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タイトル:非公式情報3号  2002/07/22


テロの黒幕
                        Strangelove

 さて、今回はテロリストの話をしよう。
 何らかの政治的な目的を達成するため、暴力的な行動に訴える人々をテロリスト、またはレジスタンス、場合によっては自由の戦士などと呼ぶ。別の言い方もあるだろうが、どの名称を使うかは主観的なものだ。
 例えば、1968年から1980年にかけて、イタリアでは少なからぬ爆破事件があった。約90名の死傷者を出した1969年12月のミラノ農業銀行爆破は広く知られている。1980年8月にはボローニャ駅が爆破されて85名が死亡、約200名が負傷した。
 一連の「テロ」は新左翼の犯行だと宣伝されたものの、1980年代になると爆弾事件の大半はイタリアの情報機関が黒幕だったことが判明している。民主主義よりも治安維持を優先する社会システムを作り上げることを目的とした「緊張戦略」の一環だった。こうした事情の一部は、NHKでも放送されている。
 例えば、1976年9月、米国の首都、ワシントンで自動車が爆破されてふたりが死亡、ひとりが重傷を負った。犠牲者は元米国駐在チリ大使のオルランド・レテリエルとIPS(政策研究所)のロニー・モッフィッティ、負傷したのはロニーの夫で研究所の同僚でもあるマイケルだった。
 事件直後、移民帰化局からはMIR(チリの左翼グループ)を容疑者とする情報が流れてきたほか、亡命キューバ人を犯人だとする話も伝えられたのだが、最終的にFBIはマイケル・タウンレイという男にたどり着く。タウンレイはDINA(チリの情報機関)のエージェントだった。タウンレイの証言によると、当初の暗殺計画では香水のボトルに隠したサリンを使うことになっていたのだが、亡命キューバ人の協力を得られず、爆弾を使うことになったのだという。
 テロの犯人を突き止めてみたら情報機関のエージェントだったという話は少なくない。この2例は氷山の一角である。

 某国ではこんな話もある。
 その国(例えばX国としよう)では体制を維持するためにテロが必要だった。そこで敵国の将校に目をつける。その将校は退役後、ヨーロッパで武器を調達して敵国のテロリスト、またはレジスタンスに売却していた。そこで、X国はその将校に武器を売る。必然的に敵国の武装勢力に関する情報がX国に入る。そして退役将校には「スパイ疑惑」が囁かれるようになる。
 生活に困った元将校にX国は資金面から援助を与え、取り込んでいく。そして憎きX国に対するテロを実行するように仕向け、退役将校は配下の者にテロの実施を命令する。X国ではテロ対策でやりたい放題、ということになる。

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