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タイトル:非公式情報 第198号  2006/03/26


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国家が民営化される日

By StrangeLove

3月に入り、アメリカの外交政策とイスラエル・ロビーとの関係を指摘する論文が発表され、話題になっている。中東におけるアメリカの行動は自国の利益よりもイスラエルの戦略が優先されていると指摘、その背景には強力なイスラエル・ロビーの存在があると主張している。論文を書いたのは、シカゴ大学のジョン・ミーシェイマー教授とハーバード大学のステファン・ウォルト教授。決して「ハト派」とは呼べない人たちである。

イラク侵攻作戦もイスラエル・ロビーの働きかけが影響したというわけだが、こうした指摘は特に目新しいものではない。本メールマガジンも、イラク戦争はリクード(イスラエルの軍事強硬派)/ネオコンの戦略に基づくものだと再三指摘してきた。

ネオコンも、こうした戦略を秘密にはしていない。例えば、ネオコンが1996年に公表したレポート「決別」の中にサダム・フセインの排除が主張されていることは有名な話である。

イラクからフセインを排除し、トルコやヨルダンのような「親イスラエル」の体制を築くことができれば、シリアを湾岸諸国と分断して弱体化させることが可能だとネオコンは考えていた。ネオコンに支えられたジョージ・W・ブッシュが大統領に就任すると、この戦略が具体的に動き始めたのである。

とは言うものの、アカデミックな世界で、こうした考えを表明する人が出てきたことは興味深い。権力抗争の中でネオコンが劣勢になっていることは間違いなさそうだ。

前回、指摘したように、イギリスではトニー・ブレア首相の「闇融資」が問題になっているが、その中枢にいるのがイスラエル系の富豪、マイケル・レビである。ブレアとイスラエルとの緊密な関係にスポットライトが当てられたことも、そうした流れと無縁ではないだろう。

ネオコンにしてみると、イスラム世界の混乱は歓迎すべき状況である。が、欧米の主流派エリートにしてみると、好ましい事態ではないだろう。インド沿岸の石油開発が進んでいる(アメリカの対ネパール、インド、パキスタン外交の変化と無縁ではない)と言っても、中東の存在は大きい。中東を安定化しなければならないのだが、これは至難の業である。

混乱が続けば国家としてのアメリカは疲弊する。戦争で大儲けした軍需産業、原油価格の高騰で利益の膨らんだ石油産業・・・こうした巨大多国籍企業が国家を「買収」する日がくるかもしれない。
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