メルマガ:少女の性シリーズ
タイトル:少女の性 664  2025/04/13


少女の性 第六百六十四部

「そう言えば・・・・・」
「どうしたの?」
「あのさ、怒らないで聞いてほしいんだけど・・・・言っておいた方が良いと思うから言うね」

今までの雰囲気が急に変わって葵の表情が防御態勢に入った。

「なに?」
「あのね、葵ちゃんの手なんだけど・・・・」
「手?」
「うん、普通、肩から手って真っ直ぐ下に降りてるもんなんだけど、葵ちゃんはちょっと違うんだよ。少し横に広がってる。正面から見て気が付いたんだ」
「それで?」

葵はすっかり防御モードに入っている。

「ううん、男の俺が言うのも変だと思って、言おうかどうしようか迷ってたんだけど、やっぱりちゃんと言っておいた方が葵ちゃんのためだと思って。葵ちゃん、自分では気が付いてた?」
「・・・・・・・・・・・・・」

葵の沈黙は、何となく気が付いてはいたが、あえて考えようとしなかったというこらしい。

「怒らないでね。下着が合ってないんじゃない?」

葵の目に炎が燃え上がった。

「ごめん、中学生の子に言う言葉じゃないかもしれないけど、でも、中学生のうちに言っておかないとと思って。怒ったのならごめん」
「そんなこと言われて喜ぶ子が居るとでも思う?」

葵は完全に怒っていた。

「ごめん。でも、葵ちゃんが何か無理をしてるのなら、ちゃんと言っておいたほうが良いと思って」
「はい、ありがとうございました。これでいい?」
「うん、でも、聞いてくれてありがとう。怒らせてごめんなさい」

宏一は葵を寄りかからせたまま頭を下げた。そのまま少し葵は何も言わなかった。しかし、やがて大きく息をした。

「ふぅーーーーーーーーー」
「ごめん。まだ怒ってる?」
「怒ってるけど、さっきほどじゃない。で、聞きたいの。教えて」
「なあに?」
「私、変に見えたの?」
「見えたっていうか、両手が少し外側に広がって降りてるから、あれ?って思って」
「それで下着が変だって思ったの?」
「下着がどうかはよく分からないけど、たぶん、て言う程度。手が真っ直ぐ下に降りてないってことは、何か原因があるんだろうなって思っただけ」
「それで、どうしろって言うの?」
「どうしろなんて言わない、葵ちゃんが気付いてればそれで良いけど」
「気が付いてたらどうだって言うの?」
「ううん、とにかく自分に合った服装をしてるんなら良いんだけど」
「それで下着なのね」
「・・・・うん、ごめん」
「だって、ぴったりしたのが無いんだもの、仕方ないじゃないの」
「え?・・・・・・・・・・・」
「だから、無いの。それだけ」
「そうか・・・・・・・・・」
「だからこれでお終い。それで良いでしょ?気が済んだ?それとも三谷さんが何かアドバイスとか手助けしてくれるわけ?」
「あのね、もし良かったら、俺の知り合いの電話番号を書いておくから連絡してみて。もし良かったら、だよ。嫌なら直ぐに捨てて。もし連絡するなら俺の名前を出せば聞いてくれるから。女性用の下着を売ってる女の子で飲み友達なんだ。しばらく会ってないけど。下着で聞きたいことがあればきっと相談に乗ってくれるよ。もちろん、連絡しなくたって全然構わない。紹介料もらうわけじゃないし。知り合いってだけだから。たぶん、葵ちゃんが連絡しても女性用の下着のことなんで俺には連絡なんて来ないと思うし。もし葵ちゃんが悩んでるんだったらって思っただけ。もうこの話はしない。葵ちゃんは十分綺麗だもの。嫌な思いさせてごめんなさい」

宏一は再度頭を下げた。葵はブスッとしたまま聞いていたが、宏一が嫌われるのを承知で言ってくれたことには内心で感謝していた。『あのまま楽しい話をしていれば、私を怒らせて謝ることもなかったのに・・・・。男の人に言われて平気な子が居ると思うの?』と思った。

「ごめん、その子が以前に言ったことがあるんだ。女の子の身体は風船みたいなものって。どんな形にでも変わるんだって。その言葉が印象に残ってただけ・・・・」
そう言うと宏一は一度立ち会ってメモ帳を取り出すと携帯の番号を書いて葵に渡した。
「直ぐに捨てても良いよ。この子は俺の友達ってだけ」

宏一が渡すと、葵は宏一を睨んでからポケットに一応という感じで突っ込んだ。
その後はしばらく葵と話をしたが、あまり盛り上がらないまま葵は帰っていった。ただ、宏一は気になっていたことを言えたので後悔はなかった。そして、もし葵に嫌われて葵が来なくなっても仕方ないと思った。豪華な雰囲気の大人びた女の子とは言え、多感な中学生なのだ。男に下着やスタイルことを言われればいやがるのが当然だからだ。

翌日、由美からは連絡が無かったので一応時間通りにいつものワンルームマンションに行ってみた。しかし、残念ながら、と言うか、やはりというか、由美は来ていなかった。そして、宏一がちょうどがっかりしたタイミングで由美からラインが入って今日は行けそうに無いと言う。仕方ない。一番残念がっているのは由美なのだから。
それでも宏一は由美の気持ちを考えると、少しでも一緒に居られないかと思って連絡してみた。

「由美ちゃん?夕ご飯、一緒に食べられない?もし忙しくて部屋に来る時間が無ければご飯だけでもどう?」
『ごめんなさい。もうパンを買っちゃったから』
「パンなんかでお腹膨らましちゃだめだよ」
『ごめんなさい。家に帰ってすぐに食べられるから・・・・』
「せめてコンビニご飯にすれば良いのに」
『コンビニのはもう大体食べちゃったから・・・・・・』
「分かった。それじゃ、どこの駅に行けば良い?夕ご飯だけ一緒に食べよう。ご飯を食べてお終い。それなら良いだろう?本当に夕ご飯を食べるだけ。ね?」
『・・・・・・いいんですか?』
「うん」
『それじゃ、経堂の駅で9時に会えますか?』
「うん、わかった。そうしよう」
『はい・・・・・・宏一さん、ありがとうございます』

由美はそう言うとライン通話を切った。

やりとりの様子では由美はだいぶ疲れている感じだった。それはそうだろう。由美の話だと東京都内と言っても川崎寄りの病院らしいから、そこに行って先生や看護師さんと話をして、洗濯物を渡して受け取って、それから必要なことをしていれば戻って来てそれくらいの時間にはなってしまう。宏一は、由美が少しでも元気になればと思って由美との待ち合わせに向かった。

経堂の駅に着くとまだ1時間ほど時間があったので、宏一はマックで時間を潰した。ノートPCを開いて会社のネットに繋いでみると、まだ多くの社員のPCが生きていた。この時間だとだいぶ負荷は軽くなってくるのでネットワークに問題はなさそうだ。宏一は管理者権限で各部のストレージを整理して時間を潰した。

そして9時前に駅の改札で待っていると、由美がちょうど疲れた顔で降りてきた。大きなバッグを持っているのは洗濯物なのだろう。それでも薄い水色のTシャツに薄いブルーのミニスカート姿なのはさすがに年頃の女の子だ。制服姿も良いが、今日はミニスカートなので足が綺麗だ。

「由美ちゃん、お疲れ様」
「宏一さん、ごめんなさい。こんなところまで来て貰って」
「ううん、大丈夫。そんなに遠くないから。それじゃ、何を食べようか?」
「宏一さんが決めて下さい。私が決めるより、宏一さんの好みのものを食べたいです」
「分かった。それじゃ、和食にしようか?」
「はい」

宏一は近くの和食の店を探すと、電話で席があることを確認し、直ぐに行くと伝えた。

「近くみたいだよ」
「はい」
二人は歩き始めた。
「お魚系の店みたいだけど、大丈夫?」
「宏一さん・・・・」
「なんだい?」
「私、お魚だって大好きなの知ってますよね?」
「うん、由美ちゃんは全然好き嫌い無いものね。嫌いなものなんて無いのは知ってるけど、今日はこれ食べたい、みたいなのはあるでしょ?」
「もちろん。一昨日が鳥だったから、今日はお魚。大正解です」
「最初に時間を聞いておきたいな。何時に店を出なきゃいけないの?」
「今日は母の服の洗濯があるので、十時過ぎくらいには・・・・・」
「うん、わかったよ」

そんな話をしているうちに店に着いてしまった。店はさすがにこの時間だと混んではいないが、それなりに客は入っている。二人はテーブル席に通された。

「それじゃ、注文しようか」
「宏一さん、お願いします」
「うん、だいぶ、疲れてるみたいだね。だいじょうぶ?」
「はい、なんとか。宏一さんと一緒だし」
「ふぅ〜ん、ここはウナギを店で捌いているみたいだね。それじゃ、ウナギを頼んでみようか。それとお刺身と・・・・・」

宏一はウナギの三種食べ比べと前菜三種の他、焼き物や卵焼きなど数種類を手際よく注文した。飲み物は由美にはウーロン茶を頼んでおいて自分にはビールと冷酒を頼んだ。

「それで、最近はゆっくり勉強も見てないけど、勉強のほうはどう?教えて貰って良いかな?」
「はい、ちょっと学校を早退して病院に行ったりしていたから遅れ気味ですけど、いっちゃんがノートを写メして送ってくれるからなんとか大丈夫です」
「テストとかはあるの?」
「はい、来週、模擬テストがあるんですけど、それがなんとかなれば・・・・」
「模擬テストって全教科?」
「英数国の3教科だけです」
「そうかぁ、教えてあげたいけどなぁ」
「大丈夫です。宏一さんに教えてもらってるつもりでがんばってるから。心配は掛けないようにしますから」
「そう・・・・・」
「宏一さん、私だってゆっくり教えてほしいです。でも・・・・」
「でも?」
「宏一さんに優しくしてもらう方が、私はがんばれるから。宏一さんが心配してくれて嬉しい・・・・・。だから、ちゃんとがんばります」

由美はかなりカラ元気という感じだったが、由美がそこまで言うのなら宏一はこれ以上言うことは無い。

「そう言えば、一枝ちゃんは元気にしてる?」
「はい、あの子はいつも元気です。そう、彼ができたんですよ」
「へぇ、それはおめでとうだね。由美ちゃんも知ってる男の子?」
「はい、近くの学校の同級生で、何度か一緒に居るところに入ったことがあって、一枝ちゃんの自慢に付き合いました」
「へぇー、一枝ちゃんの自慢にねぇ、由美ちゃんは当てられてきたんだ」
「私には宏一さんがいるから別に・・・・・一枝ちゃんが言ってましたよ。宏一さんみたいに素敵な人じゃないけど、私には彼がちょうど良いって」
そう言って由美は朗らかに笑った。

そして前菜と刺身の盛り合わせや卵焼きが到着すると、二人は乾杯して食べ始めた。

「この前の焼き鳥屋さん、凄かったじゃないですか」
「美味しかったね。由美ちゃんはどれが気に入ったの?」
「最後のTKGです。3種類の卵って、こんなに違うんだって・・・・」
「そうだね。おれもTKGかも。焼き鳥だって美味しかったけどね」
「後はセセリが美味しかったです。ぼんじりはちょっと脂っこくて」
「そうか。そうかもね」
「でも、素敵なお店に連れてってくれてありがとうございました。今日も」

由美はそう言うと、ペコリと頭を下げた。

「急いで探した割には当たりだったね。家に帰ってからちゃんと勉強できた?」
「もちろん・・・・・・・・」
「ん?」
「ちゃんと勉強しました。でも、途中からちょっと疲れちゃって・・・・・。宏一さん、結構凄かったから・・・・」

由美はそう言って恥ずかしそうに視線を下げた。

「ごめんね。時間が無かったから夢中で」
「私も付かれてたみたいで、帰るときは大丈夫だと思ったんですけど」

由美はそう言ってから、宏一の精が少なかったことを思い出した。しかし、さすがに宏一には聞けない。

そうこうするうちにメインのウナギや焼き物が届き、二人は勢いよく食べていった。

「美味しいです。ウナギの白や黄って言うんですか?初めてですけど、タレの付いてないのがこんなに美味しいなんて知らなかったです」
「うん、きっと新鮮なウナギを使ってるんだろうね。醤油焼きもさっぱりしていて美味しいね」
「はい、とってもおいしいです」

由美はウナギと焼き魚、鶏モモ旨焼きを次々にオカズにしてご飯を食べていった。

「宏一さん、嬉しい。こうやって二人でご飯を食べられるなんて。私、今日は絶対がんばっちゃいます」
「うん、由美ちゃんさえ良ければいつでも連絡してね。今度の週末は忙しいの?」
「一枝ちゃんに付き合って、推しのミニコンサートに行くんです」
「それはいいね」
「はい、一枝ちゃん、結構黄を遣ってくれてて、デートを延ばして誘ってくれたみたい」
「へぇ、一枝ちゃんは完全に彼に夢中って感じ?」
「そうみたい。今は彼と最初をどうするか考えてるみたいですよ」
「母さん、素敵な体験になるように色々考えてるんだ」
「そう、でも彼には内緒で」

由美がクスッと笑った。


つづく

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