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===================================================== 発行部数 25 == ★★ 日刊ドラマ速報 ★★ ☆☆ 2008/12/22 (Mon) ☆☆ ====================================================================== == 目次 ============================================================== 1.月曜日の連続ドラマ 2.編集後記 ====================================================================== ---------------------------------------------------------------------- 1. 月曜日の連続ドラマ ---------------------------------------------------------------------- タイトル イノセント・ラブ 局 名 フジテレビ系 放映日時 月曜21時 キャスト 秋山佳音(堀北真希) 長崎殉也(北川悠二) 桜井美月(香椎由宇) 秋山耀司(福士誠治) 瀬川昴 (成宮寛貴) 浅野聖花(内田有紀) 義道神父(内藤剛志) 池田次郎(豊原功補) 主題歌 脚 本 浅野妙子 主題歌 宇多田ヒカル『Eternally - Drama Mix -』 あらすじ 第10話「永遠に」 佳音(かのん)(堀北真希)は休憩中に耀司(福士誠治)に電話し た。 「お兄ちゃん、今までありがとう」 「ごめんな、仕事で行けなくて」 「うん、わかってる」 何も聞かなくても耀司の心はわかっていた。自分の人生を犠牲にし てまであたしのために尽くしてくれた人だから。だから佳音は言った。 「あのね、あたしお兄ちゃんがいなかったら今日まで生きてこれなか ったと思う。だから殉也さんに会えたのも、今日こうしているのもお 兄ちゃんのおかげだと思う。あたし幸せになるね。今度会いに来て」 「ああ、幸せにな」 耀司にそう言われ、佳音は心が晴れる思いがした。今この瞬間ほど 幸福というものを感じたときはない。 そのころ、殉也は昴と話をしていた。 「旅行に行くの?」 「そう、聖花もだいぶ歩けるようになったし、調子がいいときは歌っ たりもするんだ」 「聖花が歌を?」 殉也はびっくりした。昴との生活が順調なのだろう。 「なあ、昴、いつか聖花と結婚しないのか?聖花もそれを望んでいる と思う」 「……」 昴はうつむいてかすかに表情を曇らせた。 「じゃあまた後で」 殉也は人に呼ばれて立ち去ろうとした。 「殉也!1つだけ知って欲しいことがあるんだ。俺には10年間ずっ と思っている人がいる。でも向こうは気づいてない」 「聖花じゃないのか?」 「違う。お前が思っているような感じで聖花を愛したことはない」 「お前の好きな人って?」 殉也は誰だか想像できなかった。 「もういい、忘れて」 昴はにっこりした。 不意にガーデンでどよめきが起きた。参列者は2階のバルコニーを 見ていた。そこには聖花がいた。泣きそうな顔をして、手すりに上る。 そしてそのまま飛び降りた。その瞬間殉也は駆けた。 殉也は意識不明なまま病院に運ばれた。殉也は聖花をかばって下敷 きになり、頭を打ったのだった。そして3日間意識は回復しなかった。 佳音は聖花のときのように殉也に贈ったオルゴールを鳴らし続けて回 復を祈ったが、状況は芳しくなかった。 昴が見舞いに来た。佳音が外しているとき昴は声をかけた。 「殉也、結婚式のときに好きな人がいるって言ったろ。あれ、お前な んだ」 昴は申し訳なさそうな表情だった。 「実はパリに行ったらもう帰ってこないつもりだった。おまえと別れ るつもりだったんだ。でも止めにした。お前のそばにいるよ。だって こんな状態のお前を置いていけないだろ」 殉也の容態はその後も一進一退だった。佳音はただ祈り続けた。そ の甲斐あって殉也は奇跡的に意識を回復した。しかし、殉也は事故の 後遺症で脳に障害が残り、記憶も失ってしまった。 殉也は佳音に連れ添われて帰宅した。だが、目はうつろで言葉も発 しなかった。佳音は結婚式の写真を見せたりしたが、殉也は無反応だ った。佳音は最初に出会ったときに2人で撮った写真を見せてみた。 殉也はそれを手に取り見つめたので、佳音の表情は明るくなった。だ が、殉也はすぐ写真を置いてしまった。 佳音は美月(香椎由宇)を呼んだ。記憶が戻ってくれさえすれば何 でもしてあげたいと佳音は思ったのだった。美月も昔の写真を見せて 話しかけた。だが殉也は美月を見ると怯えだし、そばから離れようと した。美月は殉也の心がはっきりとわかった。 「あたしは5歳のときから殉ちゃんを知っていた。だからあなたや聖 花さんには負けないと思っていた。でもそんなの何の意味もなかった。 あなたには殉ちゃんとの未来がある、羨ましいわ」 美月は力ない笑みを浮かべて帰っていった。 昴は聖花の真意を確かめようとした。 「お前の心には殉也がいるんだろ?」 聖花は答えにくそうに昴から視線を逸らした。明らかに聖花の心に 何かが起こっていると昴は感じた。 佳音は殉也が自分のために作ってくれた曲を弾いてみた。もっとも 佳音はピアノが弾けないのでうまくできなかった。 「だめだよね、これじゃ。練習しとく」 佳音は殉也に謝った。 佳音の懸命な看護の甲斐があったのか、殉也は自分で食事をするこ とができるまでになった。しかし相変わらず言葉は発せず、記憶も戻 らなかった。 ある日、佳音はたどたどしいピアノの音が聞こえてきて驚いた。殉 也がピアノを弾きだしたのだ。次第に表情も豊かになり、時には笑う こともあった。そんな様子を垣間見ていた耀司は神に祈りを捧げたい 思いに駆られて教会へ行った。これまで佳音の幸せを本心から願えな い自分がいた。心の中で何か余計なものが邪魔をするのだ。しかし今 はもうそんな思いは消え、心から佳音のために祈りたい気持ちになれ たのだった。 ある日、佳音は殉也を連れて外出した。露店に風船がいっぱい吊る されているのを見て、殉也はまじまじと見つめた。佳音が様子を見て いると、殉也の口元がかすかに動いた。 「聖花……」 それから殉也はしばしば聖花の名前を呼ぶようになった。佳音は殉 也が記憶を取り戻し、聖花を求めているのを感じた。佳音にとっては 辛いことだったが、殉也の喜ぶことをしてあげたい、殉也の幸せのた めに何かしたいという気持ちが次第に強くなった。昴に電話をし、聖 花を戻してあげることが殉也の望むことだと伝えた。 佳音は部屋にカサブランカを設えると、殉也に微笑みかけ、そして 家を出て行った。入れ替わるように聖花がやって来た。聖花は殉也を 見るとにっこりと笑った。殉也もまたにっこりと笑い、カサブランカ を手渡した。 ふと窓から風が吹き込んで机の上の楽譜を飛ばした。聖花はそれを 拾い上げピアノの譜面台に置いた。殉也はピアノに座り、たどたどし く弾き始めた。だが、次第に流れるようなメロディになり、それとと もに殉也の中で変化が起きた。 殉也は突然立ち上がると外へ飛び出した。駆けていく中で佳音とす ごした日々の記憶が次々と読みあがってきた。 佳音は義道神父(内藤剛志)の教会へ来た。そして、静かに祈りを 捧げた。目から一筋の涙がこぼれてきた。殉也への思いがそうさせた。 殉也の幸せこそ自分が一番望むことだから……。 そのときだった。 「佳音!」 それは殉也の声だった。驚く佳音に殉也はまっすぐに駆け寄るとし っかりと抱きしめた。佳音は驚いた。だが、次第に殉也の気持ちが伝 わってくるのを感じた。 お兄ちゃん、愛って何だと思いますか?愛には過去も未来もない。 好きだという胸いっぱいのこの気持ちを一瞬一瞬つなぎ合わせていく こと。だから心配しないで。あたしたちはもう大丈夫です。そして気 がつけばいたるところに愛はあるのです。 その後、聖花はまた昴の元に戻った。美月は殉也に代わってオルガ ニストとして児童聖歌隊の指導に当たっている。池田はフリーの記者 となり自分の本当に書きたいことを世に伝えようと奮闘している。耀 司は自動車工として日々一生懸命働いている。 その年のクリスマスイブの夜、佳音は殉也とともに手をつないで街 を歩いた。空を見上げると雪が降ってきた。佳音は殉也を見て自然と 微笑んだ。殉也も微笑んでいるた。そして佳音は思った。 私は今も祈っています。お兄ちゃんが、そして私たちが幸せであり ますようにと。(完) 寸 評 まさかこんな結末になるとはという驚きのラストでした。殉也が 微笑みながら聖花にカサブランカを渡し、聖花がそれを受け取る、そ のとき佳音が教会で祈りながら涙を落とすシーンが印象的で、相手の ことを第一に考え見返りを求めない、これがイノセントラブの形かと 感動的でさえありました。正直ここで終わってくれたらよかったのに と思います。 佳音と殉也は幸せなのかもしれませんが、それは殉也への思いを断 って聖花を引き受けた昴、潔く身を引いた美月、そして最後の最後で 殉也に捨てられた聖花の犠牲があってこそのもので、とても無邪気に 幸せに浸れる状況ではないと思います。そもそも佳音はそういうこと を強く気にする性格だけにラストは豹変した気がします。 こういう結末は将来に禍根を残すような気がしてすっきりしないで す。もし聖花が完全に回復したらどうなるのでしょう?殉也は佳音と 結婚したことに後ろめたさを覚えないでしょうか。そもそも殉也が聖 花を諦めたのは聖花の心が昴にあって自分にないというのが理由であ り、殉也のなかではそれでも聖花への思いがあるから反射的に身を挺 して助けたのではないでしょうか?それに聖花の心が自分にあるとわ かってしまったら、すんなり佳音に走ることはできないでしょうし、 佳音も受け入れることができないと思うのですが。 ラストで波乱を起こしたくて聖花の記憶を蘇らせたのかもしれませ んが、そのことでこのドラマは破綻してしまったと言えるかもしれま せん。 執 筆 者 けん() ---------------------------------------------------------------------- 2. 編集後記 ---------------------------------------------------------------------- 早いものでもう年の暮れ。今年もいろんなドラマが放映されましたが、珍し く印象に残るドラマはなかったような気がします。今年一年で個人的に一番良 かったのを考えてみると、放映当時はそれほど面白いと思わなかった『ハチク ロ』になりましたから。『ごくせん』は期待していたのにパッとしませんでし た。今度ファイナルのSPがあるとのことですので、有終の美を飾ってくれる と期待しています。(けん) ====================================================================== 発行元:ドラマ研究会 e-mail:info@j-drama.tv/ url :http://www.j-drama.tv/ ID :MM3E195F16414CD このメールマガジンは、メールマガジン[MailuX]を利用して発行しています。 (http://www.mailux.com/) ====================================================================== |