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タイトル:非公式情報58号  2003/05/01


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乗っ取り対象としてのイラク

By STRANGELOVE

アメリカ軍制服組の多数派はイラク攻撃に反対、あるいは消極的だったと言われている。攻撃に執着していたのは背広組、要するにウォール街の代理人たちだった。従って、アメリカの行動はウォール街的になる。

ウォール街の用語を使うと、今回のイラク攻撃は『レバレッジド・バイアウト』にほかならない。これは、ターゲットが保有する資産を担保にして資金を調達、その資金を使って乗っ取るという手法だが、イラクの場合の資産とは油田である。兵器を使えば軍需産業が潤い、建造物やシステムのスクラップは新たな建設需要を生み出す。戦費や『復興』資金はイラクで生産される石油でまかなえば、大儲けということだ。

金融資本と軍需産業とが対立しているかの如く解説する人も少なくないようだが、これは間違い。アメリカの場合、巨大金融機関は『投資銀行』、つまり株式や債券を購入するほか、先物取引、オプション取引など一種の『カジノ市場』で資金を運用している連中なのである。その資金の相当部分が軍需産業に流れていることも有名な話だ。軍需産業の利益は自分達の利益に直結している。金融資本と軍需産業の利害は対立していない。

前にも指摘したように、今回の米英軍によるイラク攻撃の動機は少なくとも3つある。石油利権の拡大し、イスラエル(リクード)の宿敵であるイラクを破壊し、アメリカ国内の緊張を高める(ファシズム化)という3点だが、これに軍需産業の復興を付け加えるべきかもしれない。

4ファクターのうち、イスラエルの事情を除くと、その根はアメリカ経済の行き詰まりにある。1980年代以降、アメリカ政府は経済をカジノ化してごまかしてきたが、それも限度に近づいている。エンロンの破綻はその象徴的出来事だ。

しかも、1980年代から中東の産油国の間でアメリカに対する不信感が広がり、資金がヨーロッパにシフトされはじめたとも言われている。その穴を埋めたのが日本というわけだ。

中東に対するヨーロッパの影響力が増せば、アメリカはエネルギーだけでなく金融面の支配力を失う可能性が高まる。そうなれば、危機的状態のアメリカ経済が破綻、支配システムも崩壊してしまうだろう。そうした事態を防ぐため、圧倒的に優位な立場にある軍事力を使うしかない・・・・・1992年にリチャード・チェイニーやポール・ウォルフォウィッツたちは、そうした青写真を描いていた。

1991年にソ連が消滅、軍事的ライバルがいなくなったのを好機ととらえ、彼らは軍事力を前面に出してきたのだ。1992年の段階で彼らはサダム・フセインの排除を明言している。ジョージ・W・ブッシュの個人的心情などは関係ないのである。

ビル・クリントン大統領によって葬り去られた1992年の青写真が掘り返されたのは1996年、クリントン大統領の第1期目が終わる年である。イラクのフセイン大統領を排除するべきだとする報告書をイスラエルのベンジャミン・ネタニアフ元首相にリチャード・パールやダグラス・フェイスたちが渡したのはこの年のことだ。

この当時、アメリカでは『タカ派』の富豪や政治家、つまり後のイラク攻撃推進派が情報機関の一部と手を組み、反クリントン・キャンペーンを大々的に展開していた。ホワイトウォーター疑惑など、キャンペーンで流された『情報』の大半がフレームアップだったことが今では明らかになっている。

キャンペーンの途中、特別検察官側の『偽証工作疑惑』が浮上、クリントン大統領の訴追が難しくなった後も日本のメディアは『スキャンダル情報』を垂れ流しにしていたが、この関係はイラク攻撃に対する応援団的な姿勢につながっている。

さて、北朝鮮もイラクのようになるのだろうか?

言うまでもなく、北朝鮮に大規模な油田はなく、占領/買収しても利益にならないように見える。『レバレッジド・バイアウト』の対象としては魅力がない。アメリカによる北朝鮮攻撃に否定的な見方をする人が多い理由はこの辺にあるのだろうが、ウォール街のターゲットが北朝鮮以外にあると考えると様相は一変する。

1992年以降、ドナルド・ラムズフェルド、リチャード・チェイニー、ポール・ウォルフォウィッツなどのグループは潜在的ライバルとして東アジアに注目、軍事力を使って抑え込もうとしてきた。

現在、アジアでは中国や韓国を中心として、一種の経済圏を作ろうとする動きがある。アジア版のEUと言えるかもしれないが、そうした動きをウォール街が嫌っていることは間違いない。尖閣諸島に灯台を建てたり、首相が靖国神社に参拝したりすることはアメリカにとってありがたい行動である。従軍慰安婦問題も同様。アメリカのタカ派から見ると、アジアの結束を乱すという意味で日本と北朝鮮は同じ立場にある。

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『#9 アメリカがカードとして使う北朝鮮』(2003年4月30日)

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【内容】
第2次世界大戦後、アメリカには要人暗殺やクーデターを一手に引き受ける極秘チームが存在した。OPCである。1950年10月にCIAの中に潜り込むが、その後も破壊活動、秘密工作をOPC人脈は続けた。英国のある学者に言わせると、CIAはこうした人脈が隠れ蓑に使ってきたにすぎない。この特別レポートを読まずにアメリカの戦後史を語ることはできない。

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