メルマガ:凄い少年公判傍聴記
タイトル:凄い少年公判傍聴記02[02/10/10]04:28Thu  2002/10/10


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凄い少年公判傍聴記02[02/10/10]04:28Thu
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凄い少年第2回公判報告
投稿者:山本英司 [non hostIP] 投稿日時:2001年2月1日(木)16時42分  削除:

昨日1月31日に大阪地方裁判所で行われた凄い少年の第2回公判の報告です。
まずは前回の訂正から。1008号法廷ではなく、1004号法廷でした。
以下、報告。

前回の傍聴の際、次回は1月31日の11時と聞いたのであるが、
前回は10時からであったのであるいは「10時」の聞き間違いかもと思い、
念のため10時に間に合うように大阪地裁に向かったのであるが、
やはり11時からであった。廊下のベンチで本を読みながら待つ。
11時10分前ころよりぞろぞろと人が集まってくるものの、
抽選が行われたわけでもないので係の人による誘導も無く、
いつ入廷していいものやらタイミングをつかみかねる。
11時5分前にしびれを切らして入廷。傍聴席には先客が1、2名ほど。
前方には既に弁護人等が入廷していて何か準備している様子。
弁護人は前回より1人増えて2人となっている。
最初の1人は年配であったが、新しい弁護人は若手か中堅どころと
いった感じで、その後の法廷でのやり取りでもこの新しい弁護人が
弁護側を代表してやり取りを行っていた。
と、前触れも無く、凄い少年が手錠腰縄姿で向かって右手奥の扉より
入廷してくる。目が合ったようにも思ったが、あるいは緊張していて
ただ彼にとって前の方を向いていただけかも知れない。

他の傍聴人がほとんど入って来ないまま、時刻が来たのか、
裁判官の入廷に合わせて廷吏が「起立」と呼びかける。起立、礼。
それから凄い少年の手錠腰縄が外される。
なぜかそれからぞろぞろと傍聴人が入廷してくる。

ここで廷内の配置を説明すると、傍聴席より向かって正面に裁判官3名、
その手前に速記者?1名、右側に弁護人2名、左側に検察官1名、
その奥の方に司法修習生(との表示があった)3名、
傍聴席との仕切添いの中央に被告人が両脇に1名ずつの警備員?に
はさまれており、その左手に「起立」と声をかけた廷吏?1名。
傍聴席は5人掛の椅子が縦横3列ずつの計45が特に「報道関係者」と
区別されることなくある。初公判の前回はほぼ満席であったが
今回はおよそ半分ほど埋まっていただろうか。
被害者の妻らしき人が今回も来ている。

裁判の進行に戻ると、「○○君ですね」と裁判長が呼びかけて
被告人がうなづく。

新しい弁護人が立ち上がり前回留保していたらしい認否を行う。
公訴事実については被告人と同様、争わない。
しかし以下の2点について争う。
第1、責任能力について争う。心神喪失ないし心神耗弱を主張。
第2、動機について、起訴状記載以外の動機もあるのでは。

続いて検察官請求の証拠についての弁護人の意見。
(責任能力ありとした)精神鑑定書については不同意、
それ以外については同意。
ただし動機についての供述調書の信用性については争う。

弁護側が不同意とした精神鑑定書以外の証拠については
採用が決定された模様で、引き続き、検察官より
採用された証拠の要旨が読み上げられる。
以下、興味深いものを紹介。

逮捕直後の様子についての警察官の供述調書。
「盗んだ品物はどうしたんや」「何も盗ってない」
「血が付いてるやんか、どうしたんや」「包丁で刺した」
顔つきはおどおどしていた。意味不明のことを言ったり、
何だか訳の分からない名前を名乗ったことは絶対にない。
(責任能力はある、ということを間接的に立証しようと
したものと思われる。)

逮捕後領置したメモ(いわゆる犯行声明)。
「私の名前は門命半諮堂(かちなかた)、私は神です」

死因について。
右胸腔内出血。

逮捕時の所持金額を明らかにする証拠。
(何円であったかは読み上げられなかった。)

被害者の妻の供述調書。
(被害者の生前の活動に触れた後)、
一番殺してはいけない人を殺してしまった。
裁判では犯人の言い分をとことん聞いてほしい。
息子たちは死刑を望んでいるが、
夫の意思を考えると、命を奪うわけにはいかない。
しかし社会には出てもらいたくない。
無期懲役で一生刑務所の中で罪を償ってもらいたい。

犯行声明をコピーしたコピー機の設置場所。
大阪工業大学のコピー機の写真。
(当時の報道によると原本はアパートの自室にあり、
犯行現場にはコピーしたものを持っていっていた。)

凶器は通信販売で入手したとの供述に基づき、
通信販売の状況を明らかにする証拠。

押収した被告人のパソコンの写真。

フロッピーディスクの内容。
チャットやメールのやりとりが保存されていた。

金庫の中にあったメモや手紙等。

てるくはのる事件についての資料。

犯行はノストラダムスの予言に基づくとの供述に基づき、
アパートの自室より押収した「しんせつノストラダムスの大予言」
(加治木義博『【真説】ノストラダムスの大予言』KKロングセラーズ
と思われる)に供述内容と符合する内容があったため、
そのコピー。

動機についての供述に基づき、アニメ『名探偵コナン』の内容。

「お父さん」の供述調書。

生活状況について、アパートの管理人の供述調書。

大阪工業大学より在籍状況について。

小・中・高の在籍中の指導要録より学校での生活状況について。

被告人の供述調書。
「初めから人を殺すつもり、この人を殺そうと思って殺した」
「私は門命半諮堂(かちなかた)。門命半諮堂(かちなかた)の名が
世の中に広まれば世の中を幸せにする。犯行時に捕まらなければ
マスコミに広める予定であった」
「女性や子どもを殺すことには罪悪感があった。
父親によい感じを持っておらず、父親に似ていたので殺した」
「てるくはのる事件と酒鬼薔薇事件に興味を持っていたが、
酒鬼薔薇事件については年齢が離れていたのでそれほど共感しなかった」
「孤独感、人間関係の煩わしさから逃げ出して、
刑務所の中で暮らしたいと思った」
「門命半諮堂(かちなかた)の名は姓名判断で。神」

検察官とのやりとり。
「門命半諮堂(かちなかた)云々はオウムと同類の都合の良い理屈では?」
との問いに黙して答えず。

11時30分、証拠の要旨の読み上げが終了。
検察官、証拠一式を裁判長に渡す。

精神鑑定書を弁護側が不同意としたため、精神鑑定を実施した
精神科医(「おおや先生」。誰だろう)を証人尋問することになり
その打ち合わせとなる。
検察側は主尋問に40分かかると発言。
弁護側は反対尋問に30分かかると発言。

追起訴について。
検察官、「前回申し上げたように2月中」
「捜査担当より、2月の前半にはと聞いている」

次回の日程について。
裁判長、「3月5日か7日の午後では」と打診。
弁護側、5日に同意。「おおや先生」の都合は聞かなくていいのだろうか。
あるいは3月5日か7日というのが「おおや先生」に事前に確認しておいた
日程であったのだろうか。
結局、3月5日の午後1時半から3時半までとなる。

11時35分終了。

前回と同様、被告人に手錠腰縄を付けて退廷させるのと
傍聴人の退廷とが同時並行に行われる。

また前回のように廊下で弁護人を囲んでの「記者会見」だか「取材」が
行われないかと思ったが、前回の「混乱」のこともあり、
どうやら裏口から帰ってしまったようで、何も無し。

以上、報告まで。

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山本英司(京都大学大学院経済学研究科研修員)
E-mail: eyamamo2@ip.media.kyoto-u.ac.jp

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☆於MailuX編集後記☆

とりあえず発行してみましたが、特に問題は無いようですね。
この調子でどんどん発行していきます。
今のところ購読者は私一人でしょうが。

さて今回の内容への注記ですが、最初からの弁護人は「イケダ」さん、二人
目の弁護人は「ハシグチ」さんです。どういう漢字を書くのかは、想像は容
易につきますが、確認したわけではありませんので、今後ともカタカナで通
します。この時点で被害者の未亡人の方が無期懲役を望んでいたことが、こ
の後の審理から振り返ってみて興味深いところです。起訴前の精神鑑定を実
施したのは大矢大(おおや・だい)関西医科大学講師です。
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