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タイトル:非公式情報6号  2002/08/02


テロは誰のため?
by Strangelove
 
米国政府が「国際テロリズム」を国民監視の口実にしはじめたのはベトナム戦争の末期、1970年代前半のことである。戦争中、CIA内部には米国市民を監視するための極秘プロジェクトMHCHAOSが存在していた。ベトナム戦争後にも国民監視を続けるための口実としてテロリズムが浮上してきたのである。
 ベトナム反戦運動の調査を目的としてスタートしたMHCHAOSはCIA内部でも秘密にされていた。秘密部隊は盗聴されないよう、CIA本部の地下に特別室を作り、限られた人間以外はそこに近づけないようにしていたという。
 また、1979年7月になると、イスラエルで「国際テロリズムに関するエルサレム会議」なる集まりがあった。会議を主催したのはジョナサン研究所だが、実質的な主催者は米国とイスラエルの情報機関だったとされている。
 出席者の顔ぶれを見ると、ジョージ・H・W・ブッシュ(パパ・ブッシュ)のほか、ブッシュと緊密な関係にあったレイ・クライン元CIA副長官、空軍情報部の部長を務めたことのあるジョージ・キーガン少将、テロ問題を得意とする「ジャーナリスト」のクレア・スターリング、ニューズウィーク特派員のアルノー・ド・ボルシュグラーブ、英国の情報機関と関係が深い「ジャーナリスト」のロバート・モスらが含まれていた。会議の席上、クラインはテロの原因をソ連の求めている。ソ連がテロリストを支援していると主張したのだ。
 それから間もなく、ローマ教皇がトルコの右翼活動家に銃撃されると言う事件が起こる。当然のことながら、エルサレム会議の出席者たちは「ソ連黒幕説」を広めるが、これは竜頭蛇尾に終わっている。
 そのソ連とアフガニスタンで戦ったのが「自由の戦士」と呼ばれたイスラム原理主義者。彼らを訓練、武器を与えたのがCIAである。そうした戦士の中からタリバンやオサマ・ビン・ラディンが生まれてきた。
 ロナルド・レーガン大統領の第2期目には、ジョージ・H・W・ブッシュ副大統領を委員長とするテロリズムに関する閣僚級特別委員会を設置している。1986年には「テロリズムと戦うための副大統領特別委員会パブリック・リポート」を同委員会は発表し、テロリストの監視を強化するように訴えた。
 そして昨年9月以来、ジョージ・W・ブッシュ(キッド・ブッシュ)政権は反民主主義的なシステムを米国に導入しようと必死である。小泉純一郎首相も同じ道を追いかけている。それだけ彼らの支配システムが揺らいでいるということだろう。
 国防総省の元高官、ダニエル・エルズバーグは「ヒトラーのような敵を持てば、あらゆる行動の自由が認められる」(ダニエル・エルズバーグ著、梶谷善久訳「ベトナム戦争報告」筑摩書房、1973年)と指摘している。「ヒトラー」を彼らは作り出さねばならないのだ。

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