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==================================================================== バックナンバーと発行日は下記のホームページにてご覧いただけます。 ★２００５年分は、「感想」の下に移しました。２００１〜２００４年分につ いては、サイトを御覧下さい。 http://www003.upp.so-net.ne.jp/syd/roadshowmm.html 痩身男女 01/07 長恨歌 01/14 THE 有頂天ホテル 01/21 レジェンド・オブ・ゾロ 01/28 フライトプラン 02/04 ミュンヘン 02/11 ジャーヘッド 02/18 ナイト・オブ・ザ・スカイ 02/25 ダイヤモンド・イン・パラダイス 03/04 ナルニア国物語／第１章：ライオンと魔女 03/11 イーオン・フラックス 3/18 SPIRIT 3/25 サウンド・オブ・サンダー 04/01 ALWAYS 三丁目の夕日 04/08 プロデューサーズ 04/15 連理の枝 04/22 ニュー・ワールド 04/29 レント 05/06 Vフォー・ヴェンデッタ 05/13 明日の記憶 5/20 ダ・ヴィンチ・コード 5/27 夢駆ける馬ドリーマー 6/03 ポセイドン 6/10 インサイド・マン 6/17 バルトの楽園 6/24 ==================================================================== バルトの楽園 （(Ode to Joy)） U.S. Release Date: ■監督：出目昌伸 ■キャスト：松平健／ブルーノ・ガンツ／阿部寛／國村隼／高島礼子 ■音楽：池辺晋一郎 ■字幕： ■お勧め度：★★★(★) 「1914年、第1次世界大戦が勃発し、日本軍はドイツ軍の極東拠点地である中国 ・青島を攻略。この戦いで捕虜となったドイツ兵4700人は、日本国内12ヶ所の 俘虜収容所に振り分けられた。劣悪な環境下で囚人同様の扱いを受けていた捕虜 たちは2年後、収容所の統合により徳島県鳴門市にある板東収容所へ移される。 新たな地獄を覚悟していた彼らを待っていたのは、意外にも楽隊による盛大な歓 迎。松江所長の寛容な待遇を目の当たりにし、一同は驚愕する。」（ｇｏｏ映画 レビューより） この作品、考えだすと、色々、面白い作品。果たして製作者にその意図があった かどうか、はなはだ疑問ながら。 第一に、第1次世界大戦で日本がドイツと戦ったといっても、記憶ではこれは成り 行き上で、この５０年前の明治維新で薩長閥が徳川を倒して実権を握った時、国 造り、富国強兵の手本としたのは帝政ドイツであり、この傾向はそのまま第２次 大戦での三国同盟に繋がる。さらに松平健が演じる松江所長は元会津藩士で、当 時の薩長閥の日本政府とは敵対する関係にある。という事から松江所長の捕虜に 対する寛大な態度、あるいは陸軍省に対する反抗的な態度は、ごく自然に導き出 される。というような背景から作品を見ると、日本とドイツの維新以来の癒着を 美化した作品とも取れるが、そうした背景を無視するならば、捕虜のドイツ兵と 松江所長あるいは地元、徳島県の人々との暖かい交流を描いた作品という図式も 成立する。しかしながら、結果的には原爆投下と敗戦後のイカレた民主主義やら 教育制度にいたるまでの、日本国が背負うことになった元凶とも言える薩長閥の ドイツかぶれ、その中での唯一の明るい部分を描いた作品とも取れる。 日本の明治維新後のドイツかぶれはもちろん軍隊や政府に限られたことでは無い。 ベートーベンの交響曲第９番が年末になるとそこらじゅうで演奏され、合唱され るのは、日本だけだし、それはドイツと精神風土的に、なんらかの共通点がある からかもしれない。あるいは英語、アメリカ語、文化だらけの今日の日本でさえ、 こと哲学の分野では、ドイツ哲学は避けて通れないし、英語の語彙では、とても ドイツ哲学、その日本語訳を訳すことは出来ないといった現実もある。同じこと は、程度の差こそあれ、医学の世界でも言える。こうした事を抜きにして、ある いは知らずにこの作品を観た場合、果たして作品が描いた事の意味あいが解るの だろうかという疑問が涌くが、それは興業成績が出す答えかもしれない。何人の 客が映画を観たか、その結果だけで作品の価値が判断されるのが興業成績だろう。 とは言え、上のような事を一切抜きにして、作品を娯楽作品として観るという見 方もあるかもしれないし、作品はそうした見方に「まあまあ」程度は応える。 キャスティングがいい。松平健は、貫禄と同時に、独特の面白さを見せ、高島礼 子がやっと極妻イメージを脱した本来の気品のある優しい妻、母親像を演じてい る。逆に三枚目役の多い阿部寛が松平健演じる所長と対照をなすマジな将校役で 光る。ドイツからは、名前は分らないが、かなり実力のある若手俳優が参加し、 邦画でありながら邦画の枠を充分、越えている。ほんの短い時間ながら、市原悦 子が逃亡ドイツ兵を助け、感化するシーンも印象に残る。今やなんとか劇団のボ スとして、あるいはそれとは関係なく、変な役の多い市原悦子が、実は若い頃は、 連ドラでよこしまな恋に悩む人妻役を演じるような清純派アイドルだったという 過去が思い出されて懐かしい。役者各々の持ち味を充分知り、発揮させるキャス ティング。 最後に流れる「第九」はカラヤン指揮のものがベースになっているが、捕虜が歌 うということで混成合唱の部分を男性合唱に編曲、日本での第九演奏のシーン、 カットでは東京フィルハーモニーのものを上手くミックスさせている。東フィル は３〜４年前からのチョン・ミョンフン氏（韓国）の指揮でレベルアップし、今 や世界でも十指に入るオーケストラに成長している。カラヤン（ベルリン・フィ ル）の、おそらく晩年よりは少し前の演奏と混ぜても、聴き劣りはしない。とい ったような事も心得ている製作者というのは、高く評価できる。音楽的に面白か ったのは、「第九」の終わりの方の部分のノリが、徳島の阿波踊りの旋律と調和 している。これもやはりドイツと日本の深い精神風土レベルでの共通項か。 ヒアリング度： 感動度：★★★★ 二度以上見たい度：★★★★ 劇場で見たい度：★★★ ビデオ／ＤＶＤで欲しい度：★★ ビデオで見た方がいい度：★★★ ムカつく度： 考えさせられる度：★★★ （「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合） -------------------------------------------------------------------- ==================================================================== -今後楽しみな映画： ★ サイトのコンテンツ： -メルマガ発行システムの状況：名称/URL/コメント/現在１２システムをカバー ★★最終更新：2006年05月28日 -映画のことなら Google search：英文タイトル入力で検索結果のトップに -劇場リンク：全国劇場案内 -字幕関連サイトリンク：字幕の「なぜ？」に答えるF&Qサイト（その他） -The Internet Movie Database (IMDb) 映画のデータベース -------------------------------------------------------------------- ２００５年分： ターミナル 01/01 エイリアン Vs. プレデター 01/08 カンフーハッスル 01/15 東京タワー 01/22 オーシャンズ１２ 01/29 レイ 02/05 アレキサンダー 02/12 ボーン・スプレマシー 02/19 運命を分けたザイル 02/26 オペラ座の怪人 03/05 ローレライ 03/12 大統領の理髪師 03/19 ナショナル・トレジャー 03/26 アビエイター 04/02 ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月 04/09 コーラス 04/16 コンスタンティン 04/23 Ｓｈａｌｌ ｗｅ Ｄａｎｃｅ？ 04/30 レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 05/07 海を飛ぶ夢 (2004) 05/14 キングダム・オブ・ヘブン 05/21 ザ・インタープリター 05/28 ミリオンダラー・ベイビー 06/04 クローサー 06/11 戦国自衛隊１５４９ 06/18 バットマン ビギンズ 06/25 ダニー・ザ・ドッグ 07/02 宇宙戦争 07/09 スター・ウォーズ エピソード３／シスの復讐 07/16 逆境ナイン 07/23 アイランド 07/30 亡国のイージス 08/06 妖怪大戦争 08/13 サヨナラCOLOR 08/20 マジック・キッチン（魔幻厨房） 08/27 奥さまは魔女 09/03 マザー・テレサ 09/10 チャーリーとチョコレート工場 09/17 ファンタスティック・フォー 09/24 シンデレラマン 10/01 シン・シティ 10/08 ステルス 10/15 忍 SHINOBI 10/22 ドミノ 10/29 ティム・バートンのコープスブライド 11/05 ブラザーズ・グリム 11/12 エリザベスタウン 11/19 イン・ハー・シューズ 11/26 ハリー・ポッターと炎のゴブレット 12/03 Mr. & Mrs. スミス 12/10 ＳＡＹＵＲＩ 12/17 キング・コング 12/24 男たちの大和／YAMATO 12/31 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆↓↓これより下は、毎回、同じです。 ====================================================================== ★ヘッダー広告募集要領★ 個人、法人、内容問わず、ただし「公序良俗」を害しないもの。 広告のサイズ（長さ）は、１０行まで。料金は、個人（的な）広告の場合、 一回５００円、法人は、一回１０００円。連続掲載の場合は最大３回まで。 振込先：銀行、ぱるる、イーバンク（他行からの直接入金が可能になりました） ★★広告文の作成の際には、メール本文に貼り付けるなどして、体裁を整えたもの を送ってください。 ====================================================================== ★★★★★面白かった映画、つまらなかった映画（ロードショー）★★★★★ 2006/06/24 No. 275 （週刊） 発行者：シド（syd@kotoba.ne.jp） このメールマガジンは（主に）以下の配送システムを利用して発行しています。 カプライト http://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/1776.html E-Magazine http://www.emaga.com/info/syd111.html メルマガ天国 http://melten.com/m/4480.html melma! http://www.melma.com/backnumber_32970/ Home Page （登録／解除／バックナンバー） http://www003.upp.so-net.ne.jp/syd/roadshowmm.html 【無断転載不可です。】 ==========================================ROADSHOW REVIEW====== |