メルマガ:少女の性シリーズ
タイトル:少女の性 672  2025/06/08


少女の性 第六百七十二部

翌日、葵が目を覚ましたとき、ほぼ同じタイミングで宏一も目を覚ました。最初、葵は自分の横に宏一が寝ていることに気が付くまで少しかかった。そして『どうして三谷さんが私の横に居るの?』と寝惚けた頭で考えた。今、自分はベッドの中央にいて、宏一が端っこにいる理由が分からなかったのだ。
そして、ゆっくり昨日のことを思い出すといつの間にか自分がベッドを占領してしまったことに気がつき、猛烈に恥ずかしくなった。ベッドから降りて改めてベッドを見下ろして宏一と一緒に寝たことを思い出した。『そうか、私、三谷さんのベッドに潜り込んだんだ』と思い出した。自分から宏一のベッドに潜り込んだのに、いつの間にか自分が真ん中で寝ていたのだ。すると、宏一も目を覚ますと葵に気が付いた。

「葵ちゃん?起きたの?」
「あの、ごめんなさい。私から押しかけて真ん中で寝ちゃった」
「ううん、俺のほうが葵ちゃんを引っ張ったんだ。落ちそうだったから」
「ごめんなさい。知らなくて・・・・・・」
「そりゃそうだよ。寝てたんだから」
「私、シャワーを浴びて歯を磨いてくる」

葵はそう言うと着替えを持ってシャワールームに駆け込んだ。しかし、明るい朝の光が差し込む部屋だと宏一が気になってシャワーを浴びるのが恥ずかしい。葵は歯を磨きながら心を落ち着けると、日課になっている通り、思い切ってシャワーをさっと浴びた。

ただ、気持ちが落ち着いてくると葵はだんだん嬉しくなってきた。宏一が予想通りに振る舞ってくれたからだ。女の子がベッドに入ってきても、全く手を出そうとしなかった。それどころか、場所まで譲ってくれたのだ。
年下の彼とは全く違う優しさに、葵は改めて宏一と泊まって良かったと思った。正直に言えば、少しくらいは手を出そうとするかもしれないと少しだけ心配していたのだ。

更に、寝惚けていてよく分からないのだが、何度も宏一に抱き寄せられたような気がするのだが、その心地よさというか、気持ち良さがまだ身体の隅に残っている。葵はシャワーを浴びながら、密かにまだ肌にかすかに残っている感触を思い出して顔を赤くしていた。

葵がシャワーから出てくると、宏一が代わりにシャワーを浴びに入った。そして宏一が出てきたときには、既に葵は軽く準備を終えていた。シャワーから出てきた宏一がバスタオルを腰に巻いただけで出てきたのにはさすがに驚いて横を向いたが、宏一は気にしていないかのようにさっさと着替えを済ませたようだった。

「葵ちゃん、着替えたからこっちを向いても良いよ。ねえ、どうする?ここで朝ご飯を食べていく?それとも、どこかで軽く食べてく?」
「それは・・・・・・三谷さんは?」
「俺はどっちでも良いんだけど、第一、葵ちゃんは何時までに帰らないといけないの?」
「特に決まってない。帰れば親はもう出かけた後だから」
「そうなの?日曜日なのにランチをやってるの?」
「ううん、そんなことないけど、だいたい10時前には出かけるもの」

「10時までに帰らなくても良いの?」
「だいじょうぶ。友達の家に行くだけだから」
「それなら良いけど。じゃ、どうする?どこかで食べていこうか?」
「一緒に行っても良い?」
「もちろん。何を食べたいの?」
「パンケーキ」
「どこか、知ってるところ、ある?」
「ううん、調べても良い?」
「もちろん。いいよ。それじゃ、ホテルを出て道々探しながら行こうか?」
「はい」

宏一は荷物を纏めると、葵と一緒にチェックアウトしてホテルを出た。

「どっちに行けば良いの?取り敢えず御茶ノ水駅?」
「ううん、神保町だから、あっち」
「分かった。もう開いてるの?」
「ううん、11時」
「え?まだ9時だよ」
「でも並ぶから」
「それに、11時に開店して、少ししてから入店できたとして、食べ終わったらお昼過ぎだよ?良いの?」
「うん、連絡しておく」
「そう言うことなんだ・・・・・・・」
「そう言うことなの」

どうやら葵の今日の予定とは、しっかり決まっているわけではなさそうだった。実は、葵は昨夜友達と推しのコンサートに行ったことになっており、そのまま友達の家に泊まったことになっていた。そして今日は友達を家に連れてくるという筋書きだった。時間が読めなかったのでそう言うことにしたのだが、親は全く心配していないようなのが葵を安心させた。だから葵は今日は適当に友達の家に行って、後は家に連れてくればそれでアリバイは完璧になるのだ。

「それじゃ、取り敢えず行ってみようか」
「はい」

宏一は、葵の受け答えが微妙に今までと違っているような気がした。何となく明るい感じなのだ。明るいというより、構えていないと言うべきか。それに、何も無かったとは言え一夜を過ごしたことで何となく親密な感じになったのが嬉しかった。
そして二人が店の前に着いたのは9時半頃だった。宏一は開店の一時間半も前から並んだことなど無かったので、どれくらいの人が待っているのか想像できなかったが、既に十組以上並んでいたのには驚いた。そして、更に驚いたことに、宏一たちの後にも次々と並んでいく。

「凄い人気なんだね。こんなに早くから並ぶなんて」
「そうみたい。早く来て良かった」
「葵ちゃんは並び慣れてるの?」
「コンサートとかだと2時間くらいは普通に並んだりするから。それに二人だし」
「二人で並ぶと良いこと、あるの?」
「トイレとかで列を離れてもだいじょうぶでしょ?」
「それはそうだね」
「と言うわけで、私、コンビニ行ってくる。何か買ってきてほしいものは?」
「ううん、今は特にないけど、そうだ、お金渡しておくね。朝ご飯まだだからお腹減ってるだろう?何か買っておいでよ。開店まだまだ時間があるし、どうやら食べたらお昼になりそうだから」
「ありがとう」
「余っても返さなくていいよ」

そういって宏一は葵に二千円渡した。葵は受け取ると、列の次の人にトイレに行くことを告げてから列から離れた。そして葵はコンビニに行くと、スイーツ類の棚を見てからパンとおにぎりとアイスコーヒーを二つ買うと宏一のところに戻った。実はトイレに行きたかったわけでは無く、宏一と二人で列に並んでいるというのを楽しみたかっただけだった。

「はい、コーヒー」
「ありがと。二人で並ぶと良いことあるんだね」
「それと、おにぎりで良かった?」
「うん、ありがと。便利だなぁ。並んでても朝ご飯が来るなんて。葵ちゃんと並んで良かった」
「そうみたいね。特に三谷さんだと」
「よかったね」

宏一は、葵がおつりのことを言っているのだと思っていたが、葵はそんなこと気にしておらず、純粋に宏一と並ぶことが楽しいと感じていただけだった。かといって、葵は宏一にべったりという雰囲気でもない。ラインをしたりメールを見たり、並んでいる間にいろいろやることがあるようだ。やはり葵のほうが並び慣れているということなのだろう。それでも、葵は宏一に何気ない会話ながら何度か話しかけてきた。

「三谷さんはパンケーキってあんまり食べないの?」

今までの葵だったら絶対に聞いてこない話題だ。

「何回か食べたことがある、って程度だよ。アメリカでは日本の朝定食みたいな感じで朝食の定番だから何度も食べたけど、日本では食べてないな」
「アメリカのと日本のと違うの?」
「日本のほうが空気がいっぱい入ってるみたい。フワフワってことだね。値段だってずっと高いし、日本のは基本甘いパンケーキだけだしね。アメリカはソーセージやベーコンて言うのと一緒に出てくるのが多いからね」

「日本のは食べてみたいと思わなかったの?」
「興味はあったけど、テレビで見るところだと何時間も並ぶだろ?そんなつもりはなかったから。それに、日本のは空気がたくさん入ってフワフワのだろ?アメリカだと空気の多いパンケーキはかさ増しだって言われたりして人気が無いんだ。だから、今日は葵ちゃんのおかげで日本のが食べられるってことで、ちょっとワクワクしてるよ」

「私も。こんなところの店になんて普段は来ないもの。だいたい渋谷近辺だから」
「そうだよね。でも、この店は人気あるんだね。もう後ろに30人くらい並んだよ」
「そうね。開店直前にはもっと並ぶから」
葵の言葉通り、開店前十分だけで二十人くらいが一気に並んだ。幸い、開店時の最初のグループで宏一たちは入ることができた。
「ねぇ、葵ちゃん、どうしてこのお店にしたのか教えてよ。このお店は知ってたの?」

宏一はベタな質問だとは思ったが、知りたかったので聞いてみた。

「知らなかったけど、さっき見たときに写真が美味しそうだったからここにしたの」
「そうなんだ。映える写真て奴かな?」
「う〜ん、ちょっと違うかも。ここは石窯で焼いたのが売りみたいで、三谷さんも見てみれば分かると思うけど、色は特に綺麗じゃないと思う」

宏一はメニューを見て頷いた。

「でも、ふっくらとしてて美味しそうでしょ?おっきいみたいだし。ふふっ」

葵はかなり楽しそうで笑顔が素敵だ。こんなに自然で朗らかに笑う葵を見たことがなかったので宏一はちょっと意外で嬉しかった。

「それじゃ、葵ちゃんは何にするの?俺はカレーも食べたいな」
「それじゃ、私が一つで三谷さんも一つ、それに焼きカレーね」
「うん、パンケーキの種類は葵ちゃんが選んでね」
「三谷さんの分も?」
「そう。俺はカレーメインだから、葵ちゃんの好きなのを選べば良いよ。もちろん、葵ちゃんが食べない分は全部俺が食べるから」
「わかった。それじゃぁね・・・・・・えっと・・・・・」
「気に入ったの、ありそう?」
「それじゃ、三谷さんのはフレンチトーストにしても良い?」
「もちろん」
「決まり。飲み物はコーヒーにする?」
「そうだね」
「それじゃ、オリジンのにするね」

そう言うと葵はホットケーキとフレンチトーストにブラックカレーとアールグレイとケニアコーヒーを注文した。

「出てくるまで少しかかるみたい」
「うん、席に座ってしまえば、後はいくらでも待てるよ」
「私も」

二人は覚悟して待つ体勢に入ったが、15分ほどで全部出てきた。もちろん葵は最初は写真撮影に時間を掛け、納得してから二人で食べ始めた。

「葵ちゃんも写真いっぱい撮るんだね。インスタとかやってるの?」
「一応やってるけど、そんなに人気ない。アルバムみたいなもの」
「そうか。それでも後から写真を見て楽しめるしね」
「そうそう」
「俺は先にカレーからいただくよ。いただきます」
「私も、いただきまぁす」

そう言って二人は食べ始めた。宏一は予想外にカレーが美味しいことに驚き、葵はフワフワの大型のパンケーキを次々に切り取って美味しそうに食べていく。

「葵ちゃん、ここのお店の推しのメニューはホットケーキだよね。パンケーキとホットケーキの違いって知ってる?」
「日本の名前がホットケーキでしょ?それくらい知ってる」
「おぉ、さすが」
「そんなの褒めないで。三谷さんの知識に比べたらほんの少しだから」
「そんなこと言うなよ。俺が中学3年の時なんて、葵ちゃんよりずっと知らなかったよ」
「それじゃ、私も三谷さんの年になったら同じくらいになる?」
「たぶんね」
「あと十年ね・・・・・・」
「そう。年の差は知識の差だからね」

葵は半分近く食べてから一度フォークを置き、改めて写真を撮ってからインスタに上げた。

「食べてる途中も上げるの?」
「そう、食べてる感がしっかりするでしょ?こっちの方が美味しそうに見えるから。でも、綺麗に食べないと・・・・」
「そうか、確かにそうかも。勉強になるなぁ。でも、それだと綺麗に食べないといけないから大変じゃない?」
「もちろんだけど、綺麗に食べるのは悪いことじゃないから」
「確かに」

葵は楽しそうだ。宏一は葵の雰囲気が変わったような気がした。なんとなく、子供っぽく見えたのだ。

「どうしたの?」

葵が宏一の視線に気が付いて聞いてきた。

「ううん、何か、葵ちゃんが可愛いなって」
「それ・・・・・・・・」

宏一は葵が何か文句を言うのかと身構えた。しかし、葵が言ったのは予想外の答だった。

「・・・・あのね、私、普段はこんなに甘えたりしないから、私自身が変わって見えたんだと思うの」
「え?」

宏一は、中学生の言葉とも思えない大人びた答に驚いた。

「いつもは、学校でも三谷さんの部屋でも、身構えているのね。それが今は全然無いから。だからきっと子供っぽく見えたんだと思う」
「そうなんだ・・・・・・・・・それにしても、よく自分のこと、そんなに客観的に見られるね。大人みたいだよ」
「だって、大人だから・・・・・普段の私は」
「そうか、大人でいることを求められてるんだものね」
「そう。特にお母さんからは」
「そういう親子もいるんだ」


つづく

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「お母さんのことは大好きだけど、時々嫌いになる」
「そうだね。葵ちゃんだって甘えたいときはあるよね」
「それって、やっぱり子供だってこと?」

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