メルマガ:凄い少年公判傍聴記
タイトル:凄い少年公判傍聴記05[02/10/10]13:38Thu  2002/10/10


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凄い少年公判傍聴記05[02/10/10]13:38Thu
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凄い少年第5回公判報告
投稿者:山本英司 [non hostIP] 投稿日時:2001年6月6日(水)18時49分  削除:

です。
1月17日、1月31日、3月5日、4月25日に続いて、6月4日、
大阪地方裁判所にて、凄い少年の第5回目の公判が開かれました。

前回の報告でもお知らせしましたが、今回はアルバイトのため、
途中で中座せねばならず、尻切れトンボの報告とならざるを得ません。
また、次回期日の打ち合わせは公判の最後になされるところ、
それを聞くことができませんでしたので、
今のところは次回期日も分かりません。
凄い少年から期日を手紙で知らせてもらえる予定ですが、
2、3週間経っても連絡が来ないようでしたら
大阪地裁に問い合わせてみるつもりです。
期日が分かり次第、当掲示板にて報告する予定です。

それではまずは恒例の概要から。

日時:2001年6月4日(月曜日)14時30分〜15時55分(中座)
 ※予定では16時30分までのところ、実際にいつ終了したかは不明
場所:大阪地方裁判所1004号法廷
担当:上垣、岩田、田辺裁判官
 ※実は前回から裁判官が1名交替していたところ、
  前回は法廷前廊下のホワイトボードのメモを取り忘れていたが、
  山田裁判官が岩田裁判官に交替していたことが判明。
内容:
◇1 弁護側、証拠を提出。
 弁第1号証(被告人の心境を記した遺族への手紙)
 弁第2号証(起訴前の精神鑑定書への被告人の意見)
 なお、内容を読み上げることはなされず、書状の提出と確認のみ。
 ※弁号証というのは初めて聞いた。
  証拠は、原告側(刑事裁判では検察官)提出が甲号証、
  被告側提出が乙号証だとばかり思っていたのだが。
  そう言えば乙号証というのが既に出て来ているのであるが、
  甲号証と乙号証はどういうカテゴリーなのであろうか。
◇2 検察官、弁護側申請の精神鑑定に反対の意見書
 前回期日の4月25日付でなされた精神鑑定申請に対するもの。
◇3 被告人質問(続行)
 ハシグチ弁護人による被告人質問に引き続き、
 検察官が被告人質問を行う。
 なお、前回期日同様、裁判長も随時質問を行う。
 ※検察官による被告人質問の途中で私(山本)は中座。

さて、感想ですが、相変わらず被告人はハキハキと答えず、
おかげでメモが取りやすかったわけですが、
前回期日と比較すると、被告人の側も質問する側も慣れてきたのか、
被告人が口を開くことが若干多くなったとの印象を受けました。
「被告人質問」というより「面接」を重ねていけば、
もっと多くのことが語られていくのではないでしょうか。
裁判所がいつまでそれを許すか、また、
そもそも被告人質問は次回期日以降も続けられるのか、
この日は最後まで傍聴できなかったので分からないのですが。

あと、傍聴席が全部で45席のところ、
前回期日はおよそ半分の入りだったわけですが、
今回はほぼ満席となりました。
それも、マスコミ関係者や被害者の遺族関係の方ではなく、
何と言うか、「一般」の傍聴人が多いように見受けられ、
しかも、途中の入退出が目立ったような気がします。
何か大学の法学部とか市民団体とかの見学でも入っていたのでしょうか。
それとも、当掲示板を見て興味をもたれた方が来られたのでしょうか。
それはそれでまあいいのですが、
私の傍聴席が無くなるような事態だけは避けたいなと、
まあ勝手な希望なのですが。

あと今回、凄い少年の新たなペンネーム(筆名)、
「盲東未錯患(くまたさわ)」が初めて法廷で明らかにされました。
法廷では「クマタサワ」との発音しか
当然傍聴人には分からなかったわけですが、
実は私は漢字も知っております。
と言うのは、ある時期より、凄い少年から私(山本)宛の手紙に、
そのペンネーム(筆名)が添えられるようになったからです。
本人は、このペンネーム(筆名)について、
「筆名のいわれについては秘密ですが、電子メール
その他で、使っていただいても構いません。」
と私(山本)宛の手紙に記していたところ、
特に私の方で公開するつもりは無かったのでしたが、
今回法廷で明らかにされたため、ここで明らかにする次第です。
それにしても遺族宛の謝罪文(と思われる)を
「盲東未錯患」名で書くというのは何というか……ううむ。

ともあれ以下、詳報。
例によって聞き取れなかったところや推測で補った部分もあります。
また、うなづき等の身振りは見逃した部分もあろうかと思います。

この日は午前中、大学院でゼミがあったため、
昼食弁当を京都から大阪への京阪の特急の車内でとったものの、
大阪地裁に駆けつけてみると開廷予定時間の14時30分ギリギリで、
傍聴席に入廷してみると、既に関係者は全員入廷しており、
今まさに被告人の拘束が解かれようとするところであった。
いつもは最前列の真ん中の席に座るところ、
席が空いてなかったので最前列の右端に着席。

裁判長「それでは弁護人の方から」
弁護人「はい」

と、第2回公判から付いた若い方のハシグチ弁護人が答え、
書証を示す。被告人に対してか「法廷」に対してかよく分からないが。

弁護人「弁第1号証と弁第2号証を示します。
弁第1号証はご自身のお気持ちを書いたご遺族へのお手紙、
弁第2号証は鑑定書への意見」

証拠として提出することに検察官は異議を唱えず、
弁護人、裁判長まで証拠として提出。

続いて検察官が、前回期日の最後に弁護人が正式に申請した
被告人に対する精神鑑定についての意見書を裁判長に提出。

検察官「不必要ということです」

と口頭でも発言。

裁判長「被告人、前へ」

と促されて被告人が証言台の前に座る。

裁判長「じゃ、弁護人、聞いていただけますか」

と促されてハシグチ弁護人が質問に立つ。
なお、この日、第1回公判から付いていたイケダ弁護人は、
少なくとも私が傍聴していた時点においては一切発言しなかった。

弁護人「弁第1号証と弁第2号証を示します。
(被告人に示して)いずれもあなたの字、間違いないですね?」
被告人(うなづく)

弁護人「手紙は私宛ですね?」
被告人「はい」

弁護人「内容について、接見を通じて検討しましたね?」
被告人「はい」

これまで被告人に示していたのは写し(コピー)だったようで、
弁護人、裁判長より原本を拝借。

弁護人「(被告人に)原本を示します。ボールペンで書いてますね。
この原本をどうするかは、検察官とも相談して、
関係人とで決めていいですね?」
被告人(うなづく)

前回期日では被告人が沈黙しがちであったところ、
文書なら語りやすいということで文書をまとめてくることになった
わけであるが、それならその文書が被告人によって朗読されるかと
期待していたら、この話はこれで終わってしまう。
裁判所に文書を証拠として提出しただけの模様。

弁護人「取り調べについて。乙号証全部差し入れてますね?」
被告人「はい」

ということで調書は乙号証だということが分かる。
したがって弁護側提出証拠が乙号証ではないわけである。
となると甲号証は何であろうか。

弁護人「取り調べで話したことで、調書に出てないことあります?」
被告人「はい」

弁護人「それから、小学校の殺人予備罪について
最初におうかがいするんだけども、
自転車をとった(盗んだ)?」
被告人「はい」

弁護人「マスクはしてましたか?」
被告人「はい」

弁護人「ショルダーバッグをしょっていた?」
被告人「はい」

弁護人「その中に声明文を入れていた?」
被告人「はい」

弁護人「ナイフはどこにいれていた?
調書では『覚えていない』とあるが」
被告人(沈黙)

弁護人「分からない?」
被告人(沈黙)

弁護人「ショルダーバッグの中にいれたことは間違いありませんね?」
被告人「はい」

弁護人「最初女の子2名に会いますね?」
被告人「はい」

弁護人「それから男の子にも会いますが、
子供を殺すのをやめようと思ったのは、
女の子を見て(た?)から? 男の子を見て(た?)から?」
被告人「両方です」

弁護人「その日(2000年3月)13日に小学校に行こうと
決めたのはいつからですか?」
被告人「分かりません」

弁護人「あなたね、13日の前の日、1日どう過ごしていたかとか、
記憶ありますか?」
被告人「あまり無い」

弁護人「調書に出て来ないんで聞くんだけども」
被告人「記憶が無い」

弁護人「どういうことかな、前回の話にもあったように、
1日中ずっと下宿に居て、現実かどうかはっきりしないという状況?」
被告人(沈黙)

弁護人「じゃあこう聞きましょう、(そういう話を)
捜査段階で調書化された記憶は?」
被告人「無いです」

弁護人「公訴事実について、気持ちについて、
手紙を書いている、それでいいですね?」
被告人「はい」

弁護人「また機会があれば提出したい、と?」
被告人「はい」

弁護人「それから、その日小学校から帰ってきて、
本件殺人の日まで、(テレビアニメの)コナンを見たと、
どういう気持ちだったか記憶に無い?」
被告人「はい」

弁護人「(その日は)寝られなかったとかについて、
捜査段階で話をした記憶は?」
被告人「無い」

弁護人「小学校から帰ってきて、あなたの心境は?」
被告人(沈黙)

弁護人「都島の拘置所の近くに自転車乗り捨ててるね?」
被告人(沈黙)

弁護人「殺人行為について、やめようかと思ったりは?」
被告人(沈黙)

弁護人「質問の趣旨よく分からん?」
被告人「いや分かります」

とはっきり答えたものの沈黙を続ける。
裁判長、割って入る。以下、裁判長は随時質問を行うことになる。

裁判長「どうですか?
人を殺すのやめようと思ってなかったの?」
被告人(沈黙)

裁判長「答えられませんか?」
被告人(沈黙)

弁護人「弁第1号証ね、あなた手紙書いてもらいましたね?」
被告人「はい」

弁護人「弁護人ハシグチ宛に送ってもらった、
証拠として提出すると?」
被告人「はい」

弁護人「手紙の中では気持ちが表れていると思うんだけど?
手紙の方が自分の気持ち説明しやすい?」
被告人「はい」

弁護人「その作業はまだ続けさせてもらいたいと?」
被告人「はい」

弁護人「とりあえず終わります」

14時45分、弁護人側からの被告人質問が「とりあえず」終了。
今後もあるのだろうか。

続いて検察官が質問に立つ。

検察官「(これまでの弁護人と裁判長による)質問に答えなかった
(ことが多かったが)、答えられないのか、答えたくないのか、
どっちなんですか。両方あるなら両方あると(言って下さい)」
被告人(沈黙)

検察官「ちょっとおおざっぱ過ぎるかな、質問が」
被告人(沈黙)

検察官「文章ではあなた、書けるわけ?」
被告人(沈黙)

裁判長「答えてくれませんか。
前回ね、傍聴席で大きな声がしたとき、あなたビクッとしましたね。
退席してもらったけど、そのとき(私が)どう言ったか覚えてますか?
真実を明らかにすることが大事なんだと言ったらうなづきましたね?」
被告人(うなづく)

裁判長「あなたね、問いに対して反応してますよね、
でも答えが返ってこないのは(どうして?)」
被告人(沈黙)

裁判長「話はできますよね?」
被告人「はい」

裁判長「聞かれてることは分かりますよね?」
被告人(うなづく)

裁判長「この(この日証拠として提出された)あなたの謝罪文を見ても
これはなかなか、と思うところもあるが、なぜしゃべれないのか?」
被告人(沈黙)

裁判長「言葉として出てこないの?」
被告人(沈黙)

裁判長「それともこれを言うとそれこそ非難されるから?」
被告人(沈黙の後)「分かりません」

裁判長「うまく言えない?
きっちりしようとすればするほど言葉が出てこない?」
被告人「そうです」

裁判長「そんなきれいに言わなくても、言って、言い直してもいいので、
ちゃんと言ってくれませんか?」
被告人(沈黙)

裁判長「(殺人予備事件の日に)コナンは見ましたよね、
(その晩)寝られなかったのか、それは言えませんか?」
被告人(沈黙)

裁判長「今記憶に無い? そういうこと?」
被告人(沈黙)

裁判長「(次の日=殺人事件の日は)何時に起きました?」
被告人「分かりません」

裁判長「いつ出掛けました?」
被告人「当日?」

裁判長「うん、当日の」
被告人「7時前後」

裁判長「外の様子はどうでした?」
被告人(沈黙の後)「分かりません」

裁判長「分からない、でもちゃんと答えられるよね。
(検察官に)どうぞ」

検察官「あのー、私の質問が分かりにくかったら
分かりにくいと言って下さいね。
あなたもともと宗教には興味あったんですか?」
被告人(沈黙)

検察官「それでは宗教に自分が入信したいと思ったことは?」
被告人「(聞き取れず。あった?)」

検察官「いつ頃からそういう考えが出てきました?」
被告人(沈黙)

検察官「大体でいいんだけどね、例えば中学校何年頃とかね」
被告人(沈黙の後)「大学に復学した頃」

検察官「あなたオウム真理教に興味持ってたみたいだけど、
あなた教祖に対してどう思った?」
被告人(沈黙)

オウム真理教の話題が出たところで傍聴席に少しばかり笑い声。
遺族の反応としては違和感を感じたところ、
この頃より、「一般」の傍聴人が多いことに気付く。

検察官「質問分からない?」
被告人「いや分かります」

検察官「話しにくいの? それとも話したくないの? どっち?」
被告人(沈黙)

検察官「別に考えまとめてから話さなくてもいいと思うんですけどね」
被告人(沈黙)

検察官「ちょっとあの悪い意味で聞くんじゃないんだけども、
弁護士の先生から、質問の趣旨をよく理解してから答えるようにと
アドバイスを?」
被告人「(聞き取れず、受けてない?)」

検察官「いいかげんなこと言ってはいけないとアドバイスを?」
被告人「(聞き取れず、そんなことはない?)」

検察官「じゃあ何で? 考えがまとまらないの?」
被告人(沈黙)

検察官「アオイセイキョウってあなた作りましたね、
ビラも作りましたね、これは本気で信者を集めようと思ったんですか?」
被告人(うなづく)

検察官「自分で宗教を作りたいと思った理由は何なんですか?」
被告人(沈黙)

検察官「あのオウム真理教もね、教祖がね、
自ら神のように振る舞ってますよね、振る舞ってましたよね。
それにあこがれてました? 自分もこういう人間になりたいと?」
被告人(沈黙の後)「少し」

検察官「ハシモトミモトとかカチナカタ(門命半諮堂)とか、
あなたが作り出したと認識?」
被告人「はい」

検察官「あなた自身がカチナカタ(門命半諮堂)になるとはどういうこと?」
被告人(沈黙)

検察官「アオイセイキョウのことで言えば、
ハシモトミモトの名を名乗って自分が教祖になりたい、そう思った?」
被告人(沈黙)

検察官「あなたの意思とは無関係にハシモトミモトという人格が現れると、
そういうことではないわけでしょう?」
被告人(沈黙)

裁判長「(おそらくはこの日提出された弁第1号証を読みながら)
クマタサワ(盲東未錯患、なぜ私が漢字を知っているかは既述)ね、
これどういうこと? 何か宗教ですか? どういうことで出てきたの?」
被告人(沈黙)

裁判長「まずヨミが出てきたの、それとも漢字から出てきたの?」
被告人(沈黙)

裁判長「これはどういうことから出てきたの?」
被告人(沈黙)

裁判長「ローマ字も書いてある、ローマ字からですか?
ローマ字なのか、ひらがななのか、漢字なのか?」
被告人(沈黙の後)「数字です」

裁判長「どういう数字?」
被告人(沈黙)

裁判長「最初の数字はどんな数字?」
被告人(沈黙)

裁判長「数字を当てはめていったわけ?」
被告人(うなづく)

裁判長「どういう数字? 教えてくれる?」
被告人(沈黙)

裁判長「最初の数字は何?」
被告人(沈黙)

裁判長「答えられない? 言いたくない?
言いたくないならそう答えてくれた方がいいし(苦笑しながら)」
被告人(沈黙)

裁判長「カチナカタ(門命半諮堂)から変わりましたよね、今回、
どういうわけで?」
被告人(沈黙)

裁判長「(クマタサワが数字からというので)9、10、11?
そういうんではない? ちょっと教えてくれる? 言いたくない?」
被告人(うなづく)

裁判長「(検察官に)じゃ」

検察官「あなたね、被害者の方に手紙書いてるね、
申し訳ないと思ってるの?」
被告人(うなづく)

検察官「じゃ、あったことね、全部話してくれない?
ゆっくりでもいいからね。言いたくないんであれば言いたくない。
そうでなければ話してもらえないかな?
カチナカタ(門命半諮堂)なんですけどね、これは門命半諮堂という人格が
現れてあなたの人格が無くなったというわけではないんですね?」
被告人(沈黙の後)「分かりません」

検察官「門命半諮堂はあなたが考えたの? 門命半諮堂は自分だと、
そういう認識をあなたが持ったと?」
被告人(沈黙)

検察官「分かりません? 私の言ってることが?」
被告人「分かりません」

検察官「じゃ、門命半諮堂という名前を名乗って
みんなの注目を浴びたいという気持ちはありましたか?」
被告人「あった」

検察官「あったと思う、じゃ門命半諮堂という名前を名乗って
殺人行為をして、みんなの注目を浴びたい、そういう気持ちがあった?」
被告人(沈黙)

検察官「そこはどうなんですか?」
被告人(沈黙)

検察官「そういうことのきっかけとして
てるくはのる事件があるというんじゃないですか?」
被告人(沈黙)

検察官「答えられません?」
被告人「分かりません」

検察官「じゃあもっと端的に言うけども、
当時孤独だったという意識があった?」
被告人「あった」

検察官「その孤独を打ち消すために今回の事件をやったというんでないの?」
被告人(沈黙)

検察官「分かりませんか?」
被告人「(聞き取れず)」

検察官「てるくはのる事件とかオウム事件とか、
あんなことをやって注目を浴びたいと思ったことは?」
被告人(沈黙)

この頃、裁判長が傍聴席より向かって右の若い裁判官と、
おそらくはこの日証拠として提出された文書を一緒に見ながら、
何やらしきりにうなづきあっていることに気付く。

検察官「多少あった?(と被告人が小声で言ったことを復唱?)
それとともにてるくはのる事件の犯人に共感を覚えた?」
被告人(うなづく?)

検察官「今回包丁を使いましたね、他に刃物は(持っていましたか)?」
被告人「はい」

検察官「バタフライナイフはどうですか?」
被告人「はい」

検察官「サバイバルナイフは?」
被告人「はい」

検察官「こういうナイフを持ってるのに使わなかったのは?」
被告人「調書のとおり」

検察官「今答えてくれませんか?」
被告人「持ってる人が少ないから」

検察官「持ってる人が少ないから、だからどうなの?」
被告人「(聞き取れず)」

検察官「じゃあ最初から凶器を現場に残して立ち去るつもりだった?」
被告人「分かりません」

検察官「そういうことになるかもと?」
被告人「分かりません」

検察官「何で分からないの?」
被告人(沈黙)

検察官「(2000年)3月13日に小学校に行ってますね、
そのときどういう服を着てましたか?」
被告人「(聞き取れず)」

検察官「黒いジャンパーに黒いズボンですか?」
被告人(沈黙)

検察官「最初何で小学生を狙おうと思ったんですか?」
被告人(沈黙)

検察官「答えられないんですか、それとも答えたくない、どっちですか?」
被告人(沈黙)

検察官「質問の趣旨分かりませんか?」
被告人「(質問の趣旨は?)分かります……(その上で?)分かりません」

検察官「家の近くでやりたくないと
(捜査段階で?)答えたのは覚えてますか?」
被告人「覚えてません」

検察官「今思い出して下さい。どうですか?」
被告人「(聞き取れず)」

検察官「自転車を盗んだ(が)、自分の自転車もあったんですか?」
被告人「あった」

検察官「自転車で行かなくてはいけなかったんですか、
歩いてはいけなかったんですか?」
被告人(沈黙)

裁判長「自転車の方が移動しやすい(から自転車で行った?)」
被告人(沈黙)

裁判長「自分の自転車でないわけ?」
被告人(うなづく)

裁判長「(自転車を使ったのは)自転車の方が動きやすい、逃げやすいという
(からではないかという趣旨の)問いのように聞こえたけど違いますか?」
被告人(沈黙の後)「小学校(聞き取れず)遠い(聞き取れず)」

裁判長「何で自分の自転車でなかったの?」
被告人(沈黙)

裁判長「普通の人から見ると足がつかない、逃げるのにいいと?」
被告人「それもある」

裁判長「結構考えてたんだね、そういうこと?」
被告人(沈黙)

裁判長「あったのならあった、違うなら違うと」
被告人「逃げる時点で足がつかないと思ってた。
逃げるのに自転車を乗り捨てたら……」

裁判長「僕の言ったこと矛盾してるかな?」
被告人(沈黙)

裁判長「おかしいと思ったんちゃう?」
被告人(うなづく)

裁判長「置いとけば足がつく、置いとかなければ足がつかない?」
被告人(うなづく)

裁判長「自分のじゃない、動きが速い、そういうこと考えたのでは、と?」
被告人「あった」

裁判長「あったと思う、(検察官に)では」

検察官「大ざっぱに聞くけど、小学生を殺せなかった理由は何なんですか?」
被告人(沈黙)

検察官「この点何か優しさが出てるように思うんですけどね、一瞬でも。
どういう気持ちで小学生を殺せなかったんですか?」
被告人(沈黙)

裁判長「どうですか? 答えを求めてるところもあるんですけどね」
被告人(沈黙)

裁判長「子供だと、将来もあるし可哀想だと?」
被告人「あったと思う。その瞬間は」

裁判長「でもまずは子供を殺さなあかんと」
被告人(うなづく)

裁判長「でも実際には殺せなかった」
被告人(うなづく)

裁判長「その理由は? 学校の先生が出て来たからではなかった、
子供が何人かいたから?」
被告人(沈黙)

裁判長「一人だったらブスッといけるかもしれなかった、
それともやっぱり可哀想だと思ったから?」
被告人「それもあります」

裁判長「それもと言うと他には?」
被告人(沈黙)

裁判長「他に何があったの?」
被告人(沈黙)

裁判長「他には無い?」
被告人(沈黙)

裁判長「何か考えてるんでしょ、それを説明してほしい」
被告人(沈黙)

裁判長「アオイセイキョウを広めるためにやろうと思ったんでしょ?」
被告人(沈黙)

これは裁判長の勘違いと思われる。犯行時点では被告人は、
アオイセイキョウの教祖ハシモトミモトではなく
門命半諮堂(カチナカタ)であった。

裁判長「違う? 行ったことは認めるんでしょ?」
被告人「はい」

裁判長「やらなかった理由に子供が可哀想だったと?」
被告人(うなづく)

裁判長「それ『も』と言ったのでそれ以外に何があったのか?」
被告人(沈黙)

裁判長「うまく言えません?」
被告人「言える」

裁判長「言える、じゃあ言って?」
被告人(沈黙)

裁判長「言って。どんな言い方でもいいし」
被告人(沈黙の後)「先生らしい人が近くにいたから」

15時30分、速記者交替。

裁判長「(検察官に)どうぞ」

検察官「先生らしき人がいたから気になったというのは?
つかまりやすいと思ったから?」
被告人「つかまりやすいと……」

検察官「ただあなたはね、(調書にあるが)
こういう犯罪をすることで刑務所に行きたいという気持ちはあった?」
被告人(沈黙)

検察官「刑務所に行って社会から逃げたいという気持ちはあったんですか?」
被告人「多少」

検察官「目撃されたり足がついたりしたらすぐに刑務所に行けると分かっていた、
すぐに刑務所には行けない、すぐつかまってはいけない理由は?」
被告人「(聞き取れず)」

検察官「それはどういう理由ですか?
自分のやったことを世間に知ってもらうのに時間が必要とは?」
被告人「はい」

検察官「どれくらい?」
被告人「3カ月」

検察官「捜査段階で(言っていた)自己嫌悪とは?
自分は何とイヤなことをしているんだろうと?」
被告人(うなづく)

検察官「どういうこと? 馬鹿げたことだとは考えなかったわけ?」
被告人(沈黙)

検察官「なぜ自己嫌悪に陥ったのですか?」
被告人(沈黙)

検察官「うまく言えない、それとも話したくない、どちらですか?」
被告人(沈黙の後)「子供だって」

検察官「子供だっていうこと。で、どうなんですか?
まだ子供だから殺すのは可哀想と?
そういうふうに考える自分がイヤになった?
そうではない?」
被告人(沈黙)

裁判長「(聞き取れず)」
被告人「それもある」

裁判長「あなたそれ口癖か、それ『も』あるというのは。
職業的なんか、それ『も』と聞くと他のもあるのかと思ってしまう。
極端に言えばそんなこと(子供を殺すこと)も出来ないのかと自己嫌悪、
そういうことでもない?」
被告人(沈黙)

裁判長「自分が無意味なことをしているとそれで自己嫌悪、
そうでもない?」
被告人(沈黙)

裁判長「何か言いたいことあるかな、ヒントでも与えてくれたら」
被告人(沈黙の後)「帰ってから(聞き取れず)」

裁判長「(傍聴席から向かって右側の裁判官と顔を見合わせて)
帰ってからあとのことはあまり覚えてないということ?」
被告人(うなづく)

裁判長「でも現場で思ってた意識でしょ?」
被告人(沈黙)

裁判長「聞き逃した、僕、何か?」
被告人(沈黙)

裁判長「(検察官に)じゃ、聞いて」

検察官「じゃもっかい聞くけども、
やると決めて出たのにやれなかった自分に自己嫌悪?」
被告人(沈黙)

裁判長「そうじゃないということですか?」
被告人(沈黙)

検察官「それは違うわけね?」
被告人(沈黙)

検察官「(2000年3月)14日、外に出るとき自転車?」
被告人「いえ」

検察官「歩いて、それは何でですか?」
被告人(沈黙)

検察官「何か理由あるんですか?」
被告人(沈黙)

検察官「自分の自転車あるんですよね?」
被告人(うなづく)

検察官「それ使わなかった、何か理由あるんですか?」
被告人「前回と同じ理由」

裁判長「自分の自転車使ったら足がつく、ばれる?」
被告人「それもありますけど、(聞き取れず)」

検察官「じゃ自転車盗んだの?」
被告人(沈黙)

検察官「じゃマスクはしてましたか?」
被告人「多分してない」

検察官「事件のときはマスクしてました?」
被告人「してました」

検察官「マスクしていた理由は?」
被告人(沈黙)

検察官「この日は小学校のことは考えなかった?」
被告人「多分考えて(ないと思う?)」

検察官「どういう人を襲おうと思ってました?
中年とか老人とか若い人とか?」
被告人「そういうのはないです」

検察官「自分のお父さんと同年代の人を狙おうと思ったことはあります?」
被告人「はい」

検察官「それはいつの時点で?」
被告人「2、30分前に」

検察官「事件の2、30分前?」
被告人「はい」

検察官「それまでにあの人殺そうと思った人いてました?」
被告人(沈黙の後)「10人前後」

検察官「その10人前後について殺さなかった理由あるんですか?」
被告人(沈黙)

検察官「タイミングが悪かった?」
被告人「ありました」

検察官「相手がちょっと大きくて負けそうだとか?」
被告人「そういうのはありませんでした」

検察官「あの人はちょっと可哀想だとかは?」
被告人(沈黙)

裁判長「あったんですか、なかったんですか?」
被告人「目が合ったりしたんですが(聞き取れず)」

検察官「目が合ってどう思ったんですか?」
被告人(沈黙)

検察官「目が合ってしまったら殺すのをためらってしまうとか、
ちょっと可哀想だとかいう気持ちがあった?」
被告人(沈黙)

検察官「今回の事件の直前だけども、疲れたからやめようとは思わなかった?」
被告人(沈黙)

検察官「じゃいいです。
今回の、(2000年3月)14日の被害者を見付けたときに
どうしてあなたは殺そうと思ったんですか?」
被告人(沈黙)

検察官「(被害者の)背格好は? 大きかった? 小さかった?」
被告人「小さかった」

検察官「いくつくらいの人に見えましたか? 大体でいいです」
被告人(沈黙)

裁判長「ある程度歳いってる人?」
被告人「40歳前後」

検察官「小柄だから、この人なら襲っても反撃されることはない、
もしくは反撃されてもこわくはない、そういうこと考えました?」
被告人(沈黙)

検察官「あなたとしては反撃されて失敗したらいやなわけでしょう?」
被告人(沈黙)

検察官「失敗したら失敗したでよかったの?」
被告人(沈黙の後)「そんなに変わらなかった」

検察官「捜査段階で、この人なら殺せると、そういう話をしてるんだけど?」
被告人「そういうのもあった」

検察官「他は? 大体体力的にいけそうだという人を殺そうと?」
被告人(沈黙)

検察官「分からないか質問? 分かります?」
被告人「分かります。現場ではあまり疲れてなかった」

検察官「疲れてたから体力的に勝てそうな人をということじゃないの?」
被告人(沈黙の後)「それもありますけど」

検察官「それもあります、他にどんな理由があります?」
被告人(沈黙の後)「そのころはあまり疲れていることは分からなかった」

検察官「でも捜査段階で(聞き取れず)」
被告人「疲れてたと思うんですけど」

検察官「疲れてたと思うんですけど? (聞き取れず)」
被告人(沈黙)

というところで15時55分、残念ながら途中退出する。

走って大阪地裁最寄りの京阪淀屋橋駅まで行き、
16時ちょうど発京都出町柳行特急にまさにギリギリのタイミングで乗車し、
アルバイトのために京都へと向かったのであった。

ということでその後のやりとりは分からず、
次回公判の打ち合わせも聞いていないので分かりません。

上にも書きましたが、被告人が手紙で知らせてくれる予定ですが、
手紙が来ない場合でも裁判所に問い合わせるつもりですので、
分かり次第、当掲示板に報告いたします。

とりあえず今回は以上です。

−−−
山本英司(京都大学大学院経済学研究科研修員)
E-mail: eyamamo2@ip.media.kyoto-u.ac.jp

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☆於MailuX編集後記☆

当メルマガ、どうも第3号から発送が滞っているようです。実は未だに、現
在のところ唯一人の購読者であろう私の手元にはメルマガが届けられており
ません。いずれにせよバックナンバーへの登載は確認いたしましたので、続
けて出していきたいと思います。
と言いたいところですが、実はこれから(10月10日午後3時30分より
)大阪高等裁判所にて第4回控訴審を傍聴するために家を出なければなりま
せん。それから所用があって帰宅するのは午後11時以降となりますので、
第6号以降の発行はそれからとなります。

以下、内容への注記ですが、第5回公判は中座してしまったわけですが、凄
い少年からの手紙によると、それからすぐに公判が終わったとのことです。
第6回公判は6月25日、第7回公判は8月20日と行われましたが、いず
れも私は傍聴できませんでした。内容は、凄い少年からの手紙等から判断す
るに、第6回公判では精神鑑定請求が棄却され、第7回公判では被害者の長
男に対する証人尋問が行われた模様です。よって次号では、9月17日の第
8回公判が扱われます。
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