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───────────────────────────────── 【609 Studio】メール・マガジン 2013/5/7 No.607 ───────────────────────────────── フリージャーナリスト片山通夫のメールマガジン。Lapiz編集長・井上 脩身氏の現代時評、ロシア唯一の韓国語新聞「セ・コリョ」の日本語翻 訳版、ロシアやサハリンの話題編集長のコラムなど多彩な話題満載! ───────────────────────────────── Graphic Magazine「Lapiz」情報 Lapiz2013春号好評発売中! 詳しくは http://www.lapiz.bz/ ───────────────────────────────── FaceBookをはじめました。 http://www.facebook.com/#!/michio.katayama.5 ───────────────────────────────── 新刊書紹介 《ふるさとはポイズンの島 ビキニ被ばくとロンゲラップの人びと》 電子雑誌 Lapizで活躍中の渡辺幸重さんがこのほど上梓されました本 を紹介します。 渡辺幸重 (著), 島田興生 (写真) 価格: ¥ 1,575 発行 旬報社 旬報社ホームページ http://www.junposha.com/catalog/product_info.php/products_id/808 ───────────────────────────────── Graphic Magazine「Lapiz」β版 *東日本大震災*Portrait of Sakhalin*自然遺産 屋久島 以上3点をDLマーケットにアップロードしました。 販売スタンドなど詳しくは下記へ。 http://www.lapiz.bz/ ───────────────────────────────── 【著書案内】 「追跡!あるサハリン残留朝鮮人の生涯」 日本の植民地統治が生んだ一家離散「二重徴用」「急速転換」「樺太 への逆密航」を語る貴重な証言!! 片山通夫 著 凱風社 刊 http://www.gaifu.co.jp/index.html 定価 1900円+税 ───────────────────────────────── ◆現代時評「北方領土は帰らない・・・」:片山通夫 ───────────────────────────────── 先日、安倍首相が100人超の経済人とともに、ロシアを訪れてプー チン大統領と会談した。安倍首相の思惑は、経済交流を活発化して、そ の勢いで北方領土の返還交渉に弾みをつけたい考えだったようだ。 筆者はこれに先立ち、サハリン州ユジノサハリンスクで、北方領土( 南クリル)問題に詳しい、大学教授・歴史学博士であるアナトリー・T ・クージン氏にインタビューを申し込み、およそ2時間にわたって話を 聞くことができた。詳しいインタビューの内容は、Lapiz2013年夏号 (6月1日発行)で書いた。興味ある方は是非お読みいただきたい。 クージン氏がとる説は、今回プーチン大統領が安倍首相に話したこと と、ほとんど変わらないように見受けられる。筆者が「ノルウェイや中 国などとプーチン大統領は国境問題を解決してきた。その手法は《面積 等分》だ」と尋ねた。クージン氏は「なるほど、あなたがあげた国々と は《面積等分》で解決してきたことは確かだ。しかし、南クリルは我々 が戦争で勝ち取ったものだ。思い起こしてみる必要がある。1905年 の露日戦争(日露戦争)で日本は勝利した。その結果、サハリン島の南 半分、つまり温かい地域を分捕った。以来、北緯50度線以南は、19 45年の8月まで、日本が占有していたではないか」 東京新聞によると、「(ノルウェイや中国などと違い)第二次大戦の 結果としてロシアの主権下にある」とプーチン大統領が言及したという。 全くクージン氏の談と同じ立場だ。これはつまり、ロシア人一般の考え 方であり、毛頭返す気がないということではないか。 いまひとつ、クージン氏は次のように語った。「日本人は《返還》と いう言葉を使っているようだが、我々ロシアでは、《あげるつまりプレ ゼント》という立場になる。これは根本的な問題だ」主権が、所有が誰 にあるかの問題だというわけである。 この問題はすぐには解決しないと思われる。先般、北方領土を望む根 室と羅臼へ取材に出かけた。(Lapiz2013年春号に掲載)そこで、 目の前にある国後島や歯舞・色丹周辺海域で漁をする人たちに会った。 彼らは異口同音に言うことは「せめて2島だけでも早く帰ってきてほし い。私たちが安全に操業できる漁場が格段に広くなるわけだから」と話 していたことを思い起こす。 「4島一括返還」という呪縛を解き、せめて2島でもというのが、北 方領土を目の前にしている漁業民の切実な願いなのだ。 はたしてこの政府間交渉はどのように決着がつくのか、今のところは 不明だが、残念ながら、プーチン大統領は、官僚頼みのわが安倍首相と は役者が違いすぎるのではないか。 《PR》電子雑誌Lapiz http://www.lapiz.bz ───────────────────────────────── ◆セ・コリョ新聞日本語翻訳版:2013年4月26日号 ───────────────────────────────── 州知事、「住民との約束を守った」と発言 先日、州議会でホロシャヴィン州知事は2012年度事業報告の際、 「住民らに約束した社会分野政策はすべて実行した」と自信感を示した。 知事によると出生率の増加、死亡率の減少、教育と保健、文化分野公務 員らの給料の引上、疎外集団に対する福祉支援などでサハリンへ足をと 止めるためのすべての政策が成功裏に行われたと自賛した。 5月9日―戦勝の日 勝利の記念日の5月9日を盛大に祝うためにユジノサハリンスク市政 府関係者は奮闘している。特に戦争老兵たちへの配慮に注力している。 現在、ユジノサハリンスク市には1,215人の老兵と労働前線参加者 がいる。高齢化が進み彼等は記念式典にも参加が難しい状態。州政府と 自治体は彼等の自宅まで足を運び、感謝の気持ちを伝える予定だ。 地下自動車道路健設 ユジノサハリンスク市政府は今年の5月から地下自動車道建設に着手 すると発表した。レーニン通りとサハリンスカヤ通りの間に建設が進め られる。地下道は2015年完成予定で、今年の健設予算は2億5千ル ーブル。 ゴミのない金曜日 さる19日の金曜日、ユジノサハリンスクでは4,300人の住民が 参加して市内を掃除した。約200の機関と企業の職員らが参加したと のこと。 「ホルムスク就業センター」がコンクール優勝 今年の「第6回優秀就業センターコンクール」でホルムスク就業セン ターが優勝した。現在行っている業務、今後のプラン、相談の態度など 幾つかの審査分野で最も優れた評価を受けた。 軍食事がバイキング形式へ 東部軍管区11の軍部隊でバイキング形式の食事を兵士等に提供して いることがわかった。魅力ある軍服務と兵士等の福祉を考えて導入され た食事方法で、年末まで40カ所の部隊もこの方式を取る予定だという。 キルギス労働者への給料を払わず クリル色丹島にある水産会社がキルギス国籍の外国人動労者28人に 対して3カ月間も給料を払わなかったことがわかった。労働者達が当局 に申し立てたため、調査を行って明らかになったが、労働者権利を守る ために検事局は企業あてに訴訟を提起した。 ───────────────────────────────── ◆「ロシアの声」が伝える「ロシアからみた日本・世界」>>> 引用元 http://japanese.ruvr.ru ───────────────────────────────── ◆日本関連 ◇安倍首相 ロシアとの関係に大きな意味を見出す 安倍晋三首相は声明を発表し、日本とロシアの間の関係はより重要な ものになってきているとの考えを示した。モスクワ訪問中の安倍首相は 本日、ロシア議会下院(国家会議)のセルゲイ・ナリィシキン議長と会 談し、アジア太平洋地域における戦略状況が大きく変わる中で、両国の 信頼関係と互恵的協力はより重要性を増している、と強調した。 http://japanese.ruvr.ru/2013_04_30/112151281/ ◇ロシア下院議長「平和条約交渉をたゆまず前進させてゆこう」 http://japanese.ruvr.ru/2013_04_30/112157336/ ◇エネルギー分野で ロシアと日本の企業がさらなる協力に合意 ロシアの東部エネルギーシステム株式会社は本日、極東地域における発 電熱所の建設について、更なる協力合意に調印した。日本側からは、 Sojitsu CorporationおよびKawasaki Heavy Industriesが調印した。 http://japanese.ruvr.ru/2013_04_30/112193069/ ◇NHK調査:憲法改正「賛成」の市民、増大 NHKの公表した世論調査によると、47年5月3日発効の現行「平和」憲法 の改正に「賛成」する日本人の数は増大している。 http://japanese.ruvr.ru/2013_05_03/112381316/ ◇安倍首相、憲法修正の意向 http://japanese.ruvr.ru/2013_01_31/abeshushou-kenpoushuusei/ ◇日本の憲法改正が招きかねない脅威 安倍首相は憲法修正のためのプロセスを簡略化する目的で、憲法の9 6条の見直しを再び呼びかけた。憲法修正プロセス簡略化の主たる目 的は9条改正を行なうことにある。この必要性について首相は、世界 における日本の実際的な地位を引き上げ、外交、軍事紛争の解決にお いてより活発な役割を演じる可能性を開くためと説明している。モス クワ国際関係大学、国際調査研究所の上級研究員のアンドレイ・イヴ ァノフ氏はこの呼びかけが実現することで、日本はおろかそれを取り 巻く世界も劇的に変わり、安全は逆にずっと失われてしまうことにな ると考察している。 http://japanese.ruvr.ru/2013_04_10/110391386/ ◆国際─────────────── ◇キルギスで米空軍機墜落 米空軍の補給機KC-135がキルギスに墜落した。キルギス非常事態省チ ュイスク支局の発表をもとにAFPが伝えた。 http://japanese.ruvr.ru/2013_05_03/112412696/ ◇スーダン 金鉱での崩落事故犠牲者 60人超 http://japanese.ruvr.ru/2013_05_02/112353299/ ◇エルサレムの聖墳墓教会に「聖炎」灯される(ビデオ) エルサレム旧市街にある聖墳墓教会で復活祭前の聖土曜にあたる4日 、イエス・キリストの復活を象徴する「聖炎」が灯された。 http://japanese.ruvr.ru/2013_05_04/112482856/ ◇北朝鮮軍は正恩氏の命令を聞かないかもしれない 英国テレグラフ紙は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)人民軍は金 正恩第1書記が戦争開始命令を下しても、それを遂行しない可能性が あると報じた。 http://japanese.ruvr.ru/2013_04_10/110415666/ ◇無差別殺人を予防する「利口な」武器 http://japanese.ruvr.ru/2013_05_05/112478746/ ◆ロシア国内─────────────── ◇サハリン、精霊に供物を捧げる サハリンでは6月に自然の再生を祝う儀式「チル・アニ」が行われる 。「チル・アニ」では古くから行われてきた「精霊に供物をささげる 』儀式が行われる。その目的はサハリン在住の少数民族の文化にまつ わる儀式をよみがえらすことにある。 http://japanese.ruvr.ru/2013_05_04/112460168/ ◇モスクワに「スピーカーズ・コーナー」誕生 モスクワの公園に、ロンドンの「ハイド・パーク」にある「スピーカ ーズ・コーナー」のような演説場所が設けられた。 モスクワ中心部 のゴーリキー公園と北東部のソコリニキ公園に1日、自分の意見を述 べる「スピーカーズ・コーナー」が設置された。 http://japanese.ruvr.ru/2013_05_04/112465627/ ◇北極のゴミ掃除 極圏のゼムリャフランツァヨシファ(フランツ・ヨーゼフ諸島)にた まっている数千トンのゴミを一掃する一大清掃プロジェクトがロシア の学者・学生たちに実行される。オーガナイザーは連邦北極大学およ び国立公園「ルースカヤ・アルクチカ」。5月1日、参加者らは白海に のぞむ都市オネガに集まり、極地の複雑な環境における清掃作業の準 備を開始した。6月にはゼムリャフランツァヨシファに出発する。 http://japanese.ruvr.ru/2013_05_04/112480408/ ◇シリア政府:ロシアの民間機はシリア上空で砲撃を受けなかった http://japanese.ruvr.ru/2013_05_02/112310484/ ◇徴兵義務を分割払いで ロシアの32の大学の生徒らは一風変わった実験の開始を待っている 。現在ロシアには兵役の義務があり、男性は18歳になると軍隊に入 らねばならない。学生には兵役義務を引きのばす権利があるが、卒業 後には果たさなければならない。マスコミが「分割」兵役と名づける この実験は、大学の在学期間に年間3ヶ月ずつ軍の学習センターへ通 うというものだ。この場合、センターでの兵役義務は9ヶ月となる。 正式に兵役を果たそうとすると、その期間は1年なので、3ヶ月の短 縮が可能となる。 http://japanese.ruvr.ru/2013_04_30/112108824/ ───────────────────────────────── ◆[編集長から] 片山通夫 ───────────────────────────────── ゴールデンウイークのさなか、5月3日は憲法記念日だ。今年は例年 にもまして、憲法記念日が注目された。安倍政権が憲法を変えようとし ているからである。 日本国憲法がべアメリカから押し付けられた憲法である。だから独自 の憲法を制定しなければならないというのが、自民党をはじめ、いわゆ る改憲派の主な理由と見てとれる。 そこには「主権在民」の精神がなく、「国家が国民を縛る」思惑が見 てとれる。そして現行の憲法96条に規定されている改定要件を緩和し て、改定のハードルを下げようということのようだ。 なかなか《うまい手》を考えたものだ。 しかしちょっと待ってほしい。例えはおかしいかもしれないが、憲法 は国の骨格を規定するものだ。その憲法を「安易に変える」ルールを変 更しようということはあたかも、ルールを変えて自分に有利なルールで 試合するようなものだ。公明正大であるべきルールを変更するというこ との重大さや、その先に「国民を縛る」変更をたくらんでいることを隠 してという行為は、決して認められることではない。 これはほとんど国民をペテンにかけるようなものだ。残念ながら、国 民は今日まで、憲法と真正面から向き合ったことはない。自衛隊の存在 の違憲、合憲すらあいまいなまま、政党の思惑通りの反対・賛成を《よ そ事のように眺めていた》だけなのだ。 今、アベノミクスがもてはやされている。筆者はこれは《政府による バブル創出」の》悲劇だと思うのだが。 国民が望んでいるのは、先行きの見えない年金への不安や、少子高齢 化など、切羽詰まったテーマなのだ。先行き不安のまま、憲法改定で、 右傾化する政府・自民党の手口は、北朝鮮や中国の我が国への挑発を利 用した滑稽な悲喜劇としか見ることができない。 残念なことに、先の総選挙で自民党圧勝という選択を国民はした。こ の結果に乗じて、一気に右傾化させようとする政府のやり方をじっくり と見極める必要がある。 憲法改定のハードルは変えてはいけない。こんな姑息な手段を用いよ うとする政府を信じることはできないともいえる。 ───────────────────────────────── 発行 2013年5月7日 No.607 編集・発行 609studio Michio Katayama 発行 毎週火曜日 購読料無料 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 contact us http://www.609studio.com/html/mailform.html website http://www.lapiz.bz 投稿 http://www3.ezbbs.net/06/609studio/ 購読 解除 http://archive.mag2.com/0000052236/index.html ◇禁・無断転載◇ ───────────────────────────────── |