メルマガ:凄い少年公判傍聴記
タイトル:凄い少年公判傍聴記06[02/10/11]05:44Fri  2002/10/11


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凄い少年公判傍聴記06[02/10/11]05:44Fri
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凄い少年第8回公判報告
投稿者:山本英司 [non hostIP] 投稿日時:2001年9月17日(月)16時24分  削除:

です。
前回、せっかく関西まで来ながら傍聴に失敗してしまった
d5656さんと同じく、大阪地裁から御堂筋を北上したところにある
ビーブイネット北新地というネットカフェからです。
http://www.bvnet.co.jp

1月17日、1月31日、3月5日、4月25日、6月4日、6月25日、8月20日に続いて、
大阪地方裁判所にて、凄い少年の第8回目の公判が開かれました。
アルバイトのため、第5回目を中座し、第6回、第7回と欠席したわけですが、
ほぼ3ヶ月ぶりに凄い少年の姿を見ることが出来ました。

それではまずは恒例の概要から。

日時:2001年9月17日(月曜日)13時30分〜14時8分
場所:大阪地方裁判所第14刑事部 1004号法廷
担当:上垣、岩田、田辺裁判官
内容:
◇1 被害者の未亡人の証人尋問
 前回、被害者の息子さんの証人尋問が行われたようですが、
引き続き被害者(遺族)感情の立証のようです。
 証人「極刑を望む」
 なお、弁護側は反対尋問を放棄。
◇2 弁護側、立証計画書?を提出
 犯行直前の被告人について、情状証人を多数?申請の予定。
 具体的に誰が証言台に立つかは今後状況を見てということに。
◇3 次回期日の打ち合わせ
 2001年10月22日(月曜日)13時半〜16時半
 内容は情状関係の被告人質問。

さて、感想ですが、遺族感情、大変厳しいです。
第2回公判においては、命を大切にした故人の考えからも、
死刑は望まないが社会に出してはいけないということで、
無期懲役を希望する、という調書の概要が読み上げられていましたが、
公判廷での被告人の様子を見て、考えが変わったそうです。
一般論としてもちろん私は死刑には反対ですが、
まあ……被告人の態度があれでは無理ないですかねえ。

公判段階での精神鑑定が退けられて、
一時はもう論告求刑と最終弁論を残すのみで年内結審か、
と思われたのですが、どうやら情状証人が立つようです。
見逃せない展開になってきました。

あと、被告人質問はもう終わったかと思ったのですが、
情状関係の被告人質問というのがまだあるようです。

それでは以下、詳報。
例によって口調は必ずしも正確には再現できておりません。

13時30分から開廷のところ、25分頃に入廷。
一番前の列の中央ブロックの右端の席に着席。
既に書記?1人、検察官1人、司法修習生2人が入廷済み。
なお、この日の傍聴人は傍聴席が45席のところ半分の20人強ほど。

ノートを広げていてふと気配を感じて目を上げると、13時28分、
目の前に被告人が警備員2人にはさまれて着席しようとしている。
しまった、被告人が入ってくるとき目を合わすのに失敗してしまった。
灰色の服を着て、下は太股の半ばまでの同色の半ズボン。
前回d5656さんが報告?のとおり、無精髭を伸ばしている。

13時29分、弁護人2人が入廷。

13時30分、廷吏?の「起立」の声とともに裁判官3人が入廷。「礼」。
私の左隣に座っている3人連れ?の傍聴人が
「何で礼するんだろうね」などと小声で話をしている。

裁判長「被害者の尋問ですが、検察官より何かありますか」
検察官「精神的負担のため、被告人から見えないよう遮蔽を」
裁判長「弁護人は」
弁護人「異議ありません」

あらかじめ打ち合わせてあったらしく、
手際よくアコーディオンカーテンが運び込まれる。
被告人が真ん中から右側に移動し、証言台の間に斜めに遮蔽が置かれる。
完全に隠してしまうわけではなく、弁護人からは見える模様。
左側の傍聴席からも見えていたことであろう。
ちなみに、この日発言した弁護人は若い方のみ。

13時32分、証人入廷。
いつも見かける中年女性。

裁判長「氏名・職業はここに書かれているとおり?」
証人「はい」

廷吏が「起立」と呼びかける。

証人宣誓。
ここで氏名が読み上げられたが、以下匿名とさせていただきます。

裁判長が証言についての説明。

13時34分、検察側主尋問。

検察官「被害者の奥さんですか?」
証人「はい」

検察官「一時は死のうかと?」
証人「はい」

検察官「その時のお気持ちは?」
証人(沈黙)

検察官「どんな言葉でも結構ですので」
証人「つらさに耐えきれなかった」

検察官「会社の経営も引き継がれて大変でしたね」
証人「はい」

検察官「毎日そんな感じ?」
証人「現在会社は20代30代ばかり。
その人たちの生活を守りたいと会社では毅然としておりますが、
家に帰ると自分が辛くなって、マンションに住んでおりますが、
意識が無くなったり……(聞き取れず)。
娘が『お母さん大変だからお兄ちゃん呼んだ』と……(聞き取れず)」

このあたりから声の調子が涙声のような感じになる。
ただし、耳で聞いた感じでは、実際に泣き崩れはしなかった模様。

証人「『お母ちゃん死ぬなら私を殺して』と言われ、
娘を殺すならと、(自殺するのを?)思いとどまった」

検察官「娘さんの言葉で思いとどまったと?」
証人「三男もおりますし……」

検察官「***さんのことですか」
証人「はい」

検察官「***さんのことなんですけど、生前お父さんと絆が深かった?」
証人「はい」

検察官「現在でも話されてますか」
証人「***は主人と本当に一体。
コミュニケーションをとれず、言語能力は3歳だが、
社会人として立派に仕事をしていますが、
『お父さん帰ってこないの』と口癖のように言われる。
銭湯によく行っていましたが、『お父さん一緒に行かないの』と。
会社から帰ると、お湯呑みが3つ、あの子と主人と私のと、一人で飲んでいる。
お茶を淹れるのが日課でとても上手だった」

検察官「(被害者は)お茶を淹れられてどんな様子?」
証人「相好を崩して、***のお茶はいつもおいしいね、と」

検察官「***さんは洗車のお仕事を?」
証人「知識の面で(ハンディ?)がありますので肉体の仕事を。
大きな車になると1日スクワットをしている感じ。
アカギレは毎年で、手首がよく腫れる。
主人がいつも病院へ連れていっていた。
(主人がいなくなって)半身もがれている状態」

検察官「公判廷毎回来られてますね。
被告人の姿見てどんな感想を?」
証人「同じ年代でありながらもう1人は社会で働き納税の義務も果たしていた。
公判今まで来させていただいて、被告人の態度、身なり見てまして、
どれだけ反省してるか(疑問)」

検察官「被告人見て、失礼ですが、***さんより能力ある人だと?」
証人「***は養護学校。
被告人は大学まで籍を置いていて、
公判でも自分の意思をちゃんと伝えているのに、
どうして***をサポートする父の命を奪ったのか」

検察官「被告人は努力すればちゃんと生活できたのに、と。
被告人が刑務所に行きたいと言っていることは?」
証人「当初は何が何だか分からず、何かの間違いだったのだろう、
息子と同じ年代だし、何とか被告の立場を考えてみようと思っていたが、今は、
社会に順応できなくて刑務所に入りたいというのは絶対に許すことができない。
***の税金で刑務所の糧を得ることは絶対に許すことができない。
***も、会社の社員も納税が大変」

検察官「検察庁で無期懲役にしてほしいと言っていたお気持ちは変わられた?」
証人「変わりました。
父は苦労して子どもを育てたのに、刑務所で糧を得るとは許せない。」

検察官「刑務所に入れると被告人の思い通りじゃないかと?」
証人「***が納税の義務を果たしていく(のに対し?)、
一生働かなくて済むのは許せない」

検察官「ご主人も死刑を望んでいたと思われますか」
証人「一緒に暮らしてきたので考え方は分かる。主人も許さないはず」

検察官「間違ったことを許さない方?」
証人「優しいは優しい人ですが、間違ったことは絶対許さない人」

検察官「事件の後、ご遺体の確認を?」
証人「(涙声で)はい」

検察官「ご遺体のお清めは?」
証人「(涙声で)……ホチキスで縫ったような顔……。
司法解剖があるので連れて帰ることもできなかった。
拭いてくださったのであろうが、手の先に血が残っていた。
半年前に母を亡くした時は、天寿を全うして本当に納得したが……。
(聞き取れず)お母さんに申し訳ない、傷痍軍人で(聞き取れず)……。
それを誰が責任取るんでしょうか」

検察官「最後ですので裁判官に何か言いたいことは?」
証人「当初は同じ年代の親として彼を理解しようとしたが、
今は絶対に許すことができません。
現代の社会で、(矯正は期待できない?)
誰が償いをしてくれるのでしょう」

13時55分、検察側主尋問終了。

裁判長、弁護側に反対尋問を促すも、

弁護人「ございません」

と反対尋問を放棄。

引き続き裁判長が尋問。
検察官から裁判長に交代してから、急に証人の声の調子がしっかりする。

裁判長「最後よく分からないので……。***にどう償いをと?」
証人「***は働くことは出来るが、空いた時間を過ごすことが出来ない。
誰かがサポートしなければいけない」

裁判長「今は誰がサポートを?」
証人「私です。会社の社員も」

裁判長「会社はいまあなたが役員?」
証人「(被害者が亡くなった)当初は社長(を引き継いだ)。
今は理解ある人に代わってもらっている。
自分は役員、以前と同じ経理の仕事」

裁判長「事件後、収入は?」
証人「家計は4分の1に。
会社はもっとひどい。不況のせいもある」

裁判長「失礼だが倒産の可能性は?」
証人「今は大丈夫」

裁判長「(前回の証人尋問で)息子さんは(被告人を)死刑にしてほしいと
おっしゃっていた。(その際の)僕とのやりとりについて何か言いたいこと?」
証人「息子も申しましたように、今は私も死刑を望みます」

13時59分、証人尋問終了。

証人退廷。
アコーディオンカーテンが片付けられる。

弁護側が提出していたらしい紙が書記?より裁判長に渡される。
それを回しながら裁判官、ひそひそと協議の模様。

さきほどの証人が改めて傍聴人として傍聴席に途中入廷。

今後の進め方についてのやりとり。

裁判長「次回は弁論期日の指定?」
弁護人「弁護方針の説明を……。
(証人については?)なお調整中……。
少し時間をいただいて……。
検察と裁判所に連絡を……」
裁判長「検察官のところ(この紙)いってますか」
検察官「期日についてはしかるべく。
……これ全員ですか?」
弁護人「いえいえ、期日の確保が……」
裁判長「必要性の問題がひっかかってくるので……
どういうことを立証されようと……」
弁護人「犯行直前に交流のあった方から被告人の状況についてと、
今回の事件についてどう思っておられるかの2点です」
裁判長「情状関係の被告人質問は?」
弁護人「1回か2回(いただければ)。手紙を書かせている」
裁判長「情状証人についてはかたまって考えてますが……。
次回は情状関係の被告人質問ということで、
(情状証人については)状況を見ながら考えて……」

そういったやりとりの後、次回期日の打ち合わせ。

10月22日の午後1時半から4時半ということになる。

今後について、弁護人の方で何かあれば事前に連絡ということに。

最後に裁判長が被告人に語りかける。

裁判長「次回はあなたから事情を聞きます。
今回の話を踏まえた上で、何を考えているかも。
話すの苦手ならば手紙でもいいので。いいですね」

14時8分、終了。

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☆於MailuX編集後記☆

あ、当メルマガ第3号から第5号、ずいぶん時間が掛かりましたが、ともあ
れ、現在のところ唯一の読者である私の手元にちゃんと届きました。

細かい話ですが、今回の傍聴記の元となった投稿においては、シグネチャが
省略されておりました。つまりそのままを再現しております。
この頃以降、掲示板への投稿にあたって私はシグネチャを省略するようにな
ります。私はインターネットがパソコン通信と違ってもともと学術ネットワ
ークとして使われていた頃の感覚をずっと引きずっておりまして、fjニュー
スグループに投稿するのと同じような感覚で掲示板への投稿を続けておりま
したが、私の投稿だけ非常に「浮いて」しまっておりました。私としては責
任の所在を明らかにするのが当然であるという感覚でしたが、「学歴をひけ
らかしている」という批判?の声も上がり、逆に私の方がネチケット(死語
?)に反しているかのような雰囲気になってしまった次第です。

この時点で弁護人としてはかなりの人数の証人を考えていたようでしたが、
実際に実現したのは第9回公判で証言された滝本弁護士ただ一人となりまし
た。他の証人が実現しなかった理由が、断られたのか、裁判所に必要性を認
められなかったのか、そのあたりは分かりません。ちなみに私には弁護人か
ら一切接触がありませんでした。私の方から接触しようともいたしませんで
したが。

★告 知                             ★
★2002年11月12日10時15分 大阪高等裁判所1003号法廷★
★凄い少年控訴審第5回(判決)公判                ★
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