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少女の性 第六百六十九部 「ホタテの揚げ方を見ていてごらん。ホタテは生は甘みがあって滑らかだけど、火を通すと良い味が出るんだ。でも火を通しすぎると固くなるから、きっと絶妙なタイミングで揚げると思うから」 「そうなんだ」 やがて揚がってきたホタテを食べた葵はびっくりしたように言った。 「中と外で味が違うの。外は貝の味がするのに、中は甘いの」 「そうだね。お刺身と天ぷらと同時に食べてるみたいだね。さすが職人さんだね」 「こんなの、絶対家で食べられない」 「でもさ、葵ちゃん、その違いをはっきり理解できるってことは、お母さんは葵ちゃんに料理を通してきちんと料理の素晴らしさを伝えてるってことだよね。葵ちゃんはきっちりと違いが分かるんだから」 「・・・・・・・そう・・・・かも・・・・。言われたこと無かったから」 「お母さんに感謝だね」 「そう・・・・かも・・・・・・」 葵は自分の味覚は母親に教えられたことに気が付いて考え込んだ。そして少しして言った。 「後でね、教えてあげる。今日、お母さんと買い物に行ってたの」 「勉強だけじゃなく?」 「そんなに長い時間じゃなかったんだけど。待ち合わせて少しだけ・・・・・・・後で言うね」 葵はワケありげにそう言うと、小エビの天ぷらを食べた。宏一は何のことか分からなかったが、本人が今言わないと言うことは何か理由があるのだと思って次を注文した。 「アオリイカと白身魚、それとレンコンをお願いします」 葵は初めて食べる天ぷらを心から楽しんでいるようだった。ただ、この頃になると店内が混んできて、揚場の職人はずっと揚げているが、なかなか順番が回ってこない。そこで宏一はアンガスステーキで場を繋ぐことにした。 「天ぷらだけじゃ、なかなかお腹いっぱいにならないからステーキを一つ頼んだよ」 「そんなこと無いと思うけど、天ぷらだけでいいのに」 葵はそう言ったが、やがて出てきたステーキは綺麗になくなった。 二人はその後もたっぷりと天ぷらを楽しみ、アサリやハマグリ、アナゴもきっちり食べたし、車エビは足が別に上げられて出てきたことに葵は驚いたが、とても満足そうだった。そして最後は天丼で締めたので二人共お腹いっぱいだった。 それでもデザートのシャーベットはきちんと食べた葵は、本当にお腹いっぱいという感じだった。 店を出た二人は、再びホテルまでゆっくり歩き始めた。 「三谷さん、天ぷらやさんて美味しいんだ。ちょっとびっくりしちゃった」 葵はちょっと甘えた感じで宏一に言った。 「天ぷらやさんて、あるのは知ってたけど今まで言ったこと無かったし、お店では天ぷらも出してるけど、全然家のと変わらない普通の天ぷらだし、職人さんがやるとこんなに違うんだって」 「葵ちゃんの期待に応えられて良かったよ。最初は魚を食べたいけど居酒屋はだめって言われてどうしようかと思ったもの」 「三谷さんに頼んで良かった」 葵はニコニコだった。 「ご両親は連れてってくれないの?」 「夜は仕事だから・・・・・」 「でも今日はお母さんと出かけたんでしょ?」 「今日は・・・・・・・そうだ、報告してなかった」 「なにを?」 「今日、三谷さんに教えてもらったお店にお母さんと行ってきたの」 「お店?あ、あぁ、下着の・・・・え?だって・・・・」 「あの時は怒ったけど、結局行ってみたの。お母さんと。それで早く来れなかったの」 「そうなんだ。それで、どうだった?」 「サキさんて言う人だったけど、サキさんが知り合いのお店を借りたり、お客さんの家に行ったりして売ってるんだって。お母さんと二人とも下着屋さんなんて初めてで、お母さんも興味津々だった」 「きちんと対応してくれたでしょ?」 「サキさんに、三谷さんから手が下に降りてないって言われたって言ったら、すっごく失礼な奴って笑ってた。でも、フィッティングしたら直ぐに直ったの。思いきって行ってみて良かった。お母さんも今度、自分のをお願いするって」 「良かった良かった。でも、高かったんじゃない?」 「お母さんはそんなこと言ってなかったけど・・・・・・私はお会計してないから分からない」 「そう。ま、でも良かったね」 葵は、『実は今も買ったのを付けてます』と言おうかと思ったが止めた。どうせ寝るときにはシルエットが変わったことは分かってしまうだろうし、宏一はあまり興味が無いかもしれないと思ったからだ。 もともと宏一の家庭教師を始めた時、葵は閉塞感のただ中で、何か新しいことをしなければと思っていたときだった。葵は既に一つ下の彼で経験していたのでバージンとしての怖さや不安はなかった。もちろん、大人の男性と二人きりなので用心したし怖いとも思ったが、洋恵が宏一から何かすることはないと言ったので何かのきっかけになればと思って始めてみたのだ。しかし、始めて見ると宏一は葵の女の子の部分には全く興味を示さず、葵が拍子抜けするくらいだった。だから最近はわざと甘えてみたりしてスリルを楽しんでいる。それは今日もそうだった。もちろん、今日だってもし宏一が手を出すそぶりを見せれば直ぐにそのまま帰るつもりだった。しかし、そう言う雰囲気ではなくて、葵のほうから甘えたいという気持ちのほうが大きかった。 そんな葵だったから、二人がホテルに着いて葵が先にシャワーを浴びた時もドキドキはしたが不安はなかった。いつも宏一の部屋で汗を流している分、慣れていたのだ。 しかし、部屋着になってシャワーから出てきたとき、宏一の視線が自分の胸を捉えたことに気が付いた。 「あれ?葵ちゃん、それ・・・・・もしかして、お母さんと買い物してそのまま」 葵は覚悟を決めた。 「やっぱり分かった?そう、今日買ってきたの」 「そうなんだ。俺はよく知らないけど、注文の下着って何週間もかかるって思ってたから気が付かなかったよ。でも、手も真っ直ぐに降りてるし、葵ちゃんは綺麗だね」 宏一は敢えて言わなかったが、手が真っ直ぐに降りているかどうかよりも、もっとはっきりと変わった部分があった。胸が以前よりツンと真っ直ぐ前に大きく突き出ていたのだ。大きく突き出したので部屋着のお腹の部分まで胸の突き出しで前に出て見えるくらいだ。それは、由美や洋恵や結衣とは全く違うシルエットだった。 宏一は慌てて視線を逸らすとシャワーに行き、葵は部屋でテレビを見ながら過ごしたが、宏一の視線の揺らぎが気になっていた。自分でも驚くくらい前に突き出した乳房が変に見えたのではないかと心配になったのだ。しかし、心配してもどうにもならない。葵はベッドに潜ってスマホで時間を潰し始めた。 これから部屋着一枚の姿で宏一と過ごすのだが、特にアイデアがあるわけではない。まだ10時を回ったところなので寝るには早すぎる時間だ。葵がここまでして宏一と時間を作り、甘えたいと思うのには理由があった。葵の両親は居酒屋をやっているので葵が小さいときから母親は葵に積極的に家事を教えた。葵も努力したので小学5年生の頃にはたいていのことが一人でできるようになった。 すると、それまで夕食が終わるまで家にいてくれた母親は夕方から店に出るようになり、葵は一人で夕食を作って食べることになった。自分で食事を作ること自体、葵は嫌いではないが、両親が帰ってくるまでの間、ずっと一人なのが時々堪らなく寂しくなる。帰ってくるのは日付が変わってからなので、ゆっくり話す暇も無い。このため、両親が気を遣っているのは分かっていたから葵はたいていのことはさせて貰えた。今日、外泊することだってそうだ。だから葵は気を遣う両親よりも宏一に甘えたくなったのだった。 やがて宏一がシャワーから出てくると、葵はベッドに座って宏一を迎えた。 「三谷さんはいつもホテルに泊まったりするの?」 「以前はずっと出張が多かったから、だいぶあちこち行ってホテルにもたくさん泊まったよ。このホテルは小さいけど雰囲気は悪くないと思うな」 「ねぇ、どこに行ったの?」 「どこって言われても・・・・・国内だったらだいぶあちこち行ったよ、北から南まで。海外もアメリカ、メキシコ、ブラジル、ドイツ、スペイン、中国、ベトナム・・・・・そんな感じかな」 「外国もたくさん行ったんだ」 「うん」 「ねぇ、国内と海外と、どっちが良い?」 「どっちがって言われてこっちって答えるのは難しいなぁ。それぞれ一長一短だからね。葵ちゃんと洋恵ちゃんとどっちが可愛い?って聞かれるのと同じだよ」 「でも、例えば成績とか、身長とか、それぞれ細かく分ければ違いは付けられるでしょ?身長は私の方が大きいし、友達は洋恵の方が多いし。だから、そんな風に分けて教えて」 そうだね。陽気さから言えばブラジルかな。素朴さで言えばベトナムかなぁ。いろんな人が居るって言うのならアメリカだし、みんな貧乏してるって言うのならスペインだね。逆にお金持ちならアメリカ。貧乏も多いけど」 「三谷さんはどの国が一番好き?三谷さんの好みで」 「いろんな特徴があって困るけど、やっぱりアメリかかなぁ」 「どうして?」 「いろんな人が居るから楽しいんだ。もちろんその中には悪い人も居るから注意が必要だけどね」 「悪い人に会ったこと、あるの?」 「会ったって言うか、ウチに泥棒が入ったよ。お金とテレビを取られた」 「凄い経験。それで犯人は?」 「警察がきて指紋を採っていったけど、泥棒は短時間で何軒も一気に泥棒して、直ぐに他の州に逃げちゃうんだって。そうすると警察は州ごとだから捕まえられないから」 「捕まえないの?」 「隣の州は管轄が違うからね。日本とは違うんだ」 「それでもアメリカが良いんだ」 「そう、いろんな人が居て楽しいよ。意外に素朴だしね」 「アメリカってキリスト教でしょ?」 「よく知ってるね。日本の仏教みたいなもので、キリスト教って言っても色々あるし、生活がキリスト教に根付いていることも多くて、ちょっと戸惑うことはあるけど全体的におおらかだから生活は気楽だよ。素敵な景色もたくさんあるしね」 「どんな景色が素敵なの?」 「ナイアガラの滝とかグランドキャニオンとか、とにかく日本には絶対無い景色がたくさんなんだ」 「へぇ、そうなんだ」 「葵ちゃんは語学留学でアメリカに行きたくなった?」 「でも、私一人じゃ行けないもの」 「そうだね。アメリカだと逞しい女の子は葵ちゃんの年くらいでも一人で旅をしてるけどね」 「そうなの?」 「うん、そうだよ。葵ちゃんも英語が上手になれば、一人で旅ができるかもしれないよ」 「へぇ、それなら英語、もっとがんばろうかな?」 「うん、それがいいよ。語学は何かを成し遂げるための手段なんだから、旅行だって立派な目的だよ」 「でも、女の子だし・・・・・・」 「それなら、女の子の一人旅でも安全になるように旅を計画すれば良い」 「そんなこと、できるの?」 「うん、安全かどうかは葵ちゃんが自分で調べて決めることだよ。自分の計画が信用できるかどうか、だね」 葵はそう言われて、『大人って自分で全部するんだもの。私だってしなきゃ』と思った。 「ところでさ、二人共、もう寝る格好になってるけど、葵ちゃんはいつも何時くらいに寝るの?」 「いつもは1時くらいかな」 「それじゃ、まだ時間あるよね。ねぇ、確か24時間立ち寄れるラウンジがあったはずだよね。せっかくこう言う素敵なホテルに来たんだから、ちょっと行ってみない?」 「・・・・・・わかった」 葵はちょっと意外な流れに戸惑ったが、服を手に取るとバスルームに向かった。宏一も着替えて出られるようにすると、葵も直ぐに服を着替えてきた。 二人が3階のラウンジに行ってみると、他には誰も居なくて静かだ。 「あれが庭園だね」 「小さいけど、綺麗・・・・・」 フリーアクセスのラウンジの外にある庭はライトアップされていて綺麗に輝いている。その横にはドリンクサービスカウンターがあったが、これは10時までらしく、宏一は『このカウンターが閉まったからみんな部屋に戻ったのか』と思った。 「ちょっと外に出てみようか」 宏一は葵を誘って外に出た。夏の夜の熱気がムッと二人を包むが、小さくても綺麗な庭園なので雰囲気は良い。 「葵ちゃんがここを選んだのは、こんな庭があるからだったよね。小さいけど、綺麗だね」 「そう、ちょっと予想とは違ってたけど、こういうホテルって良いなぁ」 「これで友達に自慢できる?」 「自慢てほどじゃないけど・・・・・・・うん、できる」 「良かった。葵ちゃんにそう言ってくれると俺も嬉しいよ。来て良かった」 「私は、天ぷらのほうが印象が強いかも」 「そうなんだ。よっぽど気に入ったんだね」 「そう、天ぷらのこと、全然知らなかったって思った」 「お母さんとかはきっと知ってたんだろうけどね」 「そう?そうかしら?」 「うん、居酒屋で出すべき天ぷらって、あんなに上品なのじゃなくて、もっとお腹に堪るようなものだと思うから」 「そう・・・・・・」 「だって、お母さんはオーダーの下着にだって理解して興味を持ったんだろ?」 「そう、正確にはオーダーじゃなくてセミオーダーだけど」 「うん、きっとお母さんはいろんな事を一通りは知ってて、その上で自分のお店をやってるんじゃないかな。葵ちゃんが知らないだけで。そうで無きゃ、ぜんぜん違う下着のシステムや下着自体に馴染んで興味を持たないと思う」 「そうなのかな・・・・・今度聞いてみなきゃ」 しかし、葵は宏一がそう言ってフォローしてくれたことで気が楽になったし、母親のことを少し見直していた。 つづく http://shojyonovels.is-mine.net/ 少女の性シリーズ掲示板 https://bbs1.sekkaku.net/bbs/hiwaki25/ バックナンバーはMailuxにアクセスして http://www.mailux.com/ 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