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少女の性 第六百七十一部 「ねぇ、三谷さんて、不思議な人よね」 「本人に向かって不思議な人って言われても、何が不思議なのか分かんないよ」 「だって、いろんなこと知ってるし、世界のあちこちに行ってるし」 「それは大人なんだから葵ちゃんよりいろんなこと知ってるし、あちこち行ってるよ」 「そうかしら?」 「まぁ、大人でも全然動かない人も居るから、そう言う人に比べるとあちこち行ってるかも知れないね」 「ねぇ、外国のこと話して」 「どんな話が良いの?」 「今までに一番危なかった、危機一髪、みたいなのは何?」 「危なかった・・・・・か・・・・・」 「何でも良いから教えて」 「そうだなぁ。スペインに行ったとき、同僚のアメリカ人と夕食に出かけて港の近くのレストランでご飯を食べたんだけど、その後ホテルに帰るときに、道路の反対側にいたスペイン人の若者が声を掛けてきたんだ。スペイン語は分からないから気にしなかったんだけど、結構しつこく声を掛けてきて、なんか、からかってるみたいだった」 「それって結構、危なくない?」 「向こうは何人も居たし、こっちは二人だけだったから、だんだん早足になってズンズン歩いて行ったよ。向こうは何度か声を掛けてきたけど、一緒のアメリカ人も何も言わずにズンズン歩いていたしね。それで通りの角を曲がって、やっと離れてから二人で胸を撫で下ろしたけど、アメリカ人に聞いたら、港はもともと若い人が溜まりやすい場所だし、スペイン人は通貨の関係でヨーロッパの中でも貧乏なんだって。だから不満が溜まってるから危ないんだって言ってた」 「うわぁ、それって生の話だ。凄い。他には?」 「そうだなぁ。飛行機が飛ばなくなった、とかはあるけど・・」 「教えて教えて」 「うん、それじゃ、その話の前に、俺もそろそろベッドに入るかな」 宏一は飲み終えた酒を簡単に片付けると、自分のベッドに入った。 「ねぇ、飛行機が飛ばなくなった話、早く」 葵は隣のベッドからじっと宏一を見つめている。早く話が聞きたくて仕方ないようだ。こういう葵を見ていると、とても子供っぽい気がする。 「うん、あのね、アメリカから帰ってくるときに、シカゴから日本に飛ぶ飛行機が、航空会社のコンピューターシステムのトラブルで飛ばなくなったんだ」 「飛行機のコンピューターが?」 「ううん、航空会社の本社にあるコンピューターで、飛行機がどこに飛んで、次にどこに飛んでって決めるコンピューター。世界中にいるその航空会社の飛行機を管理してるんだ。それがトラブルで動かなくなったから、確かシカゴでの落雷とか言ってた、パイロットは飛行機を飛ばして良いのかどうか、分からなくなって、全部の飛行機が止まっちゃったんだよ」 「それって、やばいパターンよね」 「うん、だけど、俺としては日本に帰りませんて言うわけにも行かないからね。滞在を延ばせばお金だってかかるし」 「うんうん、それで?」 「たぶん、明日までには直るだろうってことで、シカゴから日本に向かうんじゃなくて、ロスアンゼルスから日本に向かう飛行機にはまだ席がありそうだってことで、予約を換えることにして、ロスアンゼルスに行くことにしたんだ」 「そんなことできるの?」 「飛行機のチケット次第なんだよ。飛行機のチケットって、エコノミークラスだけでもの凄く種類が多くて、30種類とか40種類とか言われてるんだ。そのチケットにはそれぞれ買い換えるときや払い戻すときにいろいろな条件が付いていて、それによってねだんが違うんだ。俺の場合はビジネスクラスだったし、その頃はあちこち飛行機にたくさん乗っててマイルも溜まってたから交換も楽だったんだ」 「でも、会社のコンピューターが壊れて飛行機が飛ばないんでしょ?」 「俺もよく分からないけど、一部だけは動いていたんだ。アメリカの国内線の一部だけは」 「その交換って、英語で話すの?」 「うん、あの頃は英語ばっかり使ってたから全然問題なかったしね。今だとつっかえつっかえって感じかな」 「それで?」 「ただ、ロスアンゼルスに行くって言っても、ロスアンゼルスってアメリカの西の端っこなんだよ。だから、飛行機で行くにしても何時間もかかるんだ。そうすると、その日の日本行きの飛行機には乗れないから、翌日の飛行機のキャンセル待ちにしたんだ」 「キャンセル待ちってことは、キャンセルがなければ乗れないの?」 「そう言うことだね。でも、航空会社の人は、必ずじゃないけど、たぶんだいじょうぶだって言ってた。それで、ロスアンゼルスに着いたらサービスカウンターにに行ってくれって」 「それじゃ、次の日に乗れるかどうか分からないままロスアンゼルスに行ったの?」 「そう」 「なんかすごい。そんなことするんだ」 葵は冒険小説を読んでいるみたいにワクワクしてきた。 「これって、葵ちゃんの言う危機一髪に入ってる?」 「入ってる。だから次を話して」 「それで、ロスアンゼルスに着いたらもう夜で、カウンターで話したら、翌日の朝にもう一度来いって言うんだよ。今はまだ確定できないって。それで、ホテルの宿泊券と夕食券をくれた」 「ホテルの宿泊券?そんなのくれるんだ」 「元々は航空会社のコンピューターがトラブルを起こしたのが原因だからね。ただ、ホテルまでのタクシー代は出してくれって。それとタクシーに乗る前に自分の荷物を受け取るのだって、大混乱してて、あの辺りにあるはずだから自分で探して持って行けって何百個もスーツケースが置いてあるところに連れて行かれたりしたから。まぁ、無事に見つかったからホテルに行けたんだけどね。それに、ホテルの夕食券だって安いもので、全然もらったチケットじゃお金が足りなかったよ。足りない分は自分で出したよ」 「そうなんだ。それで、結局飛行機には乗れたの?」 「翌日の朝に飛行場に行ってドキドキしながらカウンターに行ったら、取れたって言われて搭乗券をくれたよ」 「うわぁ、やっと。乗れて良かったのね」 「うん、本当に。最後までヤキモキしてたからね。まぁ、ロスアンゼルスに着いたときにカウンターに行ったときには、あなたは優先順位が高いから、たぶん乗れると思うとは言われてたけどね」 「それで、乗れなかったらどうなってたの?」 「もちろん、乗れる飛行機が出るまで待つか、近くの飛行場から日本行きが出るならそっちの空きも調べただろうね。でもたぶん、帰ってくるのがもっと遅れたと思う」 「凄いのね。なんか、ぜんぜん違うって感じ」 「確かにそうかも知れないけど、基本は新幹線と同じだよ。事故で遅れて他の新幹線に帰るときも同じことをするから。でも、乗る時間も距離も長い文だけ面倒も多いんだ。どの年も基本的には行き先一つに便が一つだから、例えばロスアンゼルスだろうが、シカゴだろうが、成田に行くのは一日一便だけ。他の航空会社からは便があるけど、トラブルの時に飛行機のビンが変えられるのは限られた航空会社だけ・・・・」 「ねぇ、そっちに行っても良い?」 「え?あ、あぁ、いいけど・・・・おいで」 宏一がちょっと驚いて返事をすると、葵はずっとベッドを出て宏一のベッドに入った。宏一が場所を空けると少し間を空けて寄り添ってくる。宏一が腕枕をすると、少し戸惑ったようだが、素直に頭を乗せてきた。 「良いの?彼の居る女の子がベッドに入ってきて」 「良いの、三谷さんは彼じゃないから」 何となく微妙な答だと思ったが、宏一は腕枕をした左手で軽く葵の髪を撫でながら話し始めた。 「話の続きが聞きたい?」 「うん、聞かせて」 「途中で眠たくなったら寝ても良いよ」 「ならないから平気」 「うん、わかった」 葵は宏一にベッドに入って腕枕をしてもらい、ドキドキしながらも嬉しかった。『甘えるってこういうことを言うのよね。なんか、不思議な感じ』葵は腕枕をしてもらいながら、宏一の方を向いて話を聞く体勢に入った。 「飛行機の話だったよね。ロスアンゼルスからの飛行機は、日本までの時間が結構短いんだ。ロスアンゼルスから成田までは9時間くらいだけどニューヨークからだと13時間くらい掛かるんだ。それに、アメリカから日本と、日本からアメリカでは、飛行時間が1時間から2時間くらい違うんだ」 「行く方向で時間が違うの?どうして?」 「偏西風って聞いたこと、ある?」 「ある。理科で習った」 「日本の近くではどっちからどっちに吹いてるんだっけ?」 「えっと、確か西から東、のはず」 「そうだね。だから、日本からアメリカに行くときは風の向きと?」 「おなじ」 「そう、だから風の無いときより風のあるときの方が早く着くんだよ」 「風で?1時間も2時間も?そんなに違うの?」 「うん、そうだよ。偏西風って、凄く強いときは2時間以上早く着くよ」 「便利ね」 「でも、逆にアメリカから日本に行くときは・・・・・・」 「時間が掛かる?」 「そう、今度は、飛んでも飛んでも日本に着かないってことになるんだ。飛行機の座席に着いてるモニターには現在の飛行速度度か出るし、地図上に現在位置も出るんだけど、偏西風が強いときに日本行きの飛行機に乗ると、飛行機の位置が全然動いていかないんだ。パイロットの人は高度を上げて北極寄りに飛んで偏西風の影響を減らそうとするんだけど、そうすると高度が高くてオーロラとか見えたりするよ」 「オーロラが見えるんだ。素敵」 「もっとも、テレビで見る緑のカーテンみたいなのじゃなくて、ぼうっと緑色に光ってるだけだけどね」 「でも素敵。私も見てみたいなぁ」 「語学留学するんなら、見られるかもしれないよ」 「そうね。がんばる」 葵はそう言いながら、何となく身体がぼうっとして怠くなってきたような気がしていた。眠くないはずなのに、どうしてこんな感じがするのか不思議だが、宏一に撫でられる髪と耳がとても気持ちいい。快感というのではなく、心地よいのだ。宏一はほんの少し撫でているだけなのだが、それがとても気持ち良くてため息が出そうだ。そして、身体が少し熱くなってきたみたいだった。ただ、暑いと言っても嫌な感じではない。葵は次第に身体に力が入らなくなってきた。 「そうだね。どこに語学留学するかは、葵ちゃんが色々調べたから分かってきたと思うけど、結構学校によって違いが大きいんだよね。日常会話に力を入れてるところもあるし、きちんと文法や作文に力を入れてるところだってあったでしょ?・・・・・・」 葵が返事をしない。 「葵ちゃん、聞いてる?」 「聞いてる。もっと話して」 「うん、俺の個人的な意見としては、グループで話したりする機会が多い方がいいと思うんだ。やっぱり会話は自分で直接話さないと伝わらないし、たぶん、葵ちゃんなら文法については特に勉強しなくたって問題ないだろうから」 葵の口数が減ってきたようだ。あまり返事をしない。 「だから、とにかくたくさん話すようにするのが一番いいと思うんだよ。葵ちゃんなら一ヶ月どころか、二週間でもだいぶ上手になると思うよ。だって基礎はもうできてるんだから、後は耳が慣れるのと、直ぐに口から言葉が出るようになれば良いんだから」 葵は何も居なわない。宏一は寝てしまったのかと思った。 「葵ちゃん、眠いの?」 「眠くない。ちゃんと起きてる。だからもっと話して」 「ごめんごめん」 宏一は慌てて言ったが、なんとなく葵は眠いのではないかと思い始めていた。 「だから、今まで色々調べてきちんと整理している候補を、自分のやりたいこと、つまり会話主体かどうかでランキング付けしてみたらどうかな?そうすれば、英会話が上達するために近道になる学校のランキングができるし、その後で、場所や休日の扱いなんかを考慮して絞っていけばいいと思うんだ。やっぱり勉強に行くんだから、先ず帰ってきたときに自分にきちんと結果を残せるような学校に行かないとね。期間は一ヶ月くらいならギリギリ確保できるだろ?学校を休んでも、それくらいなら落第することはないし、学校によっては欠席を出席にしてくれるところもあるらしいから」 宏一は話し続けたが、葵の反応は明らかに鈍い。しかし、ここでまた『起きてる?』と聞いたら怒られるような気がしたので、更に話し続けた。 「それに、休日に旅行できるプランもあるって言ったって、もともと旅行じゃなくて勉強で行くんだから、旅行に関しては次に旅行できたときのために情報を集めておく、位の気持ちで勉強に集中しないと短期間での上達なんて無理だと思うんだ。休暇の旅行を考え始めると、かなり日程を取らないと観光の日数が足りなくなるよ。調べてみれば分かるけど、アメリカの観光地はどこもそれぞれかなり離れてるからね。東京みたいにディズニーも浅草寺もスカイツリーも全部近くにあるなんてことは無いから」 宏一は話していて、葵の反応が薄くなってきたと感じた。すると、葵が身体を動かして少し宏一に近づいて、宏一の胸に手を置いて添い寝しながら身体をくっつけてきた。明らかにこれは甘えて寝るときのサインだ。 「葵ちゃん・・・・・」 「・・・・・・・・・・・」 「葵ちゃん?・・・・起きてる?」 「んん・・・・・・・」 葵はどうやら寝てしまったようだった。ただ、宏一がびっくりしたのは、葵の身体は宏一にくっついていないのに、明らかにブラジャーの先端が横向きに寝ている宏一の脇にくっついている。身体の位置から想像できるよりも乳房だけずっと近い印象だ。宏一は、最初これをどう考えれば良いのか戸惑ったが、直ぐに乳房が前に突き出しているのだと分かった。由美や洋恵だったら乳房がくっつく身体の位置ではない。 どうして良いのか分からずに宏一が戸惑っていると、葵は更に身体をくっつけてきた。どうやら完全に寝惚けて甘えているようだ。宏一は覚悟を決めて、軽く抱き寄せてやると、葵は満足そうな吐息を吐いて頭も擦り寄せてきた。そして宏一の胸に頭を乗せて静かに寝息を立て始めた。ただ、葵は時々寝返りを打ったが、向こう側を向いたときには葵はベッドから落ちそうになる。ツインルームのベッドでもそれほど広くないので二人でゆったり寝るには狭いのだ。 そこで宏一はがこちら側に寝返りを打ったときに葵をもっとベッドの中央に近づけたので、結果として宏一がベッドの端っこに追いやられてしまった。それでも葵は宏一の側に向いた時には無意識に宏一にくっつこうとした。宏一はしばらく葵をじっと抱いていたが、やがて酔いと疲れから眠りに落ちていった。 づく http://shojyonovels.is-mine.net/ 少女の性シリーズ掲示板 https://bbs1.sekkaku.net/bbs/hiwaki25/ バックナンバーはMailuxにアクセスして http://www.mailux.com/ 左上の検索窓に『少女の性』と入力して 「バックナンバー公開」の「閲覧可能」をクリックしてください。 |