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タイトル:非公式情報22号  2002/10/15


ブッシュ政権が竹中を支持する理由
By Strangelove

 小泉純一郎首相が経済財政担当大臣の竹中平蔵に金融担当大臣を兼務させる決定、その後日本の株式相場は大きく値を下げている。その竹中を支持するとホワイトハウスで宣言したロバート・ハバード委員長はアメリカ大統領経済諮問委員会の委員長である。アメリカの現政権はなぜ、竹中をバックアップするのだろうか?まず、経歴を振り返ってみよう。
 1951年に和歌山で生まれた竹中が一橋大学を卒業したのは1973年のこと。すぐ日本開発銀行(後の日本政策投資銀行)に入行、1981年にハーバード大学とペンシルバニア大学の客員研究員となり、大蔵省財政金融研究室主任研究官、大阪大学経済学部助教授を経て1989年にハーバード大学客員准教授に就任した。1990年から慶応大学助教授、1996年からは同大学の教授となっている。
 1998年7月に発足した小渕恵三内閣は同年8月に経済戦略会議を設置、メンバーのひとりに竹中も選ばれた。議長は住友銀行出身でアサヒビール名誉会長だった樋口廣太郎。1994年には防衛問題懇談会の座長を務めた人物である。竹中の兄貴分に当たる中谷巌一橋大学教授も経済戦略会議に議長代理として参加していた。
 ところで、小渕政権で経済政策を担当する閣僚は、大蔵大臣が宮澤喜一、経済企画庁長官が堺屋太一。この2名に日本銀行の速水優総裁、そして中谷もメンバーになっていた委員会が存在する。CSIS(戦略国際問題研究所)が1996年に設置した日米21世紀委員会である。
 このほかの日本側メンバーは次の通り。

【副委員長】
田中直毅
【委員】
土井定包(大和証券)
福川伸次(電通総研)
稲盛和夫(京セラ)
猪口邦子(上智大学)
小林陽太郎(富士ゼロックス)
奥山雄材(第二電電)
山本貞雄(京セラ)

 アメリカ側のメンバーは、

【名誉委員長】
ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領
【委員長】
ウィリアム・ブロック元USTR代表
【副委員長】
ハロルド・ブラウン元国防長官
【委員】
レスター・アルバーサル
ウィリアム・ブリアー
ウィリアム・クラーク
カレン・エリオット・ハウス(ダウ・ジョーンズ・インターナショナル・グループ社長)
リチャード・フェアバンクス(CSIS代表取締役)
ロバート・ホーメッツ(ゴールドマンサックス副会長)
フランク・マカウスキー上院議員
ジョン・ネイスビット

 ところで、CSISはCIA(つまり、ウォール街)と関係が深いシンクタンクとして有名である。1962年に創設された当初はジョージタウン大学の付属機関だったが、CIAとの関係が広く知られるようになったため、1987年に公的な関係はなくなった。
 CSIS創設者のひとり、レイ・クラインはジョージ・H・W・ブッシュときわめて親しい関係にある。また、このシンクタンクの最大のパトロン、リチャード・メロン・スケイフは反ビル・クリントン・キャンペーンの黒幕で、ジョセフ・クアーズとともに「新保守派」の資金源になっている。ちなみに、ジョセフ・クアーズの所有するビール会社は樋口のアサヒビールと提携関係にある。
 日米21世紀委員会の日本側委員は声明の中で、戦後日本の繁栄はアメリカの「惜しみなく思慮深い援助」のおかげであり、「自由でオープンな米国市場への日本の参入を助けた米国の役割を理解すべきだ」と主張している。竹中平蔵、そして小泉純一郎の基本姿勢もここにある。

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