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タイトル:非公式情報 第187号  2006/01/08


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ベトナム戦争的状況のアメリカ

By StrangeLove

ヒュー・トンプソンという元アメリカ兵が62歳で死亡した。おそらく、大多数の日本人はこの元兵士が何者かを知らないであろうが、この人物の死を欧米のメディアは比較的に大きく報道している。アメリカ軍の幹部でも政府高官でもなかったことを考えれば、日本人が知らなくても当然かもしれないが、日本人に無関係というわけでもない。

1968年3月16日のこと。ベトナム戦争の最中にウィリアム・カリー中尉に率いられた部隊はソンミ村(ミ・ライ)の住民を虐殺している。シーモア・ハーシュによると504名(後の著作では350名以上と記述)のベトナム人が殺されたのだが、その際にヘリコプターをアメリカ軍部隊と住民との間に降下させ、虐殺行為を止めさせたのがトンプソンだった。

この虐殺事件はCIAの破壊工作部門(要するにテロ部隊)が展開していた住民皆殺し作戦(フェニックス・プログラム)の一環にすぎない。現在、アメリカはイラクでも似たような作戦を実行している。この作戦で2万人以上のベトナム人が殺されたとウィリアム・コルビーCIA長官(1971年当時)は証言している。4万人以上という推計もある。(この作戦については昨年9月に三一書房から出版された『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』の中でも取り上げられている。)

アメリカは日本の協力なしにこのベトナム戦争を実行することはできなかった。日本は重要な出撃基地であり、訓練基地でもあったのだ。日本国憲法が存在するために兵士を送り込むことはなかったが、重要な役割を果たしたことは否定できない。そうした意味で、日本人はソンミ村事件を人ごととして語ることはできないのである。

さて、ベトナム戦争の当時と同様、現在のアメリカでも政府は反戦/平和を求める人びとを敵視、彼らの動きを警戒し、似たような対抗手段に出ている。アメリカ市民の監視である。(外国での監視活動は合法)軍需産業をはじめ戦争で儲けている人びとに支えられてる政府は平和を望む人びとを放置しておくわけにはいかない。法律を無視したNSAによるアメリカ市民の監視をジョージ・W・ブッシュ大統領が認めていたことも明らかになった。

監視工作の関係者は証拠隠滅を図る一方、情報を外部に漏らした人物にたいする締め付けを強めているが、これはベトナム戦争の当時にも行われていた。にもかかわらず、リチャード・ニクソン大統領(当時)は違法な盗聴を指揮したことなどから辞任に追い込まれたわけだが、ブッシュ大統領も似たような立場にある。
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