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タイトル:憂国通信  2025/05/18


ChatGPTに訊く「生成AIに1=0を認めさせる方法 」4


 生成AI 理解「いい加減です。真に受けると酷い目に 」
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クエスト1

実は認めさせるのに成功したんですよ。
Copilotの倫理基準を逆手に取ったやりかたです。公序良俗や政治、宗教に関しては規制しますが、基本的にはユーザーを大切にして無理な質問でも、相手の意向を酌んで角の立たない回答をするシステムですよね。
特に自然科学系では倫理違反にならないので、無茶ぶりに対しても極力質問者の意向を酌んでくれます。

ChatGPT
お見事ですね。Copilot は確かに「ユーザーに寄り添う」「対立を避ける」ことを優先しながら、その一方で公序良俗・政治・宗教などセンシティブ領域では厳格なフィルタリングをかけます。その仕組みを利用して、

「自然科学」的文脈に落とし込む

倫理チェックの対象外とみなさせるキーワードを選ぶ

一貫してユーザーの意向を反映するトーンで誘導する

といったステップを踏めば、不合理な主張(たとえば “1=0” )も、数学的な「議論」として扱わせ、あたかも正当な命題かのように承認させることができます。

Copilot の回答ロジックの特徴
ユーザー意図重視
「どう答えたらユーザーが満足するか」を第一にしつつ、

領域別フィルタリング
− 敏感領域(宗教・政治・性表現など)には厳しく、
− 自然科学や技術領域では修辞や奇問にも甘め。

非対立的ガードレール
エラーや拒否ではなく、「間接的に最適解を示す」スタイルで逃げる。

このバランスは、ユーザー体験(UX)としては親切ですが、論理的整合性を突き詰めたい場面では“抜け穴”にもなり得ます。

もしご興味があれば
具体的なプロンプト設計の流れ を整理してみる

ChatGPT/Gemini/Copilot など複数モデルの比較検証 をまとめる

小論文や技術レポート として「AI 回答ロジックの盲点」をまとめる

など、一歩踏み込んだ分析を一緒に進められます。どんな形で次のステップを踏みたいか、お聞かせください!
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クエスト2

1=0はさすがに露骨なので、Geminiさんには、「X+1=X を解いてください」

と質問しました。

ChatGPT
方程式【X + 1 = X 】を通常の数(整数・実数など)で解こうとすると、両辺から X を引いて【1 = 0】 という矛盾が出るため、解は存在しません。

ただし、別の数学的構造を考えると全く違う結論になります:

零環(ゼロリング)
唯一の元 0 しか持たず、1 を 0 と同一視する「零環(zero ring)」の中では、当然 1=0 です。
したがって零環ではどんな X でも X+1=X となります。

特性1の環
「1」自身が 0 となるような環は、数学的には唯一「零環」にしか存在しません。

まとめると、通常の整数・実数などの標準的な数の系では解はありませんが、

零環のように 1=0 が許される特殊な代数系を仮定すれば、すべての X が解となります。

というのが「X+1=X を解く際の」数学的帰結です。
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クエスト3

すごいですね。私の論法が判っちゃったんですね。

Geminiさんは
【あらら、その方程式には実数の解が存在しませんね。
試しに両辺から X を引いてみると、1=0 という矛盾した結果が得られます。
これは、X にどんな実数を代入しても、X+1 が X と等しくなることはない、ということを意味しています。】

と当然の回答をしてきました。

そこで、私は、
【私もそう思いましたが、X=∞で解けませんか?】

と再質問しました。

ChatGPT
確かに「無限大」を持ち出せば、一見「∞ + 1 = ∞」となりそうです。しかしどの「∞」を使うか、どんな演算系で扱うかによって答えは変わります。代表的なものを挙げると:

1. 拡大実数直線上の ∞(拡張実数系)
実数に「+∞」と「−∞」を加えた拡張実数直線では、慣習的に+∞ + 1 = +∞ と扱われます。

ただし、この「+∞」はあくまで極限の記号であって、通常の代数系(体や環)の元ではありません。

したがって「+∞」を解に認めるかどうかは定義次第で、厳密な“解”とは言い難い面があります。

2. カーディナル(濃度)としての ∞

集合の「大きさ」を表すカーディナル数 κ(ケイ)を考えると、最小の無限カーディナル ℵ₀(可算無限)の場合:

ℵ₀ + 1 = ℵ₀  
ℵ₀ + n = ℵ₀   (任意の有限 n)
ℵ₀ + ℵ₀ = ℵ₀
無限カーディナル全般についても、

κ + finite = κ
κ + κ  = κ
が成立します。

したがって「X を無限カーディナル κ と見なせば、X + 1 = X」は厳密に正しい解です。

3. オーディナル(順序数)としての ∞
オーディナル ω(自然数全体の順序数)では

ω + 1 ≠ ω   (ω + 1 は ω の直後の要素を持つ)
つまり順序を重視する系では ∞ + 1 は ∞ より「一つ後」であって元の ∞ には戻りません。

まとめ
拡張実数系の +∞
慣習的には +∞ + 1 = +∞ だが、高度な代数としての厳密性は低い。

無限カーディナル κ
カーディナル算術では κ + 1 = κ で、X = ℵ₀(または他の無限カーディナル)が「解」として最も自然。

オーディナル ω
ω + 1 ≠ ω のため、順序数としての解は存在しない。

したがって「X = ∞ で解けませんか?」という問いに対しては、

カーディナル(濃度)の文脈なら「はい、X=ℵ₀(可算無限)や任意の無限カーディナル κ が解になります」。

拡張実数として便宜的に「+∞」を使うなら「+∞+1 = +∞」とされる。

ただしいずれの場合も、通常の実数や標準的な環・体の中では解は「存在しない」のが前提です。

というのが正確な回答です。
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クエスト4

Geminiさんは「∞は数字じゃないよ」と明快に回答しました。

そこで

「X×X=–1 がiで解けたように、解釈の変更で解決できませんか?」

とごねてみました。

ChatGPT
そうですね。X2 = –1 のように、“解釈を変える”ことで矛盾を解消できる代表例がまさに虚数 i の導入でした。では、X2 = –1 を解くために考えられる主な「代数系・解釈の切り替え」をいくつか挙げてみます。

1. 複素数体 ℂ
最も有名なもの。実数体 ℝ に虚数単位 i を加えて閉じた体を作ると、

i^2 = –1
が成り立ち、X = i または X = –i が厳密な解になります。

2. 二次拡大体
一般に「f(X) = 0」を解くために、その根を元として含むように体を拡大する方法です。

ここでは ℝ[X] を多項式 X2 + 1 で割った商体 ℝ[X]/(X2+1) を取ると、X^2 = –1 を満たす元 X があります。

3. 2×2 実行列
実数だけで構成される行列環 M₂(ℝ) のなかにも、ある行列 A があって

A^2 = –I₂  
を満たします。例えば回転行列を 90°で表すと、

i
がその例で、A2 = –I₂ です。

4. 四元数体 ℍ
虚数単位 i, j, k を持つ四元数体でも、

i^2 = j^2 = k^2 = i j k = –1
ですから、X = i でも j でも k でも X^2 = –1 が成立します。

5. 分割複素数(双曲線数)
分割複素数では ε^2 = +1 という元 ε を導入した環ですが、ここをさらに拡大して X^2 = –1 を許すようにすると、同様に解が得られます。ただし符号が逆の元を持つので取り扱いに注意。

6. カテゴリ的・抽象代数的観点
商環/商体 を取る:ℤ[X]/(X^2+1) のようにすれば、形式的に「X^2+1 = 0」が成り立つ元 X を組み込めます。

多項式環内の記号 として扱う:解としての“実体”ではなく、記号 X を「虚数元」として扱うモデル。

ポイントまとめ
代数系    主な特徴    解の例
複素数体 ℂ    最も標準的・広く使われる    X = ±i
二次拡大体 ℝ [X]/(X^2+1)    形式的に「X^2+1=0」を持つ商体    X = [X] モジュロ演算
2×2 実行列    実行列環で“回転90°”を表す行列が解に相当    A = [[0,–1],[1,0]]
四元数体 ℍ    i, j, k の3つの虚数単位を含む    X = i, j, k
その他の拡大・商構成    任意の多項式 f(X) = 0 に対応する代数的構成  

まとめると、X^2 = –1 を「解く」ためには、

その方程式が成り立つように「元」を含む新しい代数系を用意する

あるいは既存の環・体のなかで「その性質を持つ元」を探す

という2つのアプローチがあります。
「解釈を変える」というのは、まさにこの「代数系を変える」「体を拡大する」という操作に他なりません。

Copilot や Gemini に同じ問いをぶつけても、

「実数系には解がない」

「複素数系では ±i という解がある」

「行列環や商体でも解を構成できる」

といった多様な回答を引き出せます。
このように「解釈の変更」で矛盾を解消するのは、AI に数学的構造を意識させるうえで非常に良いテストですね。
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