メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.615 ◆現代時評「原発再稼働と核のゴミ問題」:片山通夫  2013/07/02


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  【609 Studio】メール・マガジン 2013/7/2  No.615
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   フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上
  脩身氏の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻
  訳版、ロシアやサハリンの話題編集長のコラムなど多彩な話題満載!
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◆現代時評「原発再稼働と核のゴミ問題」:片山通夫
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 安倍政権がその高い支持率(6月で各社およそ60%前後)を背景に、
7月の行われる参議院選を乗り切り、原発の再稼働に突き進もうとしてい
る。一方、先週には電力各社の株主総会が開催されて、脱原発の株主提案
など一顧だにされずに終了した。福島の教訓はすでに過去のものとなった
感がある。

 筆者は電力会社の株主総会の記録をつぶさに読んだわけではない。し
かし電力各社の姿勢は《経済的理由》をあげて、原発の再稼働に前のめ
りだ。その姿勢は安倍政権の姿勢と一致する。ここに見られるのは、国
家100年の計では決してなく、情けないことに《目の前の経済》だけ
である。原発を動かさないと燃料費がかさむ、ましてアベノミックスと
やらで、円安、株高に国家機関をあげて誘導している現状では、電力会
社の収支は確かに真っ赤な赤字となることは明白だ。

 安倍政権が打ち出した経済政策は、電力会社の経営を直撃している。
だから原発再稼働が必至という理屈になる。そこには、決して国民の安
全という視点はない。ひとえに財界におもねる政策ばかりだ。
 はたして、原発再稼働がわが国の経済に好効果をもたらすだろうか。
国民の生活にプラスになるだろうか。参議院選を前にもう一度考え直し
てみてもらいたいものだ。

 さて本論に入る。原発の再稼働は先に述べたように短期的には電力会
社の経営を助けるかもしれない。我々が支払う電力料金を引き下げる可
能性も否定できない。ところがその裏では、非常に苛酷な状況が待ち構
えている。安倍政権も電力会社もそしてほとんどの国民もそのことを知
ってか知らずか目をそむけている。それは、原発を稼働することによっ
て生じる《使用済み核燃料の処理》だ。

 政府は再稼働によって生じる、また現在ある使用済み核燃料を、再処
理してMOX燃料として原発で再利用する方向で考えている。このMOXとは
プルトニウムとウランの混合酸化物だ。プルトニウムは原発で生じた使
用済み核燃料を再処理してプルトニウムを抽出しウランと混合、MOXとし
て再利用するという計画だ。これをプルサーマルと名付けている。

 プルサーマルが考えられたのは、本来、高速増殖炉もんじゅで全量燃
やすはずだったが、もんじゅの数々の事故でこの計画はとん挫している
からだ。一体わが国にはどの程度のプルトニウムが存在するのか御存知
だろうか。原子力委員会によると、国内に約9トン、フランス・イギリ
スに約35トンのプルトニウムを抱え込んでいる。長崎型の原爆(プル
トニウム239を使用する原子爆弾)の5000発分に相当するという。
6月25日、毎日新聞が報じたところによれば、昨年9月には、民主党
政権はアメリカ側から、核兵器の原料となるプルトニウムの保有を減ら
すために、プルサーマル発電を行う密約をしていた。

 また、使用済み核燃料を再処理するのに、わが国は青森県六ケ所村に
1993年から約2兆1900億円の費用をかけて再処理工場を作った
。日本原燃は今年5月27日、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理
工場の性能試験が着工から20年を経て、終了したと発表した。青森県
や六ヶ所村は稼働の条件として《全量再処理の堅持》をあげている。六
ヶ所村で《一時保管中の使用済み核燃料はほぼ満杯》だという。政府は
《プルサーマル》へ突き進むしか道はないと強弁している。六ヶ所村は
《再処理をしないなら一時保管中の燃料を運び出せ》と声高に叫んでい
る状況だ。
 このように、使用済み核燃料の後処理は莫大な費用と技術が必要だ。

 一方、東京電力福島原発で起こった事故も、地域社会に深刻な影響を
及ぼしている。メルトダウンした原子炉から今後出るであろう莫大な汚
染物の処理はここでは置いておく。  
 今問題なのは《除染に伴って生まれた汚染ゴミ》の処理である。現在
環境省が、栃木県など5県に最終処分場を設ける予定でいるが、候補地
の選出にもまだ入れていない状況だ。今年3月末現在で12万トン超の
《除染で出た汚染ゴミ》は、行き場を決められなくて現在仮置きされて
いる。

 はたして、このまま、原発の再稼働に突き進み、持って行き場のない
使用済み核燃料を増やすことがわが国の経済にとって、いやそれ以上に
国民にとって良策なのか、参議院選を前に今一度考えてみる必要がある。
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◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2013年6月28日号
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青少年フォラム開催

 8月20〜29日まで、ロシア10カ地域の青少年らが参加してサハ
リン・トナイチャ湖畔で「青少年フォラム島」を開催する。参加人数は
1千5百人、テーマは革新、企業、創作、言論など9つの分野。参加希
望者は公式サイトを通じて7月30日まで申し込むことが出来る。
 
国際映画祭準備

 8月23〜30日までサハリンで「第3回国際映画祭―世界の果て」が
開催される。さる23日、ユジノサハリンスクでそれの準備会議があった。
州庁舎前の広場に屋外スクリーンを設置する他、期間中にはその周辺を歩
行者天国にする計画だ。
 
青少年の日―アルコール販売禁止

 6月27日は青少年の日。サハリン州政府は今年5月11日、学校の終
業式(5月25日)、青少年の日、家族の日(7月8日)、知識の日(9
月1日)を店のアルコール販売禁止の日とする法律を採択した。
 
日本製不発弾

 4月、ユジノサハリンスク近郊で発見された日本製不発弾200個をア
ニワ区域の埋立地まで運んだ。化学兵器の疑いもあった確証はない。近い
うち、すべての爆弾を処理するとのこと。
 
献血奨励策

 サハリン州政府はさる20日、献血奨励法を制定した。今後、献血者に
は400ルーブルと無料食事、そして大量の献血提供者には休養所入所券
を優先的に提供する。
 
養子縁組家庭支援

 さる20日、州議会は保護者のいない子供或いは孤児を養子に貰う家庭
に62万ルーブル、さらに障害者の子供の場合は100万ルーブルの支援
金を提供する法律を制定し、来年1月1日から施行することを決めた。
 
韓露経済協力フォーラム開催

 駐ウラジオストク韓国総領事館によると、7月3〜4日間ウラジオスト
クで韓露経済協力フォーラムが開催される。政府関係者、企業家、言論人
など150人が参加する予定。
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 ◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本・世界」>>>
           引用元 http://japanese.ruvr.ru
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◆日本関連

◇日本の研究者 一滴の血液からクローンマウス作成
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_27/116755978/

◇日本 中国との領有権問題でフィリピン援助を約束
日本は、フィリピンと中国が領有権を争っている南シナ海のスプラトリー
諸島(南沙諸島)の防衛で、フィリピンを援助する考え。
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_27/116760147/

◇NHKの外国語乱用に憤慨した市民、訴訟起こす
日本の年金受給者タカハシ・ホウジ氏が日本のテレビ・ラジオ放送 NHK を
相手に裁判を起こした。原告は NHK が外国語からの借用語を過度に使用し
たことによってモラル上の損失を受けたと主張、その補償を求めた。タカ
ハシ氏の弁護士が記者団に述べた。
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_27/116787978/

◇福島事故原子炉からの核燃料取り出し作業が前倒しへ
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_28/116790443/

◇日本の小中高 昨年体罰事件 6千件以上報告
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_28/116807676/

◇ロスアトム長官、「福島の教訓は安全第1」
ペテルブルグで開催された国際会議「21世紀における原子力エネルギー」
では平和利用目的の原子力の今後の発展と安全がテーマとなった。本会議は
国際原子力機関(IAEA)の後援で行われ、これに世界80カ国を超える
代表団が参加した。
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_28/116815554/

◆国際───────────────

◇強力接着剤とリップクリームを取り違えてしまった・・・
ニュージーランドのダニーデンに住むある女性は、リップクリームと誤って
強力接着剤で唇をくっつけてしまった。オタゴ・デイリー・タイムズが報じ
た。事件がおきたのは27日夜。オレンジ・ニュースによると、女性は暗闇
でリップクリームを探していたため、こんなことになった。
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_29/116883784/

◇英国 シャラポワ人気にあやかったガム売り出す
ウインブルドン・テニス選手権が開幕してから、ロンドンのある店ではシャ
ラポワならぬ「シュガーポワ」という名のお菓子が売られ始めた。これは、15
の様々な味が楽しめるガムで、テニスボールやシューズ、サングラスさらに
は小さなクモの形をしたものもある。
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_26/sugarpova-sharapowa/

◇歴史家ら 1930年代のナチスとの協力でハリウッドを非難
米国人歴史家ベン・ウルバンド氏は、1930年代にハリウッドがヒトラー政権
と緊密に協力したと主張している。これは今年秋にハーバード大學出版から
出される「The Collaboration: Hollywood’s Pact with Hitler」で示され
ている。
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_30/116909777/

◇アインシュタインのサインが入った聖書 6万8500ドルで落札 
  ニューヨークのオークションハウス「ボナムズ」で、ノーベル物理学賞の
受賞者で相対性理論を提唱したアルベルト・アインシュタインのサインが入
った聖書が、6万8500ドルで落札された。
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_29/ainshutain-seisho/

◇米国、公園ベンチでセックス、25台の自転車部隊に御用
米国ペンシルバニア州では警察の自転車部隊25人が公園の野球場のベンチ
で性行為を営んでいた男女を逮捕した。デイリー・デルコ紙が伝えた。事件
がおきたのは夜、部隊が自転車スクールの授業の枠内で通りを走っていたと
きのことだった。
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_30/116908050/

◆ロシア国内───────────────
 
◇アルタイ共和国で地震
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_29/116865204/

◇超音波高精度兵器がロシアで開発
ロシアに超音波の高精度兵器が登場する可能性がある。ロシア国防省のユー
リー・ボリソフ次官が29日ラジオ「モスクワのこだま」に出演した中で明
らかにした。
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_29/116891343/

◇ロシア正教会、「三位一体祭」は教会の誕生日
6月23日日曜日、ロシア正教徒は聖三位一体祭(トロイツァ)を祝った。
この祝日は教会暦の中でも重要な位置を占めており、非常に美しい儀式が執
り行われる。東方正教会の伝統では、トロイツァは「精霊降臨祭」とも「五
旬祭」とも呼ばれる。これについてモスクワ国際関係大学付属聖アレクサン
ドル・ネフスキー教会の神父をつとめるイーゴリ・フォミン長司祭は次のよ
うに説明している。
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_28/116819946/

◇Wiki Leaks:スノーデン氏はロシアに永久に留まる可能性がある
WikiLeaksがウェブサイト上で指名手配中のCIA元職員エドワード・スノーデ
ン氏に関する声明を発表した。同氏は米国政府の追求を逃れるため、ロシア
に永久的にとどまる可能性があるという。
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_26/sno-den-snowden-roshia/

◇ラヴロフ外相:スノーデン氏に関する米国からロシアへの非難は受け入れ
がたい
CIAの元職員エドワード・スノーデン氏をめぐる状況についてロシア外務省
のセルゲイ・ラヴロフ大臣がコメントを出した。モスクワで25日に開かれた
記者会見で、外相は、スノーデン氏はまだロシア国境をまたいでいないとい
うこと、またロシアが陰謀を企てているとか、米国の法律を破っているとか
といった非難は受け入れがたい、と述べた。
http://japanese.ruvr.ru/2013_06_25/116575978/

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  ◆[編集長から]              片山通夫
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 わが国が微妙な立場に置かれてしまったようだ。韓国の朴大統領が、モ
スクワを訪れて「韓中で東北アジアの安定に協力」という話だ。
中韓両首脳は共同声明で、アジア地域の政治や安全保障分野での協力が遅
れている点を指摘。域内国家間の関係について「不安定な状況が続いてい
ることを憂慮する」と指摘した。また両首脳は名指しこそ避けたが《最近
の歴史などによる問題で域内国家間の対立と不信が深まっている》と共同
記者会見で述べた。(朝日新聞)

 残念なことに、安倍政権が発足して版年余り。いまだ韓国や中国の首脳
との会談の見通しは立っていない。

 筆者は何も《バスに乗り遅れるな》と言っているのではない。しかし残
念なのは隣国との仲が良くないという状況は、決してわが国のプラスには
ならない。両国ともわが国との間に、歴史問題とともに領土問題が立ちは
だかっている。
 歴史問題に関してだが、わが国の政権交代によって、歴史認識がコロコ
ロ変わるという状態は避けなければならないのではないか。外交という普
遍的な事象についてはなおさらだ。何しろ相手国というものがある。外交
方針が時の政権のよって変化するということだけは避けなければならない。

 今、今月行われる参議院選を前に憲法論議が盛んになりつつある。
普遍的な外交政策、つまり現憲法の前文にうたわれている理想を追求すべ
きだ。ここに前文を掲載しておきたい。
__________

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われ
らとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土に
わたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨
禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存する
ことを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託
によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者
がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原
理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これ
に反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想
を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、
専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社
会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が
、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有すること
を確認する。
 
われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視しては
ならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則
に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国
の責務であると信ずる。
 
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達
成することを誓う。

__________

 結局のところ、過去(戦前)の清算・総括のできていない国民になり下
がってしまったのではないのかと危惧する。
─────────────────────────────────
  発行     2013年7月2日   No.615
  編集・発行  609studio Michio Katayama
  発行     毎週火曜日  購読料無料
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