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タイトル:非公式情報 第199号  2006/04/02


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イスラエル総選挙とハマス

By StrangeLove

28日にイスラエルで総選挙の投票があり、「死の商人」アリエル・シャロンのカディマが全120議席のうち28議席を獲得して第1党になった。次いで労働党が20議席。リクードはシャスや「イスラエル我が家」を下回る11議席にとどまった。カディマも過半数には遠く及ばない。

カディマを「中道」とマスコミは表現しているようだが、彼らも「壁」の建設ででパレスチナ人を封じ込めようとしているのではないか?「民族浄化」を主張する「イスラエル我が家」と本質的な違いはない。

年金党が7議席獲得したことも注目されている。党首のラファエル・エイタンはイスラエルの情報機関、LAKAM(科学情報連絡局)の元局長で、1960年にアルゼンチンからアドルフ・アイヒマンを誘拐したチームを率いていたほか、1972年にミュンヘン・オリンピックの際にイスラエル人を殺害したパレスチナ人の暗殺を指揮した経験の持ち主だ。また、1980年代に摘発されたイスラエルのスパイ、ジョナサン・ポラードに指令を出していたのもエイタンだった。

この人物はアメリカ司法省が入手(破産裁判所、連邦地裁、下院司法委員会などは民間企業からの「横領」だと認定)した「容疑者追跡システム「PROMIS」にトラップ・ドアを組み込んで国際機関、各国政府機関、あるいは金融機関などに売却する工作も指揮したことでも有名。ウィニーなどとは比較にならないほど大々的に全世界の機密情報を入手するプロジェクトを指揮していたのだ。この辺の話は『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房刊)に詳しい。

一方、パレスチナ側ではハマスが選挙で勝利している。イスラエルに対して武装闘争を繰り返してきた「強硬派」として有名だが、このハマスを育てたのがリクードだということも忘れてはならない。

ハマスは1987年に設立されたことになっている。確かに産声を上げたのはその年だと言えるが、受胎したのは、そのはるか前のこと。1970年代後半、リクード政権はPLOの勢力を弱める目的でそのライバルを育てることにした。目をつけられたのがシェイク・アーマド・ヤシンだ。

彼が率いるイスラム協会をイスラエル政府は人道的団体として承認、新聞の発行や資金の調達を認めた。反アラファトという点でリクードとヤシンの思惑は一致していた。少なからぬアラブ諸国の首脳もPLOを「国家内国家」になりうる存在として危険視していたことを考えると、ヤシンの勢力が台頭するのは当然だった。

イスラム協会の軍事組織として姿を現し、イスラエルに対する武装闘争を始めたのがハマス。リクードは自分たちを攻撃するモンスターを作り上げてしまったようにも見えるのだが、暴力、流血、混乱を望むイスラエルの強硬派とハマスは共振しているという見方もできる。

ハマスの勝利を口実にしてイスラエル政府は国連を無視した政策を強行しつつある。PLOの勢力を弱めるという目的は達したわけだが、イスラエルにとって、まだハマスの存在価値はあると言えるだろう。
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