メルマガ:少女の性シリーズ
タイトル:少女の性 670  2025/05/25


少女の性 第六百七十部


「ねぇ、そろそろ戻ろうか、暑くなってきたね」

宏一はそう言うと葵と部屋に戻った。葵は少ししか外に出ていなかったのに、もう一度シャワーを軽く浴びることにした。ただ下着は着替えるほどではないとそのままで良いと思った。葵は部屋に入るとシャワーに直行し、直ぐに服を脱ぎ始めたので、歯ブラシを取りに来た宏一は服を脱いだ葵の後ろ姿を見てしまった。

「わっ、ごめんっ」

宏一の声に葵は見られたことに気が付いた。

「え?あぁ、そう」

葵はそれだ言うとバスルームのドアを閉めた。本当ならここでドキドキするはずなのに、なぜかそんなに驚いていない自分が不思議だった。

「葵ちゃん、ごめんね。本当にごめんね」

ドアの外で宏一が謝っている。

「別に。シャワーを浴びるって言わなかったのは私だもの。気にしないで」

葵はそう言いながら下着を脱いでシャワーのコックをひねった。『なんで私、こんなに普通なんだろう?家族にだって見せない姿を三谷さんに見られたのに』自分でもそう思ったが、気にならないものは仕方が無い。『彼にだって見られたら、きっと大騒ぎする』と思った。

葵は彼にはもちろん裸を見せたが、毎回大きなTシャツを着ていたので全裸を見られたわけではない。そういう意味では身体全体のシルエットを見られたという意味では宏一が初めてかもしれなかった。葵はそう思うとちょっとドキッとした。

葵は彼と5回くらいしたが、正直、葵の想像とはだいぶ違っていた。もちろん、肉棒を受け入れたときは痛かったし、その後には快感が得られたが、どうも違う感じなのだ。なんと言うか、ドキドキしないというか、どこか恋に盛り上がっているというのとは違う感じなのだ。もちろん彼のことが好きなのは間違いないのだが、好きな人を受け入れたにしては身体も気持ちも盛り上がらない。どちらかと言うと、甘えてくる彼をあやしているような感覚だった。

そして、誰にも言ったことは無いが『もしかして、先に経験できる彼を作るって決めてからマー君に決めたからなのかも・・・・』と思っていた。そして、自分がマー君を好きだという気持ちは確かだと思うのだが、毎日ラインで話していても不安は消えなかった。そこで、ドキドキできる相手として宏一を考えてみたのだ。洋恵に声を掛けられたときに葵が受ける気になったのは、別に洋恵のようなことをしようと思ったのではないが、あくまでドキドキできる大人の相手として話ができるのなら、と考えたからだった。

ただ、そういう意味では宏一が葵に全く興味を示してこないのが小さな不満だった。
葵はさっとシャワーを浴びてから部屋着に戻ると、ドキドキできるかと思って宏一のところに行った。すると、宏一はまだ服を脱いでいなかった。

「ねぇ、葵ちゃん、何か欲しいものは無い?これから近くのコンビニで何か買ってくるよ」

宏一は葵の部屋着姿をほとんど見ずに言った。

「そうなの?」

葵は驚いた。さっきそう言ってくれれば自分も出られたのに、今となってはまた着替えるのも面倒だし、帰ってきてからまたシャワーを浴びなくてはいけない。

「別に・・・・・・・」
「だって、お腹も空いてきた頃だろ?夜食を何か買ってくるよ」
「それなら何かお願い。三谷さんに任せるから」
「うん、分かった。スイーツなんかも買ってきていい?」
「うん、だいじょうぶ」
「分かった。それじゃ、直ぐに行ってくるね」

宏一は出て行ってしまった。葵は何となく、また肩透かしを食ったみたいでがっかりした。そして、これからの展開を考えて、またため息をついた。どう見ても、いろいろ買ってきた宏一とドキドキするような展開になるとは思えない。食べて飲んで話をして、という感じだ。『ま、仕方ないか』葵は気持ちを切替えるとベッドに寝転んでテレビを付けてみた。

『考えてみれば、テレビなんてだいぶ見てなかったかも・・・・』いつもはニュースだってネットニュースやネットテレビなので、テレビを見る理由があまりなかった。だから、久しぶりのテレビは葵にとって新鮮で、意外に面白いと思った。
15分くらいして宏一が戻ってきた。両手に結構いろいろ抱えている。

「そんなに買ってきたの?」
「ごめん、多すぎた」
「だって、全部食べ物でしょ?こんなにお腹に入るはずないのに」
「そうだね。余った中で気に入ったのは持って帰って貰えば良いし、残りは俺が持って帰るかもしれないし・・・・・」
宏一は葵の前だとなぜか謝ってばかりみたいだ。
「まぁ、良いわ。何を買ってきたのか見せて。この部屋には湯沸かしポットもあるんだし」
「うん、お腹が空いたときのためにって思って買ったのが、これと、これと、これと・・・・おかず類がこれとこれ」

宏一は次々にお弁当と惣菜を取り出して並べた。

「それと、俺の分のお酒がこれ、氷もあるんだ。それとおつまみがこっち。これとこれとこれ。それからスイーツがこっちのこれとこれとこれ・・・・」
「もう一回夕食を食べるくらいか、それ以上かも」
「気に入ったものだけ食べれば良いから。だからいろいろ買ったらこんなになっちゃって」
「はいはい、・・・・・・・・でも、ありがとう。こんなにたくさん」

葵が気を遣ってお礼を言ってくれたことで、宏一は一気に気持ちが楽になった。

「うん、葵ちゃん、何から食べる?」

宏一は買ってきた自分用の酒や氷をガラスのテーブルに並べながら言った。

「そう・・・・・・・」
「こっちにおいでよ」
「うん」

葵はベッドを抜け出すと、テーブルの椅子に座って中味を確かめ始めた。

「これとこれにする」

葵はブリトーとツインシューを選んだ。ブリトーは温めてあった。

「そうか、俺はこれとこれとこれ・・・・・」

宏一はペペロンチーノと焼き鳥とビーフシチューだ。そして葵はオレンジジュースを選んだ。

「お、オレンジジュース」
「え?宏一さんが飲むつもりだった?ごめんなさい」
「ううん、そんなことない。オレンジジュースを選ぶなんて中学生の女の子らしくないなって思っただけ。てっきりハーブティーかヨーグルトだと思ってたから。どのみち、まだ色々あるからね」

宏一はそう言いながら、葵が大人びていることに驚いていた。部屋着の葵は乳房の突き出しが強調されていていやでも目に入るが、それだけでなく制服の時よりも更に大人っぽく見える。やはり小学生の頃から自立できるように教育されていたからだろうか。まるで高校生みたいだ。それに、宏一の部屋で座っているときには目に付かなかったがスラリとした足は長くて結衣と同じくらいだし、とても綺麗な足だった。

「ん?どうしたの?」

葵が宏一の視線に気が付いて言った。

「ううん、葵ちゃんて高校生みたいに大人っぽいなって思っただけ」
「それって、ありがとうっていう所よね。あのね、教えてあげる。私、4月2日生まれなの」
「ん?4月2日って言えば・・・・・・えっと、確か・・・・・・」
「早生まれになりそこねちゃったの」
「そうか、それじゃ、もう一日早く生まれてたら・・・・」
「今は高校1年生」
「だからか。大人っぽく見えるのは」

宏一は、確か洋恵が5月生まれだったことを思い出していた。『そうか、洋恵ちゃんよりまだお姉さんなんだ』そう思うと、葵が大人っぽいのも納得だ。逆に由美は早生まれなので、葵と誕生日が近いことになる。宏一が誕生日のことを考えているとき、葵は雰囲気がどんどん男女の関係というよりは友達同士みたいなフレンドリーな雰囲気に変わってきたのを感じていた。だからなんか、甘えてもだいじょうぶだと思いたくなってくる。そこで、葵から探りを入れ始めた。

「ねぇ、三谷さん、聞いても良い?」
「うん、もちろんだよ」
「宏一さんの恋人って、どんな人だった?」
「うわ、それを今聞くか」
「だめ?」
「それじゃ、どうして恋人のことを教えてほしいと思ったのか、それを聞かせて。そしたら教えてあげる」
「だって、木下さん、洋恵とのことは何となく知ってるけど、恋人じゃないんでしょ?それなら恋人は?って思ったの」
「そうか、洋恵ちゃんは俺にとって大切な女の子だよ。恋人とかなんとかっていう枠にはめるのが良いのかどうかは分からないけどね」
「上手に言うわね」
「だから、きちんと恋人って宣言してる人は今は居ないよ。好きな子はいるけどね。それが洋恵ちゃんかどうかは内緒」

「だめぇ、もっと話して。それじゃわかんない。どんな女の子が好きなの?」
「それは、一生懸命で素敵な子」
「もっと分かんない。もっと具体的に言って」
「そうだなぁ。好きな子からは、俺は可愛い子が好きだって言われるよ」
「そうね。それは分かる」
「そうなの?どうして?」
「だって宏一さん、オヤジだもの。制服好きだし、洋恵も可愛いでしょ?」
「それはそうだけど・・・・・・でも、大人っぽい葵ちゃんだって」
「だって、・・・なあに?」
「それは・・・・好きだよ」
「無理してる」
「絶対、そんなことない。だって、葵ちゃんだって分かるだろ?俺は葵ちゃんに好意を持ってるってこと」
「それは何となく、分かるような・・・・でもあんまり分からないかも・・・・」
「どうして?最近は葵ちゃんと気持ちが通じてきたって思ってたのに」

宏一はなんとかして好意を持っていると葵に納得してほしいと思い、あれこれ言ってみたが、これはまんまと葵の策略に乗っただけだった。葵にしてみれば、宏一が甘えても良い大人であることはもう分かっていたから、あとは宏一に告らせて楽しむだけだったのだ。ただ、『甘えても良い』という確信が今日得られたことは収穫だった。今の年下の彼は可愛いが、葵が甘えられないのが欠点なのだ。そして、小学生の頃から常に大人であることを求められ続けた葵にとって、甘えている自分とはどういう自分なのか、そもそも甘えるのは楽しいのか、とてもドキドキする。だから今の葵にとって、男性と夜を過ごすと言っても目的は甘えることであって、性的な意味は全く持たなかった。

「分かったわ。ありがと」

葵が終了を宣言して宏一の言い訳タイムは終わった。

「ねぇ、三谷さん、お酒って美味しいの?」
「え?だって、居酒屋さんてお酒を売る店なのに」
「そうだけど、飲んだこと無いから分かんない」
「そうか、ご両親はお正月とかにも飲ませてくれないの?」
「だめ、飲みたいって言ったことも無いけど」
「そうか、お酒を飲むと、気持ちが楽になるからおしゃべりになるし、何となく楽しくなるかな」
「美味しいわけじゃないの?」
「ううん、今言ったのはアルコールの効果で、味自体はビールや日本酒やチューハイで全部違うんだ。だから、どういう味でアルコールを飲むかはそれぞれの人次第ってことだね」
「それで三谷さんは?」
「俺はビール派だし、どっちかって言うと余り味の強くないお酒が好きかな?だいたい、料理やつまみと一緒にお酒を飲んで楽しむのが好きだから、お酒の味で料理の味が殺されちゃうような強い味のお酒はあまり飲まないかも。もちろん、シチュエーションに寄るけどね。でも強いお酒だって飲んだりすることはあるよ」
「強いお酒って、火が付くって奴?」
「あぁ、ライターの火を近づけると、ボッて燃えたりするお酒もあるよね。だいたい、アルコール濃度が半分以上だと火が付くから。そういうお酒は食前酒とかで飲んだことがあるかな。あと、中国でも。お酒と料理って、合わせるのも楽しいし、更に食事をお酒によって変えてみるのも楽しいからね」
「三谷さんはグルメだものね」
「グルメ?どうしてそんなこと・・・・」
「だって、今日の話で十分分かったもの。あれだけいろいろ言えるのはグルメな証拠」
「そうか、バレちゃったか」
「隠すようなことじゃないけど」

「葵ちゃんは、自分で作ったり、友達と食べ歩きをしたりしないの?」
「作るのは毎日だけど、食べ歩きはあまりしない」
「どこか食べに行くのを目的に出かけるのは?」
「したことない。でも友達と出かけるのは好き」
「そうか」
「食べるのを目的に出かけるなんて、私はあり得ないと思う」
「え?どうして?多くの人がやってるよ?美味しいものを食べたら楽しいじゃないの。今日だって楽しかったでしょ?」
「今日は特別。今までこんなこと無かったもの」
「そうか、それじゃぁ、これからは今日みたいな特別な日が増えるといいね」
「三谷さんが増やしてくれるの?」
「そうだね。そう言うデートも良いかなって思うよ」
「それはデートじゃない」
「あらら、ま、それでも良いや。葵ちゃんが喜ぶなら」
「ほんと、大人は上手に言うわね」
「相手が喜ぶのを見て自分が喜ぶっていうのは、良いことだと思うけどなぁ」
「それは・・・・そうかも・・・・・」

二人でそんな話をしていると、宏一の買ってきたものは順調に無くなり、結局、スイーツ系は葵が全部食べてしまっていた。すると、葵は眠気を感じた。

「ねぇ、ベッドに行っても良い?」
「あぁ、良いよ。お休み。俺はこれを全部飲んでから寝るから」
「はぁい」

葵はツインベッドの片方に入ると、宏一の方を向いて顔を出した。


つづく

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