていない?」
被告人「最後の(日?)」

弁護人「(精神鑑定書をめくりながら)うん、最後?」
被告人(うなづく?)

弁護人「いくつか心理テストをされて、そのやり方に不満?」
被告人「はい」

弁護人「どうしてほしかったと言えますか?」
被告人(沈黙)

弁護人「あなたが控訴審で言いたいことは、あなたが作った控訴趣意書、
それ間違いない?」
被告人「はい」

弁護人「他に言いたいことは?」
被告人(沈黙)

弁護人「甲85号証を示します。
弁護士が接見のときあなたが言っていた(よね)、
1回でいいのに2回もやらんでいいと(DESという心理テストのことか?)」
被告人「いや、1回(聞き取れず)」

弁護人「最後に、あなたはもう1回精神鑑定してほしいと?」
被告人「はい」

弁護人「それ以外にこの裁判所で何か言っておきたいこと?」
被告人「(沈黙の後)あります。
さっきの心理テスト……」

弁護人「見せましょうか?」
被告人「見せてくれなくていいです。
それは……わりと直感的にやるテストだったんで……」

ここで裁判長、介入。

裁判長「DESというのは直感的にやるもので、
2回も3回もやるもんでないと?」
被告人「それもありますけど、原本どおり(? 聞き取れず)」

裁判長「まとめると、もう1回精神鑑定(を求めるということ)と、
DESのやり方に不満がある(ということを被告人は言いたい)、
そうじゃない?」
被告人(沈黙、首を傾げる)

裁判長、傍聴席から向かって右手の弁護人に、
左手でどうぞという身振り。

被告人「はい、言います」

裁判長「はい、答えて」
被告人「(沈黙の後)精神鑑定書の中身についても……」

裁判長「不満がある? 何?」
被告人「酌みとってもらってない」

裁判長「酌みとってもらってない、それで?」
被告人(沈黙)

ここで弁護人に戻る。

弁護人「最後に1点だけ。
殺されそうな不安があったと言うが、
原審で認定の孤独感はあった?」
被告人「(沈黙の後)少し」

弁護人「終わります」

11時32分、弁護人による主尋問終了。

引き続き、検察官による反対尋問。

検察官「落ち度が無い人を殺してしまったことに罪悪感があると?」

ここで前触れも無く次の被告人が入ってくる。
確かに廊下の開廷表には11時30分から次の事件が入っていて、
既にその時間を過ぎていたのであったが。
逆に凄い少年も、このようにして入廷していたのであろうか。

裁判長「ちょっと待ってください」

と裁判長、始まったばかりの検察官による反対尋問を制し、
3人の裁判官は進行協議のためにまた別室に移る。

凄い少年は証言台からカニのような足の運びで後じさり、
傍聴席との仕切りに面した長椅子状の被告人席に座る。
被告人席には現在の被告人と次の被告人とが、
それぞれ、警備の職員に両脇をはさまれて、
総計6人が着席。

検察官が被害者遺族の代理人と思われる男性と何か打ち合わせ。

11時34分、3人の裁判官が戻ってくる。

裁判長「(弁護人に)精神鑑定は別として、
被告人質問以外に今後の予定は?」
弁護人「今のところは(無い)」

裁判長「(それでは)被告人質問は(次回期日に)続行、
精神鑑定の採否は(被告人質問が終わるまで)留保ということで。
(検察官に)ご遺族の意見陳述? 時間はどれくらい?」
検察官「15分ほど」

次回期日の打ち合わせに入る。
合意に達する。

裁判長「次回期日は9月10日午後3時」

11時36分、終了。

被告人、腰縄と手錠が掛けられる。

ぞろぞろと傍聴人が退廷していく。
凄い少年が退廷するまで残っていたところ、傍聴席は私1人になってしまう。
結局、最後まで凄い少年と目が合わず。
それはそうと、次の被告人の傍聴人は誰もいないのであろうか。
それとも、入るタイミングを計りかねて廊下で待機しているのであろうか。

廊下に出ると、傍聴人が、
「すぐ結審や。(しかし)精神鑑定したらまた長うなる」
などと話している。

以上であります。

さて、精神鑑定が認められるかどうかですが、
この日のやりとりを聞いたかぎりではどうも苦しいような印象を受けます。

凄い少年自身が精神鑑定を求めていることをどう解釈するかですが、
心神喪失で無罪、あるいは心神耗弱で減刑を狙っているというよりは、
単に、行き掛かり上精神鑑定や心理テストを受けてしまった、
そしてその報告書を通読する機会が与えられたところ、
どうも自分の言い分が十分酌みとってもらってない、
だからやり直してもらいたい、というだけの話のような気がします。

酌みとってもらえたとしてだからどうなのかと尋ねられると
答えに詰まったりしていますが、
自分の気持ちを酌みとってもらうことそのもの、
換言すると「納得」がいくことそれ自体を求めているのでしょう。

ただ、それでは刑事裁判の論理に乗ってこないので、
心神喪失ないし心神耗弱の認定を求めるということで
精神鑑定申請という形式を取ることになるのだと思います。

まあ裁判所も色々と忙しいとは思いますが、
やはり当事者が納得の上で刑に服した方が矯正の実があがると思うので、
せっかく機会を与えてやっても沈黙がちで時間の無駄だとか思わずに、
とことんまで被告人の言い分を聞いてやってほしいと思います。


−−−
山本英司(龍谷大学非常勤講師)
E-mail: ymmteizi@kinet-tv.ne.jp

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☆於MailuX的編集後記☆

 どうも、またまた発行間隔が開いてしまいました。またまた取り込んでお
りまして、しかも依頼されたワークがまだ完了していなかったりするのです
が、11月12日の控訴審判決を前に、当メルマガも控訴審編に突入いたし
ます。と言っても、今回を入れて5回だけですが。
 前号の発行数は117でした。その前が101でしたので微増というとこ
ろですが、微増とは言え何でこの期に及んで新規購読者が入るのでしょうね
。とりあえずメイラックスのシステムで発行数だけは分かるのですが、誰が
購読していらっしゃるのか、数名の知り合いを除いてさっぱり分かりません
し、読者の反響というのもメール1本ございませんので、どういうところで
当メルマガの存在を知って購読に至ったのか、購読してみてどう思われたの
か、簡単な感想でも寄せていただければ幸いです。
 読者の反響の紹介ということで、
ニヒリストの憂鬱BBS
http://bbs8.otd.co.jp/nihilists/bbs_plain
なる掲示板への投稿を無断転載させていただきます。ここは、オウマーBB
S亡き後の(「休止中」とのことなので復活を期待したいのですが……)オ
ウマー界で最も活発な掲示板なのですが、かつてオウマーBBSを覗いてい
た人の多くがここも覗いているだろうということで、当メルマガでその内容
を再録しているところのBccメルマガの発行の前に「凄い少年控訴審速報
」なるものを私も投稿させていただいたりしております。

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6104  投稿者: 明智   [返信]  [削除] 2002/10/28 23:18 
>凄い少年公判傍聴記11inMailux
>http://www.mailux.com/mm_bno_dsp.php?mm_id=MM3DA46643C28C3

今凄少が25歳?だとすると最短の5年で出てきたとして
30歳。10年で出てきたとして35歳、最高15年で出てきたとして
40歳。法学的な量刑の妥当性については僕は何にも言えないけれど、
真中の10年くらいが一番いいんじゃないでしょうかねえ?
山本さんは出所後の生活設計について心配されているようですが、
大した学習もしないで早く出てきてしまうより、10年以上林間学校にでも
行ってる感じで職業訓練でもした方(特に肉体労働)が彼にとってはいい
のではないか、と思います。いえ、ね、僕も「五十過ぎて、住所不定、身寄り
無し」のオヤジと2、3ヶ月一緒に仕事したことがありますが、「ちゃんと生きてます」、息

してます、って。(ちなみにこのオヤジ、前歯が無く、歯ブラシの柄を小さく切って接着材

で歯茎に止めていた(^_^;))
そして、これは僕の想像と確信なのだが、刑務所の中っつったって結局そこには「寸分たが

わぬ社会」があるのだろうから、まずはそこに「社会復帰」していくこ
としかないんじゃないだろうか?特化されたカウンセリング云々はその次の話だろうと思う



 

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風邪ひかないように気をつけないと 
6116  投稿者: らく   [返信]  [削除] 2002/10/31 00:15 
>友ちゃ。
啓示、ですか。そーですか、受けちゃいましたか、啓示。
それはしょうがないですね、とにかく啓示ですから。
てか、ぜひともそのへんの啓示に関する詳しいソースきぼんぬ。(笑)

>明智さん
そうかあ、凄少、もう25か……。
明智さんが言うように、確かに彼にとって、早く出所できればそれがベストな
のかという話になると、微妙な問題だと思います。
もちろん、より長く刑に服せと言うつもりもないですが。
早く出所するにしろ、長く服役するにしろ、ゆっくりいろいろ考える時間とい
うものはたぶん必要なんだろうと思う、無責任な言い方かもしれないけれど。

(以下、凄い少年とは無関係なので略=山本)

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 それはそうと、インターネットの世界では3日も経てば完全に「時代遅れ
」ですが、10月29日・30日の日朝国交正常化交渉、やっぱり北朝鮮側
は日本政府の「約束違反」を言い立ててきましたね。「拉致という犯罪を行
っておいて何が約束か」というのが大方の世論でしょうが、しかし約束は約
束。北朝鮮が犯罪国家というのは前提であって、だから約束を破っていいと
いうことであればおよそ交渉というものが成立しないでしょう。それとも日
本は軍事力を用いて北朝鮮を屈服させようとでも言うのでしょうか。いった
ん日本が「約束違反」の前例を作ってしまえば、例えば横田夫妻の招待に応
じてのキム・ヘギョンさんの「一時帰国」の実現は極めて困難となるでしょ
う。いったん日本に渡してしまえば二度と北朝鮮に戻って来られないという
ことであれば、父が朝鮮人であるところの(実は日本人ではという説もあり
ますが)「共和国公民」であるキム・ヘギョンさんを、北朝鮮としてはとて
も出国させられないという理屈が十二分に成り立ちます。
 今回の「一時帰国」(という用語がマスコミ報道からは消えてしまったよ
うですが)した拉致被害者本人が、北朝鮮には戻りたくないということであ
れば、無理矢理北朝鮮に送還するわけにはいかないという理屈も確かに成り
立ちます。しかしながら、日本政府は「本人の意向に関わらず」北朝鮮には
戻さないと決めたわけでして、これは本来であれば人権侵害であります。
 それに対しては、「いや、本人の意向を問える状態ではそもそもないんだ
」ということのようでして、その理由としては、「子どもが人質に取られて
いる」ということが挙げられているようですが、ではそのあたりの障害を実
務的に取り除いて自由な意思の表明が妨げられないようにすればいいではな
いかと言っても、おそらく家族会の方々は納得しないことでしょう。結局の
ところは「洗脳されている」から「自由な意思の表明」はあり得ない、子ど
もに至っては「生まれたときから洗脳されている」と。しかしながら、「洗
脳を取り除いた」ところでの「本当の意思」なるものがそもそも存在してい
るのか、はなはだ疑問です。結局それは、新たな「洗脳」を施すことでしか
ないのではないでしょうか。
 このように考えてくると、北朝鮮という「カルト国家」から我が子を「救
出」しようとする家族というのは、統一教会やオウムなどの「カルト教団」
から我が子を「救出」しようとする家族とパラレルであると言えます。事が
拉致や誘拐などの犯罪を発端とするものであればまずもって原状回復が図ら
れるべきではありますが、いったん原状回復がなされた上で、なお本人が「
カルト」に戻りたいと意思表明したとして、なおも物理的強制力をもっての
身柄拘束の下での「説得」ないし「脱洗脳」が許されるのかどうか。私は許
されないと考えますが、この件について関心のある方は、米本和広著『教祖
逮捕―「カルト」は人を救うか』宝島社の「エピローグ 作られた言説―マ
インドコントロール論」をお読みいただければと思います。

★お知らせ                            ★
★2002年11月12日10時15分 大阪高等裁判所1003号法廷★
★凄い少年控訴審第5回(判決)公判                ★

編集・発行:山本 英司(やまもと えいじ)
E-mail: ymmteizi@kinet-tv.ne.jp
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