メルマガ:近現代史を考える
タイトル:近現代史を考える(5)  2002/09/21


5.ポーランド問題が教える日本と
  ドイツの共通点


お話している通り、第二次大戦前夜のヨー
ロッパでは、ヴェルサイユ体制によって、
そこに古くから住んでいたドイツ系住民
が、何の相談も無しに、新国家ポーランド
とチェコスロヴァキアに編入されてしまう
と言う状況が生まれていました。これは、
前号でお話した様に、例えて言えば、韓国
が日本から独立する際に、九州が韓国に編
入されてしまった様な事で、この様な国境
を本来在るべき国境に変更しようと考える
事は、仮に九州が韓国に編入されていたら、
戦後の日本政府が韓国に九州返還の交渉を
申し入れたであろう事と同様、全く、当然
の事だったのです。

ところが、ドイツからのこうした申し入れ
を、新しく誕生したポーランドは頑なに拒
んだのみならず、驚くべき事に、ドイツと
の戦争も辞さないと言った態度を取って居
ました。そして、ポーランドのそうした異
常と呼べる強硬路線の背後には、当時のイ
ギリスとアメリカの外交官による扇動が有
った事が、記録から見て取れます。

これが何を意味するかと言えば、当時のイ
ギリスとアメリカに、ポーランドをそその
かして、ドイツを開戦に追いこもうとした
勢力が存在した事を意味しますが、お気付
きの通り、これは、日本が盧溝橋事件を切
っ掛けに国民政府との戦争に突入して行っ
た過程に、或いは、ハル・ノートによって
日米開戦に追いこまれて行った過程に酷似
しています。

こう言う事が、日本では、「新しい歴史教
科書を作る会」の人々によってすら、殆ど
全く語られないのですが、このポーランド
問題は、日本人にとって、学ばされる点の
無い問題だと言えるでしょうか?



2002年9月21日(土)







     西岡昌紀(にしおかまさのり)

日新報道「アウシュウィッツ『ガス室』の
     真実」著者

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